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【会計士監修】受取利息の仕訳と源泉所得税処理の完全ガイド

目次
この記事で解決できる悩み
  • 銀行から利息が入金されたけど、仕訳方法がわからない
  • 源泉所得税が引かれているはずだが、通帳に記載がない場合どうする?
  • 法人税申告時に源泉税を控除できる正しい処理方法は?
  • 赤字決算の場合、源泉所得税はどのように処理される?

「銀行から利息が入ったけど、仕訳はどうすれば?」「源泉所得税って引かれてるけど、通帳に記載がない?」こうした疑問は、経理実務や確定申告を行う方々がよく抱える悩みです。本記事では、預金利息の正しい仕訳方法と源泉所得税の処理について解説します。

受取利息と源泉所得税の基本

ぜいむたん
あの…預金利息って源泉徴収されているんですか?通帳には税引き後の金額しか表示されていないのですが…
ゆーた
そうやねん!預金利息には必ず源泉徴収されてるんや。でも通帳やネットバンキングの明細には源泉税額が表示されへんことが多いわ。だから自分で計算せなあかんのよ。

銀行の預金口座に発生する利息には、金融機関が支払う際に自動的に所得税と復興特別所得税が差し引かれます。これが「源泉徴収制度」です。

多くの場合、通帳やインターネットバンキングの明細には税引後の金額しか表示されていないため、源泉税額を自分で計算する必要があります。

法人に対する源泉税率(2025年現在)税率
所得税15%
復興特別所得税(所得税の2.1%)0.315%
合計15.315%
※個人の場合はさらに住民税(5%)が加算され、合計20.315%

受取利息の仕訳方法|総額主義vs純額主義

受取利息の会計処理には、大きく2つの方法があります。

1. 総額主義(推奨)

源泉税控除前の金額を「受取利息」として計上し、源泉徴収された税金を「法人税等」として資産計上する方法です。源泉税を法人税申告時に控除できるため、税務上最も合理的です。

2. 純額主義(非推奨)

実際に入金された金額(税引後)のみを「受取利息」として処理する方法です。帳簿上は簡単ですが、源泉税の控除ができず税務上不利なため、法人では推奨されません。

実務に即した預金利息の仕訳処理(ステップ解説)

実際の処理手順を具体例で解説します。

STEP
入金金額を確認する

通帳やネットバンキングで実際に入金された金額(税引後)を確認します。
【例】入金額:84,685円

STEP
総額(税引前)の受取利息を計算する

入金額を(1−源泉税率)で割ります。
84,685円 ÷ 0.84685 = 100,000円
これが源泉税控除前の受取利息総額です。

STEP
源泉所得税額を計算する

総額に源泉税率をかけます。計算結果は1円未満切り捨てとなります。
100,000円 × 15.315% = 15,315円
これが源泉徴収された税額です。

STEP
仕訳処理をする

次の仕訳を記帳します:

(借方)普通預金
84,685円
(貸方)受取利息
100,000円
(借方)法人税等
15,315円
※端数がある場合

【例1】受取利息100円の場合
100円 × 15.315% = 15.315円 → 15円(切り捨て)
実際の入金額は85円

(借方)普通預金
85円
(貸方)受取利息
100円
(借方)法人税等
15円

【例2】受取利息1,234円の場合
1,234円 × 15.315% = 188.98701円 → 188円(切り捨て)
実際の入金額は1,046円

(借方)普通預金
1,046円
(貸方)受取利息
1,234円
(借方)法人税等
188円
源泉税額が通帳に記載されていない場合の注意点

多くの金融機関では、利息の明細に「税引後の金額のみ」が記載され、源泉税額が明示されていません。そのため、必ず上記のSTEP2・3で税引前の総額と源泉税額を計算する必要があります。

ゆーた

実際のマネーフォワードの仕訳画面や。こんな感じで仕訳を切るで!!

法人税申告での源泉所得税の処理

源泉所得税を「法人税等」で処理した場合、法人税申告書で以下の処理が必要です。

  • 別表六(一)「所得税額控除」:受取利息の金額と源泉所得税の金額を記載

控除が受けられるのは総額主義で処理した場合のみです。

赤字決算の場合の源泉所得税処理

ぜいむたん
赤字決算の場合、法人税がかからないのに源泉徴収された税金はどうなるのでしょうか?
ゆーた
ええ質問やな!赤字決算の場合は、源泉徴収された税金は翌事業年度に「還付金」として戻ってくるんや。基本的には「雑収入」で処理して、申告書の別表四で減算せなあかんねん!

法人が赤字決算となり法人税が発生しない場合、源泉徴収された所得税は還付金として翌事業年度に入金されます。この処理は以下のステップで行います。

1. 法人税申告書の処理

赤字決算の法人税申告書では、黒字の場合と同様に別表六(一)「所得税額控除」に源泉所得税額を記載します。

法人税額がゼロのため控除できない金額が「還付金」として計算されます。

申告書別表六(一)に記載した内容を反映した別表一の記載は以下の通りです。

2. 還付金入金時の仕訳

翌事業年度に還付金が入金された場合、以下のように「雑収入」で処理するのが基本です:

(借方)普通預金
15,315円
(貸方)雑収入
15,315円

3. 法人税申告書での調整

還付金を「雑収入」で処理した場合、申告書上で以下の調整が必要です:

  • 勘定科目内訳明細書には「雑収入」として所得税還付金を記載
  • 別表四「所得の金額の計算に関する明細書」で「所得税等の還付金額」として減算処理する
還付金処理の注意点

源泉所得税の還付金は課税対象外(益金不算入)です。帳簿上は「雑収入」で処理しますが、必ず別表四で減算処理を忘れないようにしましょう。この調整を忘れると、本来非課税の還付金が課税対象となってしまいます。

よくある質問(FAQ)

利息が少額(数百円程度)でも源泉税の処理は必要ですか?

はい、金額の大小に関わらず、預金利息には源泉徴収が行われています。少額であっても正確に処理することで、将来の税務調査でも問題ありません。

源泉税が未記帳だった場合、どうなりますか?

申告時に「所得税額控除」が受けられず、法人税が過大に支払われる可能性があります。年度内であれば修正することで、正しく控除を受けられます。

複数年度にわたって赤字が続き、源泉税の還付金が発生し続ける場合はどうなりますか?

赤字が複数年続いても、毎年度の預金利息に対する源泉税は翌年度に還付されます。還付金入金時には毎回「雑収入」で処理し、別表四で減算処理を行います。これを毎年の決算で正確に行うことが重要です。

まとめ:受取利息と源泉税の処理のポイント

STEP
受取利息は総額主義で処理する

入金額 ÷ 0.84685 で受取利息の総額を逆算し、源泉税控除前の金額で収益計上します。

STEP
源泉所得税は「法人税等」で処理する

源泉徴収された税金(総額の15.315%)は「法人税等」勘定で処理し、申告時に控除を受けます。計算時は1円未満切り捨てを忘れずに。

STEP
通帳に源泉税の記載がなくても必ず計算する

多くの金融機関は源泉税額を明示しないため、必ず自分で計算して正確に仕訳します。

STEP
赤字決算の場合は還付金処理も正確に

還付金入金時は「雑収入」で処理し、勘定科目内訳明細書にも「雑収入」として記載します。別表四で「所得税等の還付金額」として減算処理を忘れないようにします。

預金利息に対する源泉所得税の仕訳は、金額が小さくても法人税申告に直結する重要な処理です。特に通帳に源泉税額が記載されていない場合でも、必ず計算して適切に処理しましょう。赤字決算の場合も還付金処理を正確に行い、税務上の漏れがないようにすることが重要です。

ゆーた
今日の授業は終わり!源泉税は小さな金額でも正しく処理せなあかんで!また来てな!!
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