- freeeとマネーフォワード、どちらが中小企業に適しているのか知りたい
- 会計ソフトの料金プランや機能の違いを把握したい
- 中小企業の特性に合わせた会計ソフトの選び方を知りたい
クラウド会計ソフト選びで迷っていませんか?中小企業の経理DXを進めるなら、freeeとマネーフォワードの名前を必ず耳にするでしょう。日本のクラウド会計ソフト市場を二分するこの2つのサービスから、どちらを選ぶべきか悩むケースが非常に多いです。
この記事では、両ソフトの機能・料金・使い勝手などを会計士の観点から徹底比較。どのような中小企業にどちらが向いているのか、失敗しない選び方を解説します。




freeeとマネーフォワードの基本情報比較
まずは両社の基本情報を比較してみましょう。料金プランや主要機能の違いを見ることで、大まかな特徴がつかめます。
料金プラン比較
freeeとマネーフォワードでは、料金体系に違いがあります。中小企業向けのプランを中心に比較してみましょう。
サービス | プラン名 | 月額料金(税抜) | 主な特徴 |
---|---|---|---|
freee | ひとり法人 | 2,980円 | 役員一人法人向け簡易版 |
スターター | 5,480円 | 小規模企業向け標準機能 | |
スタンダード | 8,980円 | 中規模企業向け基本機能 | |
マネーフォワード | ひとり法人 | 2,480円 | 役員一人法人向け簡易版 |
スモールビジネス | 4,480円 | 小規模企業向け標準機能 | |
ビジネス | 6,480円 | 中規模企業向け基本機能 |
プラン料金を比較すると、マネーフォワードの方が法人向けプランは高額です。特に2025年6月1日からスモールビジネスプランが月額5,980円、ビジネスプランが月額7,980円に改定されました。






基本機能比較
次に、両ソフトの主要機能を比較してみましょう。
- 自動仕訳機能:両者とも搭載。ただしfreeeは「完全自動仕訳」という独自技術あり
- 銀行・クレジットカード連携:両者とも主要金融機関に対応
- レポート機能:マネーフォワードの方がやや詳細な分析可能
- 請求書発行:両者とも対応(インボイス対応済み)
- 給与計算:両者とも別途オプション(追加料金あり)
基本機能に大きな差はありませんが、詳細な点では違いがあります。特に自動化の方法に注目すると、選択の参考になるでしょう。



freeeは自動登録ルールによる「完全自動化」をできるのが圧倒的な強みやで。詳細は別記事で解説しとるわ。


操作性と使い勝手の比較
続いて、実際の使用感における違いを見ていきましょう。これは会計ソフト選びで最も重要な要素の一つです。ユーザーインターフェース(UI)の違い
両ソフトはUI設計の思想が大きく異なります。
・タスク型で初心者にも分かりやすい
・「やることリスト」形式でガイド
・明るく親しみやすいデザイン
・会計用語を極力排除した説明






freeeは「経理初心者でも使える」をコンセプトにしており、入力の自動化やガイド機能に力を入れています。
一方、マネーフォワードは「会計の基本を大事にしつつ効率化」という姿勢で、伝統的な経理作業に近い操作感覚を維持しています。
freeeとマネーフォードのトップ画面





ホーム画面はこんな感じやで
データ入力方法の違い
日々の会計業務で最も時間を費やすのが取引データの入力です。この点での違いは重要です。
- freeeは完全自動仕訳という独自技術が最大の特徴です。一度設定すると、同じパターンの取引を自動で仕訳してくれます。例えば「コンビニでの文房具購入=消耗品費」というルールを覚えると、次回からは自動で処理されます。
- また、入力時に「何のために使ったお金か」という感覚的な質問に答えるだけで、適切な勘定科目を提案してくれる機能も便利です。
- 「ファイルボックス機能」により、画像保存したデータをアップロードするだけで金額や仕訳を推測してくれます。
- 仕訳登録画面は以下のような感じ


どちらも自動化機能を持っていますが、freeeはより積極的に自動化を進める一方、マネーフォワードは会計担当者の意図を尊重する設計になっています。
中小企業向け特有機能の比較
中小企業特有のニーズに対応する機能について、両者の違いを見ていきましょう。
部門別管理機能
複数の店舗や事業部を持つ中小企業にとって、部門別の管理機能は非常に重要です。
サービス | 部門数 | 部門レポート | 特徴 |
---|---|---|---|
freee | 標準5部門 (追加は別料金) | 基本的な部門損益 | シンプルで扱いやすい |
マネーフォワード | 無制限 | 詳細な部門別分析 カスタムレポート | 柔軟な多階層管理可能 |
部門管理においては、マネーフォワードの方が圧倒的に優位です。特に多店舗展開している企業や、事業部ごとの詳細な収支管理を行いたい中小企業にはマネーフォワードが適しています。
税務申告・経営分析機能
年度末の決算業務や日々の経営判断に役立つ分析機能も重要です。
- 税務申告対応
freeeは法人税・消費税申告書の自動作成に対応
マネーフォワードは税務申告ソフト「達人」との連携が可能
- 経営分析レポート
freeeは直感的でビジュアル重視のレポート
マネーフォワードはより詳細なデータ分析が可能
- 予実管理
マネーフォワードは予算管理機能が標準で充実
freeeはシンプルな予実管理(高機能版は上位プラン)






4. 連携サービスの充実度
現代の会計ソフトは、他のビジネスツールとの連携も重要なポイントです。
4-1. 外部サービス連携
・人事労務:freee人事労務
・EC連携:Shopify、BASE、など
・POSレジ:Airレジなど
・業務効率化:kintone、Slack
連携サービスの数では大きな差はありませんが、自社が使用している他のサービスとの相性を確認することが重要です。特にECサイトやPOSレジとの連携は、小売業を営む中小企業にとって作業効率を大きく左右します。
4-2. 独自の付加価値サービス
両社とも会計ソフト以外の独自サービスを展開しており、これらとの連携によるメリットも考慮すべきポイントです。
- freeeの独自サービス:
freee人事労務(給与計算・労務管理)
freeeクラウド経費精算
freeeクラウド請求書
GASとの連携による自動化 - マネーフォワードの独自サービス:
マネーフォワードケッサイ(請求書発行・債権管理)
マネーフォワードクラウド経費
マネーフォワードクラウド給与



正直、ここらへんはどっちを選んでも大差ないと思うで。freeeはkintoneやGASとの連携機能があるから、freeeの方が効率化できるとは思うけどな。
サポート体制の比較
会計ソフトは導入後のサポートも重要な選択ポイントです。特に中小企業では専任の経理担当がいない場合も多く、手厚いサポートが必要です。
サポート項目 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
チャットサポート | 〇(平日9-18時) | 〇(平日9-18時) |
電話サポート | 上位プランのみ | 全プラン対応 |
導入サポート | オプション(有料) | オプション(有料) |
操作マニュアル | 充実(初心者向け) | 充実(専門的) |
セミナー・勉強会 | 定期開催 | 定期開催 |
サポート体制では、マネーフォワードの方が電話サポートが充実している点が特徴です。特に急ぎの対応が必要な場合や、細かい質問がある場合には便利でしょう。
一方freeeは初心者向けのマニュアルやガイドが分かりやすく整備されており、独学で使いこなしたい方に向いています。
中小企業におけるfreeeとマネーフォワードの使い分け
ここまでの比較をもとに、どのような中小企業にどちらが向いているかをまとめます。
6-1. freeeが向いている中小企業
- 社内に会計・経理の専門知識を持つ人材が少ない企業
- 創業したばかりのスタートアップ企業
- 経理業務の自動化を最大限に進めたい企業
- KintoneやGASによりバックオフィス全体を自動化したい企業
- freeeの他サービス(人事労務など)をすでに利用している企業



6-2. マネーフォワードが向いている中小企業
- 社内に経理経験者や簿記有資格者がいる企業
- 複数の店舗や事業部を持ち、詳細な部門管理が必要な企業
- 細かい経営分析や予実管理を行いたい成長中の企業
- 税理士事務所と連携して会計業務を進めたい企業



7. 会計士が考える中小企業向け会計ソフト選びのポイント
最後に、会計のプロとして、中小企業が会計ソフトを選ぶ際に考慮すべきポイントをまとめます。
- 現在の経理体制に合わせる
経理専任者がいない・会計知識が少ない場合はfreee、経理経験者がいる場合はマネーフォワードが適しています。ITのノウハウがある場合にはfreeeがおススメです。
- 将来の成長を見据える
事業拡大の予定がある場合、拡張性に優れたマネーフォワードがおすすめです。特に多店舗展開や事業部制を検討しているなら、部門管理機能は必須です。
- 連携サービスを確認する
すでに使用しているツール(ECサイト、POSレジなど)との連携可否を必ず確認しましょう。
- 税理士との相談
顧問税理士がいる場合は、どちらのソフトに対応しているかを確認しましょう。税理士事務所での普及率は現状、マネーフォワードの方がやや高い傾向にあります。
- 無料トライアルを活用する
両ソフトとも無料お試し期間があります。実際に触ってみて、自社の業務フローに合うかを確認することが最も確実な判断材料になります。
中小企業向けの結論として、成長途上の中小企業には、拡張性と細かな管理機能を備えたマネーフォワードが機能面で優れています。
しかし、コスト効率を重視する場合や経理体制が整っていない企業にはfreeeがおすすめです。また、freeeにはkintoneとの連携やGASとの連携による自動化も可能なため、ITに知見がある企業にはfreeeがおススメです。
よくある質問
- freeeとマネーフォワード、どちらも無料で試せますか?
-
はい、両者とも無料トライアル期間があります。freeeは30日間、マネーフォワードは14日間の無料お試し期間を設けています。実際に触ってみることで、自社の業務に合うかどうかを確認できるので、積極的に活用することをおすすめします。
- インボイス制度に対応していますか?
-
はい、freee、マネーフォワードともに2023年10月から始まったインボイス制度に完全対応しています。適格請求書発行事業者としての登録申請サポートや、インボイス形式の請求書発行機能が標準で搭載されています。また、受け取った請求書のインボイス番号管理や、消費税の区分経理にも対応しているため、安心して利用できます。
- 売上・仕入データの自動取込は、どちらが優れていますか?
-
両者とも銀行やクレジットカードの明細自動取込に対応していますが、その精度は取引内容によって差があります。一般的にfreeeの方が自動取込後の仕訳提案が使いやすいと評価されていますが、特殊な取引内容や複合仕訳が必要なケースではマネーフォワードの方が柔軟に対応できる場合があります。実際の業務パターンによって使い勝手は変わるため、無料トライアルで実際のデータを取り込んでテストしてみることをおすすめします。
まとめ:中小企業に最適な会計ソフトの選び方
経理担当者の会計知識レベルや人数を確認。初心者主体ならfreee、経験者がいればマネーフォワードが適しています。
事業部門数や取引パターンの複雑さをチェック。多店舗展開や部門別管理が重要ならマネーフォワード、シンプルな構造ならfreeeが向いています。
既存のビジネスツールとの連携可否を確認。ECサイトやPOSレジなど、日常的に使うシステムとの相性は重要です。また、kintoneやGASなどによる自動化に興味があれば概要を確認しておきましょう。
両方のサービスを実際に試してみることが最良の判断材料。特に日常的な入力作業のしやすさを重点的にチェックしましょう。
現在だけでなく、3年後、5年後の事業規模や経理体制も考慮。長期的に使えるサービスを選ぶことが、後々の手間を省きます。
freeeとマネーフォワード、どちらも優れたクラウド会計ソフトですが、企業の状況によって向き不向きがあります。本記事で紹介したポイントを参考に、自社に最適なサービスを選んでください。
会計ソフトの導入は、単なる経理業務の効率化だけでなく、経営の可視化や意思決定のスピードアップにもつながる重要な投資です。特に中小企業では限られたリソースを有効活用するためにも、自社に合った選択をすることが大切です。



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