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- 役員貸付金に利息を設定しなければならない理由がわからない
- 2026年(令和8年)時点の正しい適正利率を知りたい
- エクセルで効率的に役員貸付金の利息計算をする方法を知りたい
- 認定利息の仕訳処理や決算時に必要な対応がわからない
- 税務調査で指摘されないための対策方法を知りたい
会社経営者の方が経営資金として会社からお金を借りる「役員貸付金」。この取引は税務上の重要な注意点があります。特に利息計算を適切に行わないと、税務調査で指摘を受けるリスクが高まります。
この記事では、役員貸付金の基本から2026年(令和8年)時点で正しい適正利率の計算方法、エクセルでの効率的な計算・管理方法、認定利息の仕訳処理、決算時の対応、税務調査対応までの実務ポイントを解説します。記事後半では、無料で使えるエクセルテンプレート(2026年版)の具体的な仕様も、実際のシート構成にもとづいて詳しく紹介します。
ぜいむたん


役員貸付金の基本と税務上の重要ポイント
役員貸付金とは
役員貸付金とは、会社が役員(主に社長や取締役)に対して資金を貸し付けることを意味します。これは会社の資金を一時的に役員が使用する形態です。
ただし、会社は営利目的の組織であるため、役員に対しても適切な利息を設定する必要があります。無利息や低金利での貸し付けは、会社が得るべき利益を逸失することになり、税務上の問題となります。
税務上問題となるケース
役員貸付金で特に注意すべき税務上の問題点は以下の3つです:
- 利息未設定:無利息での貸付は会社の利益を損なうため、その分が役員賞与とみなされる
- 適正利率未満:特例基準割合(後述のとおり令和8年〈2026年〉中の貸付けは年1.3%)よりも低い利率での貸付も同様に問題視される
- 返済計画なし:返済予定のない貸付は実質的な役員賞与と判断されるリスクがある






役員貸付金は税務調査でよく指摘される項目の一つです。特に金額が大きい場合や長期間返済されていない場合は要注意。適切な利息設定と返済計画の文書化が重要です。





役員貸付金の基本と利息計算の重要性 この記事でわかること 役員貸付金に利息が必要な理由と法的根拠 税務調査で指摘されないための適正利率 月別残高に基づく正確な利…
役員貸付金の適正な利率と計算方法(2026年最新版)
適正な利率の設定基準
役員貸付金の利率(認定利息率)は、主に以下の基準で決定します:
- 会社が他から借り入れて貸し付けた場合:その借入金の利率(国税庁の指針では、役員に金銭を貸し付けた場合の利息相当額は、会社が他から借り入れて貸し付けた場合はその借入金の利率を適用します)
- 上記以外の場合:貸付を行った日の属する年の「特例基準割合」
この特例基準割合は「平均貸付割合に年0.5%を加算した割合」として国税庁が毎年算定・公表するもので、年によって数値が変わります。令和4年から令和7年中の貸付けは年0.9%でしたが、令和8年(2026年)中の貸付けからは年1.3%(平均貸付割合0.8%+0.5%)に改定されています。「2026年も0.9%のまま」という情報が出回っていることがありますが誤りなので注意してください。出典:国税庁タックスアンサー No.2606
特例基準割合の推移(年別一覧)
年1.6%
年1.0%
年0.9%
年1.3%
平均貸付割合0.8%+0.5%/2026年改定
令和8年中に新たに貸し付ける(または既存の貸付けについて令和8年分の利息を計算する)場合は、必ず年1.3%を基準にしてください。契約書への利率の記載方法は、以下の記事のひな形もあわせてご確認ください。認定利息の計算ロジックそのものをより詳しく知りたい方は、次の記事も参考になります。






利息計算の基本式
役員貸付金の利息計算の基本式は以下の通りです
元本(貸付金残高)の計算方法には、以下の4つの代表的なアプローチがあります:
| 計算方法 | 計算式 | 適用場面 |
|---|---|---|
| 期末残高方式 | 期末の貸付金残高に利率をかける | 残高が逓減傾向の場合 |
| 期首期末平均方式 | (期首残高+期末残高)÷2に利率をかける | 一般的な場面 |
| 月次平均方式 | 各月末残高の平均値に利率をかける | 残高の変動が大きい場合 |
| 日割計算方式 | 日々の残高を追跡して計算 | 頻繁な入出金がある場合 |
実務上は、期首期末平均方式や月次平均方式が多く採用されています。






エクセルでの役員貸付金利息計算の実践法
エクセルで使用する基本計算式
エクセルで役員貸付金の利息を効率的に計算するための基本的な計算式を紹介します。これらの関数を使いこなすことで、正確な計算と管理が可能になります。
| 項目 | エクセル計算式 | 説明 |
|---|---|---|
| 純貸付金額 | =MAX(貸付金残高-借入金残高,0) | 常にプラスまたはゼロの値を返す |
| 平均残高 | =(貸付金期首残高+貸付金期末残高-借入金期首残高-借入金期末残高)/2 | 貸付金と借入金の差額の平均を計算 |
| 月間利息 | =平均残高*1.3%*12/365 | 月割り計算(令和8年中の貸付けは年1.3%を使用) |
MAX関数を活用した利息計算の効率化
役員貸付金と役員借入金の両方がある場合、純額に対して利息計算を行うのが一般的です。このとき、MAX関数を使うと計算が格段に効率化されます。
MAX関数を使った役員貸付金の純額計算
この数式を使うと、貸付金が借入金よりも少ない(マイナスになる)場合でも自動的に0が返されるため、余計な条件分岐が不要になります。
例: 貸付金1,000,000円、借入金1,500,000円の場合
=MAX(1000000-1500000, 0) → =MAX(-500000, 0) → 0円
この方法を使えば、複雑なIF関数を使わなくても、自動的に「貸付金>借入金」の場合のみ利息計算が行われるようになります。期首と期末の平均残高を計算する場合も同様に活用できます:
平均純貸付残高 = (MAX(期首貸付金-期首借入金, 0) + MAX(期末貸付金-期末借入金, 0)) / 2
期中に新たな貸付や一部返済が発生した場合は、月次の期首残高・期末残高を正確に反映させることが重要です。たとえば月の途中で50万円を追加で貸し付けた場合、その月の期末残高には反映されますが、翌月の期首残高は前月末の実際の残高(追加分を含む)をそのまま引き継ぐ必要があります。後述のテンプレートでは2ヶ月目以降の期首残高欄が前月の期末残高を自動参照する設計になっているため、この引き継ぎ漏れを防げます。さらに厳密に日割り計算したい場合は、貸付・返済のあった日を基準に残高を区切り、それぞれの期間の日数で加重平均するとより精緻な計算が可能です。






役員貸付金利息計算表(計算イメージ)
| 月 | 貸付金期首残高 | 貸付金期末残高 | 借入金期首残高 | 借入金期末残高 | 平均残高 | 利息(1.3%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 2,434,999 | 2,730,431 | 1,233,886 | 1,727,473 | 1,102,036 | 1,194 |
| 2月 | 2,730,431 | 3,180,431 | 1,727,473 | 2,887,436 | 647,977 | 702 |
| 合計(1〜2月分) | 1,896 | |||||
※平均残高列のエクセル数式: =((B2+C2)-(D2+E2))/2
※利息列のエクセル数式: =F2*1.3%/12
※合計行のエクセル数式: =SUM(G2:G10)
利息の仕訳処理(概要)
役員貸付金の利息発生時の仕訳の概要は以下の通りです(詳細な違いは次章で解説します):
| (借方)未収収益 | 8,625円 | (貸方)受取利息 | 8,625円 |






【2026年版】役員貸付金利息計算エクセルテンプレートの仕様
後述のダウンロードボタンから配布しているテンプレート(2026年版)は、旧バージョンから構成を見直しています。ここでは実際のシート構成・入力セル・数式を、憶測を交えず正確に説明します。
ファイルは「利息計算」「利率の根拠」の2枚のシートで構成されています。「利息計算」シートで月次の残高を入力すると認定利息が自動計算され、「利率の根拠」シートには特例基準割合の考え方(本記事で解説した年別利率の一覧を含む)をまとめています。
新テンプレートの主な特徴
C5=適用年、C6=適正利率(年)、C7=年間日数、各月の貸付金期首・期末残高、借入金期首・期末残高
貸付金平均・借入金平均・純貸付金平均残高(=MAX(D-G,0))・日数(=DAY(EOMONTH(…)))・認定利息(=ROUND(H*$C$6*I/$C$7,0))を自動算出
利率が数式に直書きされておらずC6セルを参照する設計。年が変わってもC6を書き換えるだけで対応可能(旧版は0.9%が数式に直書きされていたため毎年の修正漏れが起きやすい設計でした)
12ヶ月分の行と合計行を用意。2ヶ月目以降は期首残高が前月の期末残高を自動参照するため、入力漏れ・転記ミスを防止
マクロは一切使用していません。使用している関数はROUND / MAX / SUM / DATE / DAY / EOMONTHのみで、どのバージョンのエクセルでも安心して利用できます
特例基準割合の年別一覧など、利率の根拠をまとめた2枚目のシートを同梱。税務調査時の説明資料としても利用可能






認定利息の仕訳処理|実際に徴収する場合と未収利息で計上する場合の違い
認定利息は、会社が役員から実際に利息を受け取っているかどうかにかかわらず、その事業年度の益金として計上する必要があります。ただし、実務上の仕訳は「実際に徴収する場合」と「未収利息として計上する場合」で処理が異なります。
①実際に利息を徴収する場合(役員から現金や振込で利息を受け取る場合)
| (借方)現金預金 | ××円 | (貸方)受取利息 | ××円 |
②未収利息として計上する場合(決算までに入金がなく、期末に見越し計上する場合)
| (借方)未収収益 | 8,625円 | (貸方)受取利息 | 8,625円 |
その後、入金があった時点で以下の仕訳を行い、未収収益を取り崩します。
| (借方)現金預金 | 8,625円 | (貸方)未収収益 | 8,625円 |
いずれの方法でも、受取利息は法人税の課税対象(益金)になる点は同じです。違いが出るのはキャッシュフローと消込管理の手間で、①は入金と同時に処理が完了するのに対し、②は未収収益という資産科目が決算をまたいで残り続けるため、翌期以降も回収状況を継続管理する必要があります。長期間未収収益が滞留していると、税務調査では「実質的に回収する意思がないのではないか」と見られ、貸付金全体が役員賞与認定されるリスクにつながる点に注意してください。認定利息の計算方法そのものをより詳しく確認したい場合は、認定利息の計算方法の解説記事もあわせてご覧ください。






決算時に必要な処理|勘定科目内訳明細書との連動
決算では、役員貸付金の利息計算を単に社内エクセルで完結させるのではなく、法人税申告書に添付する勘定科目内訳明細書と数値を連動させる必要があります。具体的には「貸付金及び受取利息の内訳書」に、役員ごとの期末貸付金残高と、期中に発生した受取利息額を記載します。
この「期中の受取利息額」欄には、エクセルテンプレートで12ヶ月分計算した認定利息の合計額(合計行の数値)をそのまま転記するのが基本です。ここで計算が0.9%のまま据え置かれていたり、月ごとの積み上げと年間合計が一致していなかったりすると、税務調査の際に真っ先に確認される項目になります。内訳書の具体的な書き方や記載欄の詳細は、以下の記事で解説しています。
決算時のチェックポイントとしては、①内訳明細書の貸付金残高が総勘定元帳・補助元帳の残高と一致しているか、②受取利息額が損益計算書の受取利息(雑収入)に計上されている金額と整合しているか、③未収収益が計上されている場合は貸借対照表の未収収益残高と一致しているか、の3点を必ず確認してください。






税務調査で指摘されやすいポイントとよくある失敗例
役員貸付金の利息計算は、税務調査で必ずと言っていいほど確認される項目です。指摘を受けやすいポイントを事前に押さえておきましょう。
- 適用している利率が、貸付を行った年の特例基準割合を下回っている
- 認定利息をそもそも計上していない(未収収益・受取利息の仕訳がない)
- 返済実績や返済期限がなく、実質的に返済する意思が確認できない
- 金銭消費貸借契約書が作成されておらず、貸付なのか役員賞与なのか区別がつかない
- エクセルの計算結果と勘定科目内訳明細書・総勘定元帳の金額が一致していない
よくある失敗例
①前年の利率をそのまま使い続けてしまう:年をまたいで貸付が継続している場合、うっかり前年の利率(例:0.9%)のエクセルをコピーして使い回し、年が変わったのに利率を更新し忘れるケースが非常に多く見られます。
②貸付金と借入金を相殺せずに計算してしまう:役員貸付金と役員借入金の両方がある場合、本来は純額(MAX関数で差額がプラスの部分のみ)に対して利息を計算すべきところを、貸付金の総額に対してそのまま利率を掛けてしまい、過大または過少な認定利息になってしまうケースです。
③契約書を作成していない:貸付の事実そのものを裏付ける金銭消費貸借契約書がないと、税務調査官から「実質的な役員賞与ではないか」と指摘された際に反論する材料がなく、貸付金全額が否認されるリスクが高まります。長期間にわたって残高が減らない役員貸付金がある場合は、早めに解消方法を検討することをおすすめします。






関連する判断税務調査の流れと対策完全ガイド
役員貸付金管理用エクセルテンプレート(2026年版・無料ダウンロード)
役員貸付金の管理を効率化するため、すぐに使えるエクセルテンプレート(2026年版)を用意しました。このテンプレートには以下の機能が搭載されています。
エクセルテンプレートの機能
- MAX関数を使った純貸付金平均残高の自動計算
- 利率をC6セルに集約し、数式に直書きしない設計(年が変わってもC6を書き換えるだけでOK)
- 12ヶ月分+合計行の利息を自動計算するスプレッドシート(2ヶ月目以降は前月末残高を自動引き継ぎ)
- 「利息計算」「利率の根拠」の2シート構成で、根拠資料としてもそのまま使える
以下のボタンからエクセルテンプレート(2026年版)をダウンロードできます。
※ダウンロード後はご自身の会社の状況に合わせてカスタマイズしてご利用ください。
このテンプレートはマクロを使用していないため、どのバージョンのエクセルでも安心してご利用いただけます。使用している関数はROUND・MAX・SUM・DATE・DAY・EOMONTHのみとシンプルな構成なので、シート内の説明に従って各月の残高を入力するだけで、自動的に認定利息の計算が行われる仕組みになっています。






よくある質問(FAQ)
- エクセルで役員貸付金の利息計算をする際のおすすめの関数は何ですか?
-
役員貸付金の利息計算では主に以下の関数を組み合わせることをおすすめします:①ROUND関数で端数処理(円未満切り捨て)②MAX関数でマイナスの排除③日割り計算にしたい場合には、DAY関数やEOMONTH関数でその月の日数を判定。これらを組み合わせることで、正確かつ効率的な計算が可能になります。
- 役員貸付金の残高と役員借入金の残高は会計ソフトの何の数値をもってくればいいの?
-
役員貸付金の残高は、役員貸付金の補助科目や役員借入金の補助科目の内、役員に対するものを確認しましょう。そのうち、月初の残高と月末の残高をエクセルに反映します。
- 無利息で役員に貸付を行った場合、いつ課税されるのですか?
-
無利息での役員貸付金は、本来得られるはずだった利息相当額が役員への賞与とみなされ、法人税の調査時に指摘の対象となります。また、役員個人にも所得税が課税されるため、二重の課税リスクがあります。税務調査では通常5〜7年間分が遡って調査されるため、過去の無利息貸付も問題となる可能性があります。
- 役員貸付金の返済期限はどのように設定すべきですか?
-
役員貸付金には具体的な返済期限を設けることが重要です。返済期限が設定されていない場合、税務上「返済する意思がない」と判断され、貸付金全額が役員賞与とみなされるリスクがあります。実務上は、1〜3年程度の明確な返済期限を設定し、返済計画書を作成しておくことが望ましいでしょう。
- 2026年(令和8年)の特例基準割合は0.9%のままですか?
-
いいえ、誤りです。令和4年から令和7年中の貸付けは年0.9%でしたが、令和8年(2026年)中の貸付けからは年1.3%(平均貸付割合0.8%+0.5%)に改定されています。0.9%のまま計算し続けると、本来計上すべき認定利息が過少になり、税務調査で指摘を受ける可能性があります。詳細は国税庁タックスアンサーNo.2606でご確認ください。
まとめ:エクセルを活用した役員貸付金の利息計算と管理
本記事のテンプレート(2026年版)をダウンロードし、C5(適用年)・C6(適正利率)・C7(年間日数)を自社の状況に合わせて入力する
MAX関数・ROUND関数・EOMONTH関数を組み合わせ、C6セルの利率を参照する数式で毎月の認定利息を自動計算する
徴収済みか未収収益かに応じて仕訳を行い、年間合計額を勘定科目内訳明細書の「期中の受取利息額」欄に転記する
必要に応じて条件付き書式やグラフを自分で追加すれば、残高推移や返済状況を視覚的に管理できます(テンプレート自体は計算に特化したシンプル設計です)
年が変わったらC6セルの利率を最新値に更新し、ファイル名に日付を入れて履歴を残す(例:役員貸付金_2026_08.xlsx)。税務調査用に印刷範囲を整えておく
役員貸付金の適切な管理には、正しい利率にもとづくエクセル計算が欠かせません。2026年(令和8年)中の貸付けは年1.3%が適正利率であることを踏まえ、認定利息の計上・仕訳処理・勘定科目内訳明細書への反映まで一連の流れで管理することが、税務調査対応の基本になります。
最終的には、役員貸付金は期限を決めて返済するのが原則です。エクセルで作成した返済計画に沿って着実に返済を進めていくことが、税務リスクを低減する最良の方法です。





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