「会社から社長にお金を貸したいけど、契約書はどう作ればいいんだろう……」「利率は何%にすれば税務署に否認されないの? 印紙はいくら貼ればいい?」
役員貸付金は適切な契約書と運用がなければ、税務調査で「役員賞与」と否認され、法人税・源泉所得税の追徴課税を受けるリスクがあります。しかも令和8年(2026年)中の貸付けからは、認定利息の適正利率が年0.9%から年1.3%へ引き上げられました。本記事では、そのまま使える金銭消費貸借契約書のひな形と、否認されないための必須記載項目をチェックリスト形式で整理します。
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📌 この記事でわかること
対象読者:会社から役員へ貸付けを行う中小企業の経営者・経理担当者/読了の目安:約10分
- 契約書がないと「役員賞与」と否認される理由と、追徴課税の具体的な内訳
- そのままコピーして使える金銭消費貸借契約書ひな形(全9条)と必須記載項目10点のチェックリスト
- 令和8年(2026年)の認定利息が年1.3%になる法的根拠——国税庁の年別利率表がまだ更新されていない理由
- 借入金額別の印紙税額一覧と、電子契約なら印紙代がゼロになる仕組み
- 貸付金額100万円〜1,000万円で試算した「印紙代+年間認定利息」の独自コスト早見表
ぜいむたん


なぜ役員貸付金に金銭消費貸借契約書が必要なのか
結論から言うと、契約書がないと「貸付け」であることを客観的に証明できず、税務調査で役員賞与として否認されるリスクが高まるからです。会社と役員の間の資金移動は、書面がなければ「貸したのか、あげたのか」を外形的に判別できません。






契約書がないと「貸付」ではなく「役員賞与」と否認されるリスク
税務調査で役員貸付金が問題になる最大の理由は、「返済する意思・返済の実績がない場合、実質的に役員へ給与を支払ったのと同じ」とみなされるからです。否認されると、会社側では役員賞与として損金不算入(法人税負担増)、役員側では給与所得として所得税・住民税の追徴、さらに会社が源泉徴収漏れとして不納付加算税を負担することになります。
そもそも金銭消費貸借とは、民法第587条に定められた「返還を約して金銭を受け取る」契約です。「返す約束」が契約の本質である以上、その約束を書面で残していないこと自体が、貸付けの成立を疑わせる材料になります。
こうした否認を防ぐために必要なのが、①金銭消費貸借契約書の締結、②適正な利率による利息の収受、③毎月の返済実績(通帳上の履歴)の3点セットです。
「貸付金である」ことを示す3つの証拠
税務調査で「これは役員への貸付金です」と説明するためには、以下の3つの証拠が必要です。
- 金銭消費貸借契約書:貸付日・元本・利率・返済方法・返済期限が記載された書面
- 適正な利息の収受:国税庁タックスアンサー No.2606「金銭を貸し付けたとき」が定める認定利息の利率(令和8年中の貸付けは年1.3%)以上の利息を会社が受け取っていること
- 毎月の返済実績:返済予定表どおりに銀行口座への振込記録が残っていること
契約書「なし」と「あり」で税務調査の結果がどう変わるか
契約書「なし」vs「あり」:税務調査時のビフォーアフター比較
・「役員賞与」として否認される可能性が高い
・会社側:法人税の追徴(役員賞与=損金不算入)
・役員側:給与所得として所得税・住民税の追徴
・源泉徴収漏れとして不納付加算税も発生
・過去5年(不正の場合7年)に遡って調査される
・「金銭消費貸借契約書」が貸付を証明
・適正利率での利息収受が認定利息課税を回避
・毎月の返済履歴が「返す意思」を証明
・取締役会議事録で利益相反承認も確認可能
・「貸付金」として認められ追徴税なし
- ①契約書を作らずに貸付を実行した:後から作成しても「後付け」と疑われやすい。貸付と同時に作成・押印が原則。
- ②利率を0%(無利息)にした:差額が給与課税される。適正利率(令和8年=年1.3%)以上で設定し、実際に利息を収受することが必要。
- ③返済が1〜2回で止まっている:返済実績がないと「返す気がない=賞与」とみなされる。毎月の返済を継続すること。
そのまま使える金銭消費貸借契約書ひな形と必須記載項目
役員貸付金の契約書に最低限盛り込むべきは、貸付日・元本・利率・返済期限・返済方法・遅延損害金・期限の利益喪失・利益相反取引の承認の8要素です。以下のチェックリストとひな形は、この8要素を漏れなく満たす形で構成しています。






必須記載項目チェックリスト(10点)
以下の項目が全て記載されているか確認してください。1つでも抜けると否認リスクが高まります。
- 貸主(会社名・代表者名)と借主(役員の氏名)の特定
- 貸付金額(元本)の明記
- 貸付実行日(資金移動日)の明記
- 利率(認定利息以上の年利率。令和8年中の貸付けは年1.3%以上)
- 返済期限(最終弁済日)
- 返済方法(毎月○日に○万円ずつ・口座振込等)
- 遅延損害金(返済が遅れた場合の利率)
- 期限の利益喪失条項(2回以上滞納・破産等で残額一括返済)
- 取締役会(または株主総会)の承認に関する条項
- 双方の署名・押印と契約締結日
金銭消費貸借契約書ひな形(コピーして使える形式・全9条)
以下のひな形の「○○」部分を実際の数値・氏名に差し替えてご使用ください。
金銭消費貸借契約書
貸主 ○○株式会社(以下「甲」という。)
借主 ○○ ○○(以下「乙」という。)
甲及び乙は、以下のとおり金銭消費貸借契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(消費貸借)
甲は乙に対し、金○○○万円(以下「本件貸付金」という。)を貸し付け、乙はこれを受領した。
第2条(貸付日)
本件貸付金の貸付日は令和○年○月○日とする。
第3条(利率)
乙は甲に対し、本件貸付金の残元本に対して年○.○%(年365日日割計算)の割合による利息を支払う。
第4条(返済方法及び返済期限)
1 乙は甲に対し、令和○年○月から令和○年○月まで毎月末日限り、元利均等○○万○○○○円を、甲の指定する銀行口座に振り込む方法で返済する(振込手数料は乙の負担とする。)。
2 最終返済期日は令和○年○月○日とする。
第5条(期限前返済)
乙は、甲の承諾を得て、本件貸付金の全部又は一部を期限前に返済することができる。
第6条(遅延損害金)
乙が第4条に定める返済を遅滞したときは、遅滞した金額に対して年○.○%の割合による遅延損害金を甲に対して支払う。
第7条(期限の利益の喪失)
乙が次の各号のいずれかに該当したときは、乙は当然に期限の利益を喪失し、直ちに残元本及び利息の全額を甲に返済しなければならない。
(1)返済を2回以上怠ったとき
(2)乙について破産手続開始の申立てがあったとき
(3)乙が本契約の条項に違反したとき
第8条(利益相反取引の承認)
甲は、本契約の締結について、会社法第356条及び第365条の規定に基づき、取締役会(取締役会設置会社でない場合は株主総会)の承認決議を別途得るものとする。
第9条(合意管轄)
本契約に関する一切の紛争については、甲の本店所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上の証として本書2通を作成し、各自署名押印のうえ各1通を保有する。
令和○年○月○日
甲(貸主)
住所:
商号:○○株式会社
代表取締役:○○ ○○ ㊞
乙(借主)
住所:
氏名:○○ ○○ ㊞
記載時の3つの注意点






- 利率は必ず記載し、空欄にしない:利率の記載がないと無利息とみなされ、差額が役員への給与とみなされる可能性があります。
- 返済方法を「口座振込」で具体化する:「随時返済」「便宜の良いときに返済」では返済の実態を証明できません。振込先口座・金額・振込日を具体的に定めましょう。
- 契約書は貸付実行日と同日または事前に作成する:後日遡って作成した場合、「後付け書類」と調査官に疑われるリスクがあります。
会社が役員に貸し付けることは利益相反取引に該当するため、事前に取締役会(取締役会設置会社でない場合は株主総会)の承認決議を取得します。議事録を作成・保存してください。
上記ひな形に実際の金額・利率・返済スケジュールを記入し、会社代表者と役員本人が署名押印します。記載金額に応じた収入印紙を貼付し、両者が割印します(電子契約の場合は不要)。
会社の銀行口座への毎月の振込が「返済実績」となります。返済予定表を作成し、振込日・金額を記録します。残高管理には役員貸付金の残高管理Excelテンプレートを使うと、元利計算と残高推移をまとめて管理できます。
認定利息の適正利率——令和8年(2026年)は年1.3%へ引き上げ
令和8年(2026年)中に会社が役員へ貸し付けた分の認定利息の適正利率は年1.3%です。令和4年〜令和7年中の貸付けに適用される年0.9%から、0.4ポイントの引き上げとなりました。






貸付を行った年別の適正利率(令和3年〜令和8年)
認定利息の適正利率は、後述の「利子税特例基準割合」に連動して毎年見直されます。契約書の利率は「貸付けを行った年の利率以上」に設定する必要があります。
貸付年別の認定利息の適正利率(利子税特例基準割合に連動)
年1.0%
年0.9%
年1.3%(0.9%→1.3%へ引上げ)
令和8年が「年1.3%」になる根拠——国税庁の年別利率表がまだ更新されていない理由
ここは実務でつまずきやすいポイントです。国税庁タックスアンサー No.2606 の年別利率表は「令和7年4月1日現在法令等」時点の内容のままで、令和8年分がまだ掲載されていません(2026年8月時点)。そのため「1.3%という数字はどこから来たのか」が確認できず、契約書の利率設定で迷うケースが出ています。
結論として、認定利息の利率は所得税基本通達36-49(利息相当額の評価)により、「貸付けを行った日の属する年の租税特別措置法第93条第2項に規定する利子税特例基準割合による利率」で評価すると定められています。そして租税特別措置法第93条第2項(利子税の割合の特例)で、利子税特例基準割合は「財務大臣が告示する平均貸付割合+年0.5%」と定義されています。
令和8年分の平均貸付割合は年0.8%と告示されました(令和7年11月28日告示・令和4年以降据え置かれてきた年0.4%から4年ぶりの引上げ)。したがって計算式は次のとおりです。
令和8年の認定利息 適正利率の計算式
平均貸付割合 年0.8%(財務大臣告示)+ 年0.5%(措法93条2項)= 利子税特例基準割合 年1.3%
同じ割合を使う利子税・還付加算金も令和8年は年1.3%、延滞税は年9.1%(納期限後2か月以内は年2.8%)となります。
令和4〜7年の貸付けは年0.9%以上であれば問題ありませんでしたが、令和8年(2026年)中に貸し付けた分からは年1.3%以上が必要です。すでに締結済みの契約書で利率が0.9%と記載されている場合、令和8年以降の新規貸付分については利率を見直すか、契約書を改定する必要があります。なお、適用される利率は「貸付けを行った年」で固定されるため、令和7年以前に実行済みの貸付けを遡って1.3%に引き上げる必要はありません。
会社が銀行から借り入れて役員に転貸した場合の利率
会社が金融機関から借り入れたお金を役員に貸し付けた場合は、「その借入金の利率」が適正利率とみなされます。例えば、会社が年2.5%で銀行から借りているお金を役員に貸す場合は、少なくとも年2.5%以上の利率を設定する必要があります。利子税特例基準割合(令和8年=年1.3%)より高くなる場合は、その高い借入利率を採用してください。
無利息・低利でも課税されない3つの例外
以下のいずれかに該当する場合、無利息・低利息でも差額を給与課税しなくてよいとされています。
- 災害・病気などで臨時に多額の生活資金が必要になった場合:合理的と認められる金額・返済期間で貸し付けるとき
- 会社が合理的な貸付利率を定めている場合:借入金の平均調達金利など、合理的と認められる貸付利率を定めてその利率で貸し付けるとき
- 1年間の差額が5,000円以下の場合:適正利率で計算した利息と実際に支払う利息との差額が年5,000円以下であるとき
ただし③の「差額が5,000円以下」は、少額の貸付け(無利息なら元本約38万円=38万円×1.3%≒5,000円)に限られます。数百万円規模の貸付けでは通常この例外は使えません。
印紙税——金銭消費貸借契約書は第1号文書
金銭消費貸借契約書は印紙税法上の第1号文書(消費貸借に関する契約書)に該当し、契約書に記載された金額に応じた収入印紙の貼付が必要です。ただし電子契約で締結した場合は課税されません。






借入金額別の印紙税額一覧(第1号文書)
国税庁タックスアンサー No.7140「印紙税額の一覧表(第1号文書から第4号文書まで)」に基づく、金銭消費貸借契約書の印紙税額は以下のとおりです。
記載金額別の印紙税額(第1号文書・金銭消費貸借契約書)
非課税
200円
400円
1,000円
2,000円
10,000円
20,000円
200円
電子契約(電磁的記録)なら印紙税は課税されない
印紙税法上の課税対象は「文書(紙)」に限られます。クラウドサイン・DocuSignなどの電子契約サービスで締結した金銭消費貸借契約は電磁的記録であり、印紙税は課税されません。年間の貸付件数が多い会社や、貸付金額が大きい(印紙代が高額になる)場合は電子契約の導入を検討する価値があります。
印紙の貼り忘れには過怠税(本税の3倍)が課される
収入印紙の貼付が漏れていた場合、税務調査等で発覚すると「過怠税」として本来の印紙税額とその2倍(合計3倍)の金額を徴収されます。調査を受ける前に自主的に不納付を申し出た場合は本来の印紙税額+その10%(合計1.1倍)に軽減されますが、いずれにせよ貼り忘れは余分なコストになります。契約書作成時に収入印紙の貼付と消印を忘れずに行いましょう。
【独自試算】貸付金額別のコスト早見表(印紙代+年間認定利息)
役員貸付金にかかるコストは「初回のみの印紙代」と「毎年発生する認定利息」の2種類です。令和8年の適正利率(年1.3%)で試算すると、貸付金額1,000万円なら初年度で14万円の負担になります。






以下は当ブログ編集部が独自に計算した試算です(令和8年の認定利息適正利率=年1.3%、紙の契約書で印紙貼付の場合)。
貸付金額別コスト早見表(令和8年・年1.3%で計算)
収入印紙代:1,000円(初回のみ)
年間認定利息:13,000円
初年度合計:14,000円
収入印紙代:2,000円(初回のみ)
年間認定利息:39,000円
初年度合計:41,000円
収入印紙代:2,000円(初回のみ)
年間認定利息:65,000円
初年度合計:67,000円
収入印紙代:10,000円(初回のみ)
年間認定利息:130,000円
初年度合計:140,000円
※認定利息は元本が減少しない場合の概算。電子契約の場合は印紙代ゼロ。本試算は編集部による独自計算です。
作成後の実務——承認手続き・返済管理・相続リスク
契約書を作るだけでは不十分です。税務調査に耐えるには「取締役会の承認議事録」「返済予定表による残高管理」「毎月の振込履歴」の3点をセットで整えておく必要があります。






会社が役員へ貸すのは利益相反取引——取締役会(または株主総会)の承認が必要
会社法第356条および第365条の規定により、取締役が自己または第三者のために会社と取引(直接取引・間接取引)を行う場合は、あらかじめ取締役会(取締役会設置会社でない会社は株主総会)の承認を受けなければなりません。会社が役員にお金を貸すことは「取締役が自己のために会社と取引を行う」利益相反取引に該当します。
承認を得ずに行った取引は有効であっても、取締役個人が損害賠償責任を負うリスクがあります。また税務調査でも「正式な手続きを経た貸付けかどうか」を問われることがありますので、議事録を必ず作成・保存してください。
返済予定表で貸付金残高を管理する
毎月の返済が滞りなく行われているかを管理するために、元利均等返済スケジュール(返済予定表)を作成することを強くお勧めします。返済予定表があれば、①残高の推移が一目でわかる、②税務調査時にすぐ提示できる、③会計ソフトへの入力ミスを防ぐ、という3つのメリットがあります。
なお、期末に役員貸付金が残っている場合は、法人税申告書に添付する「貸付金及び受取利息の内訳書」への記載が必要です。役員への貸付けは金額が少額でも個別記載が必要で、収受した認定利息は「期中の受取利息額」欄に記入します。記載欄と記入例は役員貸付金の勘定科目内訳明細書の書き方で解説しています。
逆パターン(役員借入金)は社長の相続財産として評価される点にも注意
本記事では「会社→役員」の貸付けを扱っていますが、逆のパターン(役員が会社にお金を貸している「役員借入金」)にも注意が必要です。財産評価基本通達第204条の規定により、役員が会社に貸し付けている金額は、役員が亡くなった際の相続財産(貸付金債権)として相続税の課税対象になります。社長が会社に多額の貸付けを行っている場合、生前のうちに返済・解消・DES(デット・エクイティ・スワップ)等の対策を検討することが重要です。認定利息の具体的な仕訳と計算手順については認定利息の計算方法と仕訳の実務解説もあわせてご参照ください。
よくある質問(FAQ)
- 利率は0%(無利息)にできますか?
-
原則として、無利息での役員貸付けは差額が役員への給与として課税されます。例外として①災害・病気等で臨時に多額の生活資金が必要になった場合、②合理的な貸付利率が定められている場合、③1年間の差額利息が5,000円以下の場合は課税されません。ただし③は無利息なら元本約38万円(×1.3%≒5,000円)以下の少額貸付けにしか使えません。通常の役員貸付けは令和8年基準の年1.3%以上で設定し、実際に利息を受け取ることを強くお勧めします。
- 令和8年(2026年)の認定利息はなぜ1.3%なのですか?国税庁のページに載っていません。
-
国税庁タックスアンサー No.2606 の年別利率表は「令和7年4月1日現在法令等」の内容のままで、令和8年分がまだ反映されていないためです。認定利息の利率は所得税基本通達36-49により租税特別措置法第93条第2項の利子税特例基準割合によることとされており、この割合は「財務大臣が告示する平均貸付割合+年0.5%」で計算されます。令和8年分の平均貸付割合は年0.8%と告示された(令和7年11月28日)ため、0.8%+0.5%=年1.3%となります。同じ割合を用いる利子税・還付加算金も令和8年は年1.3%です。
- 令和7年以前に貸した分も1.3%に引き上げる必要がありますか?
-
必要ありません。適用される利率は「貸付けを行った日の属する年」で決まるため、令和4年〜令和7年中に実行した貸付けは年0.9%のままで問題ありません。引上げの対象は令和8年(2026年)1月1日以降に新たに実行する貸付けです。ただし、既存の貸付けを一度返済して借り換える形をとると新規貸付けとして扱われ、令和8年の利率が適用される点に注意してください。
- 契約書は手書きでもいいですか?
-
法的には手書きでも有効です。ただし「後から書いた」と疑われないよう、貸付実行日と同日またはそれ以前に作成・署名押印し、日付をボールペンで記入することをお勧めします。また手書きの場合でも、収入印紙の貼付と消印が必要です。パソコンで作成してプリントアウトしたものに署名押印する形式のほうが管理しやすく、後日トラブルになりにくいです。
- 取締役会のない小さな会社の場合、承認はどうすればいいですか?
-
取締役会設置会社でない場合(取締役1名の合同会社・株式会社など)は、株主総会の承認が必要です(会社法第356条第1項)。一人会社(社長=唯一の株主)の場合でも、株主総会議事録を形式的に作成・保存しておくことで、利益相反取引の承認手続きを踏んだことの証拠になります。議事録がないと、後日の税務調査で手続き不備として指摘されることがあります。
- 契約書がないまま過去に役員に貸し付けていた場合、今からでも作成できますか?
-
今から契約書を作成することは可能ですが、「後付け書類」と疑われるリスクがあります。現時点での残高・今後の返済スケジュールを記載した契約書を今日付けで作成し、取締役会(株主総会)の承認議事録も同日付けで整備することをお勧めします。過去分については、会計帳簿上の役員貸付金残高と整合するよう、顧問税理士に相談のうえ対処してください。
まとめ:役員貸付金の金銭消費貸借契約書で「役員賞与」否認を防ぐ3点セット
本記事のひな形に貸付日・元本・利率(令和8年中の貸付けは年1.3%以上)・返済スケジュールを記入し、会社代表者と役員本人が署名押印します。記載金額に応じた収入印紙を貼り、消印を忘れずに。電子契約なら印紙税ゼロになります。
会社が役員に貸し付けることは会社法356条・365条の利益相反取引に該当します。取締役会設置会社は取締役会決議、そうでない会社は株主総会決議を行い、議事録を作成・保存します。
返済実績(通帳の振込履歴)が「返す意思があった」ことの最大の証拠になります。返済予定表を作成し、毎月の元利返済を会社口座への振込で行います。2回以上の滞納は期限の利益喪失(残額一括返済)の引き金になるため、返済計画は無理のない金額に設定しましょう。
令和4〜7年の貸付けは年0.9%以上で問題ありませんでしたが、令和8年(2026年)中に貸し付けた分からは年1.3%以上が必要です。既存契約の利率が0.9%のままで令和8年以降に追加貸付けを行う場合は、契約書の改定または覚書の作成を検討してください。



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