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ベースアップ評価料 届出書・様式の書き方完全ガイド【記入例・NG事例付き】

「どの様式を使えばいいの?」「常勤換算はどう計算するの?」「メールで提出するときの書き方は?」——ベースアップ評価料の届出は様式が多く、記載項目の意味も分かりにくいため、記載ミスによる差し戻しが頻発しています。

本記事では厚生労働省公式資料・疑義解釈Q&Aをもとに、様式95〜103・別紙様式11の書き方を項目別に解説します。よくある記載ミス一覧・メール提出文例も掲載しています。

ぜいむたん
届出書の記入欄が多すぎて、どこに何を書けばいいのか分からなくなってしまいました。
イザーク
様式の種類と施設種別を最初に整理しておけばあとは迷わへんで。まず「どの様式を出すべきか」から確認しよか。
必ず令和8年最新様式を使用してください

旧様式での提出は受理されない場合があります。また令和7年度以前から算定中の機関も、令和8年度は新規届出として新様式を提出する必要があります(自動継続なし)。

目次

施設種別ごとの様式マップ

まず自院の施設種別を確認し、提出すべき様式を特定しましょう。

施設種別必須提出様式収益不足時に追加
無床診療所(医科)様式95(外来・在宅Ⅰ)様式96(外来・在宅Ⅱ)
有床診療所(医科)様式95+様式97(入院)様式96(外来・在宅Ⅱ)
病院(医科)様式95+様式97(入院)様式96(外来・在宅Ⅱ)
歯科診療所様式95(歯科外来・在宅Ⅰ)様式96(歯科外来・在宅Ⅱ)
保険薬局様式103(調剤ベースアップ評価料)
訪問看護ステーション別紙様式11(訪問看護Ⅰ)別紙様式11(訪問看護Ⅱ)
歯科技工所様式101(歯科技工所ベースアップ支援料)
💡 令和8年度から届出時の「賃金改善計画書」の提出は不要(簡素化)

従来必要だった事前計画書が廃止されました。提出するのは「届出様式(Excel)」のみです。賃金改善の実績は年度末後に「実績報告書」で事後確認する運用に変更されています。

ファイル名のルール(必須)

ファイル名の形式

{7桁の医療機関コード}_{内容}.xlsx

例:1234567_ベースアップ評価料届出.xlsx
  1234567_実績報告書_R7年度.xlsx

⚠ ハイフン(-)ではなくアンダーバー(_)を使用。医療機関コードは必ず7桁。

様式95:外来・在宅ベースアップ評価料Ⅰ(基本の届出書)

外来・在宅診療を行う全ての保険医療機関(無床診・有床診・病院・歯科)が提出する基本の届出書です。各項目の記載方法を確認しましょう。

様式95 主要項目の書き方

① 保険医療機関コード 必須

7桁の指定番号を入力。保険医療機関指定通知書に記載されている番号。6桁に見える場合でも先頭にゼロを追加しないこと(厚生局に確認要)。

② 医療機関名・所在地 必須

保険医療機関として指定を受けている正式名称・住所を記載。略称・通称は不可。

③ 継続賃上げ機関か否か 必須・令和8年度新設

令和6年3月以降、継続してベースアップ評価料を算定・賃上げを実施してきた機関は「継続賃上げ機関」を選択 → 上乗せ点数(初診23点等)が適用されます。新規は17点。⚠ 虚偽申告は返還の対象。

④ 対象職員数(常勤換算) 必須

実人数ではなく「常勤換算数」で記載。計算方法は本記事の「常勤換算の計算方法」を参照。実人数をそのまま記載するのは誤りです。

✅ 様式95 記載後のチェックリスト
  • 保険医療機関コードは7桁で正確に入力した
  • 医療機関名は指定を受けた正式名称を使用した
  • 継続賃上げ機関か新規機関かを正しく選択した
  • 対象職員数を常勤換算(実人数ではなく)で記載した
  • 様式が最新版であることを確認した
  • 定期昇給予定を見込み賃上げ額に含めていない

様式96:外来・在宅ベースアップ評価料Ⅱ(収益補完用)

評価料Ⅰだけでは賃金改善に必要な財源が不足する施設が追加で届け出る補完的な評価料です。令和8年度から区分が8区分→24区分に大幅拡大されました。

評価料Ⅱが必要かどうかの判定式

判定計算式(Ⅱが必要かどうか)

① 評価料Ⅰ月間算定見込み額
 = 点数 × 月間件数 × 10円
 例)初診300件×17点×10 + 再診2,000件×4点×10 = 131,000円

② 賃金改善必要額(月額目安)
 = 対象職員 年間給与総額 × 2.3% ÷ 12
 例)年間給与総額6,000万円 → 6,000万×2.3%÷12 = 115,000円

③ 判定:①が②の50%未満なら評価料Ⅱが必要
 上の例:131,000÷115,000×100 = 113.9% → Ⅱ不要

区分変更は3・6・9・12月に再計算が必要

算定開始後も四半期ごとに給与総額・患者数・算定点数の実績を再計算します。前回届出時と比べて各値の変化が1割を超えた場合は翌月から新区分に変更し、再届出が必要です。また、社会保険診療収入が総収入の80%未満の施設は評価料Ⅱを算定できません。

様式97:入院ベースアップ評価料(病院・有床診療所)

入院医療機関は必ず届け出ること(未届出は入院基本料から最大171点/日を減算)

令和8年度から、入院ベースアップ評価料を届け出ない病院・有床診療所は入院基本料が減算される新ルールが導入されました。入院を行う施設は必ず様式97も提出してください。

入院基本料の種別未届出時の減算点数(1日あたり)
急性期一般入院料1121点減算
急性期一般入院料2〜6101〜121点減算(種別による)
地域一般入院料60〜80点減算(種別による)
療養病棟入院基本料50〜60点減算(種別による)
精神病棟入院基本料等種別による(最大171点)

区分(最大500区分)の選び方

C値による区分算出式

C = (対象職員の年間給与総額 × 2.3%
   − 外来・在宅ベースアップ評価料Ⅰ・Ⅱの月間見込み収益 × 12)
   ÷ 当該施設の年間延べ入院患者数の見込み × 10円

算出したC値を様式97の区分表(別表6)に照合し、該当する区分を届け出ます。Excelの自動計算シートに数値を入力すると区分が自動で表示されます。

⚠ 500区分のうち令和8年6月時点で算定できるのは第1〜250区分。第251〜500区分は令和9年6月以降に算定開始となります。

対象職員の判定・常勤換算の計算方法

ぜいむたん
常勤換算の計算が分かりません。週3日のパートは何人分になりますか?
イザーク
週所定労働時間を施設の標準労働時間で割るだけや。たとえば標準40時間に対して週24時間なら0.6換算やで。
常勤換算の計算式と具体例

常勤職員:換算数 = 1.0
非常勤職員:換算数 = 当該職員の週所定労働時間 ÷ 施設の常勤職員の週所定労働時間
※ただし換算数が1を超える場合は「1」とする

【具体例】施設の常勤週所定労働時間:40時間
 常勤看護師 4人 × 1.0 = 4.0
 常勤事務 2人 × 1.0 = 2.0 ←令和8年度から追加
 週20時間パート 3人 × (20÷40) = 1.5
 週32時間パート 1人 × (32÷40) = 0.8
 40歳以上の医師 1人 → 除外(対象外)
 ▶ 対象職員数(常勤換算) = 8.3人

令和8年度の対象職員一覧

職種対象区分備考
看護師・准看護師対象
病院薬剤師対象
PT・OT・ST等リハビリ職対象
診療放射線技師・臨床検査技師等対象
看護補助者・医師事務作業補助者対象
事務職員(医療事務等)令和8年度から対象専ら管理業務のみの者は除く
40歳未満の勤務医・歯科医師令和8年度から対象雇用された勤務医(開設者除く)
40歳以上の医師・歯科医師対象外引き続き除外
経営者・法人役員対象外引き続き除外
業務委託者(外注)対象外雇用関係なしのため除外
派遣職員原則対象外雇用元の施設で賃上げが行われる

給与総額の算出方法(全様式共通)

区分含める(算入する)含めない(算入しない)
基本給・固定手当○ 算入
賞与○ 算入ベースアップ評価料による賞与増額分は除く
時間外手当・各種手当○ 算入
法定福利費(事業主負担)○ 算入(社保・雇用保険等の事業主負担分)
ベースアップ評価料による賃上げ分✕ 除外(評価料で賃上げした分は給与総額に含めない)
看護補助者処遇改善補助金分✕ 除外(補助金で賃上げした分は除外)
定期昇給・昇格分✕ 除外(毎年の定期昇給はベースアップ評価料の実績に含められない)
役員報酬・委託費✕ 除外(経営者・役員・委託業者は対象外)

法定福利費の概算計算(16.5%)

法定福利費は「賃金改善額 × 16.5%」で概算計算可(届出・実績報告書とも)

内訳:健康保険(事業主負担)約5.0% + 介護保険約0.9% + 厚生年金約9.2% + 雇用保険約0.6% + 労災保険約0.3% = 約16.0〜17.0%

例)月間賃金改善額10万円の場合
 法定福利費増加分 = 100,000円 × 16.5% = 16,500円
 月間賃金改善実績額合計 = 116,500円

根拠:疑義解釈資料その3(001695360.pdf)別添2【共通事項】問1

賃金改善実績報告書の書き方

令和7年度分の実績報告書の提出期限:令和8年8月末

令和7年度(令和7年6月〜令和8年5月)中に算定したベースアップ評価料が実際に賃金改善に充当されたことを証明する書類です。期限を守って提出してください。

賃金改善実績額の計算式

賃金改善実績額 = ①+②+③
① 基本給・固定手当の引上げ額(対象職員全員 × 月額 × 12)
② ①の引上げに連動した賞与増加額
③ (①+②) × 16.5%(法定福利費増加額概算)

例)
基本給引上げ:月5,000円×10人×12か月 = 600,000円
連動賞与増 : 50,000円
法定福利費 :(600,000+50,000)×16.5% = 107,250円
合計:757,250円

✅ 賞与充当OKの条件 / ❌ NG事例
  • 基本給引き上げに「連動して」引き上がる賞与(例:基本給×〇か月分の賞与)
  • 評価料収益を原資とした特別手当(毎月支給の固定額)
  • 業績連動型賞与(売上・利益に応じて変動するもの)
  • 定期昇給分(毎年の自動昇給はベースアップ評価料と無関係とみなされる)
  • 評価料収入を一時金のみで支給し、基本給を一切引き上げない対応

なお疑義解釈によると、目標賃上げ率(3.2%や5.7%)に届かなくても、評価料収入を全額賃上げに充当していれば要件を満たします。あくまでも「評価料収入を賃上げに使った」ことの証明が重要です。

よくある記載ミス・NG事例一覧

ぜいむたん
どんなミスが多いか事前に分かると安心です。
❌ よくある誤り✅ 正しい対応影響
対象職員数を実人数で記載常勤換算数で記載する区分の誤算定・受理後の修正が必要
給与総額にベースアップ評価料による賃上げ分を含める評価料による賃上げ分は給与総額から除外する区分が実態より大きく算定され不正算定となる
定期昇給分を賃金改善実績に含める定期昇給・昇格分は賃金改善実績に含めない実績報告書が虚偽となり返還を求められる可能性
継続算定中のため令和8年度の再届出が不要と誤認令和8年度は全機関が新様式で新規届出が必要6月から算定できない
旧様式で提出必ず最新版を使用する受理されない
メールの自動返信を「受理」と勘違い受理確認は別途行われる。自動返信は受信確認のみ受理されていないまま算定開始すると不正算定
入院ベースアップ評価料(様式97)の届出を忘れる有床診療所・病院は必ず様式97も提出する未届出だと入院基本料から最大171点/日が減算される
区分変更の3・6・9・12月の再計算を行わない四半期ごとに実績値で再計算し、変動1割超なら再届出不適切な区分での算定が続き要返還となる
様式96で社会保険診療収入の80%ルールを確認しない社会保険診療収入が総収入の80%以上であることを確認する80%未満では評価料Ⅱを算定できない

提出方法・メール送信の手順

STEP
管轄の地方厚生局を確認する

施設所在地が属する都道府県を管轄する地方厚生局を確認します。全国8つの厚生局(北海道・東北・関東信越・東海北陸・近畿・中国四国・九州)が担当地域を分担しています。

STEP
専用メールアドレスを確認する

各厚生局のウェブサイトに「ベースアップ評価料届出」専用のメールアドレスが掲載されています。医療機関・訪問看護用と保険薬局用でアドレスが異なる場合があります。管轄厚生局のページで必ず確認してください。

STEP
Excelファイルのファイル名を正しく設定する

形式:{7桁医療機関コード}_{内容}.xlsx(例:1234567_ベースアップ評価料届出.xlsx)。ハイフンではなくアンダーバーを使用してください。

STEP
メールを送信する(本文に必要事項を記載)
件名:ベースアップ評価料届出_医療機関名_コード7桁

本文:
1. 医療機関名
2. 保険医療機関コード(7桁)
3. 担当者名・所属
4. 連絡先電話番号
5. 提出内容(例:外来・在宅ベースアップ評価料Ⅰ 新規届出)
6. 算定開始希望月(例:令和8年6月)

添付ファイル:1234567_ベースアップ評価料届出.xlsx
STEP
受信確認・受理確認を待つ

自動返信メールは「受信確認」のみで受理ではありません。受理されると別途「受理完了通知」が届きます。受理確認が取れた後に算定開始(翌月1日から)してください。

様式ダウンロード先一覧

施設種別様式番号ダウンロードURL
医療機関(病院・診療所・医科・歯科)様式95〜100厚労省(.xlsx)
訪問看護ステーション別紙様式11厚労省(.xlsx)
保険薬局様式103〜104厚労省(.xlsx)
歯科技工所様式101〜102厚労省(.xlsx)
実績報告書(医療機関 令和8・9年度算定分)厚労省(.xlsx)
実績報告書(病院・有床診療所 令和7年度分)厚労省(.xlsx)
実績報告書(無床診・歯科診療所 令和7年度分)厚労省(.xlsx)

よくある質問(FAQ)

常勤換算の「週所定労働時間」はどこで確認すればいいですか?

就業規則または雇用契約書に記載されている所定労働時間を確認してください。施設の標準的な常勤職員の週所定労働時間(例:40時間)を基準として、各職員の換算数を算出します。変形労働時間制の場合は1週間あたりの平均で計算します。

様式95と様式96は両方提出する必要がありますか?

様式96(評価料Ⅱ)の提出は任意です。評価料Ⅰの月間算定見込み額が「賃金改善必要額の50%以上」であれば、Ⅱの届出は不要です。収益が不足する場合のみ、様式96を追加で提出します。

法定福利費はどう計算して報告書に記載すればいいですか?

令和8年度の届出・実績報告書では厳密な計算ではなく「給与改善額×16.5%」の概算計算が認められています(疑義解釈その3参照)。個別積算の必要はありません。計算シートを使うと法定福利費も自動計算されます。

複数施設を運営する法人は一括処理できますか?

令和8年度から可能になりました。同一法人が複数の施設を運営する場合、法人全体の給与総額・賃金改善必要額を合算し、各施設の収入に応じて按分することが認められています。薬局の場合は様式104別添2を使用してください。

様式記載の完全ガイド まとめ:確認すべき5つのポイント

STEP
施設種別ごとに提出すべき様式を確認する

無床診療所は様式95のみ、有床診療所・病院は様式95+97が必須。病院・有床診療所が様式97を忘れると入院基本料から最大171点/日が減算されます。

STEP
対象職員数は「常勤換算」で記載する

実人数ではなく「週所定労働時間÷標準労働時間」で換算した数を使用します。令和8年度から事務職員・40歳未満医師も対象に追加。

STEP
給与総額に「除外すべき金額」を含めない

ベースアップ評価料による賃上げ分・看護補助者処遇改善補助金分・定期昇給分は給与総額から除外します。含めると区分が実態より大きくなり不正算定となります。

STEP
最新様式を使用する

旧様式での提出は受理されない場合があります。ダウンロード時にファイルの更新日を必ず確認してください。継続算定機関も再届出が必要です。

STEP
詳細は必ず厚生労働省・管轄厚生局へ確認を

本記事は令和8年4月27日時点の公式情報を基に作成しています。正確な運用・個別ケースの判断は必ず厚生労働省公式ページおよび管轄の地方厚生局にご確認ください。


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この記事の監修

イザークコンサルティング株式会社

公認会計士試験合格者が在籍。税務・会計の実務経験に基づき、正確な情報提供を心がけています。

免責事項

本記事は令和8年4月27日時点の公式情報を基に作成した情報提供を目的としたものです。制度の詳細・正確な運用については必ず厚生労働省公式ページおよび管轄の地方厚生局へお問い合わせください。本記事の内容により生じた損害について、イザーク税務会計は一切の責任を負いかねます。

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