スモールビジネスを経営されている方なら、毎月の帳簿付けや決算時期の煩わしさに頭を悩ませた経験があるのではないでしょうか。クラウド会計ソフト「freee会計」は、そんな経理の悩みを解決するために開発されたサービスです。この記事では、導入を検討している中小企業・個人事業主の方向けに、freee会計の長所と短所を徹底解説します。
- クラウド会計ソフト「freee」は本当に導入するメリットがあるの?
- freee会計と他社ソフトはどう違い、どんな企業に向いているの?
- 会計知識がなくても使いこなせるソフトはあるの?
- 毎月の経理作業を効率化する方法を知りたい




freee会計とは?クラウド会計ソフトの概要と特徴
クラウド会計ソフト「freee」とは(基本機能とシェア)
freee会計は、2012年に登場したクラウド型の会計ソフトで、日本国内のクラウド会計ソフト市場ではシェア1位(35.2%)を誇ります。従来の会計ソフトと異なり、インターネット経由で利用する「クラウド型」であるため、インストール不要でいつでもどこからでもアクセス可能な点が特徴です。
基本機能としては、日々の取引記録、自動仕訳、銀行口座との連携、請求書・見積書発行、経費精算、決算書類作成、確定申告対応などが挙げられます。特に「シンプルで使いやすいUI」と「自動化機能の充実」に力を入れており、会計知識が乏しい経営者や担当者でも扱いやすいよう設計されています。
中小企業で広がるクラウド会計:freeeが選ばれる理由
従来は大企業や会計事務所が主な利用者だった会計ソフトですが、近年はDX推進や働き方改革の流れを受けて中小企業にも急速に普及しています。freeeが中小企業で選ばれる主な理由としては、次の点が挙げられます:
- 導入コストが低く、月額料金制で始めやすい
- 専門知識がなくても操作できる直感的なUI
- 自動化機能により作業時間を大幅に削減
- 経営状況の可視化でデータに基づく意思決定が可能
それでは、freee会計が中小企業にもたらす具体的なメリットと、導入前に知っておくべきデメリットを詳しく見ていきましょう。
freee会計のメリット【利点・長所】
メリット① 自動仕訳と金融機関連携で経理を効率化
freee会計の最大の強みは、銀行口座やクレジットカードとの連携による自動仕訳機能です。連携すると取引データが自動で取り込まれ、AIが過去の入力パターンを学習して適切な勘定科目を提案してくれます。






実際のユーザーからは「経理作業が従来の3分の1の時間で完了するようになった」といった声も多く寄せられています。特に日々の入力作業に追われていた個人事業主や小規模企業にとって、この自動化機能のメリットは計り知れません。
連携可能な金融機関は国内の主要銀行・クレジットカードを中心に400以上。振込や引き落としなどの情報が自動で取得されるため、手入力の手間とミスを大幅に削減できます。
メリット② 会計知識ゼロでも使いやすい操作性
freee会計の特筆すべき点として、会計や簿記の専門知識がなくても直感的に操作できるUIが挙げられます。従来の会計ソフトでは「借方」「貸方」といった専門用語が飛び交い、初心者には敷居が高いものでした。
対してfreeeは、「お金が入った」「お金が出た」といった日常的な言葉で操作できるよう設計されています。さらに、入力時には取引内容に応じた勘定科目を自動で提案してくれるため、会計初心者でも迷うことなく適切な経理処理が可能です。






メリット③ スマホ対応で場所を選ばず経費精算
freee会計のモバイルアプリを使えば、スマホでレシートを撮影するだけで経費データを登録できる便利な機能があります。外出先や移動中などのスキマ時間を活用して経理処理ができるため、デスク作業の時間削減にもつながります。
具体的には次のような機能が利用可能です:
- レシート撮影で自動データ化(日付・金額・店舗名を認識)
- 経費申請・承認フローのモバイル完結
- 取引先への請求書をスマホから送付
- 入出金や売上状況のリアルタイム確認
特に営業や外回りが多い事業では、その場で経費処理ができることで、「溜まったレシートの整理」という厄介な作業から解放されるメリットは大きいでしょう。
メリット④ 見積・請求書作成から確定申告まで一貫対応
freee会計の大きな特徴として、見積書・請求書の作成から確定申告書類の生成まで、一気通貫で対応できる点が挙げられます。この「ワンストップ」機能により、複数のソフトを使い分ける必要がなくなります。
- 営業活動のサポート:
見積書・請求書・領収書などの法定書類をテンプレートから簡単に作成
- 日々の経理処理:
取引の自動取込・仕訳、スマホでの経費申請、月次決算など
- 決算・申告対応:
決算書類の自動生成、確定申告書類作成、e-Tax連携など
特に確定申告時期の負担軽減は大きなメリットです。日々の正確な記帳があれば、青色申告決算書や確定申告書類が自動で作成され、電子申告(e-Tax)にも対応しています。






メリット⑤ 常に最新アップデート&充実のサポート
クラウドサービスであるfreee会計は、税制改正や法律変更に合わせて自動的にアップデートされる点も大きなメリットです。従来型のパッケージソフトでは、改正の都度アップデート版を購入する必要がありましたが、freeeなら常に最新バージョンを利用できます。
また、サポート面も充実しており、操作方法の疑問や会計処理の不明点があれば、チャットや電話での問い合わせが可能。特に会計初心者にとって「いつでも専門家に質問できる環境」があることは、安心感につながります。
- チャットサポート(平日9:00-18:00)
- 電話サポート(スタンダードプラン以上)
- 充実したオンラインヘルプセンター
- ユーザーコミュニティでの質問・回答
ただし、freee会計にもいくつかの注意点や欠点があります。次章では導入前に知っておくべきデメリットについて詳しく解説します。
freee会計のデメリット【欠点・注意点】
デメリット① ランニングコストが高め(サブスク型)
freee会計は月額課金制(サブスクリプション方式)を採用しているため、長期間利用する場合には買い切り型のソフトより総コストが高くなる可能性があります。2025年5月時点の料金プランは以下の通りです:
プラン名 | 月額料金(税込) | 主な機能制限 |
---|---|---|
ひとり法人 | 2,980円 | メンバー1人のみ、経費精算なし |
スターター | 5,480円 | 電話サポート対応、消費税申告対応 |
スタンダード | 8,980円 | 優先サポート、経営レポート充実 |
最も人気のあるスタータープランでも年間約6.5万円のコストがかかります。予算に制約がある小規模事業者にとっては、この継続的な支出が負担になるケースもあるでしょう。






デメリット② 会計経験者にはUIが独特
初心者にとっては使いやすいfreeeのUIですが、従来の会計ソフトに慣れた経理担当者にとっては逆に使いづらく感じるケースがあります。専門用語を簡素化した設計は、会計知識を持つ人にとっては冗長に感じることも。
例えば次のような点で戸惑いを感じる方もいます:
- 仕訳帳形式(借方・貸方)での入力オプションが標準ではない
- 勘定科目の細かな設定ができない場合がある
- 複雑な仕訳パターンでは自動提案が合わないことも
ただし、freeeでは設定から「経理・会計事務所向けの仕訳入力モード」に切り替えることも可能です。会計知識のある方は、この設定を変更することで使い勝手が向上するでしょう。
デメリット③ インターネット接続が必須
クラウド型会計ソフトの宿命として、常時インターネット接続がないと利用できない点が挙げられます。ネット環境がない場所や、通信障害が発生した場合は作業ができなくなります。
また、すべてのデータがクラウド上で管理されるため、セキュリティ面での不安を感じる方もいるでしょう。freeeではデータの暗号化や厳格なアクセス制限など、セキュリティ対策は講じられていますが、「自社サーバーでデータを管理したい」というニーズには対応していません。
freee会計ではインターネット接続が突然切れた場合、作業中のデータが失われる可能性があります。重要な入力作業を行う際は、安定したネット環境で行うことをおすすめします。
デメリット④ スマホだけではできない作業もある
freee会計はモバイル対応を謳っていますが、すべての機能をスマホだけで完結させるのは現実的ではありません。特に以下のような作業はPCでの操作が推奨されます:
- 決算書の最終確認・印刷
- 複雑な仕訳の一括登録
- 経営レポートの詳細分析
- システム設定の詳細カスタマイズ
スマホアプリは日常的な入力や確認作業を効率化するサブツールと捉え、重要な処理や分析はPCで行うという使い分けが現実的でしょう。
デメリット⑤ 他ソフトからの乗り換え時の注意
すでに他の会計ソフトを使用している場合、データ移行に手間がかかる点も考慮すべきです。特に以下のような点に注意が必要です:
- 過去の仕訳データの取り込みには専用のCSVフォーマットが必要
- 取引先や商品マスタなどの基本情報も再設定が必要な場合がある
- 無料期間終了後に自動的に無料プランに移行する仕組み(過去データへのアクセスが制限される)
特に期中での移行は避け、決算終了後の新年度からの切り替えが望ましいでしょう。また、無料トライアル期間が終了した後の契約プランについても事前に検討しておくことが重要です。
他社クラウド会計ソフトとの比較(freee vs マネーフォワード・弥生)
機能と操作性の比較
日本の主要クラウド会計ソフトである、freee・マネーフォワード・弥生の三社を機能面で比較すると、それぞれに特徴があります。
ソフト名 | 強み | 弱み |
---|---|---|
freee会計 | ・シンプルなUI ・自動化機能が充実 ・スマホ対応が最も優れる | ・やや高価 ・複雑な会計処理には不向き |
マネーフォワード クラウド会計 | ・機能が豊富 ・会計事務所との連携 ・従来ソフトに近い操作感 | ・初心者には複雑 ・自動化はやや劣る |
弥生会計 | ・低価格 ・高い知名度 ・豊富なサポート実績 | ・モバイル対応が弱い ・UIが古風 |
操作性に関しては、freeeが最も初心者向けで直感的、マネーフォワードはやや従来型会計ソフトに近く、弥生は伝統的なUIを継承している印象です。会計知識の有無によって使いやすさの感じ方が異なるため、無料トライアルでの体験がおすすめです。






料金プランの比較
コスト面では、freeeは料金が高めの傾向があります。各社の基本プラン比較(2025年6月時点・税込・年払い・MF値上げ反映込)は以下の通り。
料金だけで選ぶなら弥生が最安ですが、機能面やサポート体制なども含めた総合的な判断が必要です。特に作業効率化による「人件費削減」効果も含めて検討することがおすすめです。
freee会計はどんな企業に向いている?
中小企業・個人事業主で経理専門人員がいないケース
freee会計は特に経理担当者を専任で置いていない中小企業や個人事業主に適しています。経営者自身や現場担当者が兼任で経理を行うようなケースでは、専門知識がなくても直感的に操作できるUIと自動化機能が大きな助けとなるでしょう。
日々の業務に追われる中で経理作業を効率化したい場合、freeeの「自動仕訳」や「スマホでの経費登録」などの機能が大きな時間削減につながります。特に以下のような業種での導入事例が多く報告されています:
- 外回りの多い営業会社(スマホでの経費精算が便利)
- 飲食店・小売店(レジとの連携がしやすい)
- IT・Web系企業(クラウドサービスとの親和性が高い)
- フリーランサー(青色申告対応で節税効果が高い)
初めて会計ソフトを導入するケース
これまで紙の帳簿や表計算ソフトで経理を行っていた企業が、初めて本格的な会計ソフトを導入する際にもfreeeは適しています。「会計ソフトの使い方」と「クラウド会計の使い方」を同時に学ぶ必要がないからです。
また、Macユーザーにとっては選択肢が限られる会計ソフト市場で、freeeはブラウザベースで動作するため、OSを問わず利用できる点も魅力です。






経営数値の可視化・DX推進を図りたいケース
単なる記帳ツールではなく、経営判断のためのデータ分析プラットフォームとしてfreeeを活用したい企業にも向いています。リアルタイムで経営状況を確認できるダッシュボードや分析レポートは、データドリブンな意思決定を支援します。
また、API連携により他のクラウドサービス(POSレジ、勤怠管理、在庫管理など)と連動させることで、バックオフィス業務全体のDX化を進めやすいという特徴もあります。特に成長途上の企業では、拡張性の高いクラウドサービスであるfreeeのメリットを最大限に活かせるでしょう。
freee会計の無料トライアルと導入の次のステップ
無料トライアルの利用方法
freee会計は30日間の無料トライアルが用意されており、有料プランの全機能を試すことができます。この期間中に実際の業務データを入力して使い勝手を確かめることが導入の第一歩です。
- トライアル申し込み:
freee公式サイトから「無料でfreeeを試す」を選択し、メールアドレスと会社情報を登録
- アカウント設定:
業種や事業規模などの基本情報を入力し、初期設定を完了
- 銀行口座連携:
取引データの自動取得のため、メインバンクやクレジットカードとの連携設定
- 取引データ入力:
過去の取引データをいくつか手動入力し、操作感を確認
トライアル期間中にプランの契約をしなければ、自動的に機能制限付きの無料プランへ移行します。無理な勧誘や自動課金はないので安心してお試しください。
導入前に比較検討したい場合
freeeだけでなく、他社のクラウド会計ソフトも同様に無料トライアルを提供しています。迷っている場合は、マネーフォワードクラウド会計や弥生会計オンラインも同時期に試してみるのも一つの方法です。
比較する際のポイントとしては以下の点に注目すると良いでしょう:
- UIの直感性と使いやすさ
- 銀行・カード連携の精度
- 自社業務に必要な機能の有無
- サポート対応の質と速さ
- モバイルアプリの使い勝手






導入後のサポート体制
freee会計を導入後も、分からないことがあれば以下のサポートリソースを活用できます:
- freeeヘルプセンター(操作ガイド・よくある質問)
- チャットサポート(平日9:00-18:00)
- 電話サポート(スタンダードプラン以上)
- freeeコミュニティ(ユーザー同士の情報交換)
- freee認定アドバイザー(税理士など専門家の紹介)
特にfreee認定アドバイザー制度は、freeeに詳しい税理士と連携することで、システム操作だけでなく会計・税務のアドバイスも一体的に受けられる点が魅力です。
- freee会計に無料で試せるプランはありますか?
-
はい、freee会計には30日間の無料トライアルがあります。期間内はスターターやスタンダードなど有料プランの機能を制限なく試せ、トライアル終了後に自動課金されることもありません(終了後は機能限定の無料プランに切り替わります)。そのため、導入前に操作感や機能を安心して確認できます。
- freee会計とマネーフォワードではどちらを選ぶべきでしょうか?
-
両者とも人気のクラウド会計ソフトですが特徴が異なります。freee会計は初心者でも使いやすい画面設計や自動仕訳機能が充実しており、経理知識に自信がない場合に向いています。一方、マネーフォワード クラウド会計は料金がやや割安で従来型の会計ソフトに近い操作感があり、経理経験者やコスト重視の場合に選ばれやすいです。それぞれ無料で試せるので、自社のニーズに合う方を選ぶと良いでしょう。
- 経理の初心者でもfreee会計を使いこなせますか?
-
はい、freee会計は経理初心者に配慮した設計になっています。専門用語をできるだけ平易にし、取引入力も質問に答える形式で進められるため簿記知識がなくても操作可能です。また、自動仕訳やレシート読み取りなど手間を省く機能が多く、初めての方でも日々の経理をスムーズに行えるでしょう。必要に応じてチャットサポートやヘルプ記事も利用できるので安心です。
- freee会計で確定申告書や決算書の作成までできますか?
-
できます。freee会計は日々の帳簿付けから年度末の青色申告決算書や確定申告書類(申告書等)の作成まで一貫してサポートします。法人向けにも試算表や貸借対照表・損益計算書の出力機能があり、決算業務に対応しています。さらに、作成した申告書データはそのままe-Taxで電子申告が可能です。会計事務所とのデータ共有機能もあるため、必要に応じて税理士のチェックを受けながら申告まで進められます。
まとめ:freee会計の導入判断ポイントと活用法
経理担当者の有無や会計知識レベル、現在の課題(時間・正確性・可視化など)を洗い出す
30日間の無料お試し期間で実際のデータを入力し、操作感・効率性・自動化精度を確認
必要に応じてマネーフォワードや弥生など他社製品も試し、料金・機能・サポート面で総合的に判断
自社の規模や必要機能に応じて適切なプランを選び、年払い・月払いの判断も含めて契約
日次・月次・年次での運用ルールを決め、担当者を明確化。必要に応じて税理士とも連携
freee会計は、特に会計知識が少ない方や効率化を重視する中小企業に適した選択肢です。サブスクリプション型のコスト面やインターネット接続必須といった制約はありますが、使いやすさと自動化機能による時間削減効果は大きな魅力となります。
最終的には自社の状況や優先順位(コスト・操作性・機能など)に合わせて判断することが重要です。無料トライアルを活用して、実際の業務データで使い勝手を確かめてみることをおすすめします。



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