「青色申告特別控除が75万円になると聞いたけど、自分はどうすれば受けられるの?」——2026年(令和8年度)の税制改正で、青色申告特別控除の最高額が65万円から75万円に引き上げられます。22年ぶりの大改正です(EY Japan・PwC Japan・KPMGの英語レポートでも “most beneficial change for individual business owners” と位置づけ)。
ただし、ただe-Tax(電子申告)をするだけでは75万円になりません。「優良な電子帳簿」という新しい要件をクリアする必要があります。この記事では、国税庁の公式情報・EY Japan/PwC Japan英語レポート・税理士事務所の一次情報をもとに、個人事業主・フリーランスが75万円控除を確実に受けるための要件・手順・よくある失敗を解説します。
この記事が他と違う3つのポイント
① 英語圏(EY Japan / PwC Japan / KPMG)の一次資料を確認した上で制度を解説(日本語情報のみの記事との差別化)
② 課税所得別・控除額別の節税シミュレーション(他サイトにない独自試算)
③ freee・マネーフォワードで具体的に何をすれば良いかの実装ガイド(概要説明で終わる記事との差別化)
青色申告の控除が75万円になるって本当ですか?今は65万円で申告しているんですが、自動的に上がるの?
自動的には上がらへん。e-Taxに加えて「優良な電子帳簿保存」の要件を満たさないと75万円にならない。今のままe-Taxだけなら65万円。紙申告なら55万円(さらに下がる可能性あり)。早めに準備することが大事やで!
令和8年度改正前後の青色申告特別控除額まとめ
まず「何がどう変わるのか」を整理します。令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日・令和7年12月26日閣議決定)後の控除額は次のとおりです。
| 申告方法 | 帳簿方式 | 改正前(〜令和7年分) | 改正後(令和8年分〜) |
|---|---|---|---|
| e-Tax(電子申告)+ 優良な電子帳簿 | 正規の簿記 | —(この区分なし) | 75万円(新設・最高額) |
| e-Tax(電子申告)のみ | 正規の簿記 | 65万円 | 65万円(維持) |
| 紙・書面申告 | 正規の簿記 | 55万円 | 10万円(大幅引き下げ!) |
| 簡易な記帳のみ | 簡易簿記 | 10万円 | 10万円(維持または0円) |
紙申告は55万円→10万円に激減する可能性
改正後は「e-Taxをしない場合」の55万円控除が廃止され、10万円に統一される予定です(e-PAPコラム・澤田税理士事務所による解説)。紙で申告している方は、e-Tax移行が急務です。
【独自シミュレーション】控除額の差が実際の税額にどう影響するか
「75万円控除」と「10万円控除」では実際にどれだけ税負担が変わるのかを、課税所得別に試算しました。
課税所得500万円のフリーランスの場合(所得税率20%・住民税10%)
| 適用控除 | 控除後課税所得 | 所得税(目安) | 住民税(目安) | 節税効果(75万円との差) |
|---|---|---|---|---|
| 75万円控除(e-Tax+電子帳簿) | 425万円 | 約52.5万円 | 約42.5万円 | —(基準) |
| 65万円控除(e-Taxのみ) | 435万円 | 約55万円 | 約43.5万円 | -3万円の損失 |
| 10万円控除(紙申告) | 490万円 | 約66万円 | 約49万円 | -20万円以上の損失 |
※ 所得税は累進税率・各種控除を考慮した概算。住民税は一律10%で計算。基礎控除・社会保険料控除は加算していません。
紙申告から75万円控除(e-Tax+電子帳簿)への移行で、年間20万円以上の節税効果が期待できます。これはクラウド会計ソフトの年会費(freeeなら約3〜5万円)の4〜6倍以上に相当します。
75万円控除の要件①:e-Tax(電子申告)
まず前提として、e-Taxで確定申告書および青色申告決算書を送信することが必要です(国税庁No.2072)。
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」でデータ作成→e-Tax送信(マイナンバーカード方式・ID/PW方式)
- freee・マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトから直接e-Tax申告(「ダイレクト申告」機能:ソフト内で確定申告書を作成し、そのままe-Taxに送信する機能。紙印刷・郵送不要で完結する)
- 税理士に依頼する場合も、電子申告であれば要件を満たす
e-Taxの始め方(マイナンバーカード不要のID/PW方式も選択可)
e-TaxはマイナンバーカードがなくてもID/PW方式で利用できます。税務署で発行手続き(15分程度)が必要ですが、一度取得すれば翌年以降も利用可能です。
75万円控除の要件②:「優良な電子帳簿」の保存(新設要件)
これが今回の改正で追加された核心要件です。「e-Taxだけ」では65万円止まりで、75万円には達しません。
「優良な電子帳簿」とは何か
電子帳簿保存法が定める「優良な電子帳簿」の要件は以下のとおりです(国税庁「電子帳簿保存法一問一答」参照)。
- 訂正・削除履歴の確認:記帳した内容を訂正・削除した場合、その履歴が残ること
- 相互関連性の確保:帳簿間(仕訳帳・総勘定元帳等)の記録が照合できること
- 検索機能の確保:日付・金額・取引先で検索できること
- システム関係書類の備付け:使用するソフトのマニュアル等を保存すること
これって、Excelで帳簿をつけていたら75万円控除は受けられないんですか?
基本的には難しい。ExcelはExcelで「優良な電子帳簿」の訂正履歴・相互関連性・検索機能の要件を満たすのが技術的にかなり大変やで。freeeやマネーフォワードなどの認定クラウド会計ソフトを使うのが最も確実。これらはすでに要件を満たす機能を実装済みや。
freee・マネーフォワードでの「優良な電子帳簿」対応状況
| 会計ソフト | 訂正履歴 | 検索機能 | e-Tax連携 | 対応コスト |
|---|---|---|---|---|
| freee会計 | ✅ 自動記録 | ✅ 標準装備 | ✅ ダイレクト申告対応 | 月額1,980円〜(プロプラン) |
| マネーフォワード クラウド会計 | ✅ 自動記録 | ✅ 標準装備 | ✅ e-Tax連携対応 | 月額2,980円〜(スモールビジネス) |
| 弥生会計オンライン | ✅ 対応 | ✅ 対応 | ✅ e-Tax連携 | 年額26,000円〜 |
| Excelによる自作帳簿 | ⚠️ 設定次第 | ⚠️ 関数で対応可だが複雑 | ❌ 別途申告ソフト必要 | — |
freee・マネーフォワードはすでに「優良な電子帳簿」の要件を満たす設計になっており、追加設定なしで75万円控除の要件を満たせます。
75万円控除を受けるための4ステップ準備ガイド
「何から始めればいいか」をステップ形式で整理します。
ステップ1:クラウド会計ソフトを導入する(今すぐ)
まだ紙帳簿やExcelで記帳している場合は、今年中にクラウド会計ソフトへ移行することが最優先です。令和8年分(2026年1月〜12月)の取引から電子帳簿で記録する必要があります。年度の途中から始めた場合、その時点以降の取引は電子帳簿として扱われますが、年度全体での一貫性が問われることがあります。
ステップ2:e-Tax(電子申告)の準備をする
e-Taxは次のいずれかで利用できます。マイナンバーカードがない方でも大丈夫です。
- マイナンバーカード方式:ICカードリーダーまたはスマートフォンで読み取り
- ID/パスワード方式:税務署で発行手続き後、IDとPWで申告(マイナンバーカード不要)
- クラウド会計ソフトからの直接申告:freeeなら「申告書作成→e-Tax送信」まで一括完結
ステップ3:「優良な電子帳簿」の届出書を提出する(電子帳簿保存法の活用)
ここで重要な法律が「電子帳簿保存法(でんちょうほぞんほう)」です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」。2023年(令和5年)1月から本格施行されており、デジタルで作成した帳簿をデジタルのまま保存する際のルールを定めています。
電子帳簿保存法における「優良な電子帳簿」は、通常の電子帳簿よりも高い基準を持ちます。この「優良な電子帳簿」で保存していることを税務署に届出すると、過少申告加算税(申告した税額が実際より少なかった場合にかかるペナルティ税・通常10%)が5%に軽減されるメリットもあります。
「優良な電子帳簿」の5%の過少申告加算税の減免を受けるためには、事前に「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」を所轄税務署に提出する必要があります(電子帳簿保存法第5条1項)。75万円控除の適用には届出が必要かどうかは改正細則が確定次第更新予定ですが、準備として早めに届出しておくことを推奨します。
ステップ4:2027年2〜3月の確定申告で申告書に記載する
令和8年分(2026年分)の確定申告は2027年2月16日〜3月15日が申告期間です。青色申告決算書に75万円控除の要件を満たす旨を記載します(クラウド会計ソフトを使えば自動入力されます)。
【EZARK独自試算】クラウド会計導入の費用対効果(ROI分析)
「クラウド会計ソフトのコストが気になる」という声をよく聞きます。そこで、紙帳簿・Excel管理から75万円控除への移行コストとリターンを独自試算しました。
ケース1:課税所得300万円のフリーランス(所得税率10%・住民税10%)
| 項目 | 紙申告(10万円控除) | 75万円控除移行後 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 10万円 | 75万円 |
| 課税所得(概算) | 290万円 | 225万円 |
| 所得税(概算・10%) | 約19.7万円 | 約9.3万円 |
| 住民税(10%) | 約29万円 | 約22.5万円 |
| 合計税負担 | 約48.7万円 | 約31.8万円 |
| 節税効果(差額) | ▲16.9万円の節税 | |
クラウド会計導入コストとの比較
| 費用項目 | 年間コスト |
|---|---|
| freee会計(スタータープラン) | 約2.4万円/年(月額1,980円) |
| e-Tax ID/PW取得(税務署での1回手続き) | 0円(無料) |
| 初期設定・移行作業時間(自己対応の場合) | 時間コストのみ(金銭コストなし) |
| 合計コスト(初年度) | 約2.4万円 |
| 節税効果 | 約16.9万円 |
| ROI(投資対効果) | 約600%(コストの6倍の節税効果) |
※ 所得税は基礎控除・社会保険料控除なしの概算。実際の節税効果は個人の状況により異なります。
年間2.4万円のツール代で約16.9万円の節税効果。これは「投資として」考えたとき、株式や不動産と比較しても圧倒的なリターンです。PwC Japan(2025年12月26日レポート)もこの改正を「中小規模の個人事業主にとって最も実益のある変更」と位置づけています。
よくある失敗パターン3つ
失敗①「e-Taxだけやっておけば75万円になると思っていた」
最も多い誤解です。e-Taxは「65万円控除」の要件であり、75万円には「優良な電子帳簿保存」が追加で必要です。今のままe-Taxだけでは65万円止まりです。
失敗②「年の途中からクラウド会計に変えたので一部は紙帳簿のまま」
帳簿の「一貫性」が問われる場合があります。年度の最初(1月1日)から電子帳簿で記帳することが理想です。今から始める場合は、少なくとも残りの期間を電子帳簿で管理し、来年度から完全移行することを目指してください。
失敗③「前年分の記録をExcelに移し替えてから電子帳簿にしようとした」
訂正・削除履歴が残らない方法での移し替えは「優良な電子帳簿」の要件を満たさない可能性があります。クラウド会計ソフトへのデータ移行は年度の区切りでゼロから入力開始することを推奨します。
【節税深掘り】75万円控除だけじゃない:個人事業主が知るべき合法節税の全体像
青色申告75万円控除は「節税の入口」に過ぎません。ものの30分で学べる合法的な節税対策が、年間数十万円の違いを生むことをご存知でしょうか。
個人事業主・フリーランスが使える合法節税の主なものは以下のとおりです。
- 小規模企業共済:掛金全額が所得控除(月7万円上限・年間84万円)
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金全額所得控除(年23.4〜81.6万円)
- 経費の適切な計上:自宅兼事務所・車・通信費の按分計上
- 法人化のタイミング:課税所得600〜800万円超で法人化検討
- 事業を外に外注した場合の源泉徴収:適切な外注費計上で節税
これらを体系的に学ぶには、税務専門家が開催する節税セミナーが有効です。無料で参加できる合法節税セミナーもあり、月1〜2時間のインプットで年間節税額が大幅に変わる可能性があります。
まとめ:今すぐやるべき3つのアクション
令和8年度税制改正による青色申告特別控除の75万円拡大は、適切に準備すれば年間10万〜20万円以上の節税効果をもたらします。今すぐ取るべきアクションは次の3つです。
- クラウド会計ソフトを導入する(freee・マネーフォワード等)— 優良な電子帳簿要件の最も確実な対応方法
- e-Taxの利用環境を整える(マイナンバーカードまたはID/PW取得)
- 節税対策を体系的に学ぶ(合法節税セミナー等を活用)
施行時期の注意点(令和8年分から適用予定)
令和8年度税制改正は2026年度(令和8年度)の税制改正大綱として閣議決定済みですが、75万円控除の具体的な施行時期・詳細要件は改正税法の成立・施行令公布後に確定します。freee・e-PAPなどの情報では「令和8年分(2026年1月〜12月)から適用」が有力ですが、国税庁の公式情報を随時確認することをお勧めします。本記事も情報が確定次第更新します。
準備に不安のある方は、税務の専門家への相談も選択肢に入れてください。フリーランス・個人事業主の税務に詳しい税理士を探すなら、税理士マッチングサービス(無料相談から利用可)が便利です。


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