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iDeCo掛金上限の2026年12月改正|月62,000円へ・節税額と手続き

このページは〈退職金・iDeCo 受取設計インデックス〉の一部です。関連する論点を体系から確認できます。

この記事でわかること(読了目安:約10分)
  • 2026年12月のiDeCo改正で何がどう変わるか(掛金上限・年齢・企業型DC)
  • 課税所得300万・500万・800万円別の節税シミュレーション(独自試算)
  • 企業年金ありの会社員・公務員のパターン別上限一覧
  • 2026年12月分から増額するための手続きの時期と具体的ステップ
  • iDeCoと新NISAの組み合わせ方・受取時の税金の考え方

対象読者:iDeCoの掛金を増やせるのか、手続きはいつ必要なのかを知りたい会社員・公務員と、月75,000円に上がる個人事業主・フリーランス。結論:上限は2026年12月分(2027年1月口座引き落とし分)から上がりますが、自動では増額されず、加入先の運営管理機関での掛金変更手続きが必要です。

目次

「会社に企業年金がないのに、iDeCoの掛金が月2.3万円しか積めない……」。その状況が2026年12月から変わります。2026年12月分(2027年1月口座引き落とし分)から、企業年金なし会社員のiDeCo掛金上限が月23,000円→62,000円に引き上げられます(出典:厚生労働省「iDeCoの拠出限度額と加入可能年齢が引き上げられます」)。年間掛金は最大744,000円まで増え、課税所得500万円(所得税率20%)の人なら節税額は年間約14万円増える計算です(独自試算・前提は後述)。

本記事では厚生労働省とiDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)の改正資料をもとに、課税所得別の節税シミュレーション・手続きの時期・企業年金ありの上限変更を整理します。個人事業主・フリーランス向けの老後資金3大制度の比較と、受取時の税金も扱います。

2026年12月 iDeCo改正の概要:何がどう変わるか

今回の改正は、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」(令和7年法律第74号。2025年6月13日に成立、6月20日に公布)と、掛金の上限額を引き上げる「国民年金基金令等の一部を改正する政令」(令和7年政令第442号。2025年12月24日に公布)に基づくもので、iDeCoの拠出限度額と加入年齢に関する部分は2026年12月1日に施行されます。主な変更点は次の4つです。

改正ポイント改正前(〜2026年12月引き落とし分)改正後(2027年1月引き落とし分〜)
第2号被保険者(会社員・公務員等)の掛金上限企業年金なし: 月23,000円
企業年金あり: 最大月20,000円(企業年金等と合わせて月55,000円が上限)
企業年金なし: 月62,000円
企業年金あり: 企業年金等と合わせて月62,000円が上限(iDeCoは62,000円から事業主の拠出額を引いた額まで)
第1号被保険者(自営業者等)の上限月68,000円(iDeCo+国民年金基金の合算)月75,000円(7,000円引き上げ・合算。国民年金の付加保険料を納めている場合は、その分も合算)
加入できる年齢第1号・第3号は60歳未満、第2号・第4号は65歳未満国民年金の被保険者でない60歳以上70歳未満の人も、一定の要件を満たせば加入可(新設の第5号加入者)
企業型DC加入者のiDeCoiDeCoの上限は月20,000円まで月2万円の独立した枠はなくなり、62,000円から事業主の拠出額を引いた額の範囲でiDeCoの掛金を設定(マッチング拠出の利用者は加入不可)
iDeCoの掛金上限(月額)の改正前後
企業年金なしの会社員(第2号被保険者)改正前月23,000円改正後月62,000円自営業者等(第1号被保険者)iDeCo+国民年金基金の合算改正前月68,000円改正後月75,000円※ 企業年金ありの場合は、月62,000円から事業主の拠出額などを引いた額が上限です(次の図)。
棒の長さは月額に比例。改正後の上限は2026年12月分(2027年1月引き落とし分)から。
改正の法的根拠(一次ソース確認済み)

✅ 厚生労働省のリーフレット(iDeCoの拠出限度額と加入可能年齢)で、第1号・第4号加入者は月75,000円、第2号加入者は企業年金なしで月62,000円(企業年金ありは企業年金等と合わせて月62,000円が上限)であることを確認
✅ 厚生労働省のリーフレット(企業型DC)で、企業型DCの拠出限度額が月5.5万円から月6.2万円に引き上げられ、iDeCoは「6.2万円から各月の事業主の拠出額を控除した額」が上限になることを確認
✅ 施行日: 2026年12月1日(令和7年法律第74号・令和7年政令第442号)。2026年12月分(2027年1月口座引き落とし分)から新しい上限
⚠️ 「2026年12月から62,000円」は2026年12月分の掛金のことで、引き落としは2027年1月です。2026年12月引き落とし分までは旧上限のままです

【独自試算】課税所得別iDeCo節税シミュレーション:改正前後の差額

iDeCoの掛金は、その年に支払った全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になります(国税庁 No.1135)。節税額は、掛金に所得税の税率(国税庁 No.2260)と復興特別所得税、住民税の税率10%を掛けた額が目安です。以下は掛金を月23,000円(年276,000円)から月62,000円(年744,000円)へ増やした場合の年間節税額の独自試算です。

前提:①表の「課税所得」は、iDeCoの掛金控除を引く前の「課税される所得金額」。掛金を引いたあとも同じ税率の範囲に収まる金額に設定しています(300万円は10%、500万円は20%、800万円は23%の範囲)。②所得税は税率×1.021(復興特別所得税2.1%を含む。令和9年分以後は防衛特別所得税1%と復興特別所得税1.1%の合計で、率は同じ)。③住民税の所得割は一律10%。④各行の端数は四捨五入。⑤どの年収の人がどの税率に当たるかは、扶養家族や社会保険料などで変わります。

新しい上限での引き落としが始まるのは2027年1月分からです。控除の金額はその年に支払った掛金で決まるため、増額の効果が1年を通じて出るのは2027年分以後になります。

課税所得300万円(所得税率10%)の場合

改正前(月23,000円)改正後(月62,000円)差額(節税増加)
年間掛金276,000円744,000円+468,000円
所得税・復興特別所得税の節税額(10%)28,180円75,962円+47,782円
住民税の節税額(10%)27,600円74,400円+46,800円
年間節税合計55,780円150,362円+94,582円
10年間の節税累計557,800円1,503,620円+945,820円

課税所得500万円(所得税率20%)の場合

改正前(月23,000円)改正後(月62,000円)差額(節税増加)
年間掛金276,000円744,000円+468,000円
所得税・復興特別所得税の節税額(20%)56,359円151,925円+95,566円
住民税の節税額(10%)27,600円74,400円+46,800円
年間節税合計83,959円226,325円+142,366円
10年間の節税累計839,590円2,263,250円+1,423,660円

課税所得800万円(所得税率23%)の場合

改正前(月23,000円)改正後(月62,000円)差額(節税増加)
年間掛金276,000円744,000円+468,000円
所得税・復興特別所得税の節税額(23%)64,813円174,714円+109,901円
住民税の節税額(10%)27,600円74,400円+46,800円
年間節税合計92,413円249,114円+156,701円
10年間の節税累計924,130円2,491,140円+1,567,010円
課税所得別・年間節税額(改正前→改正後)
所得税・復興特別所得税の節税額住民税の節税額課税所得300万円(税率10%)年間 +94,582円改正前55,780円改正後150,362円課税所得500万円(税率20%)年間 +142,366円改正前83,959円改正後226,325円課税所得800万円(税率23%)年間 +156,701円改正前92,413円改正後249,114円
棒の長さは節税額に比例(Ezark独自試算・本文の表の数値)。掛金は月23,000円(改正前)と月62,000円(改正後)。

関連する判断令和8年度改正(基礎控除104万円など)で個人事業主はいくら節税できるか試算

企業年金あり会社員のiDeCo上限:パターン別一覧

企業年金制度に加入している場合、改正後も一律月62,000円にはなりません。iDeCoの上限は、月62,000円から「企業型DCの事業主掛金」と「DB(確定給付企業年金)などの他制度掛金相当額」の合計を引いた額です(厚生労働省のリーフレット)。事業主の拠出額が大きいと、iDeCoの上限は小さくなり、掛金を拠出できなくなることもあります。

会社の年金制度改正前のiDeCo上限改正後のiDeCo上限
厚生年金のみ(企業年金なし)月23,000円月62,000円
企業型DCのみ加入最大月20,000円(企業型DCと合わせて月55,000円が上限)62,000円−企業型DCの事業主掛金(マッチング拠出を利用していないことが条件)
DBなど他制度のみ加入最大月20,000円62,000円−DB等の他制度掛金相当額
DB+企業型DC両方加入最大月20,000円62,000円−(企業型DCの事業主掛金+DB等の他制度掛金相当額)
公務員(国家・地方公務員共済)最大月20,000円62,000円−共済掛金相当額(月8,000円)=54,000円(私立学校教職員は共済掛金相当額が月7,000円)
企業年金ありのiDeCo上限は62,000円からの差し引き
企業年金ありの会社員:月62,000円の枠のうち、iDeCoに使えるのは残り企業型DC事業主掛金DB等の掛金相当額iDeCoの上限(残り)62,000円公務員(国家・地方公務員共済)の例iDeCoの上限 54,000円共済掛金相当額 8,000円62,000円−8,000円
公務員の例の棒の長さは金額に比例(共済掛金相当額は月8,000円。私立学校教職員は月7,000円)。
確認方法:自分のiDeCo上限を調べるには

① 会社の人事部または総務部に「企業年金制度の加入状況」と、DB等がある場合の「他制度掛金相当額」を確認する
② 企業型DCに加入している場合は、記録関連運営管理機関(RK)の加入者専用サイトで、iDeCoの拠出可能見込み額を確認する
③ iDeCoの加入先(または加入を検討している金融機関)に、自分の上限を問い合わせる
⚠️ 自己判断で上限を超える額を申請すると受け付けられないおそれがあるため、不明な場合は金融機関に確認する

2026年12月分から掛金を増額する手続き:具体的なステップ

掛金を増やす前に、口座のある金融機関の条件を確認する

iDeCoは金融機関(運営管理機関)ごとに手数料と選べる運用商品が異なり、加入後に運営管理機関を変える場合は所定の手続きが必要になります。口座を開く前に条件を確認しておくと手戻りがありません。

松井証券のiDeCo

改正後の上限で拠出するには、掛金額の変更手続きが必要です。上限が上がっても、手続きをしなければ掛金は今のままです。

手続きの受付時期(2026年12月分・2027年1月引き落とし分)

厚生労働省のリーフレット(厚生労働省のリーフレット)には、2026年12月分(2027年1月口座引き落とし分)からの掛金額変更について、2026年9月頃からの受付を予定していると記載されています(運営管理機関によっては、すでに受付が始まっています)。オンライン手続きサービス「e-iDeCo」では、2026年12月1日〜24日の間に手続きができます(利用できるかどうかは運営管理機関によって異なります)。

同リーフレットは、手続きの内容によっては2026年12月分(2027年1月引き落とし分)の掛金額変更に反映できない場合があるとも注意しています。受付開始時期・締切は運営管理機関ごとに異なるため、加入先の案内で確認してください。

⚠️ 重要:受付時期と締切は加入先の運営管理機関で確認

受付開始時期・締切・手続きの方法は運営管理機関(金融機関)ごとに異なります。加入している金融機関の公式サイトやマイページで、自分の手続き方法と締切を確認し、余裕をもって手続きを完了させてください。間に合わない場合は、増額の反映が2026年12月分より後にずれることがあります(反映月は加入先の運営管理機関に確認してください)。

掛金増額の手続きフロー

  1. 企業年金加入状況を確認する(人事部・総務部に確認。「厚生年金のみ」なら62,000円が上限)
  2. 増額する掛金額を決める(上限まで増額できますが、60歳まで原則引き出せないため、生活費・緊急資金を考慮して無理のない額に設定)
  3. 加入先の運営管理機関の手続き画面を開く(マイページ・アプリ・書面など。方法は金融機関による)
  4. 掛金額の変更を申し込む(掛金は月5,000円以上、1,000円単位。上限の範囲内で設定。変更は原則年1回)
  5. 給与天引きで拠出している場合は会社の手続きも確認する(個人口座から引き落とす場合、事業主による証明は不要。給与天引きを希望する場合は事業主の証明が必要)
  6. 口座振替の引き落とし額が変わっているか確認する(2027年1月の引き落とし明細を確認)

iDeCoの優先度が変わる人:チェックリスト

以下は一般的な考え方の例であり、家計・所得・資金の使い道・加入中の企業年金によって適した配分は変わります。個別の判断は税理士やFP等に確認してください。

今回の改正で「企業型DCのiDeCo独立上限(月2万円)」が撤廃されることにより、企業型DC加入者のiDeCo活用が変わります。

iDeCoが引き続き有効になりやすい人

  • 企業年金なし会社員:月62,000円まで増額でき、掛金控除の額が大きくなる場合があります
  • 事業主の拠出額が月62,000円に満たない会社員:62,000円との差額の範囲でiDeCoを活用
  • 60歳以上70歳未満の人:国民年金の被保険者でなくても、一定の要件を満たせば加入可能(老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給すると加入できない)
  • 所得税率が23%以上の人:控除額が大きくなる場合があります
  • 新NISAで運用枠を使い切った人:iDeCoは追加の所得控除による節税で補完

iDeCoの優先度が下がることがある人

  • ⚠️ 事業主の拠出額(企業型DCの事業主掛金とDB等の他制度掛金相当額の合計)が月62,000円に達している会社員:合算上限に達しているためiDeCoを追加できない
  • ⚠️ iDeCoの60歳まで引き出し不可制限がネックな人:近い将来に資金が必要な場合は新NISAのほうが向く場合があります
  • ⚠️ 企業型DCのマッチング拠出(加入者掛金)を利用している会社員:マッチング拠出を利用しているとiDeCoには加入できないため、どちらを使うかを選ぶ必要がある

加入可能年齢が70歳未満に拡大:シニア層へのメリット

2026年12月改正のもう一つの変更点は加入できる年齢の拡大です。現行のiDeCoは国民年金の被保険者が対象で、第1号・第3号は60歳未満、第2号・第4号は65歳未満までです。2026年12月以降は、国民年金の被保険者でない60歳以上70歳未満の人(第5号加入者)も、次の要件を満たせば加入できます(厚生労働省のリーフレット)。

対象者加入できる年齢(2026年12月以降)条件
iDeCoの加入者・運用指図者だった人70歳未満国民年金の被保険者でなく、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給しておらず、マッチング拠出を実施していない
企業年金からiDeCoへ資産を移換する人70歳未満同上
上記のどちらにも当たらない60歳以上70歳未満の人2029年11月末までは加入可経過措置
国民年金の被保険者(第1号〜第4号)。第3号の上限は月23,000円のまま従来どおり(第1号・第3号は60歳未満、第2号・第4号は65歳未満)—

iDeCo改正と新NISAの組み合わせ戦略(2026年版)

iDeCoと新NISAはそれぞれ性質が異なるため、組み合わせが重要です。

iDeCo(改正後)vs 新NISA 徹底比較
iDeCo(改正後・企業年金なしの会社員は月最大62,000円)新NISA(年間最大360万円)
所得控除全額控除で節税効果大なし
年間上限最大744,000円(62,000円×12・企業年金なしの会社員)最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯の非課税保有限度額は1,800万円
引き出し60歳まで原則不可いつでも引き出し可能
運用益運用中は非課税(受取時は一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除)非課税
向き老後資金づくり・所得控除を重視する場合流動性・中期ライフイベント
iDeCo+新NISAの組み合わせ方の例(所得税率別)

※一般的な考え方の例であり、家計・所得・加入中の企業年金・資金の使い道によって適した配分は変わります。具体的な金額は税理士やFP等に確認してください。掛金の金額は説明用の例示で、算出根拠のある推奨額ではありません。
所得税率が10%以下の人: 新NISAを優先する考え方があります(積立投資枠は年120万円・月10万円まで)。iDeCoは例えば月10,000〜20,000円にとどめ、60歳まで引き出せないリスクを限定する方法です
所得税率20%の人: iDeCoを例えば月30,000〜50,000円にして所得控除を厚くし、残りを新NISAの成長投資枠に回す方法があります
所得税率23%以上の人: iDeCoを月62,000円まで使うと所得控除の効果が大きくなります(課税所得800万円・掛金控除後も23%の範囲なら、年744,000円で節税額は年約24.9万円=所得税・復興特別所得税約17.5万円+住民税約7.4万円。節税額は目安で、将来の運用成果を保証するものではありません)。新NISAも並行して活用

確定申告での手続き:iDeCo掛金控除の申告方法

会社員のiDeCo掛金は、通常は年末調整で処理されるため確定申告不要です。個人事業主・フリーランスは確定申告が必須となります。以下のケースでは、会社員でも確定申告で控除を受ける(または申告が必要になる)ことがあります。

  • 初回の払込が10月以降で、払込証明書が年末調整に間に合わなかった場合
  • 副業収入がある場合(確定申告で一緒にiDeCo控除を申告)
  • 会社が年末調整でiDeCo控除を失念した場合
  • 年収2,000万円を超える場合(年末調整の対象外)

払込証明書の記入方法(個人事業主・確定申告)

個人事業主・フリーランスが確定申告でiDeCo控除を申告する手順は以下の通りです。

  1. 毎年10月ごろから届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を準備(個人口座から払い込んでいる場合。初回の払込が10月以降の人は11月以降に届く)
  2. 確定申告書B 第二表の「小規模企業共済等掛金控除」欄に年間の払込額を記入(種類:「個人型年金加入者掛金(iDeCo)」)
  3. 確定申告書B 第一表の「小規模企業共済等掛金控除」欄に同額を転記
  4. 払込証明書を添付書類として提出(令和8年分を令和9年1月1日以後に提出する場合は、証明書の添付に代えて、一定の事項を記載した明細書を添付することもできます。詳しくは国税庁 No.1135)
払込証明書・帳簿処理・専門用語

紛失時:加入先の運営管理機関に再発行を申請(再発行申請書の提出が必要で、届くまで2週間程度かかります)。記載内容や発送時期の問い合わせは国民年金基金連合会のコールセンターへ。e-Tax利用者はマイナポータル連携で電子データを取得できる場合があります(電子データでの交付には別途申込みが必要)。
帳簿処理(個人事業主・事業用口座から引き落としの場合):iDeCoの掛金は事業経費ではなく個人の所得控除。帳簿には「借方:事業主貸 / 貸方:普通預金」として記録し、確定申告書の所得控除欄で控除を受ける。クラウド会計ソフトでは、所得控除の欄に掛金額を入力して申告書に反映できるものがある。
申告し忘れた場合:確定申告(還付申告)を行えば過去5年分まで遡って控除を受けられます。
小規模企業共済等掛金控除とは:iDeCoや小規模企業共済の掛金を所得から差し引ける制度。年末調整・確定申告書の同欄に掛金額を記入する。
掛金額の変更手続き:iDeCoの掛金額を変えるときは、加入先の運営管理機関で手続きする。掛金額の変更は原則年1回。

iDeCoの節税効果を高める5つのポイント

節税効果を高める5つのポイント
① 掛金を上限額まで拠出する節税効果は掛金に比例。生活資金に無理のない範囲で、上限額(企業年金なしの会社員は月62,000円、個人事業主は国民年金基金と合わせて月75,000円)まで拠出するのが基本。
② 拠出方法(毎月払い・年単位拠出)を確認するiDeCoは毎月拠出が原則ですが、年1回まとめて拠出する方法(年単位拠出)もあります。企業年金に加入している方や公務員は選べないほか、取り扱いや拠出のタイミングも運営管理機関によって異なるため、加入先で確認してください。
③ 低コストの運用商品を選ぶ信託報酬(運用コスト)の低いインデックスファンドを選ぶ。運用期間が長いほど、コストの差が積み重なる。
④ 運営管理機関の手数料が低い金融機関を選ぶ運営管理機関の手数料は金融機関ごとに異なります。ネット証券には運営管理機関の手数料を無料にしているところもありますが、国民年金基金連合会などに支払う手数料は別途かかります。加入先の手数料表で確認してください。
⑤ ふるさと納税との組み合わせに注意するiDeCoで課税所得が減少するため、ふるさと納税の控除上限額も連動して下がる。各ふるさと納税サイトのシミュレーターでiDeCoを考慮した正確な上限額を確認してから寄附を。

フリーランスの年金格差と老後資金3大制度比較

個人事業主・フリーランスは厚生年金に加入できないため、老齢年金は会社員の経験がなければ国民年金(老齢基礎年金)だけで、満額でも月70,608円(昭和31年4月2日以後生まれの場合・令和8年度。日本年金機構)にとどまります。この年金額の差を補う手段として、税制優遇のある3つの制度を比べておくと検討しやすくなります。

国民年金のみの夫婦 vs 会社員世帯モデルの年金額(令和8年度・月額)
2人分の老齢基礎年金(月額)老齢厚生年金(会社員世帯のモデルの上乗せ分)国民年金のみ(夫婦とも満額)月額141,216円(70,608円×2人分)会社員世帯のモデル月額237,279円(老齢厚生年金+2人分の老齢基礎年金)差額の目安:月約96,000円(年約115万円)
日本年金機構が示す令和8年度の年金額の例。会社員世帯のモデルは、平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5万円で40年間就業した場合の水準で、個々の年金額とは異なります。棒の長さは月額に比例。

老後資金3大制度の特徴と比較

iDeCo小規模企業共済国民年金基金
掛金上限月68,000円(2026年12月分から75,000円)※国民年金基金と合算月70,000円月68,000円(2026年12月分から75,000円)※iDeCoとの合算
税制メリット小規模企業共済等掛金控除(全額控除)小規模企業共済等掛金控除(全額控除)社会保険料控除(全額控除)
運用方法自己選択(投資信託・定期預金)中小企業基盤整備機構が運用(予定利率1.0%)全国国民年金基金など(給付額が加入時に確定)
中途引出し原則不可(60歳まで資金拘束)任意解約可能(20年未満は元本割れの可能性)・貸付制度あり原則不可(加入後の脱退不可)
受取形式60〜75歳の間・一時金または年金事業廃止・退職・老齢など、共済金の種類ごとに要件あり65歳から(終身年金が中心)
組み合わせ例の掛金控除と節税額
iDeCo小規模企業共済例1 小規模企業共済を厚めにする84万円27.6万円掛金控除 年111.6万円→ 年間節税 約34万円例2 両制度を同額にし、新NISAも併用48万円48万円掛金控除 年96万円→ 年間節税 約29万円新NISA 月30,000円は所得控除の対象外例3 iDeCoを厚めにする36万円90万円掛金控除 年126万円→ 年間節税 約38万円
棒の長さは年間の掛金額(月額×12)に比例。節税額は本文の目安(所得税率20%・住民税10%の範囲に収まる場合)。
iDeCo・小規模企業共済・新NISAの組み合わせ例

※一般的な考え方の例であり、家計・所得・資金の使い道・加入中の企業年金によって適した配分は変わります。掛金の金額は説明用の例示で、推奨額ではありません。具体的な配分は税理士やFP等に確認してください。節税額は、掛金控除の全額が所得税率20%(復興特別所得税込みで実効約20.4%)と住民税10%の範囲に収まる場合の目安です(合計で掛金の約30.4%)。
例1(小規模企業共済を厚めにする):小規模企業共済 月70,000円 + iDeCo 月23,000円 → 掛金控除は年111.6万円、年間節税は約34万円
例2(両制度を同額にし、新NISAも併用する):iDeCo 月40,000円 + 小規模企業共済 月40,000円 + 新NISA 月30,000円 → 掛金控除は年96万円、年間節税は約29万円(新NISAの運用益は非課税)
例3(iDeCoを厚めにする):iDeCo 月75,000円(2026年12月分から・国民年金基金に未加入の場合)+ 小規模企業共済 月30,000円 → 掛金控除は年126万円、年間節税は約38万円
⚠️ 事業を始めたばかりで資金繰りに不安がある場合は、貸付制度があり任意解約もできる小規模企業共済を先に検討する方法があります(小規模企業共済の詳しい仕組みは小規模企業共済の完全ガイドを参照)

iDeCoの受取時の税金:一時金vs年金の選び方

iDeCoには「拠出時」「運用時」「受取時」の3段階で税制優遇があります。特に受取時の選択を誤ると課税負担が増えるため、事前に理解しておくことが重要です。

一時金として受け取る場合(退職所得控除)

一時金として受け取る場合は「退職所得」として課税されます。退職所得控除が適用されるため、拠出期間に応じた退職所得控除が受けられます。

退職所得控除の計算式は、拠出期間(勤続年数に当たる期間)が20年以下なら「40万円 × 拠出期間(最低80万円)」、20年超なら「800万円 + 70万円 ×(拠出期間 − 20年)」です(国税庁 No.1420)。30年間加入なら退職所得控除は1,500万円となり、受取額がその範囲内であれば退職所得は生じず、所得税・住民税ともかかりません。

年金として受け取る場合(公的年金等控除)

年金として受け取る場合は「雑所得(公的年金等)」として課税されます。公的年金等控除が適用され、国民年金・厚生年金など他の公的年金等の収入と合算して計算します(控除額は年齢や年金収入の額、他の所得によって変わります。国税庁 No.1600)。受取額が大きいと他の年金と合わせて課税されることがあるため、受取方法を決める前に試算しておくと安心です。

一時金+年金の併用方式が有利になるケース

退職所得控除の範囲内を一時金で受け取り、残りを年金で受け取る「併用方式」が有利になるケースもあります。個人の資産状況・他の退職金・公的年金の受取額によって最適解が異なるため、受取開始の数年前に税理士やFPに相談することをお勧めします。

⚠️ 令和8年1月1日以後の受取り:退職所得控除の調整期間の注意点

令和7年度税制改正により、令和8年1月1日以後に受け取ったiDeCoなどの確定拠出年金の老齢一時金については、会社の退職金を受け取る年の前年以前9年内にiDeCoの一時金を受け取っている場合、退職所得控除の計算で勤続期間などの重複を調整する対象になります(財務省「令和7年度税制改正の大綱」)。iDeCoの一時金を先に受け取って退職金を後から受け取る場合は、退職金を受け取る年の前年以前9年内にiDeCoの一時金を受け取っていなければ(受け取る年を10年以上離せば)、この調整の対象になりません。退職金を先に受け取ってiDeCoを後に受け取る場合は別の期間で判定されます。詳細は退職所得控除「10年ルール」完全解説を参照してください。

よくある質問(FAQ)

2026年12月から自動的に62,000円になりますか?

なりません。掛金額の変更手続きが必要で、手続きしなければ掛金は今のままです。2026年12月分(2027年1月引き落とし分)から増額するには、加入先の運営管理機関の受付時期と締切を確認して早めに手続きしてください。e-iDeCoでは2026年12月1日〜24日に手続きできますが、手続きの内容によっては2026年12月分に間に合わない場合があります。

途中で掛金を下げることはできますか?

できます。iDeCoの掛金額の変更は原則として年1回です。増額後に家計が厳しくなったら、最低掛金の月5,000円まで下げることも可能ですが、同じ期間内にすでに変更している場合は再度変更できないことがあります。そのため、無理のない範囲で設定しておき、余裕ができたら増額するのが安全な方法です。

企業型DCに加入しているか分からない場合は?

会社の人事部・総務部に確認するのが最確実です。企業型DCに加入している場合は、記録関連運営管理機関(RK)の加入者専用サイトでiDeCoの拠出可能見込み額を確認できます。不明な場合は加入している金融機関のサポートセンターに相談することもできます。

iDeCoの60歳引き出し制限が心配です。新NISAとどちらを優先すべきですか?

一般的な考え方の一例として、老後資金のように当面使わない見込みの資金はiDeCoで所得控除を受けながら運用し、住宅や教育などで使う時期が近い資金は、いつでも引き出せる新NISAで流動性を確保するという分け方があります。ただし、資金が必要になる時期や金額、年齢、他の資産によって適した配分は異なります。具体的には税理士やFP等に確認してください。

自営業者・フリーランスも今回の改正の影響を受けますか?

はい、受けます。第1号被保険者(自営業者等)の掛金上限が月68,000円から月75,000円(年額900,000円)に、月7,000円(年84,000円)引き上げられます。iDeCoと国民年金基金の合算上限なので、国民年金基金に加入している方は合算で75,000円までの範囲で配分します(国民年金の付加保険料を納めている場合は、その分も合算の対象です)。課税所得500万円(所得税率20%)の人なら、7,000円分の増額による節税の増加は年約2.6万円が目安です(独自試算・前提は前述)。

iDeCoと小規模企業共済はどちらを先に始めるべきですか?(個人事業主向け)

事業を始めて間もない方は、小規模企業共済を先に検討する方法があります。小規模企業共済は任意解約ができ(掛金納付月数が短いと元本割れの可能性があります)、貸付制度も利用できるため、資金繰りの柔軟性が高いからです。事業が安定してきたらiDeCoを追加する考え方もありますが、どちらが適するかは事業の状況によって異なるため、迷う場合は税理士等に確認してください。

国民年金基金とiDeCoはどちらが有利ですか?

一概にどちらが有利とは言えません。iDeCoは①運用商品を自分で選べる、②運営管理機関を選べる、という自由度があり、運用成績によって受取額が変わります。国民年金基金は掛金に応じた年金額が事前に決まる点が特徴です。受取額を確定させたい方は国民年金基金、運用の自由度を重視する方はiDeCoが向いています。なお、iDeCoと国民年金基金の掛金は合算で月68,000円(2026年12月分から75,000円)が上限です。

iDeCoを受け取るとき、一時金と年金どちらが得ですか?

退職所得控除の範囲内に収まる場合は、一時金の方が税負担を抑えやすくなります。30年加入の場合、退職所得控除は1,500万円となり、受取額がその範囲内であれば所得税・住民税ともかかりません。ただし、会社の退職金を受け取る年との間隔によっては退職所得控除が調整されることがあります(令和8年1月1日以後に受け取るiDeCoの一時金は、退職金を受け取る年の前年以前9年内の受取りが対象)。具体的な金額は受取前に税理士に相談することをお勧めします。

iDeCoの掛金は経費にできますか?

いいえ、iDeCoの掛金は事業の経費にはなりません。あくまで個人の所得控除(小規模企業共済等掛金控除)として処理します。帳簿上は「事業主貸」として処理し、確定申告書の所得控除欄で控除を受けます。クラウド会計ソフトでは、所得控除の欄に金額を入力して申告書に反映できるものがあります。

収入が不安定な場合でもiDeCoに加入すべきですか?

収入が不安定な場合は、掛金を最低額(月額5,000円)から始める方法があります。掛金額の変更は原則年1回で、拠出をやめる場合は加入者資格を喪失して運用指図者になる手続きが必要です(再開するときは再加入の手続きになります)。原則60歳まで引き出せない点は変わらないため、生活費や急な出費への備えを確保してから加入を検討しましょう。備えの額は家計によって異なります。

まとめ:2026年12月改正でiDeCoを最大活用するための3ステップ

STEP
企業年金加入状況を確認する

人事部または総務部に「企業年金制度(DB・企業型DC)への加入状況」を確認。企業年金がなければ月62,000円まで拠出可能で、企業年金ありの場合は企業年金等と合わせて月62,000円が上限です。個人事業主は国民年金基金と合わせて月68,000円(2026年12月分から75,000円)が上限。

STEP
金融機関へ掛金変更届を提出する

加入先の運営管理機関で掛金額の変更を申し込みます。受付時期と締切は金融機関ごとに異なり、手続きの内容によっては2026年12月分(2027年1月引き落とし分)に間に合わない場合があります。e-iDeCoは2026年12月1日〜24日に手続き可能です。早めに加入先の案内を確認してください。

STEP
節税シミュレーションで掛金額を設定し確定申告で控除を申告する

上記の試算表で自分の所得税率に近い行の節税額を確認し、生活費や急な出費への備えを残した上で、無理のない掛金額を設定。個人口座から払い込んでいる場合は毎年10月ごろから届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を保管し、年末調整(会社員)または確定申告書B(個人事業主)の「小規模企業共済等掛金控除」欄に記入します(会社の給与天引きの場合は、証明書が発行されないことがあります)。

iDeCoの掛金上限の引き上げは、企業年金のない会社員にとって、これまでの月23,000円から月62,000円へと大きく広がる改正です。課税所得500万円(所得税率20%)なら、掛金を月62,000円に増やすと年間の節税額は約14.2万円増え、10年間では約142万円の差になります(独自試算)。個人事業主・フリーランスも2026年12月分から月75,000円(国民年金基金と合算)まで上限が上がります。小規模企業共済(月70,000円まで)と併用して掛金控除が年174万円になる場合、控除額の全額が税率20%の範囲に収まるなら、年間の節税額は約53万円が目安です。加入先の手続きの受付時期を確認し、無理のない掛金額を設定しましょう。


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この記事を書いた人

イザーク|公認会計士試験合格者

Big4監査法人・税理士法人での実務経験と財務省での勤務経験を持ち、税務・会計の実務に精通。国税庁・財務省などの一次ソースに基づいて解説します。詳しい経歴はプロフィール・公認会計士試験受験記をご覧ください。

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本記事は執筆時点の情報提供を目的としたものです。個別の取扱いは税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。
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