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【2026年版】減価償却の仕組みと計算方法|個人事業主・法人の節税に活用する完全ガイド

事業で使用するパソコンや車、設備機器などの高額な資産は、購入した年に全額を経費にすることはできません。これらの資産は「減価償却」という仕組みにより、耐用年数に応じて数年間にわたって経費化していきます。

減価償却は経理処理の中でも特に理解が難しい分野ですが、正しく理解すれば節税に大きく活用できます。本記事では、減価償却の基本的な仕組みから、定額法・定率法の計算方法、主な資産の耐用年数一覧、節税に活用するための具体的なテクニックまでを完全解説します。

目次

減価償却とは?基本の仕組み

減価償却とは、時間の経過とともに価値が減少する資産(減価償却資産)の取得費用を、その資産を使用する期間にわたって分割して経費計上する会計処理のことです。

なぜ一括で経費にできないのか

例えば、事業用に100万円のパソコンを購入した場合を考えてみましょう。このパソコンは購入した年だけでなく、3年、4年と使い続けます。会計の「費用収益対応の原則」では、収益を得るために使った費用は、その収益が得られた期間に対応させて計上すべきとされています。

つまり、4年間使うパソコンの費用は4年間にわたって経費化するのが正しい処理であり、これが減価償却の基本的な考え方です。

減価償却の対象となる資産

減価償却の対象となるのは、以下の要件をすべて満たす資産です。

  • 事業の用に供していること(事業で使用していること)
  • 時間の経過により価値が減少すること
  • 取得価額が10万円以上であること
  • 使用可能期間が1年以上であること

具体的には以下のような資産が対象です。

  • 建物・建物附属設備:事務所、店舗、内装工事
  • 機械装置:製造設備、加工機械
  • 車両運搬具:自動車、バイク
  • 工具器具備品:パソコン、プリンター、エアコン、デスク
  • ソフトウェア:業務用ソフト、会計ソフト

減価償却の対象にならない資産

  • 土地:時間が経過しても価値が減少しないため
  • 骨董品・美術品(取得価額100万円以上のもの)
  • 借地権
  • 取得価額10万円未満の資産:全額をその年の経費に計上

減価償却の計算方法:定額法と定率法

減価償却の計算方法には主に「定額法」「定率法」の2つがあります。

定額法

定額法は、毎年同じ金額を経費計上する方法です。計算式は以下の通りです。

年間の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

計算例:取得価額100万円、耐用年数4年のパソコンの場合
→ 償却率 = 1 ÷ 4年 = 0.250
→ 年間の減価償却費 = 1,000,000円 × 0.250 = 250,000円
→ 4年間にわたって毎年25万円を経費計上

定額法は計算がシンプルで、個人事業主の法定償却方法です。届出をしなければ自動的に定額法が適用されます。

定率法

定率法は、資産の帳簿価額(未償却残高)に一定の率を掛けて計算する方法です。初年度の償却額が最も大きく、年々減少していきます。

年間の減価償却費 = 期首帳簿価額 × 定率法の償却率

計算例:取得価額100万円、耐用年数4年(定率法の償却率0.500)のパソコンの場合

  • 1年目:1,000,000円 × 0.500 = 500,000円
  • 2年目:500,000円 × 0.500 = 250,000円
  • 3年目:250,000円 × 0.500 = 125,000円 → 改定償却率適用で均等償却に切替
  • 4年目:残額を最終年度に一括償却(備忘価額1円を残す)

定率法は早い段階で多くの経費を計上できるため、利益が大きい年に有利です。法人の法定償却方法として採用されています(建物・建物附属設備・構築物を除く)。

定額法と定率法の比較

以下に、両者の特徴をまとめます。

  • 定額法:毎年一定額を経費化。計算がシンプル。利益が安定している事業向き。個人事業主の法定方法。
  • 定率法:初期に多く経費化し、徐々に減少。早期に節税効果を得たい場合に有利。法人の法定方法(一部資産除く)。

個人事業主が定率法を使用したい場合は、所轄税務署に「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出する必要があります。

主な資産の耐用年数一覧

減価償却の計算に必要な耐用年数は、税法で資産の種類ごとに定められています。以下に、個人事業主がよく使う資産の耐用年数をまとめました。

器具備品(事務機器)

  • パソコン(サーバー以外):4年
  • サーバー用パソコン:5年
  • コピー機・プリンター:5年
  • 電話機・FAX:6年
  • エアコン:6年
  • 金属製デスク・チェア:15年
  • 応接セット(革張り以外):5年
  • 冷蔵庫:6年
  • テレビ:5年

車両運搬具

  • 普通自動車:6年
  • 軽自動車:4年
  • バイク(排気量125cc超):3年
  • 自転車:2年

建物・建物附属設備

  • 鉄骨鉄筋コンクリート造(事務所用):50年
  • 木造(事務所用):24年
  • 内装工事(木造):建物の耐用年数による

ソフトウェア

  • 自社利用のソフトウェア:5年
  • 複写して販売するソフトウェア:3年

節税に活用する5つのテクニック

テクニック1:少額減価償却資産の特例(30万円未満)

青色申告を行う中小企業者等(個人事業主含む)は、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、取得した年に全額を経費計上できる特例があります。年間合計300万円が上限です。

活用例:29万円のパソコンを購入した場合、通常なら4年間にわたって減価償却するところを、この特例を使えば購入年に29万円全額を経費化できます。

テクニック2:一括償却資産(10万円以上20万円未満)

取得価額が10万円以上20万円未満の資産は、通常の耐用年数にかかわらず3年間で均等に償却できる「一括償却資産」の制度があります。白色申告の方でも利用可能です。

活用例:15万円のプリンターを購入した場合
→ 通常の耐用年数(5年)では毎年3万円の経費
→ 一括償却資産なら毎年5万円の経費(3年で償却完了)

テクニック3:中古資産の耐用年数を活用

中古資産は新品より耐用年数が短くなるため、同じ取得価額でも1年あたりの償却額が大きくなります。中古資産の耐用年数は以下の計算式で算出します。

法定耐用年数をすべて経過している場合
耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%(2年未満は2年に切り上げ)

法定耐用年数の一部を経過している場合
耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%

活用例:4年落ちの中古普通自動車(法定耐用年数6年)を購入した場合
→ 耐用年数 =(6年 − 4年)+ 4年 × 20% = 2年 + 0.8年 = 2年(端数切捨て)
→ 新車なら6年かかる償却が、わずか2年で完了

テクニック4:年末の駆け込み購入

減価償却費は月割り計算が原則です。12月に取得した資産は、その年の減価償却費として1ヶ月分しか計上できません。ただし、少額減価償却資産の特例(30万円未満)を使えば、12月購入でも全額をその年の経費にできます。

したがって、年末に設備投資を行う場合は、30万円未満の資産に分割して購入するか、少額減価償却資産の特例を活用することが節税のポイントです。

テクニック5:固定資産の除却・廃棄

使用しなくなった固定資産がある場合、除却処理を行うことで未償却残高(帳簿価額)を除却損として一括経費計上できます。

古いパソコンや使っていない設備があれば、年末までに除却処理を行いましょう。廃棄する場合は廃棄証明書を取得し、除却の事実を証明できるようにしておくことが重要です。

年度途中で取得した場合の計算(月割り計算)

年度の途中で取得した減価償却資産は、使用開始月から12月までの月数分を月割りで計算します。

計算例:7月に取得価額60万円(耐用年数4年、定額法)の資産を購入した場合
→ 年間の償却費 = 600,000円 × 0.250 = 150,000円
→ 1年目の償却費 = 150,000円 × 6ヶ月/12ヶ月 = 75,000円

なお、法人の場合は事業年度の月数に応じて計算しますが、個人事業主は暦年(1月〜12月)で計算します。

減価償却に関する届出と手続き

償却方法の届出

個人事業主の法定償却方法は定額法です。定率法を選択したい場合は、「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。提出期限は、その資産を取得した年の確定申告期限(翌年3月15日)までです。

固定資産台帳の作成

減価償却資産は固定資産台帳に記録し、管理する必要があります。台帳には以下の情報を記載します。

  • 資産の名称・種類
  • 取得年月日
  • 取得価額
  • 耐用年数
  • 償却方法
  • 各年度の償却費と期末帳簿価額

クラウド会計ソフトには固定資産台帳の管理機能が標準で備わっているものが多く、資産情報を入力するだけで減価償却費の自動計算と仕訳の自動作成が行われます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 10万円ちょうどのパソコンは減価償却が必要ですか?

10万円未満の資産は全額をその年の経費(消耗品費等)に計上できます。10万円以上の場合は減価償却が必要です。つまり、10万円ちょうどのパソコンは減価償却の対象となります。ただし、青色申告者は少額減価償却資産の特例で全額即時経費にすることが可能です。

Q2. 自宅兼事務所で使っているパソコンの減価償却はどうなりますか?

事業とプライベートの両方で使用しているパソコンの場合、家事按分を行います。まず通常通り減価償却費を計算し、その金額に事業使用割合を掛けた金額を経費に計上します。例えば、年間の減価償却費が25万円で、事業使用割合が70%の場合、175,000円(250,000円 × 70%)を経費に計上します。

Q3. 減価償却を忘れた年がある場合、後からまとめて計上できますか?

個人事業主の場合、減価償却は強制償却です。つまり、申告の有無にかかわらず毎年自動的に償却が進みます。過去に減価償却費の計上を忘れた場合、更正の請求(申告から5年以内)で修正できる場合がありますが、遡及して計上することはできません。減価償却費は毎年確実に計上しましょう。

Q4. リースした資産は減価償却の対象になりますか?

リースには「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」があります。ファイナンスリースの場合は売買処理として資産計上し減価償却を行います。オペレーティングリースの場合はリース料を毎月経費に計上するため、減価償却は行いません。個人事業主の場合、リース資産の取得価額が300万円以下であれば賃貸借処理(リース料を経費計上)も認められています。

関連サービス

減価償却の計算と固定資産管理を効率化するクラウド会計サービスをご紹介します。

freee会計

固定資産の登録から減価償却費の自動計算、仕訳の自動作成まで一元管理できるクラウド会計ソフト。少額減価償却資産の特例にも対応しており、資産情報を入力するだけで最適な償却方法を自動判定します。固定資産台帳の出力にも対応しています。

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まとめ

減価償却は一見複雑に感じる処理ですが、基本的な仕組みと計算方法を理解すれば、節税に大きく活用できます。本記事のポイントを整理します。

  1. 10万円以上の事業用資産は減価償却の対象となる
  2. 個人事業主は定額法、法人は定率法が法定方法
  3. 少額減価償却資産の特例(30万円未満)を活用して即時経費化
  4. 中古資産は耐用年数が短く、早期の経費化が可能
  5. 固定資産台帳の管理はクラウド会計ソフトで自動化がおすすめ

年末は固定資産の棚卸しと減価償却費の計算を行う重要な時期です。不要な固定資産の除却処理や、少額減価償却資産の特例を活用した駆け込み購入など、計画的に節税対策を実行しましょう。

※本記事は2026年12月時点の税制に基づいて作成しています。税制は毎年改正される可能性がありますので、最新の情報は国税庁のウェブサイトや税理士にご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。具体的な減価償却の処理については、税理士等の専門家にご相談ください。


免責事項:本記事の内容は執筆時点の法令・制度に基づいて作成しています。税制は毎年改正される可能性があるため、最新の情報は国税庁のウェブサイトでご確認ください。具体的な税務判断については、税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。本記事にはアフィリエイトリンクが含まれていますが、記事の内容は独自の調査・分析に基づくものです。

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