「103万円の壁」「150万円の壁」——パートで働く配偶者がいる家庭にとって、これらの言葉は馴染み深いのではないでしょうか。
配偶者控除・扶養控除は、家族を養っている納税者の税負担を軽減する制度です。正しく理解し申告することで、年間数万円〜十数万円の節税につながります。
この記事では、2026年の最新制度に基づき、配偶者控除・扶養控除の仕組みから年末調整での申告方法まで、「壁」の意味も含めて完全に解説します。
配偶者控除の仕組み
配偶者控除とは
配偶者控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合103万円以下)の場合に受けられる所得控除です。
控除額は納税者本人の所得に応じて以下の通りです。
- 合計所得900万円以下:38万円
- 合計所得900万円超950万円以下:26万円
- 合計所得950万円超1,000万円以下:13万円
配偶者が70歳以上の場合は「老人控除対象配偶者」となり、控除額がさらに増額されます(48万円・32万円・16万円)。
配偶者特別控除とは
配偶者の所得が48万円を超えても133万円以下であれば、配偶者特別控除を受けられます。これは配偶者控除の対象外となる配偶者がいる場合の救済措置です。
配偶者の所得が増えるにつれて控除額は段階的に減少し、133万円(給与収入201.6万円未満)を超えると控除はゼロになります。
「壁」の正体を徹底解説
103万円の壁
103万円の壁は、配偶者の給与収入が103万円を超えると配偶者控除(最大38万円)の対象外になるラインです。
ただし、103万円を超えても配偶者特別控除が適用されるため、いきなり大きな増税にはなりません。実際の影響は以下の通りです。
- 配偶者の給与収入103万円以下 → 配偶者控除38万円
- 配偶者の給与収入103万円超〜150万円以下 → 配偶者特別控除38万円(満額)
- 配偶者の給与収入150万円超〜201.6万円未満 → 配偶者特別控除(段階的に減少)
- 配偶者の給与収入201.6万円以上 → 控除なし
150万円の壁
150万円の壁は、配偶者特別控除の満額(38万円)が維持される上限です。配偶者の給与収入が150万円を超えると、控除額が段階的に減少し始めます。
つまり、配偶者控除の観点では103万円ではなく150万円が実質的な壁となっています。
130万円の壁(社会保険の壁)
税制上の壁とは別に、社会保険の壁も重要です。配偶者の年収が130万円を超えると、配偶者自身が社会保険に加入する必要があり、手取りが大幅に減少する可能性があります。
2024年10月からは、従業員51人以上の企業で働くパート・アルバイトの社会保険適用が拡大され、年収106万円が新たな壁となっています。
各「壁」のまとめ
- 103万円の壁:配偶者控除→配偶者特別控除に切り替わるライン
- 106万円の壁:社会保険加入義務が生じるライン(一定規模以上の企業)
- 130万円の壁:社会保険の扶養から外れるライン
- 150万円の壁:配偶者特別控除の満額が維持される上限
- 201.6万円の壁:配偶者特別控除がゼロになるライン
扶養控除の仕組み
扶養控除とは
扶養控除は、16歳以上の扶養親族がいる場合に受けられる所得控除です。扶養親族の年齢によって控除額が異なります。
- 一般の控除対象扶養親族(16〜18歳):38万円
- 特定扶養親族(19〜22歳):63万円
- 一般の控除対象扶養親族(23〜69歳):38万円
- 老人扶養親族(70歳以上・同居):58万円
- 老人扶養親族(70歳以上・別居):48万円
扶養親族の要件
扶養控除の対象となるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 納税者と生計を一にしていること(同居でなくても仕送りしていれば可)
- 合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)
- 青色申告の事業専従者でないこと
- 他の人の扶養親族になっていないこと
離れて暮らす親を扶養に入れる
実家の親が70歳以上で所得が48万円以下の場合、同居していなくても仕送りをしていれば扶養親族として申告できます。老人扶養親族(別居)として48万円の控除を受けられます。
所得税率20%の方なら、年間約96,000円(所得税48,000円+住民税48,000円)の節税になります。
年末調整での申告方法
配偶者控除の申告手順
- 「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 年金等所得者の基礎控除申告書」を入手
- 配偶者控除等申告書の欄に配偶者の氏名・生年月日・所得の見積額を記入
- 配偶者の所得に応じた控除額を計算して記入
- 会社に提出
記入時の注意点として、配偶者の「収入」と「所得」を混同しないよう気をつけましょう。パート収入100万円の場合、給与所得控除55万円を引いた所得は45万円です。
扶養控除の申告手順
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を入手
- 控除対象扶養親族の欄に扶養親族の氏名・続柄・生年月日・所得見積額を記入
- 該当する区分(特定扶養・老人扶養等)にチェック
- 会社に提出
年の途中で変更があった場合
結婚・離婚・出産・家族の就職や退職などにより扶養親族の状況が変わった場合は、速やかに「扶養控除等(異動)申告書」を修正して会社に再提出しましょう。
配偶者控除・扶養控除を最大限活用するためのポイント
配偶者の収入を把握する
配偶者の年間収入額を正確に把握し、控除額を最大化できる働き方を検討しましょう。税制上は150万円以下なら配偶者特別控除が満額ですが、社会保険の壁(130万円)も考慮する必要があります。
離れて暮らす親の扶養を検討する
実家の親が年金暮らしで所得が少ない場合、扶養に入れることで大きな節税効果があります。仕送りの実績(銀行振込記録など)を残しておくと安心です。
クラウド会計ソフトで管理する
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では、年末調整の電子化に対応しています。配偶者や扶養親族の情報を登録しておけば、毎年の年末調整がスムーズになります。
よくある質問(FAQ)
Q1:配偶者のパート収入が103万円を少し超えた場合、大きく損しますか?
A:大きくは損しません。103万円を超えても配偶者特別控除が適用され、150万円までは控除額38万円(満額)が維持されます。ただし、社会保険の壁(106万円・130万円)には注意が必要です。
Q2:共働き夫婦の場合、扶養控除はどちらが申告すべきですか?
A:子どもや親の扶養控除は、所得が高い方が申告するのが税率の関係で有利です。ただし、同じ扶養親族を夫婦で二重に申告することはできません。
Q3:大学生の子どものアルバイト収入が103万円を超えそうです。どうなりますか?
A:子どものアルバイト収入が103万円(所得48万円)を超えると、特定扶養親族控除(63万円)の対象外となります。所得税率20%の方の場合、約189,000円(所得税+住民税)の増税になるため、収入管理が重要です。
Q4:年金受給中の親を扶養に入れられますか?
A:親の年金収入が158万円以下(65歳以上の場合、公的年金等控除110万円を差し引いた所得が48万円以下)であれば、扶養控除の対象になります。
まとめ
- 配偶者控除は配偶者の所得48万円以下(給与収入103万円以下)で最大38万円
- 配偶者特別控除は150万円まで満額38万円が維持される
- 103万円の壁の実質的な影響は小さい。130万円・150万円の壁がより重要
- 扶養控除は年齢により38〜63万円。特定扶養親族(19〜22歳)は63万円
- 離れて暮らす親も仕送りしていれば扶養に入れられる
- 年末調整の書類は「収入」と「所得」を区別して正確に記入
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免責事項
本記事の内容は2026年10月時点の情報に基づいて作成しています。税制は毎年改正される可能性があるため、最新の情報は国税庁の公式サイトまたは税理士にご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。具体的な税務判断については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。
