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【2025年版】所得税法の「収入金額」計上ルール完全ガイド – 発生主義と権利確定主義を徹底解説!

目次
この記事でわかること
  1. 所得税法における「収入金額」の基本的な考え方がわかる
  2. 発生主義(権利確定主義)の3つの要件と適用方法がわかる
  3. 取引種類別の収入計上タイミングの違いがわかる
  4. 実務で役立つ発生主義の例外と特例を理解できる
  5. 収入計上でよくある税務調査の指摘事項と対応方法がわかる

所得税の確定申告において、「収入金額」をいつ計上するかは非常に重要なポイントです。実際にお金を受け取ったタイミングではなく、「権利が確定したタイミング」で計上するという発生主義の考え方は、多くの方にとって意外と難しいものです。

この記事では、所得税法における収入金額の考え方と発生主義の原則について、実務経験豊富な公認会計士試験合格者の視点からわかりやすく解説します。

ぜいむたん
あの…確定申告で収入を計上するタイミングって、お金が振り込まれた日でいいんですか?まだもらってないお金も申告しないといけないって聞いて混乱しています…
ゆーた
そういう疑問、めっちゃ多いねん!結論から言うとな、所得税では基本的に「お金をもらう権利が確定した時点」で収入計上せなあかんねん。これを発生主義(権利確定主義)言うんやで。
ぜいむたん
えっ!振り込みを受けてなくても計上が必要なんですか?それって大変じゃないですか…
ゆーた
そう思うよな。でもこれが所得税法のルールやねん。今日はこの「発生主義」の考え方と実務での対応方法をしっかり解説するわ!詳しくは国税庁のタックスアンサーも参考になるで!

「収入金額」の基本的な考え方(所得税法における原則)

所得税法では、1年間(1月1日から12月31日まで)の間に「収入すべきことが確定した金額」に基づいて所得を計算します。

この「収入すべきことが確定した金額」という考え方が「発生主義(権利確定主義)」と呼ばれるものです。

ぜいむたん
「収入すべきことが確定した金額」って具体的にはどういう意味なんでしょうか?
ゆーた
これは法律用語やけど、簡単に言うと「お金をもらう権利が確定した時点で収入になる」ってことやねん。例えば、仕事が完了して請求書を出した時点で、まだ実際にお金が入ってなくても収入として計上せなあかんわけや。

所得税法第36条第1項では以下のように規定されています。

所得税法第36条第1項

「その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。」

ぜいむたん
難しい言葉ですね…要するに「もらえるはずのお金は、実際にもらっていなくても収入として計算しなさい」ということなんですね?
ゆーた
そのとおり!よう理解できてるやん。法律の言葉は難しいけど、要は「お金をもらう権利が確定したら、その時点で収入」ってことやねん。

発生主義(権利確定主義)の3つの要件

発生主義で収入を計上するためには、次の3つの要件がすべて満たされていることが必要です。

発生主義の3つの要件

  1. 収入を受け取る権利が確定していること
    契約の締結や業務の完了など、報酬を受け取る権利が法的に確定している状態であること
  2. 収入を受け取るべき事実が発生していること
    商品の引き渡しやサービスの提供が完了するなど、対価を得るための行為が完了していること
  3. 収入金額が確定していること
    契約書や請求書など、受け取るべき金額が明確に確定していること
ぜいむたん
3つの要件が揃ったときに収入として計上するんですね。例えば、仕事は終わったけど、まだ金額が決まっていない場合はどうなりますか?
ゆーた
ええ質問やね!その場合は3つ目の「収入金額が確定していること」という要件を満たしてへんから、まだ収入計上せんでええねん。金額が確定した時点で収入計上することになるわ。それならfreeeの会計知識ベースも参考になるで!
ぜいむたん
なるほど!では反対に、前金としてお金をもらったけど、まだ仕事を始めていない場合はどうなりますか?
ゆーた
その場合は2つ目の「収入を受け取るべき事実が発生していること」という要件を満たしてへんから、前受金として処理して、実際に仕事が完了した時点で収入計上することになるねん。ただし、例外もあるから注意が必要やで。

取引種類別の収入計上タイミング

発生主義の原則に基づいて、取引の種類ごとに収入を計上するタイミング(収益認識のタイミング)が異なります。

取引の種類計上するタイミング(発生主義)具体例
商品の販売商品を引き渡した日ネットショップでの商品発送日
物の引渡しを伴う請負完成した物を引き渡した日オーダーメイド家具の納品日
役務(サービス)の請負サービス提供が完了した日コンサルティングの報告書提出日
不動産の賃貸契約等で定められた支払日家賃の支払期日
利子・配当支払期日株式配当金の効力発生日
著作権使用料計算期間終了後の支払期日出版物の印税支払日
ぜいむたん
フリーランスのWebデザイナーの場合、デザインを納品した日が収入計上日になるんですね。請求書の発行日ではないんですか?
ゆーた
そのとおり!納品した日が基本やね。請求書の発行日ではないから注意してな。例えば12月20日に納品して、請求書を1月10日に出したとしても、収入計上は12月20日になるんやで。
ぜいむたん
え!それって、実際のお金の動きと税金の計算がずれてしまいますね…大変そうです。
ゆーた
そう思うよな。特に年をまたぐ場合は気をつけな。12月納品で翌年1月入金やと、キャッシュが入ってへん12月に税金の計算をせなあかんから、資金繰りが苦しくなるかもしれんね。

実践例で理解する発生主義

以下の例で具体的に考えてみましょう。

事例収入計上時期理由
12月25日にシステム開発を完了・納品、請求書発行は翌年1月5日、入金は1月20日12月25日サービス提供完了日が12月25日のため、12月分の収入となる
1月に1年分の顧問料300万円を一括前払いで受領毎月25万円ずつ計上継続的なサービス提供のため、役務提供期間に応じて按分して計上
12月15日に商品を出荷したが、お客様の手元に届いたのは翌年1月5日12月15日商品の出荷日(引渡日)が収入計上日となる
ゆーた
実は僕が新人の頃にあった実例でな、お客さんから「12月納品の報酬は翌年1月に入金されるから、来年の収入にしよう」って言われたことがあってん。でも税務上はアウトやからきっぱり断ったわ。
ぜいむたん
そういうケースもあるんですね!でもそれって脱税になってしまうんですか?
ゆーた
そのとおり!発生主義を無視して都合よく収入計上時期をずらすのは、れっきとした脱税行為になるねん。税務調査で厳しく指摘される部分やから気をつけてな。

発生主義の注意点と実務上の対応

発生主義を適用する際の注意点と実務上の対応方法について解説します。

実際にお金を受け取っていなくても課税対象になる

発生主義の最大の特徴は、実際にお金を受け取っていなくても、権利が確定した時点で収入として計上しなければならないという点です。

  • 特に年末の案件に注意
    12月納品の場合、翌年1月に入金があっても12月の収入として計上する必要がある
  • 事前対策が重要
    年末の駆け込み案件は納品を1月にズラせるよう事前に調整しておく
  • 入金サイトの交渉
    毎月の資金繰りを考えて、納品後の入金サイトを短くしてもらう交渉も大切

回収不能になったらどうなるの?

発生主義に基づいて収入計上した後、取引先の倒産などで売掛金が回収できなくなった場合の処理についても理解しておく必要があります。

  • 貸倒損失として経費計上可能
    回収不能が確定した場合は「貸倒損失」として経費計上できる
  • 証明資料の保管が必須
    「本当に回収できないこと」を証明できる資料(取引先の閉鎖証明書など)を保管しておく
  • 要件は厳格
    貸倒損失の計上は条文や通達上は認められているが、実務上は相当要件が厳しい

発生主義の例外(特例)

所得税法では、原則として発生主義を採用していますが、例外的に「現金主義」が認められるケースもあります。

小規模事業者の現金主義選択

次の要件をすべて満たす小規模事業者は、「現金主義」(実際に現金を受け取った時点で収入計上する方法)を選択することができます。

  • 前々年分の事業所得及び不動産所得の合計金額が300万円以下であること
  • 青色申告者であること
  • 所轄税務署長の承認を受けていること

申請手続きが必要:現金主義を選ぶ場合は「現金主義による所得計算の特例承認申請書」を提出する必要があり、いったん選んだら簡単には変更できないので注意が必要です。

収入計上でよくある税務調査の指摘事項

税務調査では、収入計上のタイミングについて多くの指摘が行われています。実際の事例をもとに、注意すべきポイントを解説します。

ゆーた
僕が税務調査に立ち会った経験から言うと、年度またぎの取引で収入計上漏れを指摘されるケースが多いんやで。特に12月納品・翌年1月請求のパターンは要注意や!
よくある指摘事項正しい処理
年末の納品を翌年の収入として計上している商品・サービスを提供した年に収入計上する
請求書の発行時期で収入を計上している請求書の発行日ではなく、権利確定日で計上する
未請求の完了業務を収入計上していない請求の有無にかかわらず、完了した業務は収入計上する
前受金をすべて収入計上しているサービス提供前の前受金は、提供時まで収入計上しない
関連会社間で恣意的に収入計上時期を操作している取引の実態に合わせて適正に収入計上する
ぜいむたん
税務調査って怖いですね…どうやって準備しておけばいいでしょうか?
ゆーた
特に重要なのは「取引の証拠」をきちんと残しておくことやね。納品書や検収書、メールでのやり取りなど、「いつ取引が完了したか」を証明できる資料は大事に保管しておいてな。あと、納品日と請求日・入金日が大きく離れてる取引は理由をメモしておくとええで。
ぜいむたん
理由をメモしておくんですね。例えばどんな理由が考えられますか?
ゆーた
例えば「クライアントの要望で翌月請求にした」とか「年度末の経理処理の都合で支払いが遅れた」とかやね。あと実際にあった例だと「納品後にクライアントからの修正依頼があり、最終検収が遅れた」みたいなケースもあったわ。こういう事情があると税務調査でも理解してもらいやすいねん。マネーフォワードの記事にも有益な情報があるから参考にしてみてな!

実務に役立つ収入計上の考え方

最後に、実務で役立つ収入計上の考え方をいくつか紹介します。

継続性の原則を守る

収入計上のタイミングについては、同じような取引に対して毎年同じ方法で処理することが重要です。これを「継続性の原則」と言います。

  • 一貫性のある処理
    税務署が一番嫌うのは、都合のいいように処理方法をコロコロ変えること
  • 事業内容変更時の注意点
    事業内容が大きく変わったときは、新しい事業開始時に処理方法を変更することは可能
  • 変更時の手続き
    処理方法を変更する場合は「青色申告の承認申請書」の変更届を提出し、理由も明確にする必要がある

月次処理の重要性

収入計上の正確性を保つためには、月次で記帳・経理処理を行うことが非常に重要です。

  • リスク回避
    確定申告の直前にまとめて1年分の経理をすると、収入計上漏れのリスクが非常に高くなる
  • 習慣化が重要
    月に1回は必ず帳簿をつける習慣をつけるのがおすすめ
  • クラウド会計の活用
    MFクラウドやfreeeなどのクラウド会計ソフトを活用すると、請求書作成と同時に自動で経理処理してくれる

よくある質問

クレジットカード決済の場合の収入計上時期はいつですか?

クレジットカード決済の場合も原則は発生主義なので、商品を発送した日が収入計上日になります。実際にカード会社から入金があった日ではないので注意してください。例えば12月に商品発送して翌年1月に入金があっても、収入計上は12月です。

海外取引の場合の収入計上時期と為替レートはどうすればいいですか?

海外取引の場合も基本的な考え方は同じで、権利確定日の為替レートで円換算するのが原則です。例えば12月15日に海外向けのサービスが完了したなら、その日の為替レートで収入金額を計算します。権利確定時のレートと実際の入金時のレートが違えば為替差損益が発生するため、それも適切に計上する必要があります。

オンラインサロンの月額会費はいつ収入計上すればいいですか?

オンラインサロンの月額会費は継続的なサービス提供に対する対価なので、サービスを提供する月の収入として計上するのが原則です。例えば1月分の会費として1月1日に入金があれば、1月の収入として計上します。まとめて前払いを受けた場合は、サービス提供期間に応じて按分します。例えば1月に3か月分の会費30,000円を受け取ったら、1月に10,000円、2月に10,000円、3月に10,000円と分けて計上します。

まとめ:所得税法における収入金額の計上ルール

所得税法における収入金額の計上ルールは、発生主義(権利確定主義)が基本となります。実際にお金を受け取ったかどうかではなく、権利が確定した時点で収入として計上することが重要です。

STEP
発生主義の基本原則を理解する

所得税法では「収入すべきことが確定した時点」で収入計上が必要(発生主義)

STEP
3つの要件を確認する

発生主義の3要件は「権利の確定」「事実の発生」「金額の確定」

STEP
取引種類別のルールを適用する

取引の種類によって収入計上のタイミングが異なる(商品販売は引渡日、役務提供は完了日など)

STEP
年末取引に特に注意する

年末の取引は翌年に収入計上が繰り越されないよう特に注意が必要

STEP
継続性の原則を守る

同じような取引には同じ処理方法を適用する「継続性の原則」を守る

収入計上のタイミングを正しく理解することは、適正な税務申告のために非常に重要です。特に事業規模が拡大するにつれて取引も複雑になりますので、必要に応じて税理士などの専門家に相談しながら、正確な経理処理を心がけましょう。

ゆーた
今日の授業は終わりや!また来てな〜!!
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