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「インボイス登録したけど、2割特例が終わったらどうなるの?」「簡易課税と本則課税、結局どっちが得?」「そもそも登録しないとダメ?」——2023年10月のインボイス制度開始から2年以上が経ち、個人事業主・フリーランスの関心は「2割特例が終わったあと、何を選べばいいか」に移っています。本記事では、インボイス制度の基本の仕組みから、令和8年度税制改正による2026年10月からの経過措置の見直し・3割特例の創設、登録・取消しの手続き、適格請求書の書き方、freee・マネーフォワードでの実務設定まで、個人事業主が知っておくべきポイントを体系的に解説します。
📌 この記事でわかること
対象読者:インボイス登録済み・登録を検討中の個人事業主/2割特例終了後の対応に迷っている方/読了の目安:約11分
- インボイス制度の基本の仕組みと、課税事業者・免税事業者で何が変わるか
- 2割特例の内容と適用期限、終了後に検討すべき本則課税・簡易課税・免税事業者への復帰という選択肢
- 免税事業者からの仕入れに関する仕入税額控除の経過措置スケジュール(縮小の見直し)
- 登録・取消しの手続き、適格請求書の書き方、freee・マネーフォワードでの設定方法とよくある失敗
ぜいむたん


インボイス制度の基本的な仕組み






インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、消費税の仕入税額控除を行うために「適格請求書(インボイス)」の保存を義務付ける制度です。従来の区分記載請求書等保存方式と異なり、登録番号や税率ごとの消費税額など、より詳細な記載が必要になります(出典:国税庁 インボイス制度特設サイト)。
インボイス登録の要否を考える3つの視点
取引先が課税事業者(法人・大きめの事業者)中心か、消費者・免税事業者中心かで影響度が大きく変わる。
基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えていれば、登録の有無にかかわらずもともと課税事業者。
登録して課税事業者になった場合、経費率の高低で本則課税・簡易課税・2割特例の有利不利が変わる。
出典:国税庁 インボイス制度特設サイトをもとに作成
適格請求書に必須の記載事項
適格請求書に必須の記載事項は以下の6つです(出典:国税庁 No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の概要)。
- 適格請求書発行事業者の氏名・名称と登録番号(T+13桁)
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率対象品目はその旨を明記)
- 税率ごとに区分した対価の額と適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名・名称
課税事業者と免税事業者の違い
消費税の納税義務は、基準期間(個人事業主は2年前)の課税売上高が1,000万円を超えるかで判定されます。免税事業者が発行する請求書はインボイスとして認められず、取引先が仕入税額控除を受けられません。これが免税事業者に登録を検討させる最大の理由です。
- 課税事業者:課税売上高1,000万円超、または適格請求書発行事業者に登録した事業者。消費税の申告・納税義務あり
- 免税事業者:課税売上高1,000万円以下で課税事業者を選択していない事業者。消費税の申告不要






2026年の重要な変更点|2割特例の終了と経過措置の縮小






2割特例とは
2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった小規模事業者の消費税負担を軽減する経過措置です。納付する消費税額を「売上にかかる消費税額の2割」に抑えることができます(出典:国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | インボイス制度を機に免税事業者→課税事業者になった個人事業主・法人 |
| 適用期間 | 令和5年(2023年)10月1日〜令和8年(2026年)9月30日を含む課税期間 |
| 納税額 | 売上にかかる消費税額 × 20% |
| 届出 | 事前届出不要(確定申告時に選択するだけ) |
例えば年間売上500万円(税込550万円)の場合、消費税50万円の2割=10万円が納税額です。本則課税では仕入額次第で20〜30万円になることもあるため、大きな負担軽減効果があります。



2割特例の後継|「3割特例」の創設(令和9年分・令和10年分)
令和8年度税制改正により、2割特例の終了後の負担軽減措置として、新たに「3割特例」が創設されました。納付する消費税額を売上にかかる消費税額の3割に抑えられる措置で、対象は個人事業者である適格請求書発行事業者(法人は対象外)、適用は令和9年分・令和10年分の申告です。2割特例(2割)より納税割合はやや重くなりますが、本則課税より負担が軽くなるケースが多く、届出不要で確定申告時に選択できる点は2割特例と同様です(改正内容のため、適用にあたっては最新の国税庁情報をご確認ください)。
整理すると、免税事業者から課税事業者になった個人事業主の負担軽減は、2割特例(令和5〜8年分)→ 3割特例(令和9・10年分)と引き継がれます。令和11年分以降は、本則課税または簡易課税のいずれかを選ぶことになります。
経過措置の見直し|免税事業者からの仕入れに対する仕入税額控除
免税事業者など(インボイス未登録)からの課税仕入れについては、一定割合を仕入税額控除できる経過措置があります。令和8年度税制改正でこのスケジュールが見直され、当初「2026年10月から50%」だった割合が「70%」に緩和されるとともに、期間が2年延長されました。改正後のスケジュールは次のとおりです。
| 期間 | 控除割合 | 備考 |
|---|---|---|
| 2023年10月〜2026年9月 | 80% | 制度開始からの経過措置 |
| 2026年10月〜2028年9月 | 70% | 令和8年度改正で緩和(改正前は50%) |
| 2028年10月〜2030年9月 | 50% | — |
| 2030年10月〜2031年9月 | 30% | 改正で追加された段階 |
| 2031年10月〜 | 控除不可(0%) | 経過措置の終了 |
控除割合が縮小されると、免税事業者との取引が多い課税事業者側の負担が増えます。取引条件の見直しや、免税事業者側への登録依頼を検討するきっかけになる時期です。






2割特例終了後の選択肢|本則課税・簡易課税・免税事業者に戻る






2割特例終了後の3つの選択肢
売上の消費税から仕入・経費の消費税を差し引いて計算。経費率が高い事業者に有利。
業種ごとの「みなし仕入率」で計算。経費率が低いサービス業のフリーランスに有利なことが多い。
登録を取り消し、申告・納税義務がなくなる。取引先がBtoC中心なら有力な選択肢。
出典:国税庁 消費税関連タックスアンサーをもとに作成
選択肢1:本則課税
- 売上の消費税から仕入・経費の消費税を差し引いて納税額を計算
- 経費(仕入・外注費・家賃等)が多い事業者に有利
- 帳簿の記帳が最も詳細に必要だが、クラウド会計ソフトで効率化可能
選択肢2:簡易課税
簡易課税は業種ごとの「みなし仕入率」で納税額を計算する方式で、実際の仕入額を集計する必要がありません。基準期間の課税売上高5,000万円以下の事業者のみ選択できます(出典:国税庁 No.6505 簡易課税制度)。
| 事業区分 | 該当業種の例 | みなし仕入率 |
|---|---|---|
| 第2種 | 小売業 | 80% |
| 第3種 | 製造業・建設業等 | 70% |
| 第5種 | サービス業(コンサル・デザイン・ライター等) | 50% |
選択肢3:免税事業者に戻る
- インボイス登録を取消し、消費税の申告・納税義務がなくなる
- 取引先がインボイスを必要としない場合(消費者向けビジネスなど)に有効
- BtoB取引が多い場合は、取引先への影響を慎重に検討
判断フローチャート
- 取引先の大半がBtoCか? → Yesなら免税事業者に戻ることを検討
- 経費率が売上の60%以上か? → Yesなら本則課税が有利な可能性
- 経費率が低い・記帳を簡素化したい → 簡易課税が有利な可能性
- 判断が難しい場合 → 税理士に相談してシミュレーション






登録・取消しの手続き






新規登録の手順
| 申請方法 | 手順概要 | 処理期間 |
|---|---|---|
| e-Tax(推奨) | e-Taxソフトまたはe-Taxウェブ版で「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出 | 約1か月(目安) |
| 郵送 | 国税庁HPから申請書をダウンロードし、管轄のインボイス登録センターに郵送 | 約1.5か月(目安) |
申請後、税務署から「登録通知書」が届き、登録番号(T+13桁)が付与されます。登録後は、国税庁の公表サイトで登録情報を確認し、請求書テンプレートに登録番号を反映させましょう。
登録の取消し手順
免税事業者に戻る場合は「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出します。届出書を提出した翌課税期間の初日から効力が生じるため、即時の取消しはできません。個人事業主が翌年分から免税事業者に戻るには、翌課税期間の初日から起算して15日前の日(暦年課税の個人事業者はおおむね12月17日)までに届出書を提出する必要があります(これを過ぎると、さらにその翌年からの取消しになります)。
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端数処理のルール
消費税額の端数処理は「1つの適格請求書につき、税率ごとに1回」のみです。商品ごとの端数処理は認められません。方法(切り捨て・切り上げ・四捨五入)は事業者が自由に選択できますが、一貫して同じ方法を適用する必要があります。
簡易インボイス(適格簡易請求書)
小売業、飲食業、タクシー業など不特定多数を相手にする事業者は「適格簡易請求書」を交付できます。受領者の氏名が不要で、「消費税額等」または「適用税率」のいずれか一方の記載で足ります。
誤ったインボイスを交付した場合
誤りのある適格請求書を交付した場合は、修正した適格請求書を交付する義務があります。取引先に連絡し、正しい内容の請求書を再発行しましょう。適格請求書発行事業者以外の者が適格請求書と誤認されるおそれのある書類を交付するなどした場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となる可能性があります(消費税法第65条)。
freee・マネーフォワードでのインボイス対応設定






インボイス制度に対応するには、会計ソフトの設定変更が不可欠です。ここでは個人事業主に人気のfreeeとマネーフォワード クラウド確定申告での設定方法を解説します。
freeeでのインボイス対応設定
- 課税事業者設定:「設定」→「事業所の設定」→「詳細設定」→ 消費税の「課税方式」を「課税」に変更
- 登録番号の入力:同画面の「適格請求書発行事業者の登録番号」欄にT+13桁を入力
- 請求書テンプレート更新:「設定」→「請求書テンプレート」で登録番号・税率ごとの消費税額が表示されることを確認
- 消費税の申告方法を選択:「2割特例」「簡易課税」「本則課税」から選択
マネーフォワードでのインボイス対応設定
- 課税事業者設定:「各種設定」→「事業者情報」→ 消費税設定で「課税事業者」を選択
- 登録番号の入力:事業者情報画面の「適格請求書発行事業者登録番号」にT+13桁を入力
- 請求書の設定:マネーフォワード クラウド請求書で登録番号の自動表示を確認
- 消費税の計算方法:「2割特例」「簡易課税」「一般課税」から選択
インボイス対応でよくある失敗3選






失敗1:請求書に登録番号を記載し忘れる
せっかくインボイス登録しても、請求書に登録番号(T+13桁)を記載していなければ、取引先は仕入税額控除を受けることができません。手書きの請求書を使っている方は特に注意が必要です。
対策:freeeやマネーフォワードの請求書機能を使えば、設定した登録番号が自動で印字されるため、記載漏れを防げます。
失敗2:2割特例の適用要件を誤解する
2割特例は「インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった方」が対象です。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えている方は、もともと課税事業者だったため2割特例を使えません。
対策:2年前の課税売上高が1,000万円以下であることを確認してから2割特例を選択しましょう。
失敗3:簡易課税の届出期限を過ぎてしまう
簡易課税制度は、適用したい課税期間の前日までに届出書を提出する必要があります。年末のバタバタで忘れてしまうケースが非常に多いため、早めの提出を強くおすすめします。
対策:簡易課税を検討している場合は、年内早めにカレンダーへ「消費税簡易課税制度選択届出書の提出」をリマインダー登録しましょう。
フリーランス・個人事業主の実務対応チェックリスト






| チェック | やるべきこと | 目安の時期 |
|---|---|---|
| □ | 自分が課税事業者か免税事業者か確認 | 随時 |
| □ | 適格請求書発行事業者の登録状況を確認 | 随時 |
| □ | 主な取引先がBtoBかBtoCかを整理 | 随時 |
| □ | 2割特例を利用中なら適用終了後の計算方法を決定 | 適用期限の数か月前 |
| □ | 簡易課税を選ぶ場合、届出書を提出する | 適用したい課税期間の前日まで |
| □ | 請求書テンプレートがインボイス要件を満たしているか確認 | 随時 |
| □ | 受領インボイスの保存体制を整備(電子帳簿保存法との連携) | 随時 |
| □ | 会計ソフトのインボイス対応機能・消費税設定を確認 | 随時 |
よくある質問(FAQ)
- 売上が1,000万円以下でもインボイスの登録は必要ですか?
- 法的義務はありません。ただし、BtoB取引が中心の場合、インボイスを発行できないと取引先が仕入税額控除を受けられなくなり、取引継続に影響する可能性があります。消費者向けビジネスが中心であれば影響は限定的です。
- インボイス登録は取り消しできますか?
- はい、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める届出書」を提出すれば取り消せます。ただし、届出書を提出した翌課税期間の初日から効力が生じるため、即時の取消しはできません。提出時期によって取消しの効力発生日が変わるため、早めの検討が必要です。
- 2割特例と簡易課税は併用できますか?
- 併用はできません。同一の課税期間ではいずれか一方を選択します。ただし、簡易課税の届出書を提出済みでも、2割特例の適用期間中は確定申告時に2割特例を選択できます(2割特例が優先されます)。2割特例の適用が終了すると、届出済みの簡易課税が自動的に適用されます。
- インボイスの保存は電子データでも認められますか?
- はい。電子帳簿保存法の要件を満たせば電子保存が可能です。電子取引(メール添付やWeb発行)で受領したインボイスは、電子帳簿保存法により2024年1月1日から電子データのまま保存することが義務化されています(相当の理由がある場合の猶予措置あり)。クラウド会計ソフトを活用すれば両方の法律に効率的に対応できます。
- 副業でフリーランス収入がある会社員もインボイス登録が必要ですか?
- 取引先から求められない限り、必須ではありません。副業の取引先が個人消費者中心であれば不要です。法人クライアントから「インボイスを発行してほしい」と言われた場合は、登録の検討が必要になります。ただし、登録すると消費税の申告義務が発生する点に注意してください。
- 消費税の確定申告はいつまでにすればいいですか?
- 個人事業主の消費税の確定申告・納付期限は、原則として翌年の3月31日です(所得税の申告期限3月15日とは異なります)。freeeやマネーフォワードでは、所得税の確定申告書と合わせて消費税申告書も作成できます。
まとめ|インボイス制度に個人事業主が対応するためのポイント
インボイス制度への対応は、個人事業主・フリーランスにとって避けて通れないテーマです。2割特例の適用期限や経過措置の控除割合変更など、制度の節目が近づいているタイミングでは、早めの準備が重要になります。最後に要点を整理します。
登録状況と、取引先がBtoB中心かBtoC中心かを整理しましょう。
2割特例は届出不要で確定申告時に選択するだけですが、適用期限があります。終了後は本則課税・簡易課税・免税事業者への復帰から選択する必要があります。
簡易課税は適用したい課税期間の前日までに届出書の提出が必要です。年末のバタバタで忘れないよう、早めに手続きしましょう。
freee・マネーフォワードに登録番号(T+13桁)を入力し、消費税の計算方法を正しく設定しておきましょう。
免税事業者との取引がある場合、控除割合の変更スケジュールは税制改正により見直される可能性があります。国税庁の最新情報を定期的に確認しましょう。



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