病気やケガで医療費がかさんだ年は、医療費控除を活用して税金を取り戻しましょう。医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に適用される所得控除です。
しかし、「どの医療費が対象になるの?」「計算方法がわからない」「セルフメディケーション税制とどう違うの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、2026年(令和8年)最新の情報に基づき、医療費控除の全体像を詳しく解説します。freee会計
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での入力方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
医療費控除とは?基本の仕組み
医療費控除とは、本人または生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費が、一定額を超えた場合に受けられる所得控除です。確定申告でのみ申告可能であり、年末調整では受けられません。
医療費控除の基本計算式
医療費控除額は以下の計算式で求めます。
医療費控除額 = 実際に支払った医療費の合計 – 保険金等で補てんされた金額 – 10万円(※)
※総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円の代わりに「総所得金額等 x 5%」が適用されます。
- 控除額の上限は200万円
- 「保険金等で補てんされた金額」には、生命保険の入院給付金、健康保険の高額療養費、出産育児一時金などが含まれます
- 保険金等は、該当する医療費ごとに差し引きます。他の医療費から差し引く必要はありません
医療費控除の対象となる医療費
医療費控除の対象となる医療費は「治療を目的とした支出」です。以下に主な対象・対象外を一覧でまとめます。
対象となる医療費
- 病院・歯科の診療費・治療費(保険診療・自由診療とも)
- 治療のための医薬品の購入費(処方薬・市販薬とも)
- 通院のための交通費(電車・バス等の公共交通機関。やむを得ない場合のタクシー代)
- 入院時の部屋代・食事代(医師の指示による差額ベッド代を含む)
- 歯科治療費(虫歯治療、歯周病治療、金歯・銀歯等の保険適用外治療を含む)
- 妊娠・出産にかかる費用(妊婦健診、分娩費用、入院費、不妊治療費)
- 介護保険サービスの自己負担額(医療系サービスが対象)
- レーシック手術・ICL手術の費用(視力回復のための治療として対象)
- あん摩マッサージ・はり・きゅう・柔道整復の施術費(治療目的に限る)
- 義手・義足・松葉杖などの購入費
- おむつ代(6ヶ月以上寝たきりで医師の「おむつ使用証明書」がある場合)
対象とならない医療費
- 美容整形の費用(治療目的でない美容目的の手術)
- 健康診断・人間ドックの費用(※異常が見つかり治療に至った場合は対象)
- 予防接種の費用(インフルエンザ、コロナ等)
- サプリメント・健康食品の購入費(医師の処方でない栄養補助食品)
- 自家用車で通院した場合のガソリン代・駐車場代
- メガネ・コンタクトレンズの購入費(医師の処方による治療用を除く)
- 里帰り出産の帰省費用
- リラクゼーション目的のマッサージ費
- 医師への謝礼金
医療費控除の計算方法と具体例
計算例1:一般的なケース
年収500万円の会社員Aさん(総所得金額356万円)の場合を見てみましょう。
- 年間の医療費総額:35万円
- 生命保険の入院給付金:5万円
- 医療費控除額:35万円 – 5万円 – 10万円 = 20万円
- 所得税率20%の場合の還付額:20万円 x 20% = 約40,000円
- 住民税の軽減額:20万円 x 10% = 約20,000円
- 合計節税効果:約60,000円
計算例2:総所得200万円未満のケース
パート勤務のBさん(総所得金額150万円)の場合。
- 年間の医療費総額:12万円
- 保険金等の補てん:なし
- 足切り額:150万円 x 5% = 75,000円(10万円より低い)
- 医療費控除額:12万円 – 0円 – 75,000円 = 45,000円
総所得200万円未満の方は足切り額が下がるため、10万円に満たない医療費でも控除を受けられる可能性があります。
セルフメディケーション税制とは?医療費控除との違い
セルフメディケーション税制は、2017年に導入された医療費控除の特例です。健康の維持増進のための一定の取組を行っている方が、特定一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品等)を年間12,000円を超えて購入した場合に適用されます。
基本情報
- 控除額:特定一般用医薬品等の購入額 – 12,000円(上限88,000円)
- 対象期間:2017年1月1日〜2026年12月31日(延長済み)
- 対象医薬品:スイッチOTC医薬品に加え、2022年からは一定の一般用医薬品等も対象
- 適用条件:健康診断、予防接種、がん検診、メタボ健診等の「一定の取組」を行っていること
医療費控除との選択制
重要:医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。どちらか一方を選択して適用する必要があります。
- 年間の医療費が10万円を超える場合 → 医療費控除が有利なケースが多い
- 医療費は10万円以下だが、市販薬の購入が多い場合 → セルフメディケーション税制が有利
- 両方とも計算し、控除額が大きい方を選ぶのがベスト
セルフメディケーション税制の対象医薬品の見分け方
対象医薬品は、商品パッケージに「セルフメディケーション税制対象」のマークが表示されています。また、薬局のレシートにも対象医薬品である旨の表示がされています。厚生労働省のWebサイトでも対象医薬品の一覧が公開されています。
確定申告での医療費控除の申告手順
必要書類
- 医療費控除の明細書(国税庁のWebサイトからダウンロード可能)
- 確定申告書(第一表・第二表)
- 医療費の領収書(提出不要だが5年間の保管義務あり)
- 健康保険組合等から届く「医療費のお知らせ」(医療費通知)があれば明細書の作成が簡単に
- セルフメディケーション税制の場合:「一定の取組」の証明書類(健康診断の結果通知書等)
申告の手順
- 医療費の領収書を整理:1月1日〜12月31日に支払った医療費の領収書を集めます。家族全員分をまとめましょう。
- 医療費控除の明細書を作成:医療を受けた人ごと、病院・薬局ごとに医療費を集計します。「医療費のお知らせ」がある場合は、その内容を転記するだけでOKです。
- 控除額を計算:合計額から保険金等を差し引き、さらに10万円(または総所得の5%)を差し引きます。
- 確定申告書に記入:第一表の「医療費控除」欄に控除額を記入します。
- 提出:確定申告書と医療費控除の明細書を税務署に提出します。e-Taxでの提出も可能です。
注意:2017年分の確定申告から領収書の添付は不要になりましたが、5年間の保管義務があります。税務署から求められた際に提示できるよう、しっかり保管しておきましょう。
freee・マネーフォワードでの医療費控除の入力方法
クラウド会計ソフトを使えば、医療費の入力から控除額の計算、申告書への反映まで一括で行えます。
freee会計
での入力手順
- 確定申告書の作成画面で「確認」ステップに進む
- 「所得控除」の「医療費控除」を選択
- 「通常の医療費控除」または「セルフメディケーション税制」を選択
- 医療を受けた人、病院名、医療費の金額、保険金等の補てん額を入力
- 全件入力後、控除額が自動計算される
- 「医療費のお知らせ」のCSVデータがある場合は一括インポートも可能
freeeは、領収書をスマホで撮影するだけで金額を自動読み取りしてくれる機能もあります。大量の領収書がある場合に特に便利です。
マネーフォワード クラウド確定申告
での入力手順
- 「決算・申告」メニューから確定申告書を開く
- 「所得から差し引かれる金額」セクションで「医療費控除」を選択
- 医療費の明細を一件ずつ入力(人名、病院名、金額、保険補てん額)
- 合計額と控除額が自動計算される
- セルフメディケーション税制を選択する場合は、対象医薬品の購入額を入力
マネーフォワードでは、医療費控除の明細書も自動生成されるため、別途Excelで作成する手間が省けます。
医療費控除を最大限活用するコツ
- 家族全員の医療費をまとめる:生計を一にする家族であれば、最も所得が高い人がまとめて申告するのが有利です。
- 交通費も忘れずに計上:通院のための電車代・バス代は対象です。日付・経路・金額をメモしておきましょう。
- 年またぎに注意:「支払った日」が基準です。12月に受診して1月に支払った場合は、翌年分の対象となります。
- 医療費のお知らせを活用:健康保険組合等から届く通知書を使えば、明細書の作成が大幅に楽になります。
- 5年以内なら還付申告可能:過去の医療費控除を申告し忘れていた場合、5年以内であれば還付申告ができます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 医療費控除は年末調整で受けられますか?
A. いいえ、医療費控除は確定申告でのみ申告できます。年末調整では受けられませんので、会社員の方でも確定申告が必要です。確定申告期間(2月16日〜3月15日)に申告するか、還付申告として1月1日から提出することも可能です。
Q2. 歯科矯正は医療費控除の対象になりますか?
A. 場合によります。噛み合わせの改善など治療目的の矯正は医療費控除の対象となります。一方、美容目的の歯列矯正は対象外です。子どもの歯科矯正は、発育段階にある子の歯列を正す治療として一般的に認められています。成人の場合は、歯科医に「治療目的」の診断書を発行してもらうことをお勧めします。
Q3. 医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらを選ぶべきですか?
A. 両方の控除額を計算し、金額が大きい方を選びましょう。目安として、年間の医療費が10万円を超える場合は通常の医療費控除、10万円以下でOTC医薬品の購入が12,000円を超える場合はセルフメディケーション税制が有利になりやすいです。
Q4. インプラント治療は医療費控除の対象ですか?
A. はい、インプラント治療は医療費控除の対象です。失った歯の機能を回復するための治療として認められています。1本あたり30〜50万円と高額になるため、医療費控除の効果が大きい治療の一つです。ただし、美容目的のインプラントは対象外となる場合があります。
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免責事項:本記事は2026年3月時点の税制に基づいて作成しています。税制は改正される場合がありますので、最新の情報は国税庁のWebサイトまたは税理士にご確認ください。本記事の情報に基づく申告によって生じた損害について、当社は一切の責任を負いません。個別の税務判断については、税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
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