2027年(令和9年)の確定申告では、税制改正により複数の重要な変更が適用されます。確定申告の提出期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)です。本記事では、2027年確定申告に影響する改正ポイントを網羅的に解説します。見落としによる申告ミスを防ぐためにも、ぜひ最後までご確認ください。
2027年確定申告の概要と提出期間
2027年の確定申告は、2026年1月1日〜12月31日の所得を対象に、2027年2月16日(火)〜3月15日(月)が申告・納税期間となります。個人事業主やフリーランスの方は、所得税および復興特別所得税の確定申告書を管轄の税務署に提出する必要があります。
近年はe-Tax(電子申告)の利用が推進されており、2027年からはさらに電子申告の利便性が向上しています。e-Taxで申告すれば青色申告特別控除65万円が適用されるため、紙での申告(55万円)より10万円多く控除を受けられます。後述する改正点を踏まえて、早めに準備を始めましょう。
なお、還付申告(税金が戻ってくる申告)は2027年1月1日から提出可能です。混雑を避けるためにも、早期の申告をおすすめします。
2027年の主要改正ポイント一覧
まず、2027年確定申告に影響する改正点の全体像を把握しましょう。
| 改正項目 | 変更前 | 変更後 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 基礎控除 | 48万円 | 50万円 | 全納税者 |
| 給与所得控除(最低保障額) | 55万円 | 58万円 | 給与所得者 |
| 特定親族特別控除 | なし | 新設(最大63万円) | 19〜22歳の扶養親族 |
| 住宅ローン控除 | 省エネ未適合も対象 | 省エネ未適合は原則対象外 | 新築購入者 |
| 電子帳簿保存法 | 経過措置あり | 経過措置終了・完全義務化 | 全事業者 |
| インボイス2割特例 | 適用中 | 最終適用年度 | 免税→課税事業者 |
| iDeCo拠出限度額 | 月68,000円(自営業) | 月75,000円 | iDeCo加入者 |
【改正1】基礎控除額の見直し
2027年の確定申告では、基礎控除額が48万円から50万円に引き上げられました(合計所得金額2,400万円以下の場合)。これにより、すべての納税者が2万円分の追加控除を受けられます。
合計所得金額に応じた基礎控除額は以下の通りです:
- 2,400万円以下:50万円(旧48万円)→ 2万円増
- 2,400万円超〜2,450万円以下:34万円(旧32万円)→ 2万円増
- 2,450万円超〜2,500万円以下:18万円(旧16万円)→ 2万円増
- 2,500万円超:0円(変更なし)
具体的な節税効果:所得税率10%の方は約2,000円、20%の方は約4,000円、33%の方は約6,600円の税負担減。住民税(一律10%)と合わせると、所得税率20%の方で年間約6,000円の負担軽減となります。金額は小さく見えますが、すべての納税者に自動的に適用されるため、社会全体では大きな減税効果があります。
【改正2】給与所得控除の引き上げ
給与所得控除の最低保障額が55万円から58万円に引き上げられました。これにより、給与収入103万円以下の方の所得税が非課税となる「103万円の壁」が実質的に106万円に引き上げられたことになります。
副業で給与所得がある方は、この変更により課税所得が3万円減少します。パートやアルバイト収入がある個人事業主にも影響がありますので、収入の種類ごとに正しく計算しましょう。
実務上の注意点:給与所得控除の引き上げは「103万円の壁」問題の緩和措置ですが、社会保険の扶養判定基準(年収130万円)には影響しません。扶養から外れないよう、収入管理は引き続き注意が必要です。
【改正3】特定親族特別控除の新設
2027年からは「特定親族特別控除」が新設されました。19歳以上23歳未満の親族(大学生等)のアルバイト収入が103万円を超えても150万円以下であれば、63万円の控除を受けられます。
従来は103万円を超えると扶養控除が適用外となり、世帯全体で手取りが減少する「103万円の壁」が問題でした。この改正により、大学生のお子さんがいる家庭では、より柔軟な働き方が可能になります。
具体例:大学生のお子さんが年間120万円のアルバイト収入を得た場合、従来は扶養控除63万円が完全に消失していましたが、2027年からは特定親族特別控除として63万円が控除されます。親の所得税率が20%の場合、年間約12.6万円(所得税+住民税)の負担軽減効果があります。
収入別の控除額の目安:
- 103万円以下:従来通り扶養控除63万円が適用
- 103万円超〜150万円以下:特定親族特別控除63万円(新設)
- 150万円超〜188万円以下:段階的に控除額が減少
- 188万円超:控除なし
【改正4】住宅ローン控除の適用要件変更
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)について、2027年入居分から以下の変更が適用されます:
| 住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 最大控除額(13年間) |
|---|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 | 409.5万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,000万円 | 0.7% | 13年 | 364万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,500万円 | 0.7% | 13年 | 318.5万円 |
| 省エネ基準未適合住宅 | 原則対象外 | — | — | — |
新築住宅を取得した方は、省エネ性能の証明書類(BELS評価書、住宅性能評価書等)を確認し、該当する控除限度額を正しく適用しましょう。省エネ基準に適合しない新築住宅は2027年以降の入居分から原則として住宅ローン控除の対象外となるため、住宅購入を検討中の方は注意が必要です。
【改正5】電子帳簿保存法の完全義務化
2024年1月から本格運用が開始された電子帳簿保存法の電子取引データ保存義務について、2027年からは経過措置が完全に終了しました。これにより、メールやクラウドサービスで受領した請求書・領収書は、電子データのままの保存が完全義務化されています。
具体的な対応として:
- 電子取引データ(PDF請求書、メール添付の領収書、ECサイトの領収書等)は印刷保存不可
- タイムスタンプの付与または訂正削除の記録が残るシステムでの保存が必須
- 検索要件(取引年月日・金額・取引先)を満たす保存方法が必要
- 違反した場合、青色申告の取り消しや加算税の対象となる可能性
最も簡単な対応方法:クラウド会計ソフトを利用していれば、これらの要件を自動的にクリアできます。まだ対応していない方は、確定申告前に環境を整えましょう。個人事業主で取引件数が少ない場合は、「日付_金額_取引先」のファイル名でフォルダ管理する方法でも要件を満たせます。
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【改正6】インボイス制度の影響(2年目以降の注意点)
2023年10月から開始されたインボイス制度は、2027年で3年目を迎えます。2割特例(小規模事業者に対する税額控除の特例)は、2026年分の申告で適用期限を迎えるため、2027年の確定申告が最後の適用年度です。
2割特例を利用してきた方は、以下の点を確認しましょう:
- 2027年分(2028年申告)からは通常の計算方法(本則課税 or 簡易課税)に移行が必要
- 簡易課税の届出は2027年12月31日までに提出が必要
- 本則課税の場合、仕入税額控除のためにインボイスの適切な保管が必須
- 課税売上高が1,000万円以下でも、インボイス登録事業者は消費税の申告・納付が必要
簡易課税 vs 本則課税の選び方:業種ごとの「みなし仕入率」で消費税額を計算する簡易課税は、帳簿管理が楽ですが、実際の仕入税額が大きい場合は本則課税の方が有利になることがあります。事前にシミュレーションを行い、有利な方を選択しましょう。
【改正7】iDeCo・NISA関連の変更点
2027年からのiDeCo(個人型確定拠出年金)の主な変更点:
- iDeCoの拠出限度額引き上げ:第1号被保険者(自営業者)は月額75,000円(年間90万円)に拡大。従来の月額68,000円から約10%増
- 加入年齢の上限引き上げ:70歳未満まで加入可能に(従来は65歳未満)
- 掛金は小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除の対象
- 所得税率20%の自営業者が年間90万円を拠出した場合、所得税で約18万円+住民税で約9万円=合計約27万円の節税効果
NISA口座での売却益・配当金は非課税のため確定申告不要ですが、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で取引がある方は申告が必要です。また、NISA口座内の損失は他の口座の利益と損益通算できない点に注意してください。
【改正8】ふるさと納税の計算方法変更
ふるさと納税の控除計算に使う住民税所得割額の計算方法が見直されました。基礎控除の引き上げに伴い、控除上限額がわずかに変動しています。
年収別の控除上限額の目安(独身・扶養なしの場合):
- 年収400万円:約42,000円
- 年収500万円:約61,000円
- 年収600万円:約77,000円
- 年収700万円:約108,000円
- 年収800万円:約130,000円
上記はあくまで目安です。各自治体のシミュレーターや会計ソフトの最新版を使って、2027年の正確な上限額を確認してください。控除上限額を超えた分は自己負担となるため、シミュレーションは必ず行いましょう。
確定申告の準備スケジュール
余裕を持って確定申告を完了させるための推奨スケジュールです。
- 12月中:年間の帳簿を締め、記帳漏れがないか確認。控除証明書の到着を確認
- 1月上旬:源泉徴収票の受領。ふるさと納税の寄附金受領証明書の確認
- 1月中旬〜下旬:決算書(収支内訳書または青色申告決算書)の作成
- 2月上旬:確定申告書の作成・見直し。還付申告は1月から提出可能
- 2月中旬〜3月上旬:e-Taxで送信。税務署の混雑を避けて早めに提出
よくある質問(FAQ)
Q1. 2027年の確定申告期間はいつですか?
A. 2027年2月16日(火)〜3月15日(月)です。還付申告は1月1日から提出可能です。e-Taxを利用すれば、24時間いつでも申告できます。期限に遅れると無申告加算税(最大20%)や延滞税が課される場合があります。
Q2. 基礎控除が変わったことで、具体的にいくら税金が安くなりますか?
A. 基礎控除が2万円増えたことで、所得税率10%の方は約2,000円、20%の方は約4,000円の税負担減となります。住民税と合わせると、所得税率10%の方で年間約4,000円、20%の方で約6,000円程度の負担減が見込まれます。
Q3. 電子帳簿保存法に対応していない場合、どうなりますか?
A. 2027年からは経過措置が完全終了しているため、電子取引データを紙で保存している場合は保存義務違反となります。青色申告の取り消しや加算税の対象となる可能性がありますので、早急にクラウド会計ソフト等で対応してください。
Q4. インボイスの2割特例はいつまで使えますか?
A. 2割特例は2026年分の消費税申告(2027年3月末が期限)までが最終適用年度です。2027年分からは本則課税か簡易課税を選択する必要があります。簡易課税を選ぶ場合は2027年12月31日までに届出書を提出してください。届出を忘れると自動的に本則課税が適用されます。
Q5. 会計ソフトを使えば改正点への対応は自動的にされますか?
A. はい、freee会計やマネーフォワード クラウド確定申告などの主要クラウド会計ソフトは、毎年の税制改正に合わせてシステムが自動更新されます。控除額の計算や申告書フォームも最新版に対応するため、手計算のミスを防げます。![]()
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Q6. 特定親族特別控除は年末調整で適用できますか?
A. はい、年末調整でも適用可能です。ただし、年末調整時点で子のアルバイト収入が確定していない場合は、確定申告で適用する方が確実です。年末調整で適用しなかった場合でも、確定申告で控除を受けることができます。
Q7. 2027年の改正で最も注意すべき点は何ですか?
A. 実務上最も影響が大きいのは電子帳簿保存法の完全義務化とインボイス2割特例の終了です。特に2割特例を利用してきた方は、2027年分から本則課税・簡易課税への移行準備が必要です。届出期限を過ぎると選択肢が限られるため、早めの対応をおすすめします。
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