会社員として働いている方の中には、「もっと自由に働きたい」「収入を増やしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、雇用契約から業務委託契約への変更です。業務委託契約に変更することで、個人事業主として働くことができ、さまざまな税務上のメリットを受けることができます。
本記事では、雇用契約から業務委託契約に変更することで得られるメリット、特に税務面でのメリットについて詳しく解説します。2025年の最新情報を踏まえ、個人事業主としての働き方を検討している方必見の内容です。
- 会社員のままでは収入アップに限界を感じている
- 経費をもっと節税に活用できないだろうか?
- 業務委託契約に変更するメリットが知りたい




【基礎知識】業務委託契約と雇用契約の違い
業務委託契約とは
業務委託契約とは、企業と個人が対等な立場で業務の委託と受託を行う契約形態です。雇用契約とは異なり、仕事の成果に対して報酬が支払われます。業務委託契約を結ぶことで、あなたは「個人事業主」として働くことになります。






雇用契約との税務上の違い
雇用契約では、あなたの収入は「給与所得」として扱われます。一方、業務委託契約では「事業所得」として扱われます。この違いが、大きな税務上のメリットをもたらします。
個人事業主になるための条件
- 業務委託契約を締結していること
- 自己の計算と責任で事業を行っていること
- 業務の遂行方法や時間配分に一定の裁量があること
これらの条件を満たすことで、税務上「個人事業主」として様々なメリットを享受できるようになります。



基本的には、外注費と給与の違いで解説した通りや!今回は個人目線やけどな。


【最大のメリット】厚生年金の負担がなくなる
業務委託契約に変更することの最大のメリットの一つが、厚生年金の負担がなくなることです。雇用契約では、厚生年金保険料として給与の約9%が天引きされ、さらに同額を会社が負担しています。
個人事業主になると厚生年金ではなく国民年金に加入することになりますが、保険料は月額16,520円(2025年度)と定額です。年収が増えても保険料は変わりません。



年金制度 | 月額保険料 | 年間保険料 |
---|---|---|
厚生年金(会社員) | 給与の約18%(本人と会社で折半) | 約108万円 |
国民年金のみ(個人) | 16,520円(2025年度・定額) | 約20万円 |
差額 | – | 約88万円 |
【計算方法】業務委託契約での税金と節税ポイント
青色申告特別控除の活用
個人事業主になると、青色申告を選択することができます。青色申告を行うことで、最大65万円(電子申告の場合)の特別控除を受けることが可能です。
・最大65万円の特別控除
・赤字の繰越控除(3年間)
青色申告を行うためには、開業後2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。忘れずに手続きを行いましょう。
自宅をオフィスとして経費計上
業務委託契約に変更して個人事業主になると、自宅の一部をオフィスとして使用することで、家賃や光熱費の一部を経費として計上することができます。
一般的に、自宅の面積のうち事業に使用している割合に応じて経費計上が可能です。例えば、自宅の一室を仕事用に使っている場合、家賃の1/2程度を経費として計上できることが多いです。
経費項目 | 経費計上の目安 |
---|---|
家賃 | 使用面積の割合(例:50%) |
光熱費 | 使用面積の割合(例:30〜50%) |
インターネット回線 | 50〜100% |
スマートフォン代 | ビジネス利用割合(例:70%) |






その他の経費計上できるもの
- パソコンやタブレットなどの機器購入費
- ソフトウェアの購入・利用料
- 書籍・参考資料の購入費
- 交通費・出張費
- 接待交際費
- セミナー・研修参加費
【実務ガイド】個人事業主になるための手続き
開業手続きのステップ
- 開業届の提出(税務署)
- 青色申告承認申請書の提出(開業から2ヶ月以内)
- 国民健康保険・国民年金の加入手続き(市区町村の窓口)
- 業務委託契約書の締結(委託先企業と)
確定申告の必要性
個人事業主は毎年確定申告を行う必要があります。確定申告の期間は例年2月16日から3月15日までです。青色申告を選択している場合は、複式簿記による帳簿付けが求められるため、日頃から収入と経費の記録をしっかりと行いましょう。
確定申告の手間を減らすために、クラウド会計ソフトの利用がおすすめです。領収書をスマホで撮影するだけで自動で経費登録できるサービスも多く、確定申告も比較的簡単に行えます。




【節税術】個人事業主に活用できる3つの制度とメリット
小規模企業共済の活用
個人事業主は小規模企業共済に加入することができます。月々の掛金は全額所得控除の対象となるため、大きな節税効果が期待できます。また、将来の退職金としても活用できる制度です。
月額7万円(年間84万円)を小規模企業共済に掛けた場合、所得税・住民税合わせて約25万円の節税効果が見込めます(所得税率20%、住民税率10%と仮定)。
損益通算のメリット
個人事業主としての事業で赤字が出た場合、給与所得や不動産所得など他の所得と損益通算することができます。例えば、サラリーマンとして働きながら副業で個人事業主として活動している場合、副業で赤字が出ても給与所得と相殺することで税金を節約できる可能性があります。
各種補助金・助成金の活用
- 創業補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 各自治体独自の補助金制度
個人事業主は、国や自治体が提供する様々な補助金や助成金を受けることができる可能性があります。特に創業間もない事業者向けの支援制度も多く、積極的に活用することで事業の成長を加速させることができます。
【専門家監修】業務委託契約に変更する際の重要ポイント
業務委託契約書の内容をしっかり確認
- 業務内容と範囲が明確に定められているか
- 報酬の金額と支払い条件
- 業務遂行の自由度(時間や場所など)
実態が雇用関係であるにもかかわらず、形式上だけ業務委託契約を結ぶ「偽装請負」は法律違反となります。業務内容や勤務時間、場所などに一定の裁量がない場合は、偽装請負と判断される可能性があります。
2025年度の税制改正ポイント
2025年度の税制では、個人事業主にとって有利な改正点がいくつかあります。時代の変化に合わせて、フリーランスや個人事業主の働き方を支援する制度が充実してきています。
特に、デジタル化推進のための税制優遇措置や、小規模事業者向けの負担軽減策など、個人事業主にとって追い風となる改正が行われています。
【Q&A】業務委託契約に関するよくある質問
- 業務委託契約に変更すると、収入は増えますか?
-
一般的に、雇用契約から業務委託契約に変更する際は、会社が負担していた社会保険料なども含めた金額が報酬として支払われることが多いため、表面上の収入は増える傾向にあります。ただし、自分で社会保険料を支払う必要があるため、手取り額がどう変わるかは個別の条件によります。税金面でのメリットを活かすことで、トータルではプラスになることが多いです。
- 個人事業主になると、確定申告は難しいですか?
-
初めての確定申告は慣れない作業もあり、少し手間に感じるかもしれません。しかし、クラウド会計ソフトを活用することで、日々の経理作業や確定申告の手続きはかなり簡単になっています。また、青色申告会などの団体に加入すれば、確定申告のサポートを受けることもできます。
- 業務委託契約に変更後も、同じ会社で働き続けることはできますか?
-
もちろん可能です。多くの企業では、従業員から業務委託への切り替えを認めているケースがあります。ただし、雇用関係ではなくなるため、業務内容や勤務時間、場所などに一定の裁量が必要です。完全に会社の指揮命令下で働く場合は、「偽装請負」と見なされる可能性がありますので注意が必要です。
- 個人事業主になると社会保険はどうなりますか?
-
個人事業主になると、厚生年金から国民年金に切り替わります。健康保険も同様に、社会保険から国民健康保険に切り替わります。国民年金の保険料は定額ですが、国民健康保険の保険料は前年の所得に応じて変わります。
【まとめ】雇用契約から業務委託契約への変更で得られる3つの大きなメリット
雇用契約から業務委託契約に変更し、個人事業主として働くことで得られる主なメリットは以下の3つです:
定額の国民年金に切り替わることで、年収が高くなっても負担が増えない
最大65万円の所得控除が可能
自宅の家賃やWi-Fi代などの一部を経費として計上できる
これらのメリットを最大限に活かすためには、適切な知識と準備が必要です。本記事を参考に、あなたに合った働き方を検討してみてください。個人事業主として新たなキャリアを築き、より自由で豊かな働き方を実現しましょう!





コメント