生命保険に加入している方は、生命保険料控除を活用することで所得税や住民税を節税できます。しかし、「新制度と旧制度の違いがわからない」「控除額の計算方法が複雑」「確定申告でどう申告すればいいの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2026年(令和8年)最新の情報に基づき、生命保険料控除の仕組み、3つの区分、新制度・旧制度の違い、控除額の計算方法、確定申告・年末調整での申告手順を網羅的に解説します。freee会計
やマネーフォワード クラウド確定申告
を使った入力方法も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
生命保険料控除とは?基本の仕組みを理解しよう
生命保険料控除とは、1年間に支払った生命保険料の一定額を所得から差し引くことができる所得控除の一つです。所得控除を受けることで課税所得が減少し、結果として所得税・住民税の負担が軽減されます。
控除を受けるためには、年末調整(会社員の場合)または確定申告(自営業・フリーランスの場合)で申告する必要があります。生命保険会社から届く「生命保険料控除証明書」が必要書類となりますので、大切に保管しておきましょう。
控除の対象となる保険契約
生命保険料控除の対象となるのは、以下の条件を満たす保険契約です。
- 保険金の受取人が、契約者本人またはその配偶者、その他の親族であること
- 国内に本店を有する生命保険会社等と締結した保険契約であること
- 外国生命保険会社等と国内で締結した保険契約も対象
- 財形貯蓄保険、保険期間5年未満の貯蓄保険等は対象外
生命保険料控除の3つの区分
生命保険料控除は、以下の3つの区分に分かれています。それぞれ別々に控除額が計算され、合算した額が控除総額となります。
1. 一般生命保険料控除
死亡保険、養老保険、学資保険など、生存または死亡に基因して保険金が支払われる保険契約が対象です。終身保険、定期保険、収入保障保険なども含まれます。
2. 介護医療保険料控除
2012年(平成24年)1月1日以降に締結した保険契約のうち、入院・通院等に伴う給付金を受け取れる医療保険、がん保険、介護保険などが対象です。この区分は新制度からのみ適用されます。
3. 個人年金保険料控除
個人年金保険料税制適格特約が付加された年金保険契約が対象です。以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 年金受取人が契約者またはその配偶者であること
- 年金受取人が被保険者と同一であること
- 保険料の払込期間が10年以上であること
- 確定年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上であること
新制度と旧制度の違いを徹底比較
生命保険料控除には「新制度」と「旧制度」の2つの制度が存在します。2012年(平成24年)1月1日を境に制度が改正されたため、契約時期によって適用される制度が異なります。
旧制度(2011年12月31日以前の契約)
- 区分は「一般生命保険料」と「個人年金保険料」の2区分
- 所得税の控除上限:各区分50,000円(合計最大100,000円)
- 住民税の控除上限:各区分35,000円(合計最大70,000円)
- 介護医療保険料控除の区分は存在しない(医療保険は一般に含まれる)
新制度(2012年1月1日以降の契約)
- 区分は「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3区分
- 所得税の控除上限:各区分40,000円(合計最大120,000円)
- 住民税の控除上限:各区分28,000円(合計最大70,000円)
注意点:新制度と旧制度の両方の契約がある場合、それぞれの制度で計算した控除額を合算できます。ただし、所得税の合計控除上限は120,000円、住民税の合計控除上限は70,000円となります。
控除額の計算方法【所得税・住民税】
控除額は年間の支払保険料の合計額に応じて、以下の計算式で求められます。
新制度の場合(所得税)
- 年間支払保険料 20,000円以下:支払保険料の全額
- 年間支払保険料 20,001円〜40,000円:支払保険料 x 1/2 + 10,000円
- 年間支払保険料 40,001円〜80,000円:支払保険料 x 1/4 + 20,000円
- 年間支払保険料 80,001円以上:一律40,000円
旧制度の場合(所得税)
- 年間支払保険料 25,000円以下:支払保険料の全額
- 年間支払保険料 25,001円〜50,000円:支払保険料 x 1/2 + 12,500円
- 年間支払保険料 50,001円〜100,000円:支払保険料 x 1/4 + 25,000円
- 年間支払保険料 100,001円以上:一律50,000円
新制度の場合(住民税)
- 年間支払保険料 12,000円以下:支払保険料の全額
- 年間支払保険料 12,001円〜32,000円:支払保険料 x 1/2 + 6,000円
- 年間支払保険料 32,001円〜56,000円:支払保険料 x 1/4 + 14,000円
- 年間支払保険料 56,001円以上:一律28,000円
旧制度の場合(住民税)
- 年間支払保険料 15,000円以下:支払保険料の全額
- 年間支払保険料 15,001円〜40,000円:支払保険料 x 1/2 + 7,500円
- 年間支払保険料 40,001円〜70,000円:支払保険料 x 1/4 + 17,500円
- 年間支払保険料 70,001円以上:一律35,000円
計算例:新制度で3区分すべてに加入している場合
たとえば、以下のような保険料を支払っている場合を考えてみましょう。
- 一般生命保険料(終身保険):年間 96,000円
- 介護医療保険料(医療保険):年間 48,000円
- 個人年金保険料:年間 120,000円
所得税の控除額は以下の通りです。
- 一般:80,001円以上なので → 40,000円
- 介護医療:48,000円 x 1/4 + 20,000円 = 32,000円
- 個人年金:80,001円以上なので → 40,000円
- 合計:40,000 + 32,000 + 40,000 = 112,000円
合計120,000円以内なので、112,000円がそのまま所得税の生命保険料控除額となります。所得税率が20%の方であれば、約22,400円の節税効果があります。
確定申告での生命保険料控除の申告手順
フリーランス・個人事業主の方や、年末調整で申告できなかった会社員の方は、確定申告で生命保険料控除を申告します。
必要書類
- 生命保険料控除証明書(10月〜11月頃に保険会社から届く)
- 確定申告書(第一表・第二表)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 本人確認書類
申告手順
- 控除証明書の内容を確認:保険会社名、保険の種類、新制度・旧制度の区分、年間支払保険料額を確認します。
- 控除額を計算:前述の計算式に当てはめて、各区分の控除額を算出します。
- 確定申告書に記入:第一表の「生命保険料控除」欄に控除額を記入し、第二表の「生命保険料控除」欄に保険会社名、保険の種類、支払保険料額等の明細を記入します。
- 控除証明書を添付:確定申告書に控除証明書を添付して提出します。e-Taxの場合は添付を省略できますが、5年間の保管義務があります。
年末調整での生命保険料控除の申告方法
会社員・公務員の方は、毎年10月〜11月に行われる年末調整で生命保険料控除を申告できます。
申告の流れ
- 控除証明書を受け取る:10月〜11月頃に生命保険会社から届きます。
- 「給与所得者の保険料控除申告書」に記入:保険会社名、保険の種類、保険期間、契約者名、受取人、新旧区分、支払保険料額を記入します。
- 控除額を計算して記入:区分ごとの控除額を計算し、合計額を記入します。
- 勤務先に提出:記入した申告書と控除証明書を勤務先の担当部署に提出します。
年末調整で申告し忘れた場合は、翌年の確定申告(還付申告)で控除を受けることができます。還付申告は確定申告期間(2月16日〜3月15日)に関係なく、翌年1月1日から5年間いつでも提出可能です。
freee・マネーフォワードでの入力方法
クラウド会計ソフトを使えば、生命保険料控除の計算と申告書への反映が簡単に行えます。
freee会計
での入力手順
- 「確定申告」メニューから確定申告書の作成画面を開く
- 「収支」ステップを終えたら「確認」ステップへ進む
- 「所得控除」セクションで「生命保険料控除」を選択
- 控除証明書の内容(新旧区分、保険の種類、支払保険料額)を入力
- 控除額が自動計算される
- 内容を確認して保存
freeeでは、控除証明書の画像をアップロードするとAIが自動で読み取り、入力を補助してくれる機能も搭載されています。手入力の手間を大幅に削減できるため、初心者の方にも安心です。
マネーフォワード クラウド確定申告
での入力手順
- 「決算・申告」メニューから「確定申告書」を選択
- 「所得から差し引かれる金額」セクションを開く
- 「生命保険料控除」の入力欄に保険の種類ごとに金額を入力
- 新制度・旧制度の区分を選択
- 自動計算された控除額を確認
- 申告書をプレビューして確認・提出
マネーフォワードでは、保険の区分(一般・介護医療・個人年金)を選ぶだけで適切な計算式が適用されるため、計算ミスの心配がありません。
生命保険料控除で注意すべきポイント
1. 控除証明書の再発行
控除証明書を紛失した場合は、保険会社に連絡すれば再発行が可能です。多くの保険会社ではWebサイトやコールセンターから手続きできます。年末調整や確定申告の直前は混雑するため、早めに手続きすることをお勧めします。
2. 配偶者名義の保険料
保険料を実際に支払っている人が控除を受けられます。たとえば、妻名義の保険でも、夫が保険料を支払っている場合は夫の控除対象となります。ただし、受取人が配偶者・親族であることが条件です。
3. 契約の見直し時の注意
旧制度の契約を見直し・転換すると、新制度の適用に切り替わります。旧制度の方が1区分あたりの控除上限が高い(所得税50,000円 vs 40,000円)ため、控除額が減少する可能性があります。契約の見直しを検討する際は、控除額への影響も考慮しましょう。
4. 電子的控除証明書(マイナポータル連携)
2020年以降、マイナポータル連携を通じて電子的控除証明書を取得できるようになりました。e-Taxで確定申告する場合や、年末調整の電子化に対応した企業では、紙の証明書なしで申告が可能です。対応保険会社は年々増加しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 生命保険料控除は確定申告と年末調整のどちらで申告すべきですか?
A. 会社員・公務員の方は年末調整で申告するのが最も簡単です。年末調整で申告し忘れた場合や、フリーランス・個人事業主の方は確定申告で申告してください。なお、年末調整で申告済みの控除を確定申告で再度申告する必要はありません。
Q2. 新制度と旧制度の両方の保険がある場合、どう計算しますか?
A. 同じ区分(例:一般生命保険料)で新旧両方の契約がある場合、以下の3つのうち最も有利なものを選べます。(1) 旧制度のみで計算(上限50,000円)、(2) 新制度のみで計算(上限40,000円)、(3) 新旧合算で計算(上限40,000円)。支払保険料の金額によって最適な選択が変わりますので、3パターンを比較して最も控除額が大きくなる方法を選びましょう。
Q3. 生命保険料控除証明書が届かない場合はどうすればいいですか?
A. 通常10月〜11月に届きますが、届かない場合は契約している生命保険会社に直接お問い合わせください。多くの場合、Webサイトのマイページやコールセンターから再発行を依頼できます。e-Taxで確定申告する場合はマイナポータル連携で電子的控除証明書を取得する方法もあります。
Q4. 途中で解約した保険の保険料は控除対象になりますか?
A. はい、年の途中で解約した場合でも、解約までに支払った保険料は控除の対象となります。解約返戻金は控除額の計算には影響しませんが、一時所得として課税される場合があります。
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免責事項:本記事は2026年3月時点の税制に基づいて作成しています。税制は改正される場合がありますので、最新の情報は国税庁のWebサイトまたは税理士にご確認ください。本記事の情報に基づく申告によって生じた損害について、当社は一切の責任を負いません。個別の税務判断については、税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
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