確定申告を提出した後に間違いに気づいた場合、正しい税額に修正する方法は2つあります。税額が少なかった場合は「修正申告」、税額を多く払いすぎていた場合は「更正の請求」です。
本記事では、修正申告と更正の請求の違い、それぞれの手続き方法、延滞税・加算税の計算方法、手続きの期限、実務上の注意点まで、2026年時点の最新情報で完全解説します。
修正申告と更正の請求の違い
確定申告の内容に誤りがあった場合の対応方法は、誤りの方向によって異なります。
- 修正申告:申告した税額が少なかった場合に、正しい金額に修正して追加納税する手続き
- 更正の請求:申告した税額が多すぎた場合に、正しい金額に減額して還付を受ける手続き
どちらも確定申告書を提出した後に行う手続きですが、手続きの方法、期限、ペナルティの有無が大きく異なります。
修正申告の手続き
修正申告が必要なケース
- 売上の計上漏れがあった
- 経費として計上した支出が事業関連ではなかった
- 所得控除の金額を多く計算していた
- 扶養控除の対象者が要件を満たしていなかった
- 消費税の計算に誤りがあり、納税額が少なかった
修正申告の手順
- 修正申告書の作成:国税庁の確定申告書等作成コーナーで「修正申告書」を作成。または手書きで修正申告書を記入
- 差額の計算:正しい税額と既に申告した税額の差額を計算
- e-Taxまたは税務署に提出:修正申告書を提出
- 差額の納付:追加で納付すべき税額を、提出と同時に(または速やかに)納付
修正申告の期限
修正申告に法定の期限はありません。誤りに気づいた時点でいつでも提出できます。ただし、延滞税は法定納期限の翌日から計算されるため、早く修正するほど延滞税が少なくなります。誤りに気づいたら、できるだけ速やかに修正申告を行いましょう。
自主的な修正申告のメリット
税務調査の通知を受ける前に自主的に修正申告を行うと、過少申告加算税が課されません。延滞税は発生しますが、加算税(追加税額の10〜15%)を回避できるため、大きなメリットがあります。
ただし、税務調査の事前通知があった後に修正申告を行った場合は、過少申告加算税が5%(50万円超の部分は10%)に軽減されますが、免除にはなりません。
更正の請求の手続き
更正の請求が必要なケース
- 経費の計上漏れがあった(本来計上できる経費を入れ忘れた)
- 所得控除の適用漏れがあった(医療費控除、寄附金控除、社会保険料控除など)
- 適用できる税額控除を適用していなかった
- 収入金額を多く計上してしまった
- 減価償却費の計算を誤って少なく計上していた
更正の請求の手順
- 更正の請求書の作成:国税庁の確定申告書等作成コーナーで「更正の請求書」を作成
- 更正の理由の記載:なぜ税額が多すぎたのかの理由を具体的に記載
- 添付書類の準備:更正の請求の根拠となる書類(領収書、控除証明書など)を添付
- e-Taxまたは税務署に提出
- 税務署の審査:税務署が内容を審査し、請求が認められれば還付される
更正の請求の期限
更正の請求の期限は、法定申告期限から5年以内です。例えば、2021年分(令和3年分)の確定申告は法定申告期限が2022年3月15日なので、更正の請求は2027年3月15日までに行う必要があります。
5年を過ぎると、たとえ税金を多く払っていたことが判明しても、原則として還付を受けることができません。心当たりがある方は、早めに確認しましょう。
延滞税の計算方法
修正申告で追加納税する場合、法定納期限の翌日から完納日までの延滞税が課されます。
2026年の延滞税率
- 納期限後2か月以内:年2.4%
- 納期限後2か月超:年8.7%
延滞税の計算例
2026年分の確定申告(法定納期限:2026年3月16日)で、追加納税額が10万円、修正申告の提出・納付が2026年6月15日の場合を計算します。
- 3月17日〜5月16日(2か月間・61日):100,000 × 2.4% × 61/365 ≒ 401円
- 5月17日〜6月15日(30日):100,000 × 8.7% × 30/365 ≒ 715円
- 延滞税合計:約1,100円(100円未満切り捨て → 1,100円)
延滞税は日割り計算のため、早く修正・納付するほど金額が小さくなります。
加算税の種類と税率
修正申告に伴い、以下の加算税が課される場合があります。
- 過少申告加算税:追加税額の10%(50万円超の部分は15%)。税務調査の通知前に自主的に修正申告した場合は免除、通知後〜調査前に修正した場合は5%(10%)に軽減
- 無申告加算税:納付税額の15%(50万円超は20%、300万円超は30%)。自主的な期限後申告は5%に軽減
- 重加算税:仮装・隠蔽があった場合、過少申告では35%、無申告では40%。非常に重いペナルティ
確定申告の期限内に間違いに気づいた場合
確定申告の提出後、法定申告期限内(所得税は3月15日まで)に間違いに気づいた場合は、「訂正申告」として正しい内容の確定申告書を再提出するだけでOKです。この場合、修正申告や更正の請求の手続きは不要で、ペナルティも発生しません。
e-Taxで申告済みの場合は、同じくe-Taxで正しい内容の申告書を送信すれば、最後に送信したものが有効な申告書として扱われます。
修正申告・更正の請求をスムーズに行うコツ
- クラウド会計ソフトのデータを活用:修正が必要な取引を特定し、仕訳を修正した上で正しい決算書・申告書を出力
- 修正前と修正後の差額を明確にする:修正申告書には、修正前の金額と修正後の金額の両方を記載
- 根拠書類を整備する:特に更正の請求では、税務署を納得させる証拠書類が重要
- 税理士に相談する:修正の金額が大きい場合や判断が難しい場合は、専門家に依頼
よくある質問(FAQ)
Q1. 修正申告をすると必ず税務調査が来ますか?
A. いいえ、修正申告をしたことだけを理由に税務調査が行われることは通常ありません。むしろ、自主的に修正申告を行うことは、誠実な納税姿勢の表れとして評価されます。ただし、修正の内容が大きい場合や不自然な場合は、確認のための調査が行われる可能性はゼロではありません。
Q2. 更正の請求が認められないケースはありますか?
A. はい、以下のケースでは認められない場合があります。期限(5年)を過ぎている場合、請求の根拠となる証拠書類がない場合、法律の解釈の誤りではなく選択の問題である場合(例:青色申告特別控除を選択しなかった場合)などです。更正の請求は「計算の誤り」や「事実の認識の誤り」が対象です。
Q3. 過去5年分すべてに経費の計上漏れがあった場合、まとめて更正の請求できますか?
A. はい、各年分について個別に更正の請求書を作成・提出すれば、まとめて請求できます。ただし、法定申告期限から5年を超えた年分は請求できません。例えば2026年3月時点では、2020年分(期限2021年3月15日)以降の分が対象です。
Q4. 修正申告と更正の請求を同時に行うことはありますか?
A. 複数の年分にわたって誤りがある場合、ある年分は税額が少なすぎた(修正申告)、別の年分は税額が多すぎた(更正の請求)というケースはあり得ます。その場合は、それぞれの年分について別々の手続きを行います。還付と追加納税は自動的に相殺されるわけではないため、それぞれ個別に処理されます。
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免責事項
本記事は2026年3月時点の税法・制度に基づいて執筆しています。最新の情報は国税庁の公式サイトでご確認ください。個別の税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。
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