- 現金で給料をもらったけど、税金はどうなるの?
- 手渡しの給料でも確定申告は必要?
- 申告しなかったら税務署にバレる可能性は?
- 確定申告が必要なケースを知りたい
銀行振込ではなく現金で給料を受け取る方も少なくありません。「現金だから税務署にバレないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、実はそれは大きな誤解です。
この記事では、手渡しで給料を受け取った場合の確定申告の必要性や、申告しなかった場合のリスクについて、わかりやすく解説します。




1. 手渡し給料とは?なぜ確定申告が問題になるのか
手渡し給料とは、銀行振込ではなく現金で直接支給される給与のことです。小規模な事業者、建設業、飲食店、単発バイトなどでよく見られる支払い方法です。
銀行振込と違って、現金での支払いは記録が残りにくいため、「申告しなくてもバレないのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、この考え方は非常に危険です。



2. 給料が手渡しでも「給与所得」は原則課税対象
給与所得として課税される仕組み
給料が手渡しであっても、それは「給与所得」として課税対象となります。法律上、給与の支払い方法に関わらず、所得税や住民税などの納税義務は発生します。
給料の受け取り方法(振込か現金か)と、税金の納税義務にはまったく関連性がありません。どちらの場合も原則として課税対象です。
源泉徴収の有無がポイント
手渡し給料を受け取る際に重要なのは、源泉徴収が行われているかどうかです。






源泉徴収で税金が引かれていれば、基本的に確定申告は不要です。ただし、医療費控除や住宅ローン控除などを受けたい場合は例外となります。
一方、源泉徴収されていない場合は、自分で確定申告をする必要があります。これを怠ると、後で税務署から指摘される可能性があります。
3. 手渡し給料でも確定申告が必要なケース
源泉徴収票がもらえない場合
事業者が適切に源泉徴収を行わず、源泉徴収票も発行していない場合は、自分で確定申告をする必要があります。
こういったケースは小規模な事業者や日雇いの仕事、アルバイトなどでよく見られます。会社が税金を預かっていないため、自分で納税の手続きをしなければなりません。
年収103万円を超える場合
所得税を支払う必要があるのは、年間103万円以上のバイト収入がある人です。1月から12月までの間に受け取ったすべての給与(手渡し・振込問わず)を合計して所得を計算します。
・所得税の基準: 年収103万円超
・住民税の基準: 金額にかかわらず課税対象
・扶養から外れる基準: 年収103万円超
副業の場合は年間所得20万円超
本業に加えて副業をしている場合、副業からの所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。ここで注意したいのは、「収入」ではなく「所得」(収入-必要経費)が基準になることです。






年末調整をしていない場合
勤務先が一箇所だけで、かつ年末調整をする場合は、確定申告の必要はありません。しかし、年の途中で退職した場合や複数の勤務先がある場合は、確定申告が必要になることがあります。
4. 税務署はどうやって手渡し給料をチェックするのか?
「手渡しならバレない」と思いがちですが、実際には税務署にはさまざまな方法で情報が集まります。主な経路を見てみましょう。
事業者側からの支払調書
雇用主や仕事の発注元は、給与や報酬を支払った場合、その内容を税務署に報告する義務があります。会社は人件費を経費として計上するため、誰にいくら支払ったかを記録します。
具体的には、年間の給与総額を記載した「給与支払報告書」や、報酬の支払いに関する「支払調書」を税務署に提出します。



マイナンバーによる一元管理
2016年に導入されたマイナンバー制度により、個人の所得情報が一元管理されるようになりました。マイナンバーは確定申告書、支払調書、源泉徴収票などの書類に記載が義務付けられています。
マイナンバーにより、あなたのすべての収入が紐付けされて管理されています。現金手渡しであっても、申告漏れがあれば発覚するリスクが高まっています。
銀行預金と支出の不一致
現金で受け取った給料を銀行口座に入金すると、その記録が残ります。収入と支出のバランスが不自然な場合、税務署から調査が入る可能性があります。
特に税務調査が入ると、銀行口座の入出金履歴、クレジットカードの利用状況なども確認され、生活水準と申告所得の不一致が発見されることもあります。
税務調査による発覚
税務調査では、支払調書、確定申告書、銀行口座の入出金記録などが徹底的にチェックされます。手渡しで給料を受け取っていても、雇い主側が支払調書を提出していれば、税務署に記録が残るため、無申告でいることは非常にリスクが高いです。






5. 手渡し給料を受け取った人の確定申告の手順
手渡し給料を受け取った場合でも、適切に確定申告を行うことが重要です。基本的な手順は以下の通りです。
手渡しで受け取った給料の日付・金額・支払者を必ずメモしておきましょう。給与明細がない場合は、自分で記録を残すことが重要です。
給与明細(ない場合はメモやLINEのやり取りなど記録が残るもの)を集めます。源泉徴収票があれば保管しておきましょう。
確定申告書の「給与所得」または「事業所得」の欄に記入します。国税庁のe-Taxを利用すると便利です。
確定申告期間(2月16日〜3月15日)に申告と納税を行います。源泉徴収されていない場合は、自分で税額を計算して納税します。



6. 確定申告しなかった場合のペナルティ
確定申告を怠ると、さまざまなペナルティが課される可能性があります。主なものを見てみましょう。
無申告加算税
確定申告の期限(3月15日)までに申告を行わなかった場合、無申告加算税が課されます。これは通常、本来の税額の15%~20%が加算されます。
延滞税
納税が遅れると、本来納めるべき税額に加えて延滞税が発生します。延滞税は日数に応じて増えていくため、気づいた時点で速やかに申告・納税することが重要です。
悪質な場合は重加算税や告発も
意図的に所得を隠していると判断された場合、重加算税(本来の税額の35%~40%)が課される可能性があります。特に悪質なケースでは、脱税として刑事告発されることもあります。
「手渡しだからバレない」という考えで確定申告を怠ると、発覚時には本来の税額に加えてペナルティが上乗せされます。長期間の未申告ほどリスクは大きくなります。



7. 【Q&A】よくある質問
- 少額のバイト代でも申告は必要ですか?
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収入額によって異なります。本業の給与のみで年末調整済みなら基本的に不要ですが、副業の場合は年間所得20万円超で確定申告が必要です。ただし、住民税については金額に関わらず申告が必要な場合があります。
- 源泉徴収なしの手渡し給料。後から確定申告しても大丈夫ですか?
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はい、後からでも確定申告は可能です。ただし期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。自主的に申告する場合は、できるだけ早く行いましょう。税務署に相談すれば、適切な手続き方法を教えてもらえます。
- 副業の現金報酬、会社にバレないようにする方法はありますか?
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副業を会社に知られたくない場合、確定申告時に住民税の納付方法を「普通徴収」(自分で納付)に設定することで、会社に副業の存在が知られるリスクを減らせます。ただし、確定申告自体は必ず行いましょう。納税義務を果たさないリスクの方が大きいです。
- 税務調査は誰でも対象になりますか?
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すべての納税者が調査対象になるわけではありませんが、申告内容に不自然な点があったり、収入と生活水準に大きな乖離がある場合などは調査対象になりやすいです。また、同業他社との利益率の違いや、過去の申告状況なども判断材料になります。
まとめ:手渡し給料でも適切な確定申告を
手渡しで給料を受け取った場合でも、適切に確定申告を行うことが重要です。「現金だからバレない」という考えは非常に危険で、マイナンバー制度や税務調査によって発覚するリスクが高まっています。
現金手渡しであっても、原則として課税対象です。支払い方法によって税金の義務が変わることはありません。
源泉徴収されているか否かで確定申告の必要性が変わります。源泉徴収なしの場合は、自分で確定申告する必要があります。
マイナンバー制度により、すべての所得が紐付けられて管理されるようになりました。申告漏れは発覚しやすくなっています。
確定申告を怠ると、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。長期間の未申告ほどリスクは高まります。
不安な点がある場合は、税務署や税理士に相談することをおすすめします。正しく申告することで、将来のトラブルを避け、安心して働くことができます。



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