※本記事にはアフィリエイトリンク(A8.net経由)が含まれます。
📌 この記事でわかること
- 手渡し給料でも確定申告が必要になる年収の基準(バイトは160万円、副業は所得20万円)
- 手渡し給与の確定申告 税額計算シートで、所得税・住民税・国民健康保険料の概算を一括試算
- 源泉徴収票がもらえない場合に収入を証明する具体的な方法
- 無申告加算税・重加算税・延滞税の実額シミュレーション
- 給料を手渡しで払う事業主側に残る源泉徴収義務と納付書の書き方
アルバイトや副業の給料を現金で手渡しされている方は少なくありません。振込の給与明細のような書類が手元に残らないため、「このまま確定申告しなくても大丈夫だろうか」と気になっている方も多いはずです。
結論から言うと、給料の受け取り方が振込か現金かは、所得税や住民税の課税義務にまったく関係ありません。この記事では、手渡し給料で確定申告が必要になる基準を、実際に自分の年収を入力して試算できるツールとあわせて解説します。
ぜいむたん


1. 手渡し給料でも確定申告が必要になる年収の基準
手渡しの給料は、支払い方法にかかわらず税法上は「給与所得」として扱われます。確定申告が必要かどうかは、給料の渡し方ではなく、年間の収入額と源泉徴収の有無で決まります。
バイト・パートは年収160万円が所得税の分岐点(令和7年分以後)
令和7年度税制改正で、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に、基礎控除が48万円から最大95万円(合計所得金額に応じて58万〜95万円)に引き上げられました。この結果、給与収入だけの人は年収160万円以下であれば所得税がかかりません(令和6年分までは103万円が基準でした)。出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」




「年収160万円」は、1月から12月までに受け取った給与の合計額で判定します。手渡しか振込かは問わず、掛け持ちしているバイト先の給料もすべて合算します。
副業の手渡し報酬は所得20万円超で確定申告が必要
本業の給与とは別に、副業として現金で報酬を受け取っている場合は、その所得(収入から必要経費を差し引いた額)が年間20万円を超えると確定申告が必要です。ここで基準になるのは「収入」ではなく「所得」である点に注意してください。なお、この20万円ルールはあくまで所得税の確定申告についての特例であり、住民税の申告は所得20万円以下でも別途必要になります。
覚えておきたい基準額のまとめ
所得税の基準(バイト等の給与のみ):年収160万円超(令和7年分以後・改正前は103万円超)
副業(雑所得・事業所得)の基準:年間所得20万円超で所得税の確定申告が必要
住民税の基準:自治体により異なるが年収おおむね93万〜100万円超で課税(住民税の基礎控除は令和7年改正では引き上げられておらず43万円のまま)
親の扶養から外れる基準:年収123万円超(令和7年分以後。19〜23歳の特定親族は年収188万円まで特定親族特別控除の対象)






2. 手渡し給与の確定申告 税額計算シート
手渡しで受け取った年間の給与収入と、掛け持ち分の給与収入、天引きされている社会保険料を入力すると、所得税・住民税・国民健康保険料の概算をその場で試算できます。実際に自分の数字を入れて、確定申告でいくら納める可能性があるかを確認してください。
🧮 手渡し給与の確定申告 税額計算シート
※本ツールは給与収入のみを前提とした概算です。副業が雑所得・事業所得の場合や、社会保険料控除以外の各種控除(医療費控除・扶養控除等)がある場合は結果が変わります。住民税・国民健康保険料は自治体により料率や軽減措置が異なるため、全国平均的な料率を用いた目安であり、実際の金額は市区町村への確認が必要です。国民健康保険料は所得の低い世帯向けの均等割軽減(7割軽減等)を簡易的に反映していますが、正確な軽減判定は世帯構成や自治体条例によります。
給与収入170万円-給与所得控除65万円=給与所得105万円。合計所得105万円は132万円以下なので基礎控除は95万円。課税所得は105万円-95万円=10万円。所得税は10万円×5%=5,000円(復興特別所得税込みで5,100円)です。上記ツールに170万円(他の項目は0円)を入力すると同じ結果になることを確認しています。






3. 手渡し給料が税務署に伝わる3つの経路
「現金だから記録が残らない」と考えるのは危険です。手渡しであっても、次の3つの経路で税務署に情報が集まる仕組みになっています。
雇用主・発注元が提出する支払調書と給与支払報告書
給料や報酬を支払う側は、人件費を経費として計上するために、誰にいくら支払ったかを税務署や市区町村に報告する義務があります。具体的には、給与総額を記載した「給与支払報告書」や、報酬の支払いに関する「支払調書」が提出されます。手渡しで支払っていても、支払う側の帳簿には記録が残るため、この経路は消えません。
マイナンバーによる所得の一元管理
マイナンバー制度により、確定申告書・支払調書・源泉徴収票などの書類にマイナンバーの記載が義務付けられています。複数の勤務先から支払われた給与や報酬が、マイナンバーを軸に名寄せされる仕組みです。
税務調査での銀行口座・生活実態の確認
税務調査では、支払調書や確定申告書だけでなく、銀行口座の入出金履歴やクレジットカードの利用状況も確認対象になります。手渡しで受け取った現金を口座に入金した記録や、収入に見合わない生活水準がある場合、そこから申告漏れが発覚することがあります。
支払う側が支払調書や給与支払報告書を提出していないケースもありますが、それは支払う側の義務違反であって、受け取った側の申告義務が消えるわけではありません。提出の有無にかかわらず、自分の収入は自分で記録しておく必要があります。
4. 源泉徴収票がない場合の収入証明の作り方
手渡しの給料で源泉徴収票が発行されない場合でも、確定申告はできます。むしろ源泉徴収票が無いことは珍しくなく、代わりの記録で収入を証明する準備をしておけば問題ありません。
受け取った日付・金額・支払者(会社名または個人名)・仕事の内容を、その都度ノートやスマホのメモに記録します。手渡しを受け取った直後に書くのが最も正確です。
給与明細が発行されていればそれが一番確実な証拠になります。無い場合も、勤務時間が分かるシフト表や、支払者との金額のやり取りが残るLINE・メールのスクリーンショットは有力な補完資料です。
受け取った現金の一部でも銀行口座に入金しておくと、通帳やネットバンキングの入出金明細が金額と時期を裏付ける記録になります。全額を手元に置いたままにせず、定期的に入金する習慣が収入証明に役立ちます。
確定申告書の作成自体には源泉徴収票の添付は必須ではありません(e-Taxおよび令和6年分以後の申告では、そもそも源泉徴収票の添付は不要とされています)。記録した収入メモを自分用の集計表としてまとめ、申告内容の根拠として保管しておきましょう。






5. 無申告のペナルティ実額表:無申告加算税・重加算税・延滞税
期限内に確定申告をしなかった場合、本来の税額に加えて無申告加算税・延滞税が課され、悪質と判断されると重加算税に切り替わります。ここでは国税庁のタックスアンサーと国税通則法の条文にもとづき、実際の金額でどれくらい増えるかを試算します。
無申告加算税:自主申告か調査後かで税率が変わる
無申告加算税の税率は、税務署の調査を受ける前に自分から期限後申告をしたか、調査を受けた後に申告したかで異なります。令和5年分以後は次のとおりです。出典:国税庁タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」
| 申告のタイミング | 50万円までの部分 | 50万円超300万円までの部分 | 300万円超の部分 |
|---|---|---|---|
| 調査の事前通知前に自主的に申告 | 一律5% | ||
| 調査の事前通知後、調査による決定を予知する前 | 10% | 15% | 25% |
| 調査を受けた後(決定を予知した申告) | 15% | 20% | 30% |
ただし、法定申告期限から1か月以内に自主的に期限後申告をし、かつ期限内に納付していたなど一定の要件を満たす場合は、無申告加算税は課されません。
【実額例】本来の税額が10万円だった場合
本来納めるべき所得税が10万円だったケースで比較すると、調査の事前通知前に自分から申告すれば加算税は10万円×5%=5,000円。税務署の調査を受けた後だと10万円×15%=15,000円になります。同じ税額でも、気づいた時点で早く申告するかどうかで加算税の差は3倍です。
重加算税:仮装・隠蔽があった場合は35〜40%
収入や所得を意図的に隠したり、書類を偽装したりしたと認定されると、無申告加算税や過少申告加算税に代えて重加算税が課されます。国税通則法第68条により、申告はしたが所得を過少に記載していた場合(過少申告加算税に代わるケース)は35%、そもそも申告していなかった場合(無申告加算税に代わるケース)は40%です。出典:国税通則法第68条(e-Gov法令検索)
本来の税額が10万円であれば、無申告のまま仮装・隠蔽が認定された場合の重加算税は10万円×40%=40,000円です。これに加えて延滞税も別途発生します。
延滞税:納付が遅れるほど日数分だけ増える
延滞税は、法定納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて課されます。令和8年中の割合は、納期限から2か月以内は年2.8%、2か月を超えると年9.1%です。出典:国税庁タックスアンサー No.9205「延滞税について」
納期限から2か月分は10万円×2.8%×(60/365)=約460円、残り1か月分は10万円×9.1%×(30/365)=約748円。合計で約1,208円(延滞税は100円未満切り捨てのため実際は1,200円)です。金額は小さく見えても、無申告のまま放置する期間が長いほど日数分だけ積み上がっていきます。
気づいてすぐ自主的に申告:本税10万円+無申告加算税5,000円=105,000円程度。
税務調査を受けてから申告:本税10万円+無申告加算税15,000円+延滞税=116,000円以上。
仮装・隠蔽が認定された場合:本税10万円+重加算税40,000円+延滞税=141,000円以上。
早く自分から申告するほど、加算税の負担は小さくなります。
6. 支払う側(事業主)に残る源泉徴収義務と納付書の書き方
ここまでは受け取る側の視点で解説してきましたが、給料を手渡しで支払っている事業主にも、現金払いだからといって免除されない義務があります。
手渡しでも源泉徴収義務は消えない
人を雇って給与を支払う会社や個人は、支払いの都度、所定の税額を差し引いて国に納める「源泉徴収義務者」にあたります。この義務は給与を振込で払うか現金で手渡しするかによって変わりません。差し引いた所得税および復興特別所得税は、原則として給与を実際に支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。出典:国税庁タックスアンサー No.2502「源泉徴収義務者とは」
納期の特例で年2回にまとめられる
給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄税務署に提出することで、源泉徴収した所得税を半年分まとめて納付できます。適用を受けると、1月から6月分は7月10日、7月から12月分は翌年1月20日が納付期限になります。出典:国税庁タックスアンサー No.2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」
納付書(所得税徴収高計算書)の記入で押さえる点
納期の特例を適用している場合は「納期等の区分」欄に半年分の期間(例:1月〜6月)を記入し、通常月納付用ではなく納期特例用の徴収高計算書(納付書)を使用します。「俸給・給料等」の欄に、対象期間中に手渡しも含めて実際に支払った給与総額と、そこから源泉徴収した税額の合計を記入します。手渡しで支払った分を集計から漏らさないよう、支払時の記録を必ず残しておくことが前提になります。記入方法の詳細は税務署や国税庁の手引きで具体的な様式を確認してください。






7. 手渡し給料を受け取った人の確定申告の手順
確定申告が必要と分かったら、次の手順で進めます。
1月から12月に受け取った手渡し・振込すべての給与を合計します。第2章の計算ツールに実際の金額を入力し、税額の見込みを確認しておきましょう。
源泉徴収票があれば準備し、無ければ第4章の方法で作成した収入メモ・通帳の入金記録をまとめます。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内に沿って金額を入力するだけで税額が自動計算され、申告書が作成できます。作成したデータはe-Taxで電子申告するか、印刷して税務署に提出できます。
確定申告期間(2月16日〜3月15日)内に提出と納税を行います。期限に間に合わなかった場合も、気づいた時点ですぐに期限後申告をすれば、無申告加算税を最小限に抑えられます。
よくある質問(FAQ)
- 少額のバイト代でも申告は必要ですか?
-
本業の給与のみで年末調整が済んでいれば基本的に申告は不要ですが、副業として受け取っている場合は年間所得20万円超で確定申告が必要です。所得税の申告が不要なケースでも、住民税の申告は別途必要になることがあります。
- 確定申告をすると、会社に副業がバレますか?
-
確定申告書には住民税の徴収方法を選ぶ欄があり、「自分で納付(普通徴収)」を選択すると、副業分の住民税は会社の給与天引きとは別に自分で納付する形になり、会社に伝わるリスクを抑えられます。ただし自治体によっては給与所得以外の所得も特別徴収に含める運用をしている場合があるため、申告書提出前に自治体に確認しておくと確実です。確定申告自体は行うべきものであり、申告をしない選択肢ではありません。
- 源泉徴収なしの手渡し給料。何年も申告していない場合はどうすればいいですか?
-
気づいた時点でできるだけ早く期限後申告をすることをおすすめします。過去にさかのぼって申告する場合、年数が経つほど延滞税の対象期間が延びます。税務署の窓口や税理士に相談すれば、対象年分の整理の仕方も含めて教えてもらえます。
- 給料を手渡しで払っている雇う側も、何か申告が必要ですか?
-
はい。源泉徴収義務者にあたる場合は、支払った給与から源泉徴収した所得税を期限までに納付する義務があります。また、年間の給与支払額を記載した給与支払報告書を、従業員が住む市区町村に提出する義務もあります。手渡しであっても、これらの義務は振込払いと同様に発生します。
まとめ:手渡し給料でも記録を残して正しく申告する
手渡しの給料は、振込の給料と同じく「給与所得」として課税対象になります。支払調書やマイナンバー、税務調査という複数の経路で税務署に情報が集まる以上、申告しないままにしておくメリットはありません。
バイト等の給与のみなら年収160万円、副業なら所得20万円が確定申告の目安です。掛け持ち分もすべて合算して判定します。
第2章の税額計算シートに実際の金額を入力し、所得税・住民税・国民健康保険料の概算を確認しておきましょう。
受け取るたびにメモを残し、通帳への入金と紐づけておけば、確定申告の根拠資料として使えます。
無申告加算税は自主的に申告するほど税率が下がります。放置する期間が長いほど延滞税も積み上がるため、早めの対応が負担を抑える一番の方法です。



あわせて読みたい
イザークコンサルティング
記事執筆代行・Web/LP制作
公認会計士試験合格者が、専門性とSEOを両立した記事制作と、WordPress×SWELLのWeb/LP制作までワンストップで対応します。
▶ 記事執筆代行を見る
▶ Web・LP制作を見る

