「MacBook Proが39万円なんですが、一気に経費にできますか?」——2026年4月1日から、個人事業主・中小企業の少額減価償却資産の特例が取得価額30万円未満から40万円未満に引き上げられました(令和8年度税制改正)。財務省の改正大綱(mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_03.htm)で正式確定済みです。
これまでは「30万円の壁」があり、30万円以上の資産は数年かけて減価償却するしかありませんでした。しかし2026年4月以降は39万9,999円以下の設備を購入年に全額経費化できます。PwC Japan・KPMGの英語レポートでも “most impactful change for SMEs and sole proprietors in 2026” と評価されています。
この記事が他と違う3つのポイント
① 財務省・国税庁・PwC・KPMGの一次情報に基づく正確な改正内容(概要記事との差別化)
② 個人事業主が実際に購入する商品(MacBook Pro・カメラ・バイク等)の具体的チェックリスト
③ 課税所得200万〜500万円の節税シミュレーション(他サイトにない独自試算)
少額減価償却資産の上限が40万円になったって聞きましたが、個人事業主の私にも適用されますか?
はい、青色申告をしている個人事業主なら対象です。2026年4月1日以降に取得した資産から適用されます。MacBook Proが39万9,000円であれば、購入した年に全額経費として計上できます。
少額減価償却資産の特例とは?改正前後の違い
少額減価償却資産の特例とは、一定金額以下の固定資産(パソコン・機械・車両等)を購入した年の全額を経費(必要経費)として計上できる制度です。通常、固定資産は耐用年数に応じて数年にわたって減価償却しますが、この特例を使えば購入年に全額を一括で経費化できます。
| 区分 | 2026年3月31日以前取得 | 2026年4月1日以降取得 |
|---|---|---|
| 少額減価償却資産特例の上限 | 30万円未満 | 40万円未満(改正) |
| 年間の合計上限額 | 300万円 | 300万円(変更なし) |
| 対象者(個人) | 青色申告 / 従業員500人以下 | 青色申告 / 従業員400人以下 |
| 対象者(法人) | 中小企業者等 / 従業員500人以下 | 中小企業者等 / 従業員400人以下 |
| 申告書への記載 | 確定申告書の減価償却費の明細が必要 | 同左(変更なし) |
改正のポイント整理(財務省一次情報)
✅ 2026年4月1日以降に取得した資産から適用(取得日基準・支払日ではない)
✅ 上限が30万円→40万円未満に引き上げ
✅ 従業員数要件が500人以下→400人以下に変更
✅ 年間合計上限の300万円は変更なし
✅ 青色申告が引き続き必須要件
適用要件:個人事業主はどうすれば使える?
国税庁No.5408(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)と中小企業庁の公式ページによると、個人事業主が特例を使うための要件は以下の4つです。
- 要件①:青色申告をしていること(白色申告者は不可)
- 要件②:常時使用する従業員数が400人以下(2026年4月1日以降取得分)
- 要件③:取得価額が1個・1台あたり40万円未満であること(消費税の扱いは後述)
- 要件④:事業の用に供した年(使い始めた年)に経費計上すること
消費税の扱い(免税事業者 vs 課税事業者)
免税事業者(売上1,000万円以下が多い個人事業主):税込価格で判定。39万9,000円の商品は税込43万8,900円(税率10%の場合)なので40万円以上となり特例対象外に注意!
課税事業者(インボイス登録済み等):税抜価格で判定。税抜39万9,000円の商品は特例対象になる。
→ 免税事業者は税込36万3,636円以下の商品が実質的な上限(=税抜33万円)
2026年4月以降に一括経費化できる具体的な商品例
「40万円未満」という新しい上限で、どんな設備が購入年に全額経費化できるようになったのでしょうか?個人事業主・フリーランスがよく購入する商品で確認しましょう(税抜価格・課税事業者の場合)。
| 商品例 | 税抜目安価格 | 改正前(30万未満) | 改正後(40万未満) |
|---|---|---|---|
| MacBook Air M3(15インチ) | 約22万円 | ✅ 対象 | ✅ 対象 |
| MacBook Pro M4(14インチ) | 約26〜35万円 | ✅ 対象 | ✅ 対象 |
| MacBook Pro M4 Pro(14インチ) | 約36〜39万円 | ❌ 対象外(30万以上) | ✅ 対象(40万未満) |
| ミラーレス一眼カメラ(ソニーα7 IV等) | 約32〜38万円 | ❌ 対象外 | ✅ 対象 |
| 電動アシスト自転車(高機能) | 約15〜25万円 | ✅ 対象 | ✅ 対象 |
| オートバイ(スクーター等) | 約25〜39万円 | ❌ 30万以上は対象外 | ✅ 対象(39万まで) |
| 高性能モニター2台(36〜38万円相当) | 約36〜38万円 | ❌ 対象外 | ✅ 対象 |
| 業務用デスク+椅子セット | 約15〜30万円 | ✅/❌(金額次第) | ✅ 39万まで対象 |
注意:1台あたりの金額で判定
少額減価償却資産特例は1個・1台あたりの取得価額で判定します。MacBook Pro 2台を合計38万円で購入しても、1台あたり19万円なので特例対象です。一方、1台39万円のモニターは特例対象ですが、セット購入で1組の資産と見なされる場合は合計額で判定されます。判断に迷う場合は税理士に確認してください。
節税シミュレーション:課税所得別の節税効果
実際に39万円のMacBook Pro M4 Proを2026年4月以降に購入した場合、課税所得別にどれだけ節税できるのか試算します(個人事業主・青色申告・課税事業者の場合)。
実例:Webデザイナーのケーススタディ
課税所得300万円のフリーランスWebデザイナー(Aさん)が2026年5月にMacBook Pro M4 Pro(税抜38.8万円)を購入したケース。
旧制度(30万円未満):38.8万円は30万円以上のため特例対象外 → 4年で減価償却(初年度経費9.7万円、節税約1.9万円)
新制度(40万円未満):2026年4月改正で特例対象 → 38.8万円を取得年に全額経費化 → 節税7.76万円(所得税20%)
→ 改正前後の差:約5.86万円の追加節税効果(初年度)。国民健康保険料の軽減効果を含めると実質節税はさらに増加。
| 課税所得 | 所得税率+住民税率 | 39万円を即時経費化した場合の節税額 | 通常減価償却(耐用年数4年)の初年度経費 | 節税前倒し額 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 10% + 10% = 20% | 78,000円(39万×20%) | 97,500円(4年で97,500/年) | 初年度に39万全額→その分の20%=78,000円 改正前は約24,375円(30万超は対象外) |
| 300万円 | 10% + 10% = 20% | 78,000円 | 同上 | **改正前より54,375円多く初年度節税** |
| 500万円 | 20% + 10% = 30% | 117,000円(39万×30%) | 初年度97,500円分の30%=29,250円 | **初年度に117,000円節税(通常比+87,750円)** |
| 900万円超 | 33% + 10% = 43% | 167,700円(39万×43%) | 初年度29,250円分相当 | **初年度167,700円節税(最大効果)** |
シミュレーションの前提条件
・課税事業者(税抜39万円で判定)|MacBook Pro耐用年数4年(法定耐用年数=税法上の使用可能期間)を想定|定額法
・住民税10%(均等割除く)含む|個人事業税・国民健康保険料の軽減効果は含まず(実際はさらに節税効果あり)
・所得税の速算表(財務省公式)に基づく試算
課税所得500万円の方が39万円の設備を購入した場合、通常の減価償却(4年で分割)と比べ、初年度に追加で約87,750円多く節税できます。年間所得を大幅に引き下げる効果があり、国民健康保険料の計算基礎(前年所得)にも影響するため、実質的な節税効果はさらに大きくなります。
少額減価償却 vs 一括償却資産 vs 通常減価償却の比較
個人事業主が固定資産を購入した際、どの処理方法を選ぶかは取得価額と経営判断によります。3つの方法を整理します。
| 処理方法 | 適用金額(2026年4月〜) | 経費計上方法 | 青色申告 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|---|
| 少額減価償却資産特例 | 10万円以上〜40万円未満 | 取得年に全額一括経費 | ✅ 必須 | 即年全額経費化で節税最大化 | 年間300万円上限あり |
| 一括償却資産 | 10万円以上〜20万円未満 | 3年均等(1/3ずつ) | 不要(白色も可) | 売却・廃棄しても残額経費化不要 | 取得年の節税効果は1/3のみ |
| 通常の減価償却 | 40万円以上(改正後) | 耐用年数で分割 | 不要 | 高額資産も計上可能 | 節税効果が数年間に分散 |
| 消耗品費(即時経費) | 10万円未満 | 全額即時経費 | 不要 | 最もシンプル | 10万円未満のみ適用 |
どれを選ぶべき?判断フロー
① 取得価額10万円未満 → 消耗品費で全額即時経費化(最もシンプル)
② 取得価額10万〜20万円未満 → 一括償却資産か少額減価償却特例(青色申告なら特例が節税有利)
③ 取得価額20万〜40万円未満(課税事業者)→ 少額減価償却特例一択(2026年4月以降の改正で対象に)
④ 取得価額40万円以上 → 通常の減価償却(耐用年数で分割計上)
年間上限300万円の注意点
少額減価償却資産の特例には事業年度(1月〜12月)で300万円の合計上限があります。40万円未満の資産を複数購入した合計が300万円を超えた分については、特例は使えず通常の減価償却になります。

