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【2026年4月施行】防衛特別法人税とは?中小企業の免除ライン・税額計算・節税対策を完全解説

「2026年4月から防衛特別法人税という新しい税金が始まったと聞いたけど、うちの会社は本当に増税になるのか」——決算月が近づくたびに、この不安を口にする経営者・経理担当者は少なくありません。SNSやニュースでは「法人が増税される」という見出しばかりが先行し、具体的にいくら負担が増えるのか、そもそも自社が対象になるのかがわからないまま決算を迎えてしまうケースが目立ちます。 結論から言うと、防衛特別法人税は「基準法人税額から年500万円を控除した金額」に4%を掛けて計算する制度であり、この500万円という基礎控除のおかげで、多くの中小企業は実質的な負担がゼロにとどまります。ただし「実質ゼロ」と「対象外」はイコールではなく、税額がゼロでも申告書の提出義務は残ります。本記事では、国税庁・財務省の一次資料をもとに、施行時期・計算方法・免除ラインの正確な試算・2026年決算に向けた合法的な節税対策までを、公認会計士試験合格者の視点で解説します。

📌 この記事でわかること

対象読者:法人の決算・税務を担当する経営者・経理担当者/読了の目安:約18分

  • 防衛特別法人税の正確な施行時期(令和8年4月1日以後開始事業年度)と計算式(基準法人税額-500万円)×4%
  • 「基準法人税額」の正しい定義と、中小企業が実質ゼロ負担になる課税所得の目安(国税庁一次資料から自分で計算し直した数値)
  • 課税所得500万円〜3億円までの防衛特別法人税額シミュレーション表
  • あわせて変わった中小法人の軽減税率(所得10億円超の事業年度は15%→17%)・地方法人税10.3%との関係
  • 申告・納付の実務(法人税との同時申告・中間申告開始時期・決算期1年未満の按分)
  • 根拠を確認したうえで残した、現行制度に基づく合法的な節税対策
目次
ぜいむたん
防衛特別法人税って2026年4月から始まったって聞いたんですが、うちの会社(課税所得800万円くらいの中小企業)は増税になるんですか?
イザーク
結論から言うと、課税所得800万円くらいの会社やったらほぼ影響ないで。防衛特別法人税は「基準法人税額から500万円を引いた金額」に4%をかける仕組みやから、基準法人税額が500万円以下やったら税額はゼロになるんや。ただし「税額ゼロ=申告不要」やないから、そこは注意やで。順番に数字で見ていこか。

防衛特別法人税とは?制度の目的と施行時期

ぜいむたん
そもそも防衛特別法人税って、何のためにできた税金なんですか?
イザーク
2022年に決まった「防衛力整備計画」で、防衛費をGDP比2%水準まで引き上げる方針が示されたんやけど、その財源の一部を法人税・所得税・たばこ税の増税でまかなうことになったんや。そのうち法人向けの措置が、令和7年度税制改正で創設された防衛特別法人税やで。
防衛特別法人税は、防衛力強化のための財源確保を目的に、令和7年度税制改正で創設された法人税の付加税です。既存の法人税とは別枠の新税として、法人税額そのものではなく「基準法人税額」を課税標準とし、そこから基礎控除を差し引いた金額に税率を掛けて計算します(出典:国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」防衛特別法人税の創設)。
項目 内容
制度名 防衛特別法人税(防衛特別法人税に関する政令等の一部を改正する法律に基づく国税)
納税義務者 各事業年度の所得に対する法人税を課される法人(個人事業主は対象外)
課税事業年度 令和8年(2026年)4月1日以後に開始する各事業年度
税率 4%
基礎控除額 年500万円(事業年度が1年未満の場合は月数按分)
申告期限 各課税事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内(原則、法人税と同時)
出典:国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」防衛特別法人税の創設(2⑴制度の概要)

3月決算・12月決算など、事業年度の開始日で判定する

「令和8年4月1日以後に開始する事業年度」が対象なので、3月決算法人は2026年4月1日開始(2027年3月期)から12月決算法人は2027年1月1日開始(2027年12月期)からそれぞれ対象になります。2026年4月〜12月の期間だけを含む事業年度(たとえば2026年3月開始・2027年2月終了の事業年度など、開始日が2026年4月1日より前のもの)は対象外です。開始日がいつかで1年変わるため、決算月ごとに自社がいつから対象になるかを確認しておきましょう。
私自身、財務省での勤務経験を通じて、新税が創設されるたびに「施行日」の解釈を誤って税額計算を誤るケースを数多く見てきました。防衛特別法人税も同様で、「4月1日以後に開始する事業年度」という条文の書き方を正しく理解しておくことが、決算の初手として重要です。

防衛特別法人税の計算方法|「基準法人税額」の正しい定義

ぜいむたん
計算式に出てくる「基準法人税額」って、普段よく聞く「法人税額」と同じものなんですか?
イザーク
似てるけど、厳密には違うんや。基準法人税額は、所得税額控除や外国税額控除などの一定の税額控除を「差し引く前」の法人税額のことやで。ここを勘違いして実際に納付する法人税額で計算すると、防衛特別法人税を少なく見積もってしまう可能性があるから注意やな。
防衛特別法人税の計算式はシンプルです。

防衛特別法人税額 = (基準法人税額 - 500万円) × 4%

ポイントは「基準法人税額」の定義です。国税庁の資料では、基準法人税額は「一定の制度を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額」と定義されています。ここでいう「一定の制度」とは、所得税額控除・外国税額控除・分配時調整外国税相当額の控除など、法人税額から差し引く各種の税額控除を指します(出典:国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」防衛特別法人税の創設)。つまり、基準法人税額は、これらの控除を適用する前の(=控除を適用した後の実際の納付税額より大きくなりうる)法人税額である点に注意が必要です。多くの中小企業では所得税額控除・外国税額控除の適用額が小さいため、基準法人税額と実際の法人税額(課税所得×法人税率で計算した額)はおおむね近い金額になります。

防衛特別法人税額を求める3ステップ

基準法人税額を確定する

所得税額控除・外国税額控除などを適用する前の法人税額。中小企業の目安は「課税所得×法人税率」に近い金額。

基礎控除500万円を控除する

基準法人税額が500万円以下ならここで課税標準法人税額はゼロになる。事業年度が1年未満なら月数按分。

4%を乗じる

控除後の課税標準法人税額に4%を掛けた金額が防衛特別法人税額(外国税額控除等の税額控除を適用できる場合あり)。

出典:国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」防衛特別法人税の創設(2⑵課税標準法人税額及び税額の計算)。なお、防衛特別法人税額からも外国税額控除・分配時調整外国税相当額の控除などの税額控除を適用できる場合があります。

中小企業への影響はどこまで?免除ラインを正確に計算する

ぜいむたん
500万円の基礎控除があるのはわかりましたけど、うちの会社の「課税所得」でいうと、いくらまでなら防衛特別法人税がゼロになるんですか?
イザーク
ええ質問やな。ここは既存の「税率29.74%で単純に割る」みたいな粗い計算やと間違うポイントやから、中小法人の軽減税率(800万円以下15%・超過分23.2%)を正確に踏まえて計算し直すで。
中小法人(資本金1億円以下等)の法人税率は、課税所得のうち年800万円以下の部分が軽減税率15%、800万円を超える部分が本則税率23.2%です(軽減税率は令和9年3月31日までに開始する事業年度が対象。出典:国税庁タックスアンサー No.5759「中小法人の税率の特例」)。この税率で、基準法人税額がちょうど500万円になる課税所得を逆算すると、次のようになります。

中小法人(軽減税率適用)の実質免除ライン:課税所得 約2,438万円 計算過程:800万円×15%=120万円。残りの(500万円-120万円)=380万円を23.2%で割り戻すと380万円÷0.232≒1,637.9万円。これに800万円を足すと1,637.9万円+800万円≒2,438万円。 ※課税所得が約2,438万円以下であれば、基準法人税額は500万円を超えず、防衛特別法人税額はゼロになります(外国税額控除等がない前提の概算)。

大法人(資本金1億円超等・本則税率23.2%が全額に適用)の場合は、500万円÷0.232≒2,155万円が同様の目安になります。中小法人のほうが軽減税率の分だけ免除ラインが高くなる点がポイントです。

「約2,438万円」はあくまで概算値

この金額は、外国税額控除・所得税額控除等の適用がなく、課税所得の全額に中小法人の軽減税率・本則税率をそのまま適用したと仮定した場合の逆算値です。実際には交際費の損金不算入額・各種の税額控除の有無などで基準法人税額は変動するため、正確な判定は決算数値をもとに税理士に確認してください。

決算前に確認したい3つのチェックポイント

当期の課税所得は約2,438万円を超えそうか

超えそうなら、決算の2〜3ヶ月前に基準法人税額の概算を出し、防衛特別法人税がいくら発生するかを試算しておく。

グループ通算制度を適用しているか

適用している場合、500万円の基礎控除はグループ全体で按分される(詳細は後述)。

決算期が1年未満になっていないか

設立初年度・決算期変更の年度は基礎控除500万円が月数按分され、免除ラインが下がる点に注意。

【シミュレーション】課税所得別の防衛特別法人税額

ぜいむたん
数字だけ言われてもピンとこないので、具体的な金額でどれくらい差が出るのか知りたいです。
イザーク
ほな課税所得500万円から3億円まで、実際に基準法人税額を計算して防衛特別法人税額を出してみような。中小法人(資本金1億円以下・軽減税率適用、当期所得10億円以下)を前提にした試算やで。
以下は、中小法人の軽減税率(800万円以下15%・超過部分23.2%)をもとに、課税所得の水準ごとに基準法人税額と防衛特別法人税額を計算した表です。外国税額控除等がある場合は基準法人税額が変わるため、あくまで目安として参照してください。
課税所得 基準法人税額(目安) 500万円控除後 防衛特別法人税額(×4%)
500万円 75万円 0円(控除内) 0円
800万円 120万円 0円(控除内) 0円
1,000万円 約166.4万円 0円(控除内) 0円
1,500万円 約282.4万円 0円(控除内) 0円
2,000万円 約398.4万円 0円(控除内) 0円
約2,438万円 約500万円 0円(ちょうど控除額) 実質0円
3,000万円 約630.4万円 約130.4万円 約5.2万円
5,000万円 約1,094.4万円 約594.4万円 約23.8万円
8,000万円 約1,790.4万円 約1,290.4万円 約51.6万円
1億円 約2,254.4万円 約1,754.4万円 約70.2万円
3億円 約6,894.4万円 約6,394.4万円 約255.8万円
出典:国税庁タックスアンサー No.5759「中小法人の税率の特例」・国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」をもとに編集部で試算(外国税額控除等は含まない概算値)
ポイントまとめ
  • 課税所得2,438万円以下の中小企業 → 実質ゼロ負担(多くの中小企業・成長途上のスタートアップが該当)
  • 課税所得3,000万円でも年間5万円程度 → 月4,000円強の増税インパクト
  • 影響が明確に大きくなるのは課税所得1億円超の中堅企業以上

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あわせて変わった法人税率|軽減税率15%が17%になるケースとは

ぜいむたん
防衛特別法人税とは別に、法人税率そのものも変わったって聞いたんですが、これも令和7年度改正なんですか?
イザーク
せや、同じ令和7年度税制改正の中で、中小法人の軽減税率の特例にも見直しが入ってるんや。ただし対象になるのは、その事業年度の所得金額が年10億円を超える中小法人だけやから、大半の中小企業には関係ないで。
令和7年度税制改正では、防衛特別法人税の創設とあわせて、中小法人の軽減税率の特例についても見直しが行われました。適用期限が2年延長される一方、その事業年度の所得金額が年10億円を超える中小法人については、年800万円以下の部分に適用される軽減税率が15%から17%に引き上げられています(適用対象法人から通算法人を除外し、中小通算法人等の軽減対象所得金額に適用される税率は19%に見直し。出典:国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」中小企業者等の法人税率の特例の見直し)。資本金1億円以下の中小法人であっても、その事業年度だけ突発的に所得が10億円を超えるような場合(大口の資産売却益が出た年など)は対象になりうるため、該当しそうな年度は早めに顧問税理士へ確認しておくと安心です。 あわせて、法人税に加えて課される地方法人税は、基準法人税額に対して10.3%です(令和元年10月1日以後に開始する事業年度から適用。出典:国税庁「地方法人税の税率の改正のお知らせ」)。地方法人税の税率は今回の令和7年度改正では変更されておらず、防衛特別法人税とは別枠の税目として、法人税額に上乗せされる形は変わりません。中小企業の税負担の全体像を整理すると、次のようになります。
税目 税率の目安 備考
法人税(軽減税率) 15%(当期所得10億円超の事業年度は17%) 年800万円以下の所得部分。令和9年3月31日までに開始する事業年度が対象
法人税(本則税率) 23.2% 年800万円超の所得部分・大法人は全額
地方法人税 10.3% 基準法人税額に対する税率(令和元年10月1日以後開始事業年度〜)
防衛特別法人税(新設) 4% (基準法人税額-500万円)×4%。基準法人税額500万円以下は税額ゼロ
法人事業税・特別法人事業税 所得に応じ段階的 自治体・所得区分により税率が異なる
法人住民税(均等割) 年7万円程度〜 資本金1,000万円以下・従業者50人以下の目安。赤字でも発生
出典:国税庁タックスアンサー No.5759/国税庁「地方法人税の税率の改正のお知らせ」/国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」

申告・納付の実務ポイント

ぜいむたん
防衛特別法人税だけ別に申告書を出す必要があるんですか?手続きが増えるのが心配です。
イザーク
申告書自体は法人税・地方法人税の申告書に防衛特別法人税に係る欄が追加される形になるから、提出先・提出期限は法人税と基本的に同じやで。ただし税額がゼロでも「零申告」として提出義務は残るから、そこだけは見落とさんようにな。
防衛特別法人税確定申告書は、原則として各課税事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に、納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。申告書は、法人税及び地方法人税の申告書別表に防衛特別法人税に係る欄を追加する形で公表される予定です(出典:国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」防衛特別法人税の創設)。
事項 内容
申告書提出期限 各課税事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内(原則、法人税と同一のタイミング)
納付期限 申告期限と同日
申告様式 法人税・地方法人税の申告書別表に防衛特別法人税の欄を追加
中間申告 法人税の中間申告書を提出すべき法人は防衛特別法人税の中間申告書も提出。令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用
税額がゼロの場合 基準法人税額が500万円以下でも、申告書の提出義務(いわゆる零申告)は残る
出典:国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」防衛特別法人税の創設

決算期が1年未満の場合

課税事業年度が1年に満たない場合は、基礎控除額500万円を12で除し、その課税事業年度の月数を乗じた金額が基礎控除額になります(出典:国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」防衛特別法人税の創設)。たとえば決算期が6ヶ月であれば、控除額は500万円×6/12=250万円となり、その分だけ実質免除ラインも下がります。設立初年度や決算期変更を行った事業年度は特に注意しましょう。

グループ通算制度適用の場合

グループ通算制度(複数の関係会社を1つのグループとして法人税を合算計算する制度)を適用している企業グループでは、基礎控除額の枠がグループ全体の按分計算の対象になります。法人数が多いグループほど1社あたりの実質的な控除額が小さくなりやすいため、グループ内での試算・按分方法は顧問税理士と早めに確認しておくことをおすすめします。

防衛特別法人税に備える、根拠のある節税対策

ぜいむたん
将来的に基準法人税額が500万円を超えそうな場合、今からできる対策はありますか?
イザーク
税理士法人での実務でもよく相談される話やけど、基準法人税額(≒課税所得)を適法に圧縮するのが一番現実的な方法やで。ただし、どれも「制度の要件を満たして正しく使う」のが大前提。根拠のある制度だけを紹介するから、詳細は決算前に税理士と確認してや。
防衛特別法人税は、基準法人税額(=おおむね課税所得に法人税率を掛けた金額)を圧縮できれば、その分だけ負担も小さくなります。以下は、現行制度で適用要件・適用期限を確認できた、根拠のある節税手法です。制度を使う際は、必ず自社が要件を満たすかを税理士に確認してください(節税効果を保証するものではなく、要件を満たさない場合はリスクがあります)。

①役員報酬の定期同額給与(今期中の判断が重要)

役員報酬は、定期同額給与(支給時期が1ヶ月以下の一定期間ごとで、各支給時期の支給額が同額である給与)の要件を満たせば全額を損金に算入できます。改定は原則として事業年度開始の日から3ヶ月以内に行う必要があり、期中でむやみに金額を変更すると、変更後の増額分(または一部)が損金不算入になるリスクがあります(出典:国税庁タックスアンサー No.5211「役員に対する給与」)。決算の着地見込みを踏まえ、期初の役員報酬額をどう設定するかが、翌期以降の基準法人税額に大きく影響します。

②中小企業経営強化税制(即時償却・税額控除)

中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき対象設備を取得した場合、即時償却(取得価額の全額をその事業年度に損金算入)または取得価額の10%(資本金3,000万円超の法人は7%)の税額控除を選択適用できます。令和7年度税制改正で適用期限が2027年3月31日まで延長されました(出典:国税庁タックスアンサー No.5434「中小企業経営強化税制」)。設備投資を予定している場合、大きな利益が見込まれる決算期に前倒しすることで、課税所得の圧縮につながります。

③少額減価償却資産の特例(取得価額40万円未満・2026年4月〜)

中小企業者等が取得した減価償却資産について、取得価額が一定金額未満であれば、その全額をその事業年度に損金算入できる特例です。2026年3月31日までに取得した資産は取得価額30万円未満、2026年4月1日以後に取得した資産は取得価額40万円未満が対象となり、適用期限は2029年(令和11年)3月31日まで延長されています(対象資産の取得価額の合計額は年間300万円が上限。出典:国税庁タックスアンサー No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」)。パソコン・什器備品など少額の設備投資をまとめて行うタイミングの参考になります。

④経営セーフティ共済(倒産防止共済)

取引先の倒産リスクに備えながら、掛金(月額最大20万円・年間最大240万円)を全額損金算入できる制度です。2024年10月1日以降に解約して再加入する場合、解約日から2年を経過するまでの掛金は損金算入できなくなる改正が行われている点に注意してください(節税目的の短期解約・再加入への規制強化。出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」)。長期保有を前提に活用するのが基本です。

根拠を確認できた節税対策4つ(適用期限つき)

役員報酬の定期同額給与

期首から3ヶ月以内に決定。期中の増減額は損金不算入リスクがあるため、期初の設計が重要。

中小企業経営強化税制

即時償却または10%(7%)税額控除。適用期限は2027年3月31日まで。経営力向上計画の認定が必要。

少額減価償却資産の特例

2026年4月以後取得分は40万円未満に拡大。年間合計300万円が上限。適用期限は2029年3月31日まで。

経営セーフティ共済

年間最大240万円を損金算入。2024年10月以降、解約後2年以内の再加入は損金算入不可に改正済み。

「必ず節税になる」と断定できるものではありません

上記はいずれも国が定めた制度で、要件を満たせば適法に利用できるものです。ただし、自社の状況によって効果の大小は異なり、要件を誤ると否認されるリスクがあります。個別の適用可否・具体的な効果額は、必ず顧問税理士に確認したうえで実行してください。

個人事業主・所得税への影響はあるか

ぜいむたん
個人事業主の私にも、防衛特別法人税は関係あるんでしょうか?
イザーク
防衛特別法人税自体は法人だけが対象やから、個人事業主には直接関係ないで。ただし所得税にも同じ財源確保の枠組みで新しい上乗せ税が予定されてるから、そっちは知っておいたほうがええな。
防衛特別法人税の納税義務者は「各事業年度の所得に対する法人税を課される法人」であり、個人事業主は対象外です(出典:国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」防衛特別法人税の創設)。一方、個人の所得税についても同じ防衛力強化の財源確保の枠組みの中で「防衛特別所得税」が予定されており、令和9年(2027年)1月1日以後、源泉徴収義務者が所得税を源泉徴収する際にあわせて徴収する仕組みで導入される見込みです。税率は源泉徴収すべき所得税額の1%相当額とされる一方、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられるため、所得税に対する上乗せ部分の合計は従来の2.1%から変わらない設計とされています(令和8年度税制改正大綱に基づく報道・専門家解説による。制度の詳細・確定内容は今後公表される国税庁の一次資料で必ず確認してください)。

税理士に相談すべきケースとは

ぜいむたん
ここまで聞いて、うちの会社も一度税理士に相談したほうがいいのか迷っています。どんな場合に相談すべきですか?
イザーク
税務調査の現場でもよく感じることやけど、新しい税制ができたタイミングは、顧問税理士との連携を見直すええ機会やで。特に次の4パターンに当てはまるなら、早めに相談しといたほうがええな。
  • 課税所得が2,000万円を超えている、または今後超えそうな企業:防衛特別法人税の負担が実際に発生する可能性があるため、決算前の試算が有益
  • グループ会社がある企業:グループ通算制度における基礎控除500万円の按分方法を確認する必要がある
  • 設備投資・役員報酬の見直しを検討している企業:中小企業経営強化税制・少額減価償却資産の特例・定期同額給与の設定タイミングを最適化できる
  • 顧問税理士がいない、または見直しを検討している企業:新税制への対応も含め、パートナー選びのよいタイミング

よくある質問(FAQ)

防衛特別法人税は赤字の会社にも課税されますか?

課税されません。防衛特別法人税の課税標準は基準法人税額であり、赤字で法人税額が発生しなければ基準法人税額もゼロになるため、防衛特別法人税額もゼロです。ただし、法人税の申告義務がある法人は、防衛特別法人税についても申告書(税額ゼロの場合は零申告)の提出が必要です。

3月決算の会社と12月決算の会社では、いつから対象になりますか?

「令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度」が対象なので、3月決算法人は2026年4月1日開始の事業年度(2027年3月期)から、12月決算法人は2027年1月1日開始の事業年度(2027年12月期)から対象になります。開始日がそれより前の事業年度は対象外です。

中小企業への影響はどのくらいですか?

中小法人(軽減税率適用)の場合、課税所得が約2,438万円以下であれば基準法人税額が500万円を超えず、防衛特別法人税額は実質ゼロです。多くの中小企業がこの範囲に収まると見込まれますが、外国税額控除等がある場合は基準法人税額が変わるため、正確な判定は税理士に確認してください。

法人税の中間申告を行っている会社はどうなりますか?

法人税の中間申告書を提出すべき法人は、防衛特別法人税の中間申告書も提出する必要があります。ただしこの中間申告の規定は、令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用されます。2026年度・2027年度の早い時期はまず確定申告のみの対応となる法人が多いと見込まれます。

個人事業主も防衛特別法人税の対象ですか?

対象外です。防衛特別法人税は法人税を課される法人のみが対象です。個人については、令和9年(2027年)1月から「防衛特別所得税」が源泉徴収を通じて導入される見込みですが、これは防衛特別法人税とは別の制度です。

税額がゼロでも申告書を提出する必要がありますか?

必要です。防衛特別法人税確定申告書は、原則として法人税の申告と同じタイミング(事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内)に提出義務があります。基準法人税額が500万円以下で税額がゼロでも、申告書の提出(零申告)は省略できません。

まとめ:防衛特別法人税は「基準法人税額500万円」がボーダーライン

STEP
自社の決算月が対象事業年度に含まれるか確認する
「令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度」が対象。3月決算なら2027年3月期から、12月決算なら2027年12月期からが目安。
STEP
基準法人税額の概算を出す
課税所得約2,438万円(中小法人の目安)を超えそうかを、決算の2〜3ヶ月前に試算する。超えそうなら防衛特別法人税額も見積もっておく。
STEP
根拠のある節税制度と申告実務を確認する
役員報酬の定期同額給与・中小企業経営強化税制・少額減価償却資産の特例などの適用可否、税額ゼロでも申告が必要な点をあわせて税理士に確認する。
防衛特別法人税は、基準法人税額から年500万円を控除したうえで4%を課す制度であり、課税所得ベースで見るとおおむね2,000万円台後半までの中小企業は実質的な負担がほぼ生じません。とはいえ、税額がゼロであっても申告義務は残ること、グループ通算制度や決算期変更時には基礎控除額の按分計算が必要になることなど、実務上見落としやすいポイントもあります。正確な影響の把握と対策は、必ず決算数値に基づいて税理士に確認することをおすすめします。 今日の授業は終わり!また来てや!!

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この記事を書いた人

イザーク|公認会計士試験合格者

Big4監査法人・税理士法人での実務経験と財務省での勤務経験を持ち、税務・会計の実務に精通。国税庁・財務省などの一次ソースに基づいて解説します。詳しい経歴はプロフィール公認会計士試験受験記をご覧ください。

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本記事は執筆時点(2026年7月)の税法・制度に基づく情報提供を目的としたものです。防衛特別所得税など一部の制度は今後の政省令・国税庁の公表資料で詳細が確定する見込みです。税制は改正される可能性があるため、最新の情報は国税庁の公式サイトでご確認ください。個別の税務判断・シミュレーションは税理士等の専門家にご相談ください。
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