個人事業主やフリーランスが支払う国民健康保険料・国民年金保険料は、全額が「社会保険料控除」として所得から控除できます。社会保険料控除は所得控除の中でも控除額が大きく、節税効果の高い制度です。2026年(令和7年分)の確定申告における社会保険料控除の対象範囲、正しい書き方、添付書類、注意点まで徹底的に解説します。
ぜいむたん


社会保険料控除の基本と制度概要
社会保険料控除とは、納税者本人または生計を一にする配偶者・親族の社会保険料を支払った場合に、その支払った金額の全額を所得から控除できる制度です。生命保険料控除のような上限額はなく、支払った全額が控除対象となるため、非常に有利な所得控除です。
ポイント:所得税+住民税のW節税効果
社会保険料控除は所得税だけでなく住民税の計算においても適用されます。所得税率が20%の方であれば、社会保険料控除100万円につき所得税20万円+住民税10万円=合計30万円の節税効果があります。






社会保険料控除の対象となる保険料一覧
社会保険料控除の対象となる主な保険料を整理します。
社会保険料控除の対象 早わかり
国民健康保険料・国民年金保険料・国民年金基金・介護保険料(40〜64歳)が対象。全額控除・上限なし。
健康保険料・厚生年金・雇用保険料。給与天引き分は年末調整で処理。年末調整外の分のみ確定申告で申告。
iDeCo掛金(小規模企業共済等掛金控除)・生命保険料(生命保険料控除)・延滞金・未納分は対象外。
個人事業主が主に支払う保険料
- 国民健康保険料(国民健康保険税):市区町村に支払う健康保険料。所得や世帯人数によって金額が変動します
- 国民年金保険料:日本年金機構に支払う年金保険料。2026年度は月額17,510円
- 国民年金基金の掛金:国民年金に上乗せする任意の年金制度の掛金
- 介護保険料:40歳以上65歳未満の方が国民健康保険料と一緒に支払う保険料
会社員・パートが支払う保険料
- 健康保険料(協会けんぽ・組合健保)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 船員保険料
会社員の場合、これらは給与から天引き(源泉徴収)されるため年末調整で処理されます。ただし、年末調整で処理されなかった分や副業で個人事業主として別途支払った分は確定申告で控除申告が必要です。
その他の対象保険料
- 後期高齢者医療保険料:75歳以上の方が支払う保険料
- 任意継続被保険者の保険料:退職後に健康保険を任意継続した場合の保険料
- 農業者年金の保険料
社会保険料控除の対象にならないもの
注意:以下は社会保険料控除の対象外です
・iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金:小規模企業共済等掛金控除の対象(別の所得控除)
・生命保険料・医療保険料:生命保険料控除の対象(上限あり)
・延滞金・督促手数料:保険料本体のみが控除対象
・未納の保険料:実際に支払った分のみ対象






「生計を一にする親族」の社会保険料も控除できる
社会保険料控除の大きな特徴は、納税者本人の保険料だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族の社会保険料を支払った場合も控除対象になることです。
「生計を一にする」とは
「生計を一にする」とは、日常の生活の資を共にすることをいいます。同居している場合は原則として「生計を一にする」と判断されます。別居であっても、常に生活費の送金をしている場合は該当します。
具体的な活用例
- 配偶者の国民年金保険料を代わりに支払った場合:支払った本人が控除を受けられます
- 大学生の子供の国民年金保険料を親が支払った場合:親の確定申告で控除できます
- 同居の親の後期高齢者医療保険料を支払った場合:支払った本人が控除を受けられます
ポイント:子供の年金保険料は親が払うと節税効果大
20歳以上の大学生の子供の国民年金保険料を親が支払うことで、所得の高い親の控除として活用できます。年間約21万円(月17,510円×12か月)の追加控除が可能になります。






国民健康保険料の確定申告での書き方
控除証明書の取得
ポイント:国民健康保険料は控除証明書の添付不要
国民健康保険料については、控除証明書の添付は不要です。これは国民年金保険料と異なる重要なポイントです。市区町村から送付される「納付額のお知らせ」や口座引落の明細で年間支払額を確認しましょう。
市区町村によっては、毎年1月下旬頃に「国民健康保険料(税)の納付額通知書」を郵送してくれる場合があります。届かない場合は、市区町村の窓口で納付証明書を発行してもらえます。
確定申告書への記載方法
- 第二表の「社会保険料控除」欄に「国民健康保険料」と記載
- 支払先を記載(例:○○市、○○区)
- 年間の支払金額を記載
- 第一表の社会保険料控除欄に合計額を転記
注意:年度と暦年の違い
国民健康保険料は4月〜翌年3月の「年度」で計算されますが、確定申告では1月〜12月の「暦年」で支払った金額を申告します。2026年分の確定申告では、2026年1月1日から12月31日までの間に実際に支払った金額を申告します。前年度分の保険料を2026年に支払った場合も、2026年分の控除対象となります。






国民年金保険料の確定申告での書き方
控除証明書(社会保険料控除証明書)
注意:国民年金保険料は控除証明書の添付が必須
国民年金保険料については、「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の添付が必須です。国民健康保険料とは異なりますので注意してください。
証明書は日本年金機構から以下の時期に送付されます。
- 1月〜9月に保険料を納付した方:10月下旬〜11月上旬に発送
- 10月〜12月に初めて保険料を納付した方:翌年2月上旬に発送
証明書を紛失した場合は、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)または最寄りの年金事務所で再発行を依頼できます。e-Taxで申告する場合はマイナポータル連携により電子データでの取得も可能です。
確定申告書への記載方法
- 第二表の「社会保険料控除」欄に「国民年金保険料」と記載
- 支払先を「日本年金機構」と記載
- 証明書に記載されている「納付済保険料の合計額」を記載
- 10月以降の見込み納付額がある場合は、実際の納付額を確認して記載
- 第一表の社会保険料控除欄に合計額を転記
前納(まとめ払い)した場合の選択
国民年金保険料を2年前納や1年前納した場合、以下の2つの方法から選択できます。
- 全額をその年の控除とする方法:支払った年にまとめて控除。高所得年に有利
- 各年分の保険料に按分する方法:各年に対応する保険料をそれぞれの年に控除
注意:一度選択した方法は原則として変更できません。慎重に判断しましょう。






📋 確定申告:添付書類 かんたん判定フロー
添付不要
市区町村の納付通知書・
口座引落明細で確認
添付が必須
日本年金機構から
10〜11月に郵送
社会保険料控除の節税効果シミュレーション
社会保険料控除による具体的な節税効果を確認しましょう。
ケース1:個人事業主(年収500万円)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 国民健康保険料 | 約45万円 |
| 国民年金保険料 | 約21万円(月17,510円×12) |
| 社会保険料控除合計 | 約66万円 |
| 所得税の節税効果(税率20%) | 約13.2万円 |
| 住民税の節税効果(税率10%) | 約6.6万円 |
| 節税効果合計 | 約19.8万円 |
ケース2:子供の年金を親が支払った場合の追加効果
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 子供の国民年金保険料(親が負担) | 約21万円 |
| 追加の所得税節税(税率20%) | 約4.2万円 |
| 追加の住民税節税(税率10%) | 約2.1万円 |
| 追加の節税効果合計 | 約6.3万円 |






社会保険料控除で注意すべきポイント
口座引落しと支払者の関係
社会保険料控除は「実際に支払った人」が控除を受けます。口座引落しの場合、名義人が支払者とみなされます。妻の国民健康保険料を夫の口座から引き落としている場合は、夫が控除を受けることになります。
年末調整と確定申告の重複に注意
注意:会社員で年末調整を受けた方が確定申告を行う場合、年末調整で既に控除された社会保険料を重複して申告しないよう注意してください。確定申告で追加するのは、年末調整で処理されなかった分のみです。
未納・滞納分の取り扱い
社会保険料控除の対象となるのは、その年に実際に支払った金額です。保険料の請求があっても未納の場合は控除対象になりません。逆に、過去の滞納分をまとめて支払った場合は、支払った年の控除対象となります。
還付がある場合の処理
国民健康保険料が年度途中で減額されて還付を受けた場合、その還付金は支払った保険料から差し引きます。「支払った保険料 ー 還付された保険料 = 控除対象額」となります。






社会保険料控除と他の所得控除の併用
社会保険料控除は他の所得控除と併用することで、さらに大きな節税効果が得られます。個人事業主が活用できる主な所得控除との組み合わせを確認しましょう。
- 小規模企業共済等掛金控除:iDeCoの掛金が全額控除対象(月額68,000円まで)
- 生命保険料控除:最大12万円(新制度の場合)
- 医療費控除:医療費 ー 10万円(または所得の5%)が控除対象
- ふるさと納税(寄附金控除):寄附金 ー 2,000円が控除対象
- 青色申告特別控除:最大65万円
クラウド会計ソフトを活用すれば、各控除の適用状況を一覧で確認しながら申告書を作成できます。






まとめ:社会保険料控除の申告3ステップ
社会保険料控除を正確に申告するために、以下の3ステップで準備を進めましょう。
国民健康保険料は市区町村からの「納付額のお知らせ」または口座引落明細で確認。国民年金保険料は日本年金機構からの「社会保険料控除証明書」を準備します。
第二表「社会保険料控除」欄に保険の種類・支払先・金額を記入。複数種類がある場合はそれぞれ記入し、合計額を第一表に転記します。
青色申告特別控除・iDeCo・医療費控除・ふるさと納税と組み合わせ、課税所得を最大限に圧縮します。クラウド会計ソフトを使えば漏れなく申告できます。
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- 国民健康保険料の控除証明書は必要ですか?
-
いいえ、国民健康保険料については控除証明書の添付は不要です。ただし、年間の支払金額を正確に把握する必要があるため、市区町村からの通知書や口座引落しの明細は保管しておきましょう。なお、国民年金保険料については「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の添付が必須です。
- 国民年金を2年前納した場合、控除はどうなりますか?
-
2年前納した場合、支払った年に全額を控除する方法と、各年分に按分して控除する方法のいずれかを選択できます。所得が高い年に全額控除すると節税効果が大きくなりますが、一度選択した方法は原則として変更できないため、慎重に判断してください。
- 配偶者の社会保険料を自分の確定申告で控除できますか?
-
はい、生計を一にする配偶者の社会保険料を実際に支払った場合は、支払った本人の確定申告で控除できます。ただし、配偶者の給与から天引き(源泉徴収)されている社会保険料は、配偶者自身が負担しているとみなされるため、本人の控除対象にはなりません。
- 社会保険料控除に上限額はありますか?
-
いいえ、社会保険料控除には上限額がありません。実際に支払った社会保険料の全額が控除対象となります。生命保険料控除(最大12万円)とは異なり、支払額がそのまま控除されるため、所得控除の中でも特に節税効果が大きい制度です。
- 確定申告で社会保険料控除を忘れた場合、後からでも申告できますか?
-
はい、確定申告書の提出後に申告漏れに気づいた場合は、「更正の請求」を行うことで控除を適用し、払い過ぎた税金の還付を受けることができます。更正の請求は法定申告期限から5年以内に行う必要があります。
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