- NISA口座の利益や配当金の確定申告は必要なの?
- NISA口座で損失が出た場合、税金控除はできるの?
- 配当金の受取方法によって申告方法が変わるって本当?
- 医療費控除やふるさと納税をしている場合にNISAの確定申告はどうすればいい?
- 非課税なのになぜ確定申告が不要なの?
- どういう場合に例外的に確定申告が必要になる?
よくある間違いと誤解
- 「NISA口座での取引はすべて確定申告が必要」
実際には原則不要で、特定のケースのみ必要 - 「NISA口座での損失は他の口座の利益と相殺できる」
NISA口座内の損失は損益通算の対象外 - 「医療費控除のために確定申告するならNISAも申告必要」
NISA口座内の取引は医療費控除の申告時も記載不要




NISA口座で購入した株式の配当金受取方法は、必ず「株式数比例配分方式」に設定しましょう。これにより配当金が非課税となり、確定申告も不要になります。設定方法が不明な場合は、口座を開設している証券会社に確認してください。
NISA制度と税金の基本関係
項目 | 通常の投資 | NISA口座 |
---|---|---|
売却益への課税 | 約20% | 非課税 |
配当金への課税 | 約20% | 非課税 |
確定申告 | 必要な場合あり | 原則不要 |
NISAで非課税になる3つの所得
- 株式・投資信託の売却益(譲渡益)
- 株式の配当金
- 投資信託の分配金






2024年新NISA制度の特徴
項目 | 旧NISA | 新NISA(2024年〜) |
---|---|---|
非課税期間 | 5年間 | 無期限 |
年間投資枠 | NISA:120万円 つみたてNISA:40万円 | つみたて投資枠:120万円 成長投資枠:240万円 |
非課税限度額 | NISA:600万円(5年) つみたてNISA:800万円(20年) | 1,800万円(生涯) |
口座開設 | 複数の金融機関で分散可能 | 1人1口座のみ |
NISAでは確定申告が原則不要である理由
NISA口座では確定申告が原則不要とされています。これは多くの投資家にとって大きなメリットの一つでもあります。
NISA口座の基本的な非課税メリット
- 通常の投資では約20.315%の税金が利益に課されます(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
- NISA口座内の取引は非課税となるため、上記の税金が一切かかりません
- 株式の売却益や配当金、投資信託の分配金など、あらゆる投資収益が非課税対象です
- 新NISA(2024年~)では非課税期間が無期限となり、非課税メリットがさらに拡大しました
確定申告が不要となる理由
- 確定申告の主な目的は「税金の精算」ですが、NISA口座ではそもそも課税対象となる所得が発生しないため申告不要となります
- 通常の特定口座(源泉徴収あり)と同様に、証券会社側で税務処理が完結します
- NISA口座での利益は「申告不要制度」の対象として明記されています
- 年間投資枠の管理は証券会社が行うため、投資家側で申告する必要がありません
このように、NISA口座は税制優遇だけでなく、確定申告の手間が省ける点でも大きなメリットがあります。特に投資初心者や、面倒な手続きを避けたい方にとって利用しやすい制度といえるでしょう。






NISAにおける確定申告の必要性
確定申告が必要な4つのケース
- 株式数比例配分方式以外で配当金を受け取った場合
- 特定口座(源泉徴収あり)以外での取引で損失が発生し、損益通算したい場合
- 給与所得以外の所得が20万円を超える場合
- 医療費控除やふるさと納税などの控除を受ける場合
確定申告が不要な3つのケース
- NISA口座内での売買益(譲渡益)
- 株式数比例配分方式で受け取る配当金
- 特定口座(源泉徴収あり)のみで取引を行っており、他に申告が必要な所得がない場合






NISA口座での損失と税金の関係






- NISA口座内の損失は、他の口座の利益と損益通算できない
- NISA口座内の損失は、翌年への繰越控除の対象にならない
- NISA口座内の損失は、税務上「なかったこと」として扱われる
確定申告時の注意点
- 損益通算の制限:NISA口座の損失は他の口座の利益と損益通算できません
- 配当控除と非課税の選択:配当控除を受ける場合は総合課税を選択しますが、NISA口座の非課税メリットは失われます
- 複数口座の管理:NISA口座と特定口座や一般口座を併用している場合、それぞれの取引を区別して管理する必要があります
- 不明点があれば、国税庁の確定申告特設サイトや専門家に相談することをおすすめします
NISAと特定口座の併用戦略
項目 | NISA口座 | 特定口座(源泉徴収あり) |
---|---|---|
売却益への課税 | 非課税 | 約20% |
配当金への課税 | 非課税 | 約20% |
損失の取扱い | 損益通算・繰越不可 | 損益通算・繰越可能 |
確定申告 | 原則不要 | 原則不要 |






- NISA口座:長期保有予定で値上がりが期待できる商品向け
- 特定口座:短期売買や値動きが大きい商品向け
NISAと医療費控除・ふるさと納税の併用方法






- 医療費控除:年間の医療費が10万円を超えた場合に適用可能
- ふるさと納税:確定申告またはワンストップ特例制度で控除を受けられる
- 住宅ローン控除:住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に適用可能
- iDeCo:掛金が全額所得控除の対象
ふるさと納税をワンストップ特例制度で行っている場合は確定申告不要。ただし、医療費控除など他の控除を受ける場合は確定申告が必要で、その場合はふるさと納税分も含めて申告します。
NISA口座の途中売却と税金






項目 | 旧NISA | 新NISA(2024年〜) |
---|---|---|
売却益の課税 | 非課税 | 非課税 |
投資枠の再利用 | 不可 | 翌年に復活 |
売却資金の再投資 | 同年の未使用枠があれば可能 | 未使用枠があれば可能 (年間枠・生涯枠の範囲内) |
非課税期間 | 5年間 | 無期限 |
非課税枠の復活制度
新NISA制度では、売却した商品の取得金額(簿価)分だけ、翌年以降に非課税枠が復活します。この制度により、長期的な資産形成がより柔軟に行えるようになりました。
- 復活するのは売却した年の翌年(2024年に売却→2025年に復活)
- 復活するのは取得金額(簿価)分(売却金額ではない)
- 年間投資枠(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)の上限は変わらない
- 成長投資枠の生涯非課税枠は最大1,200万円までという制限がある
例:成長投資枠で100万円の株式を購入し、値上がり後の150万円で売却した場合
- 売却した年:売却益50万円は非課税
- 翌年:取得金額の100万円分が非課税枠として復活
- 復活した非課税枠は翌年の年間投資枠(240万円)の範囲内で利用可能
NISA関連の確定申告実務ガイド
- 金融機関から送付される書類を確認
- 確定申告書に必要事項を記入
- NISA口座内の取引については記載不要
- 株式数比例配分方式以外で受け取った配当金については、D欄に記入し「非課税口座内上場株式等の配当等」にチェック
- 確定申告書と必要書類を税務署に提出(または電子申告「e-Tax」を利用)
必要書類 | 入手方法 |
---|---|
確定申告書(A様式またはB様式) | 税務署・国税庁ウェブサイト |
特定口座年間取引報告書 | 証券会社から送付 |
上場株式配当等の支払通知書 | 配当金支払者から送付 |
NISA口座内の非課税適用確認書 | 証券会社から送付 |
確定申告の期限は、毎年2月16日から3月15日までです。期限を過ぎると、還付を受けられなくなったり、延滞税がかかる場合があります。
よくある質問(FAQ)
- NISA口座とつみたてNISA口座の違いは?確定申告の必要性に違いはありますか?
-
NISA口座とつみたてNISA口座は投資対象や投資枠などが異なりますが、確定申告の必要性についての基本的な考え方は同じです。どちらも原則として確定申告は不要です。例外的に配当金の受取方法などにより確定申告が必要になるケースも同様です。なお、2024年からは新NISA制度に統合されています。
- NISA口座で損失が出た場合、確定申告で他の所得と損益通算できますか?
-
いいえ、できません。NISA口座で生じた損失は、確定申告で他の所得や他の口座での利益と損益通算することはできません。これはNISA制度が「非課税」を前提としているため、損失についても税務上認識されないためです。このため、NISA口座では値上がりが期待できる商品を選ぶことが重要です。
- 2024年からの新NISA制度では確定申告の扱いは変わりましたか?
-
2024年からの新NISA制度でも、確定申告に関する基本的な扱いは変わっていません。引き続き原則として確定申告は不要です。ただし、新制度では非課税期間が無期限となったため、旧制度で問題となっていた「非課税期間終了後の課税口座への移管」による確定申告の問題は解消されています。
- NISA口座内の取引は確定申告書のどこに記載すればよいですか?
-
NISA口座内の取引は、基本的に確定申告書に記載不要です。株式数比例配分方式以外で受け取った配当金のみ、D欄に記入し「非課税口座内上場株式等の配当等」にチェックします。
- 新NISAで非課税期間が無期限になりましたが、必ず永久に保有し続ける必要がありますか?
-
いいえ、永久に保有し続ける必要はありません。新NISA制度でも、いつでも売却は可能で、売却時の利益は非課税です。さらに、新NISA制度では売却した商品の取得金額(簿価)分だけ翌年に非課税枠が復活するという大きなメリットがあります。ただし、年間投資枠の上限の範囲内での再投資になります。
まとめ:NISA税金・確定申告のポイント
NISAは非課税制度であり、売却益や配当金について税金がかからないため、基本的に確定申告は必要ありません。
株式数比例配分方式で受け取れば確定申告不要、それ以外は申告が必要です。
NISA口座内の損失は他の口座との損益通算や繰越控除の対象外です。
NISA口座は値上がり期待の長期投資向け、特定口座は値動きが大きい銘柄向けです。
非課税期間が無期限になり、年間投資枠も拡大。さらに売却した翌年に非課税枠が復活する制度も活用しましょう。
NISA制度は投資の非課税メリットだけでなく、確定申告の手間が省ける点でも魅力的な制度です。この記事を参考に、正しい知識を身につけて、制度を最大限に活用しましょう。





コメント