「去年は厚労省の様式に計算欄があったのに、今年の様式にはない…何円賃上げすればいいの?」——令和8年度のベースアップ評価料の届出をしたクリニックからこうしたご相談が増えています。
実は、令和7年度まで配布されていた厚労省の計算様式には、賃上げ額を自動計算する欄が設けられていました。ところが令和8年度はその計算欄が様式から省かれており、クリニック側で独自に計算しなければならない状況になっています。
ぜいむたん
イザーク本シートおよび本記事は、イザーク会計が実務参考として作成したものです。制度の詳細・正確な運用については必ず厚生労働省または地方厚生局へお問い合わせください。本シートの使用により生じた損害について、イザーク会計は一切の責任を負いかねます。
令和8年度ベースアップ評価料の基本おさらい
ベースアップ評価料は、医療従事者の賃上げを診療報酬で直接支援する加算です。届け出たクリニックは、毎月の加算収入を職員の賃上げに全額充当しなければなりません。
令和8年度 ベースアップ評価料 点数一覧
初診(Ⅰ)
新規組:17点 継続組:23点
100件で1,700円〜2,300円/月
再診(Ⅰ)
新規組:4点 継続組:6点
1,000件で40,000円〜60,000円/月
訪問・個別(Ⅱ)
新規組:79点 継続組:107点
100件で79,000円〜107,000円/月
訪問・同一建物(Ⅱ)
新規組:19点 継続組:26点
100件で19,000円〜26,000円/月
※継続組=令和6・7年度も賃上げを実施している医療機関 ※1点=10円換算
ぜいむたん
イザーク令和8年度から計算様式が変わった——何が問題か
令和7年度まで厚生労働省が配布していた届出様式には、各職員への賃上げ配分額を自動計算するシートが添付されていました。クリニック側は件数を入力するだけで必要な引上げ額が算出できたため、事務負担は比較的軽微でした。
しかし令和8年度の様式ではこの計算欄が削除されており、クリニックが独自に計算方法を設計・管理する必要が生じています。これが現場で混乱を招いている主な原因です。
ぜいむたん
イザークイザーク会計作成:令和8年度対応 計算シート(無料)
この問題を解決するために、イザーク会計がExcel計算シートを作成しました。収入推計から職員別の按分計算まで、2枚のシートで完結します。以下のボタンよりダウンロードできます。
STEP1:収入推計シートの使い方
月ごとの初診・再診・訪問件数を入力するだけで、月額評価料収入を自動計算します。6ヶ月分を入力すると月平均推計収入が自動表示され、STEP2の「ベア等予算」に引き継がれます。
プルダウンで区分を選ぶだけで、全ての点数が自動切り替えされます。手入力不要です。
初診・再診・訪問(個別)・訪問(同一建物)の月別件数を入力します。月平均推計収入が自動計算されます。
算出された月額推計収入がSTEP2に自動連携されます。この値が職員配分の基準になります。
ぜいむたんSTEP2:職員別按分計算シートの使い方
STEP1で求めた推計収入をもとに、職員1人ひとりへの引上げ額を自動計算します。まず推計収入から法定福利費を差し引いた「ベア等予算」を算出します。
月額推計収入 ÷ 1.165 = ベア等予算(職員への実支給上限)
根拠:厚生労働省 疑義解釈資料その3(001695360.pdf)別添2【共通事項】問1
本シートは、継続の場合には過去のベースアップ評価料による上昇分を除いた分を今年度の増加分とすることを前提に計算しています。
継続組の点数(初診23点・再診6点)の内訳は、R8年度の新規引き上げ分(本体点数:初診17点・再診4点)とR6・R7年度の賃上げ維持分(上乗せ:初診6点・再診2点)に分かれます。上乗せ分はすでに現行給与水準に反映済みのため、今年度の新規賃金改善義務として計上するのは本体点数分のみです(厚生労働省 疑義解釈資料その3 別添2【共通事項】問1 参照)。
按分方法は4種類から選べる
4種類の按分方法——クリニックの状況で選択
均等割(常勤換算比例)
ベア等予算 × 常勤換算 ÷ 合計
パート職員が多いクリニック向け
均等割(人数比例)
ベア等予算 ÷ 職員数
全員に同額配りたい場合
給与比例
ベア等予算 × 現基本給 ÷ 合計
給与格差を維持したい場合
手入力
引上げ額を直接入力
役職・個別事情を反映させたい場合
ぜいむたん
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ベースアップ評価料の賃上げ額が決まったら、給与計算・経費処理も一元化。マネーフォワードクラウドなら従業員別の給与変更履歴も自動記録されます。
よくある質問(FAQ)
- 推計と実績がズレた場合はどうすればいいですか?
-
年度末に様式100で精算します。不足分は賞与等で追加支給、過剰分は次年度の配分調整で対応できます。年度中は推計ベースの固定引上げを続ければOKです。詳細は地方厚生局にご確認ください。
- 新規組と継続組の点数はどこで切り替えますか?
-
STEP1シートの「区分選択」プルダウンで「新規組」または「継続組」を選ぶだけです。全ての点数が自動で切り替わるため、個別に点数を修正する必要はありません。
- 継続組の場合、過去の賃上げ分はどう扱われますか?
-
本シートでは、継続組の点数(初診23点・再診6点)のうち、過去(R6・R7年度)のベースアップ評価料による賃上げ維持分(上乗せ:初診6点・再診2点)を除いた本体点数分(初診17点・再診4点)を今年度の新規増加分として計算しています。上乗せ分はすでに現行給与に反映済みのため、二重計上を防ぐためこの前提で計算しています。
- Excel 365以外でも使えますか?
-
Excel 2019以降であれば動作します。ただし一部の関数はExcel 365での動作を前提に設計しています。Google スプレッドシートでは一部レイアウトが崩れる場合があります。
- 按分方法の選び方に決まりはありますか?
-
厚労省のガイドラインでは「合理的な方法で配分すること」とされており、特定の方法は義務付けられていません。パート職員が多い場合は常勤換算比例が合理的とされることが多いですが、詳細は地方厚生局へご確認ください。
ベースアップ評価料まとめ:計算シート活用で毎月の管理を効率化
令和7年度まであった厚労省の計算様式が令和8年度から廃止。クリニック側で計算方法を設計する必要があります。本シートで計算ロジックをそのまま流用できます。
直近6ヶ月の初診・再診・訪問件数を入力すると月額推計収入が自動算出。新規組・継続組の点数切り替えもプルダウン1つで完了します。
推計収入から法定福利費を控除したベア等予算を4種類の按分方法で自動配分。差分チェック機能で年度末精算の漏れも防止します。
本シートは実務参考ツールです。制度の正確な運用・個別ケースの判断は必ず厚生労働省または地方厚生局へお問い合わせください。
実務テンプレート・Excelツール・BOOTHショップ
本シートを含む実務向けExcelツール・プロンプト集をBOOTHで配布・販売しています。CPA試験合格者が実務検証済みのコンテンツのみ収録しています。
- ベースアップ評価料 令和8年度 計算シート(Excel・無料)
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この記事の監修
公認会計士試験合格者が在籍。税務・会計の実務経験に基づき、正確な情報提供を心がけています。月間2,000名超の個人事業主・フリーランスに税務情報を提供。
公認会計士試験合格者在籍、Big4監査法人・税理士法人での実務経験、財務省勤務経験
免責事項
本記事および本計算シートは情報提供を目的としたものであり、特定の税務・労務判断を推奨するものではありません。制度の詳細・正確な運用については必ず厚生労働省または地方厚生局へお問い合わせください。本シートの使用により生じた損害について、イザーク会計は一切の責任を負いかねます。


コメント
コメント一覧 (2件)
ベースアップ評価料の令和8年度版計算シートがとてもありがたいです。
これは、医科用の計算シートですか?
歯科用はまた点数が変わってきますか?
コメントありがとうございます。
2点回答いたします。
① こちらは医科向けのシートです。(自作)
本シートは「医科の外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ・Ⅱ)」の点数(初診17点/再診4点、継続賃上げ機関は初診23点/再診6点など)を前提に計算しています。医科のクリニック様向けの想定で作成しました。
② 歯科は点数が異なります。
歯科は「歯科外来・在宅ベースアップ評価料」という別建ての評価料で、点数の水準も医科とは異なります。初診時は現行10点から令和8年度に引き上げられ(医科の17/23点とは別の値)、再診時・歯科訪問診療時の点数も異なるほか、令和8・9年度限定の「歯科外来物価対応料(初診3点/再診1点)」も別途新設されています。
そのため、本シートの点数欄をそのまま歯科でお使いになると金額がズレてしまいます。
ただし、計算の考え方そのもの(件数×点数×10円で月収入を推計 → 法定福利費を控除 → 職員へ按分)は医科・歯科で共通です。
歯科でご利用の場合は、点数欄を最新の歯科の告示の値に差し替えていただければ、同じロジックでお使いいただけます。