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「インボイス制度に対応した会計ソフトを選びたいけど、freee・マネーフォワード・弥生……結局どれがいいの?」——2023年10月のインボイス制度開始から2年以上が経ち、多くの事業者が会計ソフトへの乗り換えを済ませています。しかし2026年は「2割特例」の終了、仕入税額控除の経過措置の見直しなど、インボイス制度そのものが大きく動くタイミングでもあります。
会計事務所での実務を通じて数多くの事業者のインボイス対応・会計ソフト選定を見てきた経験から言うと、「今の制度」だけでなく「これから変わる制度」を踏まえてソフトを選ばないと、翌年また選び直すことになりがちです。本記事では、2026年最新の制度動向を一次ソースで確認したうえで、料金・機能・サポート体制を実際に比較しながら、失敗しない会計ソフトの選び方をお伝えします。
📌 この記事でわかること
- インボイス制度で会計・請求書業務がどう複雑化したか、手作業のリスクは何か
- freee・マネーフォワード・弥生・会計王・やよいの青色申告オンラインの2026年最新の料金プランを公式サイトで確認した比較
- 令和8年度税制改正:2割特例の終了時期、仕入税額控除の経過措置(80%→70%への見直し・2年延長)、少額特例の期限
- 電子帳簿保存法(2024年1月義務化)と会計ソフトの関係
- 失敗しない選び方のチェックポイントと、導入を成功させる4ステップ
インボイス制度で会計・請求業務が複雑化した理由
ぜいむたん


インボイス制度(適格請求書等保存方式)は2023年10月に始まった消費税の新しい請求書ルールです。「適格請求書発行事業者の登録番号」「税率ごとに区分した対価の額」「適用税率」「消費税額等」など、従来の請求書には無かった項目の記載が必須になりました。
特に影響が大きいのが、これまで免税事業者だった年商1,000万円以下の個人事業主・小規模法人です。取引先からインボイス(適格請求書)の発行を求められて課税事業者に転換したケースも多く、その結果、消費税の申告義務が新たに発生し、経理業務の負担が一気に増えています。
請求書発行・帳簿記帳で増えた具体的な業務
インボイス制度により、実務では以下のような業務が新たに発生・複雑化しています。
| 業務項目 | 制度開始前 | インボイス制度後 |
|---|---|---|
| 請求書作成 | 取引内容・金額など基本項目のみ | 登録番号・税率区分・消費税額等の記載が必須 |
| 帳簿記帳 | 消費税区分はおおまかな管理でも支障が少なかった | 税率(10%・8%・非課税・不課税)ごとの厳密な区分記帳が必要 |
| 仕入税額控除 | 請求書等の保存で控除可 | 原則インボイスの保存が要件(経過措置あり・後述) |
| 消費税申告 | 免税事業者は申告不要なケースが多かった | 課税事業者化に伴い新たに申告義務が発生する事業者が増加 |
手作業対応で起こりやすいミス
Excelや手書きの請求書・帳簿でインボイス制度に対応しようとすると、次のようなミスが起こりやすくなります。
- 税率区分の転記ミス:標準税率10%と軽減税率8%を取り違えて消費税額を誤る
- 登録番号の記載漏れ:適格請求書の要件を満たさず、取引先が仕入税額控除を受けられなくなる
- 消費税額の端数処理の誤り:1つのインボイスにつき税率ごとに1回の端数処理という国税庁のルールを手作業で守りきれない
- 申告書の記入誤り:経過措置適用分の按分計算など、申告書の記入項目が増え計算ミスが起きやすい
実務では、こうした細かいミスが積み重なると、消費税の申告額そのものがずれてしまい、後日の税務調査で修正申告や追徴課税につながるリスクがあります。「否認された」と断定はできませんが、記載不備は仕入税額控除が認められないリスクを高めます。会計ソフトの自動計算機能を使えば、こうしたリスクの多くを軽減できます。
🧭 インボイス対応、会計ソフト導入で解決する3つの負担
登録番号・税率区分・消費税額等の必須項目を自動でチェックし、記載漏れを防ぐ
取引ごとに10%・8%・非課税を自動判定し、端数処理も含めて計算する
帳簿データから消費税申告書を自動集計し、e-Taxで電子申告まで一気通貫
出典:国税庁「インボイス制度について」を基に編集部作成
会計ソフトでインボイス対応するメリット






請求書発行から記帳・申告まで一元管理
会計ソフトの最大のメリットは、請求書発行から帳簿記帳、消費税申告までデータが一貫して連携することです。例えばfreeeやマネーフォワードでは、請求書作成時に適格請求書の必須項目が自動チェックされ、発行した請求書データがそのまま売上として帳簿に反映されます。銀行口座・クレジットカードとの連携機能を使えば、入出金明細から仕訳の候補が自動で提示されるため、入力の手間そのものが減ります。
消費税区分の自動処理と申告書作成の効率化
会計ソフトでは、取引内容に応じて消費税区分(課税・免税・軽減税率・不課税)を自動判定し、税率ごとの消費税額を計算します。年度末には蓄積されたデータをもとに消費税申告書を自動作成できるのが大きな特徴です。
| 処理項目 | 自動化される内容 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 税率判定 | 品目・取引先ごとに税率区分を自動選択 | 区分ミスの防止 |
| 消費税計算 | 税率ごとの端数処理を含めて自動計算 | 計算ミスの削減 |
| 申告書作成 | 一般課税・簡易課税・2割特例のいずれにも対応した申告書の自動生成 | 作業時間の大幅な短縮 |
| e-Tax連携 | 作成した申告書をそのまま電子申告 | 税務署への持参・郵送が不要 |


この記事で解決できる悩み 勘定科目ごとの基本的な税区分がわからない 軽減税率の対象になる勘定科目を知りたい 勘定科目ごとに例外的な税区分となるケースを知りたい …
法改正への自動対応とサポート体制
クラウド会計ソフトの場合、法改正や制度変更に自動でアップデート対応されるため、常に最新のルールに準拠した処理が可能です。税理士法人での実務経験から言うと、インボイス制度や電子帳簿保存法のように毎年のように細かい改正が入る分野では、「自社で改正情報を追いかけて設定を直す」負担そのものが無くなるのはクラウド型の大きな利点です。
また、freeeやマネーフォワード、弥生などの主要ソフトでは、電話・チャット・メールでのサポートが用意されており、操作方法や税務処理で不明な点があっても比較的早く解決できます(サポート内容はプランによって異なるため、後述の比較表・各社公式サイトで確認してください)。
失敗しないインボイス対応会計ソフトの選び方






適格請求書の必須項目に対応しているか
まず確認すべきは、適格請求書に必要な項目をすべて網羅できるかどうかです。
| 必須項目 | 具体例 | ソフト選定時のチェックポイント |
|---|---|---|
| 適格請求書発行事業者の氏名又は名称・登録番号 | ○○株式会社/T1234567890123 | 登録番号の自動入力・設定漏れチェック機能があるか |
| 取引年月日 | 2026年7月28日 | カレンダー入力・過去日付の一括処理がしやすいか |
| 取引内容(軽減税率対象品目である旨) | コンサルティング業務/飲食料品(軽減税率対象) | 品目マスタ・軽減税率タグの充実度 |
| 税率ごとに区分した対価の額及び適用税率 | 10%対象100,000円・8%対象5,000円 | 税率が自動判定・混在取引の按分に対応しているか |
| 消費税額等 | 消費税10,400円 | 端数処理(1インボイス・税率ごとに1回)が自動で行われるか |
主要な会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)は、いずれもこれらの要件に対応しています。差が出るのは、登録番号の設定漏れをどこまで自動でアラートしてくれるか、軽減税率の判定がどれだけ直感的かといった「使い勝手」の部分です。
消費税申告機能とe-Tax連携
インボイス制度では消費税申告が複雑化するため、申告書作成機能の充実度も重要な選定ポイントです。
- 課税方式の選択:一般課税・簡易課税・2割特例のいずれにも対応しているか
- 税率別集計機能:10%・8%・非課税取引を自動で分類・集計
- 申告書自動作成:消費税及び地方消費税の確定申告書を自動生成
- e-Tax連携:作成した申告書をそのまま電子申告できるか






料金プランとサポート体制の選び方
会計ソフトの料金体系は、利用規模や必要機能によって大きく異なります。次のような観点で比較検討してください。
| 事業者規模 | 月額料金の目安 | 重視すべきポイント |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 0円〜3,000円台 | 確定申告書(青色申告決算書)の自動作成・初年度無償キャンペーン |
| 小規模法人 | 4,000円〜9,000円台 | 電話・チャットサポートの有無、部門別管理の要否 |
| 中規模法人 | 1万円台〜(従量課金あり) | ユーザー数上限、内部統制・承認ワークフロー機能 |
会計事務所での実務経験から言うと、初心者ほどサポート体制の充実度を重視することを強くおすすめします。電話サポートやチャット相談が使えるプランかどうかで、導入後の「わからないまま放置してしまう」リスクが大きく変わるからです。
🧭 会計ソフト選びで確認したい4つのチェックポイント
登録番号・税率区分・消費税額等が自動でチェックされるか
一般課税・簡易課税・2割特例のいずれにも対応しているか
事業規模に合ったプランと、電話・チャットサポートの有無
電子取引データの保存要件(検索機能・タイムスタンプ等)を満たすか
出典:国税庁インボイス制度特設サイト・電子帳簿等保存制度特設サイトを基に編集部作成
インボイス制度対応におすすめの会計ソフト5選【2026年最新料金】






freee会計 — 初心者向けの直感的な操作性
freee会計は、簿記の知識がなくても質問形式で入力していける操作性が特徴のクラウド会計ソフトです。個人事業主から中小企業まで幅広く利用されています。
- 適格請求書の自動チェック:登録番号や必須項目の記載漏れをアラート
- 銀行・クレジットカード連携:入出金明細から仕訳候補を自動提示
- 消費税申告書作成:一般課税・簡易課税・2割特例に対応
- サポート体制:プランに応じてチャット・電話サポートを提供
料金プラン(2026年7月・公式サイト確認):
| プラン名 | 月額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 個人:スターター | 980円(税抜)〜 | 確定申告のみ利用したい方向け |
| 個人:スタンダード | 1,980円(税抜)〜 | 青色申告65万円控除を狙う方向け |
| 個人:プレミアム | 3,316円(税抜・年払いのみ) | 電話サポート付き |
| 法人:スターター | 5,480円(税込)〜 | 設立間もない法人向け・年払いで割引あり |
| 法人:スタンダード | 8,980円(税込)〜 | 小規模法人向け |
会計事務所での実務経験から言うと、freeeは「簿記を知らない」「経理は苦手」という経営者に特におすすめです。質問形式で入力していくだけで適切な仕訳が自動生成されるため、専門知識がなくても運用しやすい設計になっています。


この記事で解決できる悩み freeeとマネーフォワード、どちらの会計ソフトを選ぶべきか迷っている 料金や機能の具体的な違いを知りたい 初心者にとってどちらが使いやす…
マネーフォワード クラウド会計 — バックオフィス業務の統合に強み
マネーフォワード クラウド会計は、経費精算・請求書管理・給与計算など他の業務システムとの連携に優れているのが特徴です。バックオフィス業務全体を効率化したい事業者に向いています。
- 豊富な外部連携:多数の金融機関・サービスとのデータ連携に対応
- バックオフィス一元化:会計・請求書・経費・給与・労務を横断管理
- AI自動仕訳:過去の取引パターンを学習し、仕訳の精度が徐々に向上
- 税理士との連携機能:顧問税理士とのデータ共有がスムーズ
料金プラン(2026年7月・公式サイト確認):
| プラン名 | 月額目安 | 対象 |
|---|---|---|
| 個人:パーソナルミニ | 900円(税抜・年払い)〜 | 確定申告メインの個人事業主 |
| 個人:パーソナル | 1,280円(税抜・年払い)〜 | 仕訳数の多い個人事業主 |
| 個人:パーソナルプラス | 2,980円(税抜・年払いのみ) | 電話サポート等を求める方 |
| 法人:ひとり法人 | 3,980円〜 | 経営者1名の法人 |
| 法人:スモールビジネス | 5,980円〜 | 利用者3名以下 |
| 法人:ビジネス | 7,980円〜 | 利用者4名以上 |
会計事務所での実務経験からの評価では、マネーフォワードは経理にある程度の知識がある担当者がいる事業者に適しています。機能が豊富な分、初心者には少し複雑に感じる場面もありますが、バックオフィス全体の効率化効果は非常に高いソフトです。


この記事で解決できる悩み freeeとマネーフォワード、どちらが中小企業に適しているのか知りたい 会計ソフトの料金プランや機能の違いを把握したい 中小企業の特性に合…
弥生会計オンライン/弥生会計Next — 老舗ブランドの安定感
弥生は30年以上の実績を持つ会計ソフトの老舗ブランドです。デスクトップ版で培った信頼性をクラウド版でも提供しており、従来の弥生会計に慣れ親しんだユーザーや、安定性を重視する事業者に支持されています。
※弥生会計オンライン(法人向け)は2026年7月時点で新規申込を終了し、後継の「弥生会計Next」への移行が案内されています。個人事業主向けの「やよいの青色申告 オンライン」は従来どおり新規申込可能です。
- 豊富な導入実績:長年の会計事務所連携ネットワークを保有
- 安定した操作画面:デスクトップ版に慣れた経理担当者にも馴染みやすい
- サポート体制:ベーシックプラン以上で電話・メール・チャットサポートに対応
- 初年度無償キャンペーン:個人向けプランは自動更新登録を条件に初年度無料
料金プラン(2026年7月・公式サイト確認):
| 製品 | プラン名 | 年額目安(税別) |
|---|---|---|
| やよいの青色申告 オンライン(個人) | セルフプラン | 11,800円(初年度無償・自動更新登録が条件) |
| ベーシックプラン | 22,800円(初年度無償・自動更新登録が条件) | |
| トータルプラン | 39,600円 | |
| 弥生会計Next(法人) | エントリープラン | 34,800円 |
| ベーシックプラン | 50,400円 | |
| ベーシックプラスプラン | 84,000円 |
会計事務所での実務経験からの評価では、弥生は「確実性」「安定性」を最重視する事業者に適しています。機能面で最先端とは言えない部分もありますが、長年の実績に裏付けられた安心感があります。






会計王(ソリマチ)— 業種特化機能が豊富な買い切り型
会計王は、ソリマチ株式会社が提供する会計ソフトで、クラウド型のfreee・マネーフォワードとは異なり、買い切り型(インストール型)が主軸です。インボイス対応版(会計王22以降)では、無料の請求書発行サービス「インボイス王」との連携も提供されています。
- 業種別テンプレート:製造業・建設業・小売業など業種特化の帳票に対応
- 豊富な帳票出力:経営分析レポートや部門別損益計算
- 固定資産管理:減価償却計算・固定資産台帳の作成に対応
- インボイス王連携:無料の請求書発行サービスと仕訳データを連携可能
料金:買い切り型のため参考価格は税抜4万円前後(キャンペーン価格や上位版「PRO」の有無で変動)。クラウド型のような月額課金ではなく、一定期間ごとのバージョンアップ購入が基本となるため、正確な価格・キャンペーン内容は必ずソリマチ公式サイトで最新情報を確認してください。
業種特有の帳票(工事台帳・原価管理など)が必要な建設業・製造業の事業者には検討の価値があります。一方でクラウド型のような銀行データ自動連携の手軽さは弱く、パソコンへのインストールが前提になる点は選定時に留意が必要です。
やよいの白色申告 オンライン — 小規模な個人事業主向けの低コスト選択肢
インボイス制度をきっかけに簡易な記帳から始めたい個人事業主には、やよいの白色申告 オンラインのような低コストなソフトも選択肢になります。白色申告向けのため機能はシンプルですが、簿記知識が少ない段階でまず記帳習慣をつけたい方に向いています。本格的に青色申告特別控除(65万円)を狙う場合は、やよいの青色申告 オンラインや前述のfreee・マネーフォワードへの移行を検討してください。料金・機能の詳細は弥生公式サイトで確認できます。
| 会計ソフト | 個人向け月額目安 | 向いているタイプ |
|---|---|---|
| freee会計 | 980円(税抜)〜 | 簿記知識がない初心者・スマホ完結型を求める方 |
| マネーフォワード クラウド確定申告 | 900円(税抜・年払い)〜 | 他クラウドサービスと業務を統合したい方 |
| やよいの青色申告 オンライン | 実質0円〜(初年度・条件あり) | コストを抑えて青色申告控除を狙いたい方 |
| 会計王(買い切り型) | 年間換算では比較しにくい買い切り制 | 業種特化の帳票が必要な建設業・製造業 |
| やよいの白色申告 オンライン | 低コスト(詳細は公式サイト参照) | まず記帳を習慣化したい小規模事業者 |






【令和8年度改正】2026年に押さえるべきインボイス制度の最新動向






会計ソフトを選ぶうえで見落とせないのが、インボイス制度そのものの改正動向です。財務省・税理士法人での実務に関わってきた経験からも、「今のルール」だけでソフトを選ぶと、半年後に控除割合や申告方式が変わって設定を見直す羽目になることがあります。2026年(令和8年度)に関わる主な改正点は次の3つです。
① 2割特例は2026年9月30日で終了、個人事業主は「3割特例」へ
「2割特例」は、インボイス制度をきっかけに免税事業者から適格請求書発行事業者になった小規模事業者を対象に、納付する消費税額を売上に係る消費税額の2割に軽減できる経過措置です(国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」参照)。
この2割特例は2026年9月30日を含む課税期間までの措置とされており、個人事業主の場合は2026年分(2027年に行う確定申告)が対象年分です。令和8年度税制改正では、2割特例が予定どおり終了する一方、個人事業主向けに2027年・2028年分の2年間限定で納付額を売上に係る消費税額の3割に軽減する「3割特例」が新設される方向であることが明らかになっています。法人向けの負担軽減措置の延長は行われない見込みです。会計ソフト側の申告書作成機能がこの新しい特例に対応しているかは、契約前に確認しておくとよいポイントです。
② 仕入税額控除の経過措置:80%控除から70%控除へ、期間も2年延長
インボイス発行事業者以外(免税事業者等)からの課税仕入れについては、制度開始から一定期間、仕入税額の一部を控除できる経過措置が設けられています。従来は2026年9月30日までが80%控除、その後は一気に50%控除へ引き下げられる予定でしたが、令和8年度税制改正により、急激な負担増を緩和するため新たに「70%控除」の区分が追加され、経過措置全体の終了時期も2年延長されました。
📊 仕入税額控除の経過措置スケジュール(令和8年度改正後)
出典:国税庁「インボイス制度について」・令和8年度税制改正大綱を基に編集部作成(免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置)
会計ソフトを使っていれば、この控除割合の変更も基本的にはアップデートで自動対応されます。ただし、免税事業者との取引が多い事業者は、控除割合の引き下げに伴って納税額が段階的に増えていくことを見越して、資金繰りを計画しておく必要があります。
③ 少額特例(1万円未満の取引)は2029年9月30日まで
基準期間の課税売上高が1億円以下等の事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても一定事項を記載した帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められる「少額特例」を利用できます。この特例は2023年10月1日から2029年9月30日までの時限措置です。少額の経費精算が多い事業者では、会計ソフトの帳簿機能がこの少額特例の要件(相手方の氏名・取引年月日・取引内容・金額)を満たす形で記帳できるかも確認しておくとよいでしょう。


この記事で解決できる悩み 税理士が間違いやすい消費税申告の具体的ポイント 簡易課税と原則課税に関する届出の注意点 課税事業者選択に関する実務上の落とし穴 一括比例配…
電子帳簿保存法との関係も会計ソフト選びで重要






電子帳簿保存法は、税務関係帳簿書類の電子データ保存に関するルールを定めた法律です。特に重要なのが「電子取引」に関する保存義務で、2024年1月1日以後に行う電子取引(メールで受け取った請求書PDF、ECサイトでのダウンロード領収書など)については、電子データのまま保存することが義務化されています(紙に印刷して保存するだけでは要件を満たしません)。
ただし、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合であって、税務調査等の際にデータのダウンロードの求め及びプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じることができるようにしているときは、その電子取引データを単に保存しておくだけで足りるとする猶予措置も設けられています(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」参照)。
- 電子取引データの一元保存:メール添付・クラウド請求書等のPDFをそのままシステム内に保存できるか
- 検索機能の確保:取引年月日・取引金額・取引先で検索できる仕組みがあるか
- 訂正・削除の履歴管理:データの改ざん防止のためのタイムスタンプ・履歴機能
- スキャナ保存への対応:紙の請求書をスキャンして電子化する場合の要件充足
freee・マネーフォワード・弥生などの主要クラウド会計ソフトは、いずれも電子帳簿保存法の要件を満たす保存機能を備えています。インボイス制度と電子帳簿保存法はセットで対応が必要になるケースが多いため、会計ソフト選定時にはこの両方をカバーできるかを確認しておきましょう。
インボイス対応を成功させるための導入ステップ






数多くの事業者のインボイス対応支援に関わってきた実務経験から、導入を成功させるために重要なポイントをステップでお伝えします。
自社の登録番号(国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認可能)を、導入するソフトに正しく設定します。取引先からの要請で新たに課税事業者になった場合は、登録手続きと同時に進めましょう。
事業規模・業種・ITスキルに合ったソフトを選び、無料トライアルで実際の操作感を確認します。適格請求書の項目チェック機能・申告方式(一般課税/簡易課税/2割特例)への対応状況を必ず確認してください。
主要取引先の登録番号を確認・登録し、商品・サービスごとの消費税区分(標準税率・軽減税率・非課税等)を正しく設定します。軽減税率対象品目がある場合は特に注意して設定しましょう。
実際の取引でテスト運用を行い、問題点を洗い出します。仕入税額控除の経過措置(80%→70%→50%…)の切り替わりタイミングでは、控除割合の設定が更新されているか、資金繰りへの影響を月次で確認してください。
よくある質問(FAQ)
- Q: インボイス制度に対応していない会計ソフトを使い続けるとどうなりますか?
-
A: 適格請求書として必要な項目(登録番号・税率区分等)が発行できないと、取引先が仕入税額控除を受けられなくなるリスクがあります。取引継続の支障や消費税申告での計算ミスにつながるおそれがあるため、早めにインボイス対応ソフトへの移行を検討してください。
- Q: 2割特例が終わったら、消費税の負担はどのくらい増えますか?
-
A: 個人事業主は2027年・2028年分について「3割特例」(納付額を売上に係る消費税額の3割に軽減)の適用が見込まれています。ただし業種・課税方式(簡易課税・一般課税)によって実際の負担額は異なるため、具体的な試算は顧問税理士または会計ソフトのシミュレーション機能で確認することをおすすめします。断定的な金額はここでは示せませんが、負担は段階的に増える方向にあります。
- Q: freeeとマネーフォワードの違いは何ですか?
-
A: freeeは簿記知識がなくても使える直感的な操作性が特徴、マネーフォワードは他業務システムとの連携機能に強みがあります。会計知識に自信がない場合はfreee、複数の業務をまとめて効率化したい場合はマネーフォワードが候補になります。
- Q: 会計ソフトの乗り換えは複雑ですか?データ移行はできますか?
-
A: 主要な会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)はCSV形式でのデータインポート機能を備えています。各社とも乗り換え時のサポート案内を用意しているため、初期設定の手順に沿って進めれば大きな混乱なく移行できるケースが多いです。ただし過去データの量や仕訳の複雑さによっては、移行に数日を要する場合もあります。
- Q: 少額特例(1万円未満)を使えば、インボイスは一切保存しなくていいのですか?
-
A: 少額特例は、基準期間の課税売上高が1億円以下等の事業者が対象で、税込1万円未満の課税仕入れについてインボイスの保存を省略し、一定事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除を認める措置です。あくまで「帳簿の保存」は必要であり、適用期限は2029年9月30日までとされています。対象取引・期限を超えた取引には通常どおりインボイスの保存が必要です。
- Q: 税理士に依頼している場合でも会計ソフトは導入すべきですか?
-
A: 顧問税理士がいる場合でも、クラウド会計ソフトの導入は有効です。リアルタイムでデータを共有できるため、税理士側の作業も効率化され、結果として顧問料や決算料の見直しにつながる場合もあります。多くの会計事務所が主要クラウド会計ソフトの利用を推奨しています。
まとめ:制度改正を踏まえて会計ソフトを選び、インボイス対応を成功させよう
制度の切り替わりを見越して、申告方式の変更にソフトが対応できるか確認する
免税事業者との取引が多い事業者は、段階的な控除割合の低下を見越した資金繰り計画を
freee・マネーフォワード・弥生は改定が頻繁なため、契約直前に公式サイトで再確認する
2024年1月義務化の電子取引データ保存要件を満たす機能があるか確認する
インボイス制度への対応は、「今のルール」だけでなく「これから変わるルール」を踏まえた準備が成功の鍵となります。手作業での対応は負担が大きく、ミスのリスクも高いため、会計ソフトの活用を検討する価値は十分にあります。
簿記知識に自信がない方はfreee、業務全体を統合したい方はマネーフォワード、安定性を重視する方は弥生というように、事業の状況に合わせて選んでみてください。どのソフトも無料トライアル期間が用意されているので、まずは実際に触って、自社に合うかどうかを確認することをおすすめします。



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