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小規模企業共済の節税効果と加入メリット【2026年版】デメリット・解約時の注意点も解説

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「老後資金の準備をしたいけど、どの方法が一番お得なのか全然わからない……」そんな個人事業主・フリーランスの方に、ぜひ知っておいてほしい制度があります。それが小規模企業共済です。

小規模企業共済は、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する、個人事業主・小規模企業の経営者向けの「退職金制度」です。最大の魅力は、月1,000円〜70,000円の掛金が全額所得控除になるという点。年間最大84万円の所得控除を受けながら、老後や廃業時のまとまった資金を積み立てられます。これはiDeCoや国民年金基金と並ぶ、個人事業主の三大節税手段のひとつです。

この記事では2026年版の最新情報をもとに、小規模企業共済の仕組み・節税メリット・デメリット・加入手続き・確定申告での申告方法まで徹底的に解説します。「やって損はない制度」と言われる理由を、数字で確認していきましょう。

小規模企業共済って名前は聞いたことあるんですけど、iDeCoとどう違うんですか?個人事業主でも入れるんでしょうか……?

個人事業主こそ真っ先に加入すべき制度やで!iDeCoとも併用できるし、節税効果で言うたら下手したらiDeCoより即効性がある。今日でも加入できるから、一緒に詳しく見ていこか!

目次

小規模企業共済とは?仕組みと概要

中小機構が運営する退職金制度

小規模企業共済は、1965年に設立された中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する共済制度です。加入者数は2024年時点で約162万人(中小機構公式データより)に上り、個人事業主・小規模企業の経営者にとって最も身近な退職金制度として定着しています。

会社員には会社が用意してくれる退職金制度があります。しかし個人事業主には原則として退職金がありません。廃業・引退時にまとまったお金が必要なのに、積み立てる仕組みがないという問題を解決するために生まれたのが小規模企業共済です。

掛金と積立の仕組み

掛金は月額1,000円〜70,000円の範囲で500円単位で自由に設定できます。年額に換算すると12,000円〜840,000円です。積み立てた掛金は中小機構が運用し、解約・廃業・引退時に共済金として受け取れます。

2026年現在の運用利回りは年1.0%(予定利率)です。積み立て期間が長くなるほど、掛金の累計額より受取額が増える仕組みになっています(ただし任意解約の場合は条件が異なります。詳しくは後述)。

受け取り方は3パターン選べます。

  • 一括受取:退職所得として税制優遇あり(退職所得控除が適用)
  • 分割受取(10年・15年の2択):公的年金等所得として受け取れる
  • 一括+分割の併用:一部一括、残りを分割で受け取る選択肢もあり

誰が加入できるか(対象者)

小規模企業共済に加入できる主な対象者は以下のとおりです。

  • 個人事業主(常時使用する従業員数が20人以下。建設業・製造業等は20人以下、商業・サービス業は5人以下)
  • 小規模企業の役員(会社等の役員で、常時使用する従業員数が20人以下の企業)
  • 一人親方・フリーランス(事業所得がある個人)
  • 共同経営者(個人事業主の共同経営者として事業に従事している場合、2名まで)

なお、会社員(給与所得者)や農業従事者(農業共済加入者)などは原則として対象外です。不明な場合は最寄りの商工会議所や中小機構に確認してください。

小規模企業共済の節税メリット【2026年版】

掛金全額が所得控除(最大84万円/年)

小規模企業共済の最大のメリットは、掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になることです。上限は年間84万円(月7万円×12か月)。iDeCoの個人事業主の拠出上限(年81.6万円)とほぼ同水準で、かつ手続きがシンプルです。

所得控除とは、課税所得(税率を掛ける前の所得)から差し引かれる金額のこと。所得控除が増えれば増えるほど、所得税・住民税の課税対象となる金額が減り、納税額が下がります。

しかも「全額控除」というのが大きなポイントです。生命保険料控除(上限4万円)や地震保険料控除(上限5万円)と比べると、圧倒的に控除額が大きいことがわかります。個人事業主が使える所得控除の中でも、小規模企業共済は最大級の節税効果を持つ制度です。

節税効果シミュレーション(年収300万/500万/700万)

実際にどれくらい節税できるか、具体的な数字で確認しましょう。以下のシミュレーションは、掛金を月7万円(年84万円)に設定した場合の試算です(2026年税率・住民税10%で計算)。

課税所得(控除前)所得税率所得税節税額住民税節税額合計節税額/年
300万円10%約84,000円約84,000円約168,000円
500万円20%約168,000円約84,000円約252,000円
700万円23%約193,200円約84,000円約277,200円

たとえば課税所得300万円の方が掛金を年84万円納めると、年間約16.8万円の節税になります。これを20年続けると、合計で約336万円の税負担が軽くなる計算です。しかも積み立てたお金は将来自分が受け取れます。実質的に「税金として消えるはずだったお金を自分の退職金に変換している」と考えると、加入しない理由が見つかりません。

課税所得が500万円クラスになると年約25万円、700万円クラスでは年約27万円の節税効果があります。所得が高いほど税率が上がるため、節税効果も比例して大きくなります。

年16〜27万円も節税できるんですか!?これって毎年ですよね?すごい差が出てきますね……。

せやねん!毎年やから10年・20年単位で見たらものすごい差になるで。しかもその分のお金は全部自分の退職金として積み上がっていくわけやから、iDeCoと合わせてフル活用するのが最強の節税戦略やな!

受取時も税制優遇(退職所得・一時金)

小規模企業共済のメリットは積み立て時だけではありません。受け取り時にも大きな税制優遇があります。

一括受取の場合(退職所得扱い):退職所得には「退職所得控除」が適用され、長く勤めるほど控除額が大きくなります。さらに控除後の金額の1/2に課税されるため、実質的な税負担が非常に小さくなります。

退職所得控除の計算式:

  • 加入年数20年以下:40万円 × 加入年数(最低80万円)
  • 加入年数20年超:800万円 + 70万円 × (加入年数 − 20年)

例:20年間加入して一括受取した場合、退職所得控除は800万円。もし受取額が800万円以下であれば、受取時の税金はほぼゼロになります。

分割受取の場合(公的年金等所得扱い):分割受取を選んだ場合は「公的年金等控除」が適用されます。65歳以上なら最低110万円の控除があり、少額の受取なら非課税になるケースもあります。

小規模企業共済のデメリット・注意点

20年未満解約は元本割れリスク

小規模企業共済の最大のデメリットは、任意解約した場合に元本割れするリスクがあることです。特に加入年数が短いほどリスクが高くなります。

任意解約時の返戻率(掛金合計に対する受取額の割合)は以下のとおりです。

加入年数任意解約時の返戻率目安
5年未満約70〜75%(大幅な元本割れ)
5〜12年未満約80%未満(元本割れ)
12〜20年未満約80〜85%程度(依然として元本割れ)
20年以上約100〜105%(元本確保、若干の上乗せ)

つまり、任意解約の場合は最低でも20年間は続ける覚悟が必要です。「事情があって途中で辞めたい」となった場合でも、廃業・退職による解約(後述)であれば条件が大きく変わりますので、状況に応じた対応が重要です。

任意解約は受取額が大幅減

小規模企業共済には、解約の理由によって受け取れる金額が大きく変わる仕組みがあります。解約理由は主に以下の3種類です。

  • A共済事由(廃業・死亡):個人事業を廃業した場合や死亡した場合。最も手厚い条件で共済金を受け取れます。積み立て期間が長いほど受取額が増加し、20年以上では掛金を上回る金額になります。
  • B共済事由(会社解散・役員退任):法人を解散した場合や、役員を退任した場合に適用される共済事由です。A共済事由に準じた金額が受け取れます。
  • 準共済事由(法人成り等):個人事業主が法人成りした場合(個人事業を廃止して法人を設立)に適用。A・B共済事由よりも受取額が少なくなることがあります。
  • 任意解約:上記以外の理由で解約した場合。返戻率が最も低く、特に12年未満では元本を大きく下回ります。

廃業・退職での解約 vs 任意解約の違いを理解しておくことが非常に重要です。長年加入していても「任意解約」を選ぶと元本割れのリスクがあります。一方、廃業・退職の場合は正式な共済事由として認定されるため、受取条件が格段に有利になります。

掛金変更の制約

掛金の増額・減額は可能ですが、いくつかの制約があります。

  • 増額:申請すれば翌月から増額できます(上限:月70,000円まで)
  • 減額:申請すれば翌々月から減額できます(下限:月1,000円まで)
  • 掛金の停止(掛け止め):一時的に掛金を払わない「掛け止め」はできません。払い込みを停止すると「解約」になります
  • 前払い制度:最大12か月分まで前払いが可能。前払いした掛金も全額その年の所得控除になるため、年末に前払いを使った節税が可能です

所得が減少した年は掛金を減額することも可能なので、無理のない範囲で続けやすい制度設計になっています。ただし「今月は払わない」という月単位の停止はできない点に注意しましょう。

デメリットもしっかりあるんですね……。「任意解約だと元本割れ」というのが一番怖いです。廃業するときは問題ないってことですか?

そやで!廃業や退職なら「A共済事由」として正式に認定されるから、掛金を上回る金額が受け取れることが多いんや。だからこそ「老後の退職金として積み立てる」という目的で使うなら、やって損はない制度やねん。途中で急に現金が必要になってもリスクが大きいから、「長期積立」の覚悟で入るのが正解やな。

加入手続きの方法【ステップ別】

必要書類と手続き先(中小機構・商工会議所)

小規模企業共済への加入手続きは、窓口またはオンラインで行えます。主な申込窓口は以下のとおりです。

  • 商工会議所・商工会(最も一般的な窓口。各地の商工会議所・商工会で対応)
  • 中小機構のホームページ(電子申請も可能)
  • 金融機関(中小機構と提携している銀行・信用金庫等)

加入時に必要な書類(個人事業主の場合):

  • 直近の確定申告書の写し(収受印が押されたもの、またはe-Tax送信済みのもの)
  • 開業届の写し(確定申告書がない場合)
  • 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証等)
  • 金融機関の口座情報(掛金の引き落とし口座)
  • 印鑑(認印可)

書類が揃っていれば、申し込みから加入まで数日〜2週間程度で完了します。掛金の引き落としは翌月または翌々月から開始されるのが一般的です。

掛金の設定目安

最初の掛金設定で悩む方も多いですが、以下の考え方を参考にしてみてください。

  • 余裕がない段階:月1,000〜10,000円から始めて、収入が安定してきたら増額する
  • 安定した収入がある場合:月30,000〜50,000円で節税効果を実感しながら積み立てる
  • 節税を最大化したい場合:月70,000円(年84万円)の上限まで掛けてフル活用する

掛金は後から増額・減額できるため、最初は少額で始めて収入・利益の状況を見ながら調整していくのが現実的です。ただし、年度末が近づいてきたタイミングで「掛金を前払いして節税を上積みする」という戦略も有効です(最大12か月分の前払いが可能)。

freee・マネーフォワードでの経理処理

小規模企業共済の掛金は、会計ソフトでどのように処理するかも押さえておきましょう。

仕訳の考え方:小規模企業共済の掛金は「経費(損金)」ではなく、確定申告の「所得控除」として処理します。帳簿上では「事業主貸」勘定を使って記録するのが一般的です。

  • 借方:事業主貸 ○○円
  • 貸方:普通預金 ○○円

freeeでは「取引を登録」→「支出」→「勘定科目:事業主貸」→「摘要:小規模企業共済掛金」として記録します。マネーフォワード クラウドでも同様の操作で「事業主貸」勘定で仕訳を作成してください。

確定申告での小規模企業共済控除の申告方法

必要書類(払込証明書)

確定申告で小規模企業共済等掛金控除を申告するには、中小機構から送付される「小規模企業共済掛金払込証明書」が必要です。

払込証明書は毎年10月〜11月頃に中小機構から郵送されます。確定申告書類と一緒に保管しておきましょう。e-Taxで申告する場合でも、払込証明書の数字を入力する必要があります(証明書自体の提出は不要です)。

払込証明書が届かない場合は、中小機構のコールセンター(0570-077-077)に問い合わせると再発行してもらえます。

確定申告書への記入箇所

確定申告書(第一表)の記入方法は以下のとおりです。

  1. 確定申告書 第一表の「小規模企業共済等掛金控除」欄を確認(控除欄のひとつです)
  2. 払込証明書に記載された「年間支払掛金額」を記入
  3. 第二表の「小規模企業共済等掛金控除」欄にも同額を記入
  4. 控除後の課税所得が計算され、所得税額が自動的に減額されます

なお、掛金を前払いした場合、その年に前払いした金額(最大12か月分)が控除の対象になります。払込証明書に記載された金額がそのまま控除額になるため、金額の確認を忘れずに行いましょう。

e-Taxでの申告手順

e-Taxを使った申告でも、手順は比較的シンプルです。