「子育て中は収入が減るのに、国民年金保険料は毎月17,920円(令和8年度)払い続けなきゃいけない…」そんなフリーランス・自営業者の悩みに、2026年10月から国民年金「育児免除」制度がいよいよ始まります。所得制限なし、しかも将来の年金額も減らない——会社員に育休中の社保免除があるように、第1号被保険者にもようやく育児期間の公的な支えができます。この記事では、対象者・免除期間・手続きの流れ・確定申告での扱いまで、日本年金機構の一次情報をもとに実務目線で解説します。
ぜいむたん


2026年10月スタート「国民年金 育児免除」とは?フリーランス待望の新制度
これまでフリーランス・自営業に欠けていた「育児期間の支え」
会社員・公務員(第2号被保険者)は、育児休業中に健康保険・厚生年金の保険料が免除される制度を長年利用できました。一方、フリーランス・自営業者・学生など国民年金第1号被保険者には、出産直前後の「産前産後期間の免除」(2019年4月〜)はあったものの、出産後の育児期間をカバーする制度は存在しませんでした。
毎月の国民年金保険料は令和8年度(2026年度)で17,920円。年間21万円を超える負担が、収入が不安定になりがちな育児期間中も続くのは、フリーランス・自営業者にとって大きなストレスでした。令和2年(2020年)に成立した年金制度改正法に基づき、この空白を埋める「育児免除」制度が令和8年(2026年)10月1日からいよいよ施行されます。
会社員(第2号)・専業主婦/夫(第3号)との違い——なぜ第1号専用なのか
この制度は国民年金第1号被保険者専用です。第2号被保険者(会社員・公務員)は育児休業中に勤務先を通じた別の社会保険免除制度があり、第3号被保険者(第2号の扶養配偶者)はそもそも保険料納付義務がありません。育児免除は、これまで育児期間の保険料支援がなかった第1号被保険者のためだけに新設された制度です。
「育児休業」ではなく「育児免除」——言葉の正確な意味
自営業・フリーランスには「育児休業」制度はありません。年金機構も一貫して「育児免除」「育児期間」と表記しています。「育休中に免除される」という表現は誤りです。正しくは「1歳未満の子を養育する期間、保険料が免除される」制度です。
育児免除は、雇用関係のないフリーランス・自営業者が「子を養育している期間」に受けられる保険料の全額免除です。制度の名称も「育児休業」に由来するものではなく、あくまで「育児期間に係る保険料免除制度」です(出典:日本年金機構 育児免除制度特設ページ)。
誰が対象?所得制限なしで使える条件






対象は「国民年金第1号被保険者で1歳未満の子を養育する人」
日本年金機構の特設ページによれば、育児免除の対象者は「1歳未満の子を養育する国民年金第1号被保険者」です。フリーランス・自営業者・学生・無職の方など、第1号被保険者であれば所得に関係なく利用できます。なお対象となるには、子との親子関係が継続していること、子と同一住所であることなどの条件も満たす必要があります。
実父母・養父母・養子縁組里親まで——所得に関係なく免除
「養育する」の範囲は実父母だけではありません。養父母・養子縁組里親なども対象に含まれます。子が1歳になるまでの期間、子を実際に養育している第1号被保険者であれば、幅広い家族形態で利用できる設計になっています。所得制限がないため、収入が多い年でも申請可能です。
「あなたは対象?」適合チェックリスト
国民年金 育児免除 対象チェック(2026年10月〜)
自営業・フリーランス・学生・無職の方が該当。会社員・公務員(第2号)と専業主婦/夫(第3号)は対象外。
実子のほか養子・養子縁組里親も対象。子が1歳の誕生日を迎えると対象期間終了。
家族形態を問わず、子を実際に養育している第1号被保険者が対象。所得制限なし。
年金機構の対象条件として「子との親子関係が継続していること」かつ「子と同一住所であること」が挙げられています。
条件を満たしていても自動では免除されません。市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所への届出が必要です。
※ 施行日=令和8年(2026年)10月1日。手続き様式・必要書類は施行に向け順次案内されます。
夫婦ともに第1号被保険者なら両方が対象になる
フリーランス同士の夫婦や、夫婦ともに自営業の場合、両方がそれぞれ育児免除を受けられます。夫だけ、あるいは妻だけという制限はなく、第1号被保険者であれば各自が届出を行うことで双方の保険料が免除対象となります。世帯全体で見ると節約効果が倍になるため、夫婦でしっかり確認しておきましょう。
何カ月・いくら免除される?ケース別の早見表






実母の場合:産前産後免除に続く9カ月(合わせて最大13カ月)
実母の場合、2019年4月から始まった「産前産後期間の免除」(日本年金機構 産前産後免除ページ)がすでに存在します。単胎の場合は出産月の前月から4カ月、多胎は出産月の3カ月前から6カ月が産前産後免除の対象です。
2026年10月からの育児免除は、この産前産後免除が終わった直後から9カ月間続きます。つまり実母の場合、産前産後免除4カ月+育児免除9カ月=合わせて最大13カ月の保険料が免除されることになります(単胎の場合)。
父・養父母の場合:子が1歳の誕生月の前月まで最大12カ月
父親・養父母の場合は産前産後免除の対象ではないため、育児免除単独での利用になります。子を養育することとなった日から、子が1歳の誕生月の前月まで最大12カ月が免除対象です。月額保険料(17,920円・令和8年度)で計算すると、最大で約21万5,000円の保険料免除になります。
ケース別「免除される期間」早見表
立場別・国民年金 育児免除の期間(2026年10月〜)
産前産後免除(4カ月)+育児免除(9カ月)
合計 最大13カ月産前産後免除(6カ月)+育児免除(9カ月)
合計 最大15カ月(推計・※要窓口確認)子を養育し始めた日〜1歳の誕生月の前月まで
最大 12カ月父母それぞれが対象。両方が届出を行うことで双方が免除を受けられる。
両方が対象※ 多胎の合計上限・施行前から養育中の子の扱いは施行に向け順次案内されます。お住まいの市区町村窓口または年金事務所でご確認ください。
既存の「産前産後期間の免除」(2019年4月〜)との関係・接続
産前産後免除は2019年4月からすでに運用されており、多くのフリーランス・自営業者が利用してきました。育児免除はこの産前産後免除の直後に続く設計です(実母の場合)。産前産後免除が終わった翌月から育児免除が始まるため、出産前後から育児期間にかけて途切れなく免除が続く形になります。ただし育児免除は届出が必要なため、産前産後免除とは別に申請が必要です。
免除されても将来の年金は減らない






「保険料を納付したものとして老齢基礎年金に反映」の意味
日本年金機構の育児免除制度特設ページには、「保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映」と明記されています。これは、実際には保険料を支払っていない期間でも、年金計算上は支払ったのと同じ扱いをするという意味です。産前産後免除と同様の仕組みで、免除を受けたからといって将来の受給額が減ることはありません。
- 免除期間も「保険料を納付したものとして」老齢基礎年金に反映(年金機構明記)
- 保険料を「納付したもの」として扱われ、年金キャリアが途切れない
- 将来の年金額は免除前と変わらない扱い
- 産前産後免除と同じ仕組みで、実績あり
「納付済み」扱いで年金キャリアが途切れない
育児免除期間は、年金機構が「保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映」すると説明しています。つまり、若い時期にフリーランスとして独立し育児期間中に育児免除を受けても、その期間が「未納」として扱われることはなく、納付した期間と同等に評価されます。年金制度上のキャリアが途切れないことも、この制度の大きなメリットです(受給資格期間など細かな取扱いは施行に向けた案内・年金事務所でご確認ください)。
経済的理由の「全額免除」(将来の年金が一部減る)との違い
収入が少ない年に利用できる「経済的理由による全額免除」では、免除された期間に対応する年金額は2分の1(国庫負担分のみ)しか反映されません。将来の年金額が減る可能性があります。一方、育児免除はこの通常免除とはまったく別の制度です。産前産後免除と同様に「全額納付済みと同等」に扱われるため、年金額への悪影響はありません。混同しないよう注意してください。
付加保険料(月400円)は免除期間中も納付できる
老後の年金額を上乗せできる「付加保険料」(月額400円)は、育児免除期間中も引き続き納付することができます。付加保険料を納付すると、将来の年金額に「200円×付加保険料の納付月数」が加算されます。育児免除中もこの上乗せを継続したい方は、付加保険料の申請を忘れずに行いましょう。
手続きはどうする?届出の流れと注意点






自動適用ではなく「届出」が必要
育児免除は条件を満たしていても自動では適用されません。届出を行わない限り通常通り保険料が発生し続けます。届出を忘れると免除期間分の保険料を後から追納しなければならない可能性もあるため、施行後は早めに手続きを行うことが重要です。
届出先・様式・必要書類は施行に向け順次案内(市区町村窓口・年金事務所で確認)
申請の届出先・様式・必要書類・事前届出の可否・施行前から養育中の子の扱いなどの細部は、2026年6月時点の年金機構特設ページには未記載です。施行に向け順次案内される予定のため、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所に最新情報をご確認ください。
現時点で確認できる情報としては、届出先は「市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所」となる見込みです。具体的な様式・必要書類・申請可能時期については、日本年金機構の育児免除制度特設ページで随時更新されますので、施行直前に再度確認することをおすすめします。
よくある勘違い3選(育休と混同/会社員も使える等/自動で免除される)
よくある勘違い3選——これだけは間違えないで!
フリーランス・自営業者に「育児休業」制度はありません。正しくは「1歳未満の子を養育する期間に育児免除が受けられる」です。
会社員(第2号)は育休中の社会保険料免除(別制度)があります。育児免除は国民年金第1号被保険者専用です。第3号も対象外。
条件を満たしていても届出なしでは免除されません。申請を忘れると通常通り保険料が請求されます。施行後に必ず届出を。
申請までの準備ステップ整理ボックス
年金手帳や日本年金機構から届く納付書・通知を確認。「国民年金」と記載があれば第1号被保険者です。勤め先で厚生年金に加入している場合は第2号となり対象外です。
1歳未満の子を養育しているか確認。実母なら産前産後免除との接続で最大13カ月、父・養父母なら最大12カ月が目安。夫婦ともに第1号なら両方が申請できます。
自動適用ではないため届出が必須。施行後に様式・必要書類が案内されます。付加保険料の継続希望がある方はその旨も同時に相談しましょう。
フリーランスの確定申告での扱い——社会保険料控除との関係






免除された期間の保険料は「払っていない」ので社会保険料控除には入らない
確定申告の社会保険料控除(所得控除)は、「実際に支払った社会保険料」が対象です(出典:国税庁タックスアンサー No.1130「社会保険料控除」)。育児免除期間中は保険料を支払っていないため、その期間分を社会保険料控除に算入することはできません。
育児免除期間分の国民年金保険料を社会保険料控除に含めることは誤りです。免除された月の保険料は支払っていないため、控除の対象になりません。年金機構から届く「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」に記載された金額のみを控除に使用してください。
免除月以外に納付した国民年金保険料は全額が社会保険料控除の対象
免除を受けていない月に納付した国民年金保険料は、通常通り全額が社会保険料控除の対象です。年金機構から10月〜11月頃に送付される「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」に、実際に納付した金額が記載されています。この証明書に記載された金額をそのまま確定申告書に転記してください。
クラウド会計で社会保険料控除を漏れなく集計するコツ
育児免除がある年の確定申告では、「免除月は控除対象外・納付月は全額控除対象」という区分が必要になります。マネーフォワードクラウド確定申告では、社会保険料控除の入力画面で年金機構の控除証明書の金額をそのまま入力するだけでOKです。証明書には免除分を除いた実際の納付額が記載されているため、証明書通りに入力すれば二重計上や計算ミスを防げます。
育児免除がある年の確定申告では、控除証明書と実際の納付月数を照合しながら入力することが大切です。育児免除期間が含まれる年は控除証明書の金額が通常より少なく感じるかもしれませんが、免除分が含まれていないだけなので正常です。
まとめ——2026年10月、フリーランスの子育てと年金はこう変わる






2026年10月から始まる国民年金「育児免除」は、これまでフリーランス・自営業者(第1号被保険者)に欠けていた育児期間の公的支援です。所得制限なし・将来の年金も減らない・最大13カ月(実母の場合)という充実した内容で、子育て中の保険料負担を大きく軽減します。以下のSTEPで準備を進めておきましょう。
国民年金 育児免除まとめ:フリーランスがやるべき4ステップ
会社員・公務員(第2号)とその扶養配偶者(第3号)は対象外。自営業・フリーランス・学生・無職などが第1号。年金手帳や保険料納付書で確認できます。
1歳未満の子を養育しているか確認。実母は産前産後免除と合わせ最大13カ月、父・養父母は最大12カ月が目安。夫婦ともに第1号なら両方が申請可能です。
自動では免除されません。施行後に様式・必要書類が案内されたら、市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所で忘れずに届出を行う。付加保険料の継続も同時に相談を。
免除された月の保険料は社会保険料控除に入らない。年金機構から届く控除証明書に記載の金額のみを使用し、クラウド会計で漏れなく集計する。
よくある質問(FAQ)
- フリーランス(自営業)でも国民年金の育児免除は受けられますか?
-
はい、受けられます。国民年金第1号被保険者で1歳未満の子を養育していれば対象です。むしろこの制度は、育児休業中の社会保険料免除がある会社員(第2号)や納付義務のない専業主婦/夫(第3号)ではなく、これまで育児期間の支えがなかった第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生など)のために2026年10月に新設された制度です。所得に関係なく利用できます(出典:日本年金機構 育児免除制度特設ページ)。
- 保険料が免除されると、将来もらえる年金は減りますか?
-
減りません。育児免除期間は「保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映」されます(年金機構の表現)。経済的理由による通常の全額免除では将来の年金額が一部減りますが、育児免除はこれと異なり、産前産後免除と同様に納付済みと同等に扱われる点が大きな違いです。将来の受給額への影響を心配せずに利用できる制度設計になっています(受給資格期間など細かな取扱いは施行に向けた案内・お住まいの年金事務所でご確認ください)。
- 何カ月くらい免除されますか?
-
立場によって異なります。実母の方は出産前後の「産前産後免除」(単胎で4カ月)に続いて育児免除が9カ月、合わせて最大13カ月です。父親や養父母の方は、子を養育することとなった日から子が1歳になる誕生月の前月まで、最大12カ月です。夫婦ともに第1号被保険者であれば、両方がそれぞれ申請できます。なお手続きの様式や届出先など細部は施行に向け順次案内されるため、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所で最新情報をご確認ください。
- 確定申告のとき、免除された保険料も社会保険料控除に入れてよいですか?
-
いいえ、入れることはできません。社会保険料控除は「実際に支払った社会保険料」が対象です(国税庁タックスアンサー No.1130)。育児免除期間中は保険料を支払っていないため、その期間分は控除の対象外です。年金機構から送付される「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」に記載された金額(免除分を除いた実際の納付額)のみを確定申告書に記入してください。



新規開業のフリーランスの方へ——開業届もオンラインで完結
これからフリーランスとして独立する方は、開業届の提出が最初のステップです。マネーフォワード クラウド開業届なら無料でオンライン作成・郵送代行まで対応。国民年金第1号への切り替え手続きとあわせて検討してみてください。
あわせて読みたい
イザークコンサルティング
記事執筆代行・Web/LP制作
公認会計士試験合格者が、専門性とSEOを両立した記事制作と、WordPress×SWELLのWeb/LP制作までワンストップで対応します。
▶ 記事執筆代行を見る
▶ Web・LP制作を見る


コメント