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読了の目安:約8分/この記事は日本年金機構・協会けんぽ・国税庁の一次ソースに基づき、公認会計士試験合格者が解説しています。料率は令和8年度(2026年度)の値です。
【結論】賞与の手取りは「社会保険料」と「源泉所得税」を引いて計算する
ぜいむたん


賞与(ボーナス)の手取りは、次のシンプルな式で求められます。まずは全体像を押さえましょう。
賞与の手取り = 総支給額 −(社会保険料 + 源泉所得税)
この記事の3大ポイント
- 社会保険料は「標準賞与額(1,000円未満切捨)×料率」で計算(厚生年金・健康保険・介護・雇用+2026年新設の支援金)
- 源泉所得税は「(賞与−社会保険料)×算出率」。算出率は前月の給与と扶養人数で決まる
- 住民税は賞与から引かれない(毎月の給与でのみ徴収)。賞与の手取りは月給より高い割合が残るとは限らない
賞与にかかる社会保険料の計算方法






標準賞与額とは(1,000円未満切り捨て・上限あり)
社会保険料の計算では、賞与の総支給額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」を使います。たとえば賞与が503,800円なら、標準賞与額は503,000円です。さらに、標準賞与額には保険ごとに上限があります(日本年金機構)。
| 保険 | 標準賞与額の上限 | カウント単位 |
|---|---|---|
| 健康保険・介護保険 | 年度累計 573万円 | 4月〜翌3月の累計 |
| 厚生年金保険 | 1か月あたり 150万円 | 同じ月に2回支給なら合算 |
令和8年度(2026年度)の保険料率(本人負担分)
賞与にかかる社会保険料は、標準賞与額に次の料率(本人負担分)をかけて計算します。厚生年金・健康保険・介護保険は労使折半(半分が本人負担)です。健康保険料率は協会けんぽの場合、都道府県ごとに異なります(ここでは東京都の令和8年度率を使用)。
| 保険の種類 | 料率(全体) | 本人負担分 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 厚生年金保険 | 18.30%(固定) | 9.15% | 原則70歳未満 |
| 健康保険(東京都・協会けんぽ) | 9.85% | 4.925% | 全員 |
| 介護保険 | 1.62% | 0.81% | 40〜64歳のみ |
| 雇用保険(一般の事業) | - | 0.5% | 全員(折半ではない) |
| 子ども・子育て支援金(2026年新設) | 0.23% | 0.115% | 健康保険加入者 |
【2026年新設】子ども・子育て支援金という「3つ目の保険料」
2026年(令和8年)4月から、子ども・子育て支援金の徴収が始まりました。これは健康保険料に上乗せして集められる新しい負担で、会社員は健康保険と同じく労使折半(本人負担は半分)で給与・賞与から天引きされます。令和8年度の率は0.23%(本人0.115%)で、報道では年収800万円の会社員で月767円程度とされています(日本経済新聞)。今後2028年度にかけて段階的に引き上げられる予定です。賞与にも健康保険と同様にかかるため、2026年以降の手取り計算では見落とさないようにしましょう。
賞与にかかる源泉所得税の計算方法






通常の計算(前月の給与+扶養人数で率を決める)
賞与の源泉所得税は、国税庁「No.2523 賞与に対する源泉徴収」の手順で、次の3ステップで計算します。
STEP1
前月給与と扶養を確認
前月の給与から社会保険料を引いた額と、扶養親族等の数を確認します。
STEP2
算出率の表で率を引く
「賞与の算出率の表(令和8年分)」で、STEP1に対応する「賞与に乗ずべき率」を求めます。
STEP3
賞与に率をかける
源泉所得税=(賞与−社会保険料)×算出率。この税率には復興特別所得税が含まれています。
算出率は0%、2.042%、4.084%、6.126%…と段階的に上がり、復興特別所得税(2.1%)込みの値になっています。具体的な率の区分は前月給与と扶養人数で変わるため、必ず国税庁「令和8年分 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で確認してください。なお、令和8年夏の賞与には令和8年分の表(令和7年度税制改正を反映済み)を使い、令和8年度税制改正(基礎控除の追加引き上げ)は令和8年12月1日施行のため夏の賞与には影響しません。改正の反映タイミングはなぜ2026年は基礎控除が上がっても毎月の手取りが変わらないのか|年末調整と源泉徴収のタイムラインで詳しく解説しています。
2つの特例(前月給与がない・賞与が前月給与の10倍超)
- 前月に給与がない場合:賞与(社会保険料控除後)を6(賞与計算期間が6か月超なら12)で割り、月額表に当てはめて税額を求め、再び6(または12)をかけます。
- 賞与が前月給与(社会保険料控除後)の10倍を超える場合:賞与を6(または12)で割って前月給与に加え、月額表で税額を求めてから前月給与分の税額を差し引き、6(または12)をかけます。
【計算例】賞与50万円・東京都・38歳・扶養1人の手取り






| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 標準賞与額 | 500,000円(1,000円未満なし) | 500,000円 |
| 健康保険料 | 500,000 × 4.925% | 24,625円 |
| 厚生年金保険料 | 500,000 × 9.15% | 45,750円 |
| 子ども・子育て支援金 | 500,000 × 0.115% | 575円 |
| 雇用保険料 | 500,000 × 0.5% | 2,500円 |
| 社会保険料 合計 | — | 73,450円 |
| 課税対象額 | 500,000 − 73,450 | 426,550円 |
| 源泉所得税 | 426,550 × 4.084%(※率は例) | 17,420円 |
| 手取り額 | 500,000 − 73,450 − 17,420 | 409,130円 |
このケースでは、額面50万円の賞与から約9万円が引かれ、手取りは約41万円。控除率は約18%です。40歳以上だと介護保険料が上乗せされ、さらに手取りが減ります。
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社会保険料は賞与額に比例するので、早見表にしておくと便利です。下表は東京都・40歳未満・本人負担分の概算です(健保4.925%+厚年9.15%+支援金0.115%+雇用0.5%=合計14.69%)。Excelでは「賞与額×0.1469」のように1セルの式で再現でき、料率改定時もセルを直すだけで更新できます。
| 賞与(額面) | 健康保険 4.925% | 厚生年金 9.15% | 雇用+支援金 0.615% | 社会保険料 合計(概算) |
|---|---|---|---|---|
| 300,000円 | 14,775円 | 27,450円 | 1,845円 | 44,070円 |
| 500,000円 | 24,625円 | 45,750円 | 3,075円 | 73,450円 |
| 800,000円 | 39,400円 | 73,200円 | 4,920円 | 117,520円 |
| 1,000,000円 | 49,250円 | 91,500円 | 6,150円 | 146,900円 |
賞与の社会保険料がかからない・免除されるケース






- 退職月に支給する賞与:月の途中で退職すると、その月は社会保険の資格を喪失するため、退職月に支給された賞与には社会保険料がかかりません(ただし月末退職は翌月1日喪失となり、退職月の賞与にもかかります)。
- 産前産後休業・育児休業中の賞与:所定の手続きをすれば、休業期間中の社会保険料(賞与分を含む)が免除されます。
- 上限を超えた部分:健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1か月150万円を超える部分には保険料がかかりません。
なお、これらの免除には届出や要件があり、扱いを誤ると後からトラブルになります。個別の判断は社会保険労務士や年金事務所に確認してください。
実務の注意点とよくあるミス






賞与を支給したら、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を年金事務所へ提出します。賞与を支給しなかった場合も「賞与不支給報告書」の提出が必要なケースがあります。
介護保険料は40歳到達月から発生し、65歳からは給与天引きではなく原則として年金からの徴収に切り替わります。年齢の節目は要チェックです。
健康保険料率・雇用保険料率・子ども子育て支援金率は年度で変わります。古い料率のまま計算するミスが多いので、毎年4月(協会けんぽの健保は3月分から)に更新しましょう。
よくある質問(FAQ)
- 賞与にも住民税はかかりますか?
- 賞与から住民税は引かれません。住民税は前年の所得をもとに計算され、毎月の給与から12回に分けて天引き(特別徴収)されるためです。そのため賞与の控除は「社会保険料」と「源泉所得税」の2つが中心になります。
- なぜ賞与の源泉所得税は前月の給与で決まるのですか?
- 賞与は毎月の給与と違い金額が変動するため、年間を通じた概算として「前月の給与水準」を基準に税率(算出率)を決める仕組みになっています。1年間の所得税は年末調整で精算されるので、賞与時点の源泉徴収はあくまで仮の概算です。
- 2026年から手取りが減ったのはなぜですか?
- 2026年(令和8年)4月から子ども・子育て支援金(令和8年度は0.23%・本人負担0.115%)の徴収が始まったため、給与・賞与の手取りがわずかに減っています。今後2028年度にかけて段階的に引き上げられる予定です。
- 介護保険料は何歳からかかりますか?
- 介護保険料は40歳に到達した月から発生します。したがって39歳までの方の賞与には介護保険料はかかりません。40〜64歳の方は健康保険料に加えて介護保険料(令和8年度・本人0.81%)が賞与からも引かれます。
- 賞与の手取りを正確に知るにはどうすればよいですか?
- 社会保険料は「標準賞与額×料率」で正確に計算できますが、源泉所得税は前月給与と扶養人数で率が変わります。正確な金額は給与明細または国税庁の令和8年分算出率の表で確認するのが確実です。概算なら本記事の早見表を目安にしてください。
まとめ
賞与の手取り=総支給額−(社会保険料+源泉所得税)。住民税は賞与からは引かれない。
標準賞与額(1,000円未満切捨)×令和8年度料率(本人)。2026年新設の子ども・子育て支援金も忘れずに。
(賞与−社会保険料)×算出率。算出率は前月給与と扶養人数から令和8年分の表で求める。
社会保険料は早見表やExcelで一発計算。最新料率の更新漏れと届出(賞与支払届)の遅れに注意する。
賞与の控除は「社会保険料」と「源泉所得税」の2本立てで、2026年からは子ども・子育て支援金も加わりました。社会保険料は賞与額に比例するため早見表で素早く概算でき、源泉所得税は前月給与と扶養人数で率が決まります。料率は毎年変わるので、最新の令和8年度料率で計算しましょう。個別の判断は税理士・社会保険労務士にご相談ください。



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