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読了の目安:約7分/この記事は国税庁・財務省の一次ソースに基づき、公認会計士試験合格者が解説しています。
【結論】2026年は基礎控除が上がっても「毎月の手取り」はほぼ変わらない
ぜいむたん


令和8年度税制改正で、基礎控除や給与所得控除がさらに引き上げられ、給与収入ベースの所得税の課税最低限は178万円まで広がります。ところが「控除が増えた=毎月の手取りがすぐ増える」とはなりません。理由は、改正が月々の源泉徴収にすぐ反映されず、年末調整で精算されるからです。まずは結論を3点で押さえましょう。
この記事の3大ポイント
- 2026年(令和8年)の改正分は、2026年1〜11月の月次源泉徴収には反映されない(使う税額表は令和7年度改正までを反映したもの)
- 改正の恩恵は2026年12月の年末調整で精算。毎月の手取りに効くのは2027年(令和9年)1月の給与から
- 基礎控除には所得による「段差」があり、年収帯によっては年収が増えても手取りが増えにくいケースもある
2026年の改正で何が変わる?基礎控除104万円・給与所得控除74万円の中身






「年収の壁」をめぐる改正は、実は2つの波に分かれています。混同すると話が分からなくなるので、最初にここを切り分けます。財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」でも、物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みが示されています。
第1波
令和7年度税制改正
基礎控除 48万→58万円/給与所得控除の最低保障 55万→65万円。令和7年分から適用。月次の源泉徴収には2026年1月から反映済み。
第2波(本記事の主役)
令和8年度税制改正
基礎控除 本則58万→62万円(+特例)/給与所得控除の最低保障 65万→69万円(+特例5万)。令和8年分から適用。月次反映は2027年1月から。
基礎控除:所得489万円以下なら令和8・9年分は最大104万円
第2波(令和8年度改正)の基礎控除は、合計所得金額の区分ごとに次のようになります。令和8・9年分は、課税最低限を178万円まで引き上げるための特例加算が上乗せされている点がポイントです。
| 合計所得金額 | 本則 | 特例加算 (令和8・9年分) | 合計 (令和8・9年分) |
|---|---|---|---|
| 489万円以下 | 62万円 | +42万円 | 104万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 62万円 | +5万円 | 67万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 62万円 | - | 62万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 | - | 48万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 | - | 32万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 | - | 16万円 |
給与所得控除:最低保障額は74万円に拡大
給与所得者の場合、給与所得控除の最低保障額も令和8・9年分は74万円(本則69万円+特例5万円)まで拡大します。これに基礎控除104万円(所得489万円以下)を足すと、74万円+104万円=178万円。これが「給与収入178万円までは所得税がかからない」と言われる根拠です。なお、これらの数字は給与収入のみ・所得が一定以下の場合の目安であり、個別の所得状況によって異なります。具体的な節税額は、個人事業主・フリーランス向けに【2026年分から適用】基礎控除178万円引き上げで個人事業主・フリーランスはいくら節税できる?令和8年度税制改正の完全シミュレーションでも詳しく試算しています。
【核心】基礎控除が上がっても毎月の手取りが変わらない3つの理由






理由①
月次の税額表に未反映
2026年1〜11月の給与は、令和7年度改正までを反映した「令和8年分源泉徴収税額表」で天引き計算。令和8年度改正分は含まれていません。
理由②
年末調整でまとめて精算
令和8年度改正の恩恵は2026年12月の年末調整で年税額を再計算して反映。多めに天引きされていた分は還付される見込みです。
理由③
新税額表は2027年1月から
改正を織り込んだ新しい月次税額表が使われるのは2027年(令和9年)1月支払いの給与から。ここで初めて毎月の手取りに効きます。
国税庁も「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」で、令和8年度改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年11月までは源泉徴収事務に変更がないと案内しています。つまり「上がった控除がすぐ毎月の手取りに出ない」のは制度の設計どおりで、損をしているわけではありません。
タイムライン図解:手取りに反映されるのはいつ?(2026年1月〜2027年1月)






| 時期 | 使う源泉徴収税額表 | 反映済みの改正 | 未反映の改正 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月〜11月 (月次の天引き) | 令和8年分 税額表 | 第1波(令和7年度改正) | 第2波(令和8年度改正) |
| 2026年12月 (年末調整) | 年税額を再計算 | 第1波+第2波の両方 | - |
| 2027年1月〜 (月次の天引き) | 令和9年分 新税額表 | 第1波+第2波 | - |
ちなみに第1波(令和7年度改正)の分は、すでに2026年1月の給与から月次に反映されています。源泉徴収が不要となる月額のラインが88,000円から105,000円に引き上げられるなど、2026年1月の時点で前年より毎月の手取りが少し増えた方も多いはずです。「2026年は手取りが変わらない」と感じるのは、そこからさらに上乗せされる第2波の追加分が、年の途中の月次には出てこないためです。
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先ほどの基礎控除の表をもう一度見てください。令和8・9年分は、合計所得金額が489万円を超えると特例加算が42万円から5万円に減り、基礎控除は104万円から67万円へ、一気に37万円減少します。さらに655万円を超えると62万円まで下がります。
段差のイメージ(合計所得金額ベース)
- 489万円以下 … 基礎控除 104万円
- 489万円を1円でも超える … 基礎控除 67万円(-37万円)
- 655万円を超える … 基礎控除 62万円(さらに-5万円)
境目の前後では、収入が少し増えただけで課税所得が大きく増え、手取りの増え方が鈍くなることがあります。
日本経済新聞も「税制改正、基礎控除見直しで「手取り減」も 年収で段差大きく」として、この段差の問題を報じています。境目付近の年収の方は、賞与や残業で所得が境目をまたぐと、思ったほど手取りが増えない(場合によっては実質的に逆転する)可能性がある点に注意が必要です。なお、ここでの金額はあくまで控除の構造を示すもので、実際の税額は他の所得控除や税率によって変わります。
反映タイミング早見表:あなたの2026年の手取りはどうなる?






| タイプ | 第2波の主な恩恵 | 2026年中の月次手取り | 実感する時期 |
|---|---|---|---|
| パート・年収150万円前後 | 課税最低限178万円化で所得税ゼロになりやすい(恩恵大) | 変わらない | 2026年12月の年末調整/2027年1月〜 |
| 会社員・年収300〜500万円 | 基礎控除の本則+4万円が中心(恩恵は小〜中) | 変わらない | 2026年12月の年末調整/2027年1月〜 |
| 会社員・年収700万円前後 | 本則+4万円のみ(特例加算なし)。境目をまたぐと段差に注意 | 変わらない | 2026年12月の年末調整/2027年1月〜 |
| 個人事業主・フリーランス | 基礎控除の引き上げを確定申告で反映(給与所得控除はなし) | 該当なし(源泉なし) | 2027年の確定申告(令和8年分) |
共通するのは、会社員・パートはいずれも「2026年中の毎月の手取りは変わらず、年末調整・2027年1月以降に効く」という点です。個人事業主・フリーランスは源泉徴収(給与天引き)の話とは別で、令和8年分の確定申告(2027年2〜3月)で基礎控除の引き上げが反映されます。なお、税金の壁が広がっても社会保険の壁(106万円・130万円)は別問題で、加入により手取りが減る場合もあります。社会保険側の最新動向は「106万円の壁」撤廃 2026年10月|手取りはいくら減る?パート・企業の社会保険対応もあわせてご確認ください。
会社員・パート・個人事業主で対応はどう違う?






会社員・パートの方:年末調整で精算される
会社員・パートの方は、2026年12月の年末調整で改正が精算されます。勤務先から配布される「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は、改正にあわせて様式が変更される予定です。記入欄が前年と変わるため、案内をよく読んで記入しましょう。年末調整の全体像は【2026年版】年末調整の基本ガイド|対象者・必要書類・手続きの流れを完全解説で確認できます。
扶養がある方:所得要件が62万円以下(給与136万円)に緩和
扶養に関わる方は、所得要件の引き上げにも注意が必要です。令和8年分からは、同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額の要件が58万円以下から62万円以下(給与収入なら123万円→136万円)に緩和されます。19〜22歳の子を扶養する場合の特定親族特別控除など、大学生年代の扶養の取り扱いは【2026年最新】大学生アルバイトの扶養控除は150万円まで!特定扶養控除・特定親族特別控除の改正内容と親の確定申告対応を徹底解説で詳しく整理しています。
個人事業主・フリーランスの方:確定申告で反映される
個人事業主・フリーランスの方は、令和8年分の確定申告(2027年提出)で基礎控除の引き上げが反映されます。配偶者控除・扶養控除の判定基準も変わるため、家族構成によっては節税余地が広がります。会社員で手取りを増やしたい方は、【2026年版】会社員・サラリーマンの節税対策15選|年末調整・確定申告で手取りを増やす方法もあわせてどうぞ。
2026年の年末調整・確定申告で準備しておくこと






2026年の年末調整・確定申告に向けて、次の手順で準備しておくと安心です。年末直前のチェックリストとして活用してください。
扶養控除等申告書に「源泉控除対象親族」欄が新設されるなど、記入欄が変わります。勤務先や国税庁の案内に従って記入しましょう。
扶養の所得要件が62万円以下(給与136万円以下)に変わるため、配偶者や子のアルバイト収入を年末に向けて確認しておくと安心です。
2026年は月次で多めに天引きされた分が年末調整で戻る見込みです。自分の年税額をざっくり把握しておくと、過不足に気づきやすくなります。
還付金の受け取り時期が気になる方は、確定申告の還付金はいつ振り込まれる?【2026年版】e-Taxと書面の違い・確認方法まで徹底解説もご参照ください。
よくある質問(FAQ)
- 2026年は結局、毎月の手取りはまったく変わらないのですか?
- 第1波(令和7年度改正)の分は2026年1月の給与から反映されているため、2025年と比べると毎月の手取りは少し増えています。一方、第2波(令和8年度改正)の追加分は2026年中の月次には反映されず、2026年12月の年末調整で精算され、毎月の手取りに効くのは2027年1月の給与からです。
- 基礎控除が上がった分のお金は、いつ戻ってくるのですか?
- 会社員・パートの方は、2026年12月の年末調整で年税額を再計算する際に反映され、多めに源泉徴収されていた分は還付される見込みです。個人事業主・フリーランスの方は、令和8年分の確定申告(2027年提出)で反映されます。
- なぜ改正をすぐ毎月の給与に反映しないのですか?
- 毎月の天引きは「源泉徴収税額表」という早見表に基づいて計算しますが、令和8年度改正を反映した新しい表が使われるのは令和9年(2027年)1月支払いの給与からとされているためです。改正の施行が令和8年12月1日で、その年の途中の月次計算には間に合わない仕組みになっています。
- 基礎控除が104万円になるのは誰でもですか?
- いいえ。104万円は合計所得金額が489万円以下の人に適用される令和8・9年分の特例込みの金額です。所得が489万円を超えると67万円、655万円を超えると62万円というように段階的に下がります。全員が一律で104万円を控除できるわけではありません。
- 年収が上がったのに手取りが減ることが本当にあるのですか?
- 基礎控除には所得区分による「段差」があるため、境目(合計所得489万円・655万円)の前後では収入が少し増えただけで課税所得が大きく増え、手取りの増え方が鈍くなることがあります。実際の影響は他の所得控除や税率によって異なるため、境目付近の方は個別に試算するか専門家にご相談ください。
まとめ
第1波(令和7年度・2026年1月から月次反映済み)と、第2波(令和8年度・本記事の主役)を分けて考える。
第2波は2026年中の源泉徴収税額表に反映されない。だから毎月の手取りは変わらない。
年単位の精算は2026年12月の年末調整、毎月の手取りへの反映は2027年1月の給与から。
基礎控除の段差(489万・655万)と、扶養の所得要件(62万円以下=給与136万円以下)への変更を確認する。
2026年は「基礎控除が上がったのに毎月の手取りが変わらない」という一見不思議な現象が起きますが、これは源泉徴収と年末調整の仕組み上のタイムラグであり、損をしているわけではありません。恩恵は年末調整・2027年からきちんと反映されます。境目付近の年収の方は段差にだけ注意して、年末調整に備えましょう。



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