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「令和8年度の税制改正って、個人事業主にはどう関係するの?」という声をよく聞きます。改正の内容は多岐にわたりますが、会社員向けの話と個人事業主向けの話が混在していて、自分に何が関係するのか分かりにくいですよね。
この記事では、令和8年度(2026年度)税制改正のうち、個人事業主・フリーランスに直接関係する7つの変化だけに絞って解説します。さらに年収500万円のフリーランスを例に、改正前後の税負担をシミュレーションしました。まずは全体像を把握して、自分に必要な対応を絞り込んでください。
ぜいむたん


令和8年度税制改正|個人事業主・フリーランスに関係する7つの変化






2026年分(令和8年分)から適用
① 基礎控除の引き上げ
48万円→最大104万円(合計所得489万円以下)
年収500万円の個人事業主で最大約9万円の節税効果
2026年4月以後取得分から適用
② 少額減価償却の特例拡大
30万円未満→40万円未満まで一括経費化可能
PCや機材の取得がより有利に
2026年12月から適用
③ iDeCo 10年ルール・加入70歳引き上げ
退職金との受取間隔が5年→10年に変更
加入可能年齢が65歳未満→70歳未満に
2027年分(令和9年分)から適用
④ 青色申告特別控除 75万円へ
65万円→75万円(優良な電子帳簿+e-Tax申告が条件)
今年から準備が必要
2026年末(個人事業主)で終了
⑤ インボイス2割特例の終了
2027年〜は3割特例(30%)に縮小
課税・免税の継続可否の再判断が必要
2026年10月から適用(注意)
⑥ 社会保険「106万円の壁」撤廃
賃金要件が消え「週20時間」だけで加入対象に
配偶者・副業パートがいる場合は要確認
2026年10月以降
⑦ インボイス経過措置80%→50%縮小
免税事業者からの仕入れ控除が50%に下がる
取引コストの見直しが必要
🟢 緑のカードは「今年の確定申告(令和8年分)から使える」改正です。黄色は「来年分から」、赤は「今年中に対応が必要な締切」と読んでください。優先度は赤>緑>黄色の順です。
【改正①】基礎控除が最大104万円へ|令和8年分の確定申告から適用






令和8年(2026年)分の所得から、所得税の基礎控除が大幅に引き上げられます。国税庁の公式ページによると、改正後の基礎控除額は合計所得金額に応じて以下のようになります。
| 合計所得金額 | 令和6年以前 | 令和8年分から | 増額分 |
|---|---|---|---|
| 489万円以下 | 48万円 | 104万円 | +56万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | 48万円 | 67万円 | +19万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | 48万円 | 62万円 | +14万円 |
| 2,350万円超〜2,400万円以下 | 48万円 | 32万円 | -16万円 |
| 2,400万円超〜2,450万円以下 | 32万円 | 16万円 | -16万円 |
| 2,450万円超〜2,500万円以下 | 16万円 | 8万円 | -8万円 |
所得別の基礎控除額早見表(令和8年分)
フリーランスや個人事業主の多くは合計所得が655万円以下に収まるケースが多く、最大56万円の控除増加という恩恵を受けられます。この改正は令和8年12月1日施行で、2026年分の確定申告(2027年3月申告)から反映されます。
⚠️ 「合計所得金額」は事業収入から必要経費を引いた事業所得であり、青色申告特別控除・基礎控除を引く前の金額です。年収500万円で経費80万円のフリーランスなら、合計所得は420万円(489万円以下)なので最大104万円の基礎控除が受けられます。
【改正②】少額減価償却資産の特例が40万円未満に拡大|2026年4月取得分から






これまで、青色申告を行う中小の個人事業主が30万円未満の資産を取得した場合、減価償却せずに取得年に全額経費として計上できる「少額減価償却資産の特例」がありました。
財務省の令和8年度税制改正大綱によると、この特例の対象上限額が30万円未満から40万円未満に引き上げられます。適用対象は令和8年4月1日以後に取得または製作した減価償却資産です。
【改正前後の比較】少額減価償却資産の特例
改正前(令和7年3月31日まで取得)
30万円未満まで一括経費
29.9万円の資産 → 全額経費〇
30.0万円の資産 → 減価償却必要✕
改正後(令和8年4月1日以後取得)
40万円未満まで一括経費
35万円のPCも → 全額経費〇
39.9万円の機材も → 全額経費〇
※年間合計限度額300万円は変わりません。常時使用従業員数400人以下の事業者が対象です。
たとえば35万円のハイスペックPCを2026年5月に購入した場合、改正前なら5年かけて減価償却するところを、改正後は購入年の全額35万円を経費に計上できます。税率30%なら約10.5万円の節税を今年のうちに前倒しできます。
⚠️ 令和8年3月31日以前に取得した資産には旧基準(30万円未満)が適用されます。4月以後の取得かどうかを購入日で必ず確認してください。
【改正③】青色申告特別控除が75万円へ|ただし令和9年分(2027年確定申告)から






青色申告特別控除は令和8年度税制改正により、現行の65万円から75万円に10万円引き上げられます。しかし適用開始は令和9年分(2027年確定申告)からであり、今年(令和8年)の確定申告では引き続き65万円が上限です。
75万円控除を受けるには、以下の2つの要件を両方満たす必要があります。
紙の申告書では55万円控除になります。e-Taxはマイナポータルや会計ソフトから申告できます。
訂正・削除履歴の保存、帳簿間の相互関連性、検索機能の確保の3要件を満たす電子帳簿が必要です。マネーフォワード・freee・弥生などのクラウド会計ソフトは多くがこれを満たしています。
令和9年分(2027年確定申告)で75万円控除を受けるには、令和9年1月1日から優良な電子帳簿で記帳していることが必要です。2026年中に会計ソフトを導入して操作に慣れておくのが理想です。
現在まだ手書きや紙で申告している方は、今年が移行の最後のタイミングです。75万円控除で年収500万円のフリーランスが受けられる追加節税は、所得税+住民税合計で約2〜3万円(10万円 × 実効税率20〜30%)です。
【改正④】iDeCo改正2026年12月|10年ルールと加入年齢70歳引き上げの実務影響






個人事業主が押さえる2点(掛金上限以外の改正)
令和8年12月施行のiDeCo改正で、個人事業主・フリーランスに関係する2点をまとめます。
退職金と受取間隔
10年ルールの導入(2026年12月〜)
iDeCoの一時金と会社退職金(事業廃業時の退職金等)を退職所得として両方使うには、10年以上の間隔が必要に(現行は5年)。廃業・売却予定がある人は受取タイミングを早めに設計しておく必要があります。
加入可能年齢の拡大
65歳未満→70歳未満(2026年12月〜)
60代後半でも国民年金・厚生年金の被保険者であれば引き続き拠出可能に。65歳以降も収入がある個人事業主は、70歳まで節税しながら積立を続けられます。個人事業主の上限(月6.8万円)は変わりません。
⚠️ 廃業(≒ 役員退職)時のiDeCo一時金の扱いは複雑です。10年ルールは2026年12月以後の受取に適用されます。受取時期の設計は必ず専門家に相談することをおすすめします。
【改正⑤】インボイス2割特例が2026年末で終了|2027年から「3割特例」に






インボイス登録をしている個人事業主の多くが利用してきた「2割特例(消費税の納税額を売上消費税の2割にする特例)」は、2026年(令和8年)中で終了します。2027年(令和9年)からは「3割特例」(免税事業者からの課税仕入れについて仕入税額相当額の30%を控除できる特例)に切り替わります。
2割特例終了後の消費税負担イメージ
消費税の負担変化(課税売上1,000万円・インボイス登録業者の場合)
現在(2割特例): 売上消費税100万円 × 20% = 20万円納税
2027年以降(原則課税に戻る場合): 売上消費税100万円 – 仕入消費税分 = 実際の納税額は事業内容による
※ 簡易課税制度の選択や課税・免税の再判断も検討の価値があります。
2割特例の終了を機に、①インボイス登録を取り消して免税事業者に戻る、②簡易課税制度に切り替える、③原則課税を継続するの3択を検討してください。判断は売上規模と経費の消費税比率によって変わります。
【改正⑥⑦】社会保険106万円の壁撤廃・インボイス経過措置縮小|フリーランスへの間接影響






⑥ 社会保険「106万円の壁」撤廃(2026年10月〜): 従業員51人以上の企業では、2026年10月から「月収8.8万円(年収106万円)以上」という賃金要件がなくなり、「週20時間以上」働くと社会保険の加入対象になります。フリーランス本人(個人事業主)は国民健康保険・国民年金に加入しているため直接影響は限定的ですが、配偶者が扶養でパートをしている場合は扶養から外れるリスクがあります。
⑦ インボイス経過措置 2026年10月以降80%→50%縮小: 免税事業者からの仕入れについて控除できる割合が、2026年9月末まで80%から、2026年10月以降は50%に下がります。外注費の多いフリーランスや、免税事業者への支払いが多い業態では、コスト増を見積もった上での取引先見直しが必要になるケースがあります。
年収500万円のフリーランス|独自シミュレーション:改正前後でいくら節税できるか






以下のケースを想定して、税負担の変化を試算しました(執筆者による独自計算)。
試算条件(年収500万円のITフリーランス・経費率16%)
シミュレーション条件
- 事業収入: 500万円(IT系フリーランス)
- 必要経費: 80万円(経費率16%)
- 事業所得(= 合計所得): 420万円
- 青色申告: あり(65万円控除・e-Tax申告)
- 扶養家族: なし
- 社会保険料: 70万円(国民健康保険+国民年金 目安)
| 項目 | 令和6年以前(改正前) | 令和8年分(改正後) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 事業所得 | 420万円 | 420万円 | — |
| 青色申告特別控除 | 65万円 | 65万円 | 0 |
| 社会保険料控除 | 70万円 | 70万円 | 0 |
| 基礎控除 | 48万円 | 104万円 | +56万円 |
| 課税所得 | 237万円 | 181万円 | -56万円 |
| 所得税(復興税含む) | 約14.2万円 | 約9.2万円 | -5.0万円 |
| 住民税 | 約24.2万円 | 約18.6万円 | -5.6万円 |
| 合計税負担 | 約38.4万円 | 約27.8万円 | ▲ 約10.6万円 |
基礎控除の引き上げだけで、年間約10.6万円の節税効果が生まれます。さらに以下のオプション改正を組み合わせると、節税額はさらに上乗せできます。
節税額の積み上げ(年収500万円・標準ケース)
| ① 基礎控除104万円引き上げ(令和8年分から) | ▲ 約10.6万円 |
| ② 少額減価償却40万円特例(35万円のPC一括経費化・令和8年4月以後) | ▲ 約10.5万円(取得年限り) |
| ③ 青色申告75万円(令和9年分から・今年準備) | ▲ 約2万円(来年から) |
| 合計(①+②を今年実施した場合) | ▲ 約21.1万円 |
※ 試算は公認会計士試験合格者が行った独自計算です。実際の税額は個人の状況により異なります。
💡 「少額減価償却の一括経費化」は購入した年のみの節税効果です。毎年の継続的な節税は基礎控除引き上げ(①)と青色申告75万円(③)が柱になります。
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優先度別アクションリスト
🔴 今すぐ〜2026年9月末まで
インボイス・社会保険の対応
- 免税事業者からの外注費・仕入れ: 10月以降は控除が80%→50%に縮小。取引先の見直しまたはコスト見積もりの修正
- 配偶者・家族が週20時間以上勤務しているパートの場合: 10月以降の社会保険加入要否を勤務先に確認
- インボイス課税→免税への切り替えを検討している場合: 2026年9月末までに「適格請求書発行事業者の登録の取り消し届出書」を提出
🟡 2026年4月〜12月
少額減価償却の特例活用・iDeCo見直し
- 30〜40万円の設備・機器の購入は2026年4月以降に回すと一括経費化が可能(年間300万円上限・青色申告者のみ)
- iDeCo加入者は10年ルールの影響を確認。廃業・売却の予定がある60代は受取タイミングの設計を専門家に相談
- 青色申告75万円控除を令和9年分から受けるためのクラウド会計ソフトへの移行・試用開始
🟢 2027年3月(令和8年分の確定申告)
基礎控除104万円を正しく適用する
- 合計所得金額が489万円以下なら基礎控除104万円で申告(会計ソフトが自動計算)
- 少額減価償却(40万円未満)の資産: 取得日と金額を確認して全額経費計上
- e-Taxで申告提出(紙申告だと55万円控除になるため注意)
よくある質問(FAQ)
- 令和8年度税制改正で、個人事業主にとって一番節税効果が大きい改正はどれですか?
-
合計所得が489万円以下の個人事業主にとっては、基礎控除の引き上げ(48万円→104万円)が最も節税効果が大きい改正です。年収500万円・経費80万円のフリーランスで試算すると、所得税・住民税の合計が約10.6万円減少します。ただし今年(令和8年分)適用される改正のなかでは最大のインパクトです。来年(令和9年分)からは青色申告特別控除75万円も加わり、追加で年2〜3万円の節税が上乗せされます。
- 青色申告特別控除が75万円になるのはいつからですか?2026年分の確定申告から使えますか?
-
青色申告特別控除75万円の適用は令和9年分(2027年分)からです。2026年分の確定申告(2027年3月提出)は従来通り最大65万円が上限です。ただし75万円控除を受けるには「優良な電子帳簿での記帳」と「e-Tax申告」の両方が必要です。令和9年1月1日から優良な電子帳簿で記帳していることが条件になるため、2026年中にクラウド会計ソフトに移行して慣れておくことが必須です。
- 少額減価償却の特例(40万円未満)は、フリーランスでも使えますか?どんな条件がありますか?
-
はい、青色申告を行う個人事業主(フリーランス含む)でも使えます。条件は①青色申告書を提出していること、②常時使用する従業員数が400人以下であること(一人フリーランスなら自動的に満たします)、③令和8年(2026年)4月1日以後に取得した資産であることの3点です。年間の適用限度額は300万円で変わりありません。なお、2026年3月31日以前に取得した資産には旧基準(30万円未満)が適用されます。
- インボイス2割特例はいつ終わりますか?終了後はどうすればよいですか?
-
個人事業主の場合、2割特例は令和8年(2026年)12月31日が含まれる課税期間で終了します。2027年(令和9年)・2028年(令和10年)分は「3割特例」(仕入税額相当額の30%控除)に変わります。終了後の選択肢は、①インボイス登録を取り消して免税事業者に戻る(9月末までに届出必要)、②簡易課税制度を選択する(業種ごとのみなし仕入率で計算)、③原則課税を継続するの3つです。自分の売上規模・経費の消費税比率に合った選択を税理士に相談することをおすすめします。
まとめ|令和8年度改正で個人事業主がやるべき3つのアクション






免税事業者との取引コスト見直し(控除80%→50%)と、配偶者・家族の社会保険106万円撤廃の影響確認を9月末までに完了させてください。期日が最も早い締切です。
PCや機器を購入するなら2026年4月以降がお得です。令和8年4月1日以後の取得から40万円未満まで一括経費化できます。年間300万円の上限に注意しながら計画的に活用してください。
令和9年分(2027年確定申告)から青色申告特別控除75万円を受けるためには、令和9年1月1日から優良な電子帳簿で記帳している必要があります。今年中にマネーフォワード等のクラウド会計ソフトに移行して、操作に慣れておきましょう。
基礎控除104万円の引き上げは申告時に自動的に反映されるため、追加の手続きは不要です。年収500万円のフリーランスで最大約10.6万円、設備投資も組み合わせると約21万円の節税が可能です。改正の恩恵を最大限に受けるための準備を、今から始めてください。



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