電子帳簿保存法(電帳法)は、税務関連書類の電子保存に関するルールを定めた法律です。2024年1月から電子取引データの電子保存が完全義務化され、すべての事業者が対応を求められています。
本記事では、電子帳簿保存法の3つの区分の違いを明確にし、個人事業主・中小企業が最低限やるべきことから、クラウド会計ソフトを活用した効率的な対応方法まで、2026年時点の最新情報に基づいて完全解説します。
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この記事でわかること
- 電子帳簿保存法の3区分と「義務か任意か」の判断基準
- 個人事業主が最低限やるべき3ステップ(コストゼロで対応可能)
- ファイル名命名規則「日付_金額_取引先」で検索要件をクリアする方法
- freee・マネーフォワードでの電帳法対応手順と機能比較
- やってはいけないNG行為3選と違反した場合の重加算税リスク
対象読者:個人事業主・フリーランス・中小企業の経理担当者 読了時間:約8分
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電子帳簿保存法の全体像|3つの区分
電子帳簿保存法 3区分まとめ
全事業者に義務・違反は重加算税10%増し
メール・ECサイト・クラウドで受け取った請求書・領収書は電子データのまま保存必須。2024年1月から完全義務化。
任意・紙書類の電子化に有効
紙の領収書・請求書をスキャンして保存。freee・マネーフォワードのスマホアプリで要件を満たせる。紙原本の廃棄も可能。
任意・節税メリットあり
会計ソフトで作成した帳簿を電子保存。「優良な電子帳簿」認定で過少申告加算税が5%軽減。65万円控除の要件にも。
区分1:電子帳簿等保存(任意)
会計ソフトで作成した仕訳帳・総勘定元帳・売上帳などの帳簿や、自社作成の請求書控えを電子データのまま保存する方式です。任意であり、紙保存も引き続き認められます。「優良な電子帳簿」の要件を満たすと過少申告加算税が5%軽減される優遇措置があります。
区分2:スキャナ保存(任意)
紙で受け取った領収書・請求書・契約書などをスキャナやスマホで読み取り、電子データとして保存する方式です。こちらも任意ですが、紙原本の保管スペースを削減できるメリットがあります。
主な要件は、解像度200dpi以上、タイムスタンプの付与(または訂正削除の記録が残るシステムの利用)、検索機能の確保です。
区分3:電子取引データ保存(義務)
メール・クラウドサービス・ECサイトなどで電子的に授受した取引情報を電子データのまま保存する方式です。2024年1月から完全義務化されており、すべての事業者が対応必須です。
対象となる電子取引の具体例を挙げます。
- メール添付で受領した請求書・領収書のPDF
- クラウドサービスからダウンロードした利用明細
- ECサイト(Amazon、楽天など)で発行された領収書
- クレジットカードの利用明細(Web上で確認するもの)
- EDIシステムでの取引データ






電子取引データ保存の具体的な対応方法
改ざん防止措置の4つの方法
電子取引データの保存には、以下のいずれかの改ざん防止措置が必要です。
電子インボイスや一部サービスでは、送信元がタイムスタンプを付与した状態でデータを発行します。
受領後、最長約2か月+7営業日以内にタイムスタンプを付与します。freeeやマネーフォワードの証憑管理機能では自動付与されます。
クラウド会計ソフトやGoogle Driveなどの変更履歴機能を活用します。freeeやマネーフォワードはこれに該当します。
国税庁のひな型をダウンロードして事業者名を書き換えるだけ。コストゼロで要件を満たせる個人事業主向けの方法です。
個人事業主や小規模事業者には方法4の事務処理規程が最も現実的です。国税庁サイトにひな型が公開されています。クラウド会計ソフトを利用している場合は方法3に該当し、事務処理規程は不要になるケースが多いです。
検索機能の確保
保存した電子取引データを「取引日」「取引金額」「取引先名」で検索できるようにする必要があります。
- ファイル名に情報を含める:「20260305_50000_株式会社ABC.pdf」のように日付・金額・取引先をファイル名に入れる
- Excelで索引簿を作成:取引日・金額・取引先・ファイル名を一覧化
- クラウド会計ソフトの証憑管理機能:freeeやマネーフォワードの機能を活用
検索要件の緩和措置:基準期間の売上高が5,000万円以下かつ税務調査時にデータのダウンロードに応じられる場合は、検索機能の確保が不要になります。多くの個人事業主はこの緩和措置の対象です。






最低限やるべき対応手順3ステップ
「何から始めればいいか分からない」という方のために、具体的な対応手順をステップ別に解説します。freeeやマネーフォワードを使っていない場合でも対応できます。






自分がどんな電子取引を行っているかをリストアップします。Amazon・楽天などECサイトの領収書、Adobe・Microsoft 365などクラウドサービスの請求書、Xserver・さくらインターネットなどサーバー請求書、クラウドワークス・ランサーズの支払い明細、取引先からのメール添付PDF——これらすべてが電子取引データとして保存対象です。
5,000万円以下の事業者はフォルダ管理で対応できます。フォルダ構成:電子取引/2026年/01月/。ファイル名は 「日付_金額_取引先_内容」 形式——例:20260115_10780_Xserver_請求書.pdf。この命名規則を守るだけで検索要件の緩和措置を活用できます。
真実性確保のために、国税庁サイトのひな型をダウンロードし、事業者名・代表者名を書き換えて備え付けます。freee・マネーフォワードの証憑管理機能を使っている場合は、タイムスタンプが自動付与されるため事務処理規程は不要です。
個人事業主のベストプラクティス
①事務処理規程を作成(コストゼロ)→②電子取引データを命名規則に沿ったフォルダに保存→③確定申告まで保管する。この3ステップで要件を満たせます。
freee・マネーフォワードでの電子帳簿保存法対応
会計ソフトを使っている場合、電子帳簿保存法への対応がさらに簡単になります。主要2ソフトの対応機能を解説します。






freee vs マネーフォワード 電帳法対応機能比較
シンプル操作・初心者向け
- 証憑アップロードで自動タイムスタンプ付与
- スマホカメラでスキャナ保存対応
- UIがシンプルで操作しやすい
- スタータープラン以上で証憑管理可
複数口座・多サービス連携に強い
- 書類保存機能で電子取引を一元管理
- 2,400以上のサービスと自動連携
- 複数口座・複数事業の管理に最適
- 対応プランでタイムスタンプ自動付与
freeeの電子帳簿保存法対応機能
- 証憑管理機能:レシート・請求書などをアップロードすると、freeeのサーバー上で自動的にタイムスタンプが付与されます
- スマートフォンアプリでのスキャン:スマホカメラで撮影するだけで、スキャナ保存要件を満たした電子データとして保存
- 検索機能:日付・金額・取引先での検索が可能(可視性確保の要件を満たす)
freeeでの対応手順:
左メニューから「証憑」をクリックします。
PDF等をドラッグ&ドロップまたは「ファイルを選択」でアップロードします。
取引日付・金額・取引先を入力して保存します。
freeeのサーバーが自動でタイムスタンプを付与。真実性確保の要件を満たします。
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- 書類保存機能(ストレージ):電子取引データをアップロードして保存。タイムスタンプ付与には対応プランが必要
- マネーフォワードクラウドスキャン:スマホアプリで紙書類を撮影・電子化(スキャナ保存対応)
- 検索・一覧表示:取引先・日付・金額での絞り込みが可能
マネーフォワードでの対応手順:
マネーフォワードクラウド会計の左メニューから「書類保存」を選択します。
PDF等のファイルをドラッグ&ドロップでアップロードします。
取引日付・金額・取引先を入力して保存します。
対応プランの場合はマネーフォワードが自動でタイムスタンプを付与します。
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対象書類と要件
スキャナ保存の対象は「重要書類」(領収書、請求書、契約書など)と「一般書類」(見積書、注文書など)に分類されます。
- 解像度:200dpi以上(スマホカメラでも多くの場合OK)
- カラー要件:重要書類は原則カラー、一般書類はグレースケール可
- タイムスタンプ:入力期間内(最長約2か月+7営業日)に付与。訂正削除の記録が残るクラウドサービス利用時は不要
- 入力者情報:誰がスキャンしたかの記録を保持
- 帳簿との相互関連性:スキャンデータと帳簿記録の紐付け
スマホアプリでの効率的な運用
freeeやマネーフォワードのスマホアプリを使えば、レシート撮影だけでスキャナ保存の要件を満たせます。OCR処理で金額・日付が自動入力され、手入力の手間も削減できます。スキャナ保存後は紙の原本を廃棄することも可能です。






優良な電子帳簿の要件と節税メリット
「優良な電子帳簿」の認定を受けると、以下の税務上のメリットがあります。
- 過少申告加算税の5%軽減:通常10%(15%)の加算税が5%(10%)に
- 青色申告特別控除65万円の適用:e-Tax申告+優良な電子帳簿で65万円控除
要件は、訂正・削除の履歴が残ること、帳簿間の相互関連性の確保、検索機能の充実などです。主要なクラウド会計ソフトは標準でこれらの要件を満たしています。






今すぐやるべきこと|対応チェックリスト
最優先:電子取引データの保存体制構築
メール・クラウド・ECサイトで受領している請求書・領収書をすべてリストアップします。
クラウド会計ソフトの証憑管理機能を使うか、ファイル名ルール+フォルダ管理かを決めます。
タイムスタンプやクラウドソフトを使わない場合は必須。国税庁ひな型をダウンロードして事業者名を書き換えます。
経理担当者だけでなく、請求書を受領するすべてのスタッフに保存ルールを共有します。
余裕があれば:スキャナ保存の導入
月に何枚の紙書類を受領しているか確認し、スキャナ保存の優先度を判断します。
freeeまたはマネーフォワードのスマホアプリを使えばカメラ撮影だけで要件を満たせます。
受領後すぐに撮影するルールを決めます。遅延するとタイムスタンプの付与期限(約2か月)を超えることがあります。
スキャナ保存後は紙原本を廃棄できます。保管スペースの削減につながります。






違反した場合のリスク
- 青色申告の取消し:帳簿書類の保存が不適切と判断された場合
- 仕入税額控除の否認:保存要件を満たしていない場合
- 重加算税の10%加重:スキャナ保存・電子取引データ保存に関して隠蔽・仮装があった場合
直接的な罰則はありませんが、青色申告の取消しや仕入税額控除の否認は事業に大きな影響を与えます。早めの対応が重要です。






よくある失敗・NG行為3選
電子帳簿保存法の対応でよくある失敗を3つ紹介します。知らずにやってしまうと税務調査でペナルティを受ける可能性があります。






NG①:電子データで受け取った請求書を印刷して紙で保存する
2024年1月以前の宥恕措置期間中は「電子データを印刷して紙で保存」が認められていましたが、現在は原則NGです。電子データはデータのまま保存する義務があります。
ペナルティについて
電子帳簿保存法違反が認められた場合、通常の重加算税(35%または40%)に加え、さらに10%の割増が課される場合があります。不正行為(改ざん等)があった場合は特に厳しいペナルティが課されます。
NG行為と対処法まとめ
NG① 印刷して紙保存
電子データは必ずデータのまま保存。印刷したものを紙で保管するのは2024年1月以降は原則違反。
NG② ファイル名バラバラ
「日付_金額_取引先」の命名規則を徹底。バラバラだと税務調査で「検索できない」と指摘されるリスクあり。
NG③ 後から削除・改ざん
事務処理規程で「原則削除禁止・変更は記録必須」と定め、ルール通りに運用すること。
NG②:ファイル名や保存場所がバラバラで検索できない状態にする
「保存はした」でも、税務調査の際に「この取引の請求書を見せてください」と言われてすぐに出てこない状態はNGです。ファイル名に日付・金額・取引先を含め、フォルダを年月別に整理することで可視性確保の要件を満たしましょう。
NG③:電子データを後から削除・改ざんする
「間違えてアップロードしたから削除した」という行為も、要件によっては問題になる場合があります。事務処理規程で「訂正・削除は原則禁止・やむを得ない場合は履歴を残す」というルールを定め、それに従って運用することが大切です。
青色申告75万円控除(令和8年改正)と電子帳簿保存法の関係
令和8年改正 青色申告特別控除 改正前後比較
改正前(〜2026年分)
65万円控除
- 複式簿記での記帳
- e-Tax申告 または 電子帳簿保存
改正後(2027年分申告〜)
75万円控除
- 複式簿記での記帳
- e-Tax申告 かつ 電子帳簿保存
- 電帳法対応が条件に加わる
今すぐやるべきこと
電帳法対応を2026年中に完了
- 優良電子帳簿設定を有効化
- 届出書を税務署に提出
- freee/MFの証憑管理を運用開始
令和8年(2026年)税制改正により、2027年分申告から青色申告の最大控除額が65万円→75万円に拡大されます。この75万円控除を受けるためには、優良な電子帳簿での保存が必須要件の一つです。
75万円控除の適用条件
- 条件①:e-Taxによる電子申告
- 条件②:優良な電子帳簿(訂正・削除履歴が自動記録されるシステム)での保存
2026年中に完了すべき対応(推奨)
freee・マネーフォワード・弥生会計オンラインはいずれも設定メニューから有効化できます。
「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の届出書」を管轄の税務署に提出します。e-Taxでも提出可能です。
PDF請求書はソフトの証憑機能に即日アップロードする習慣を作ります。確定申告まで継続することで75万円控除の準備が整います。
freee・マネーフォワード・弥生会計オンラインはいずれも優良電子帳簿要件を満たしており、設定有効化と届出書提出で75万円控除の準備が整います。






よくある質問(FAQ)
- メールで受け取ったPDF請求書は印刷して紙保存でいいですか?
- いいえ、2024年1月以降は認められません。電子的に受け取った請求書は電子データのまま保存が義務です。PDFをそのまま保存し、改ざん防止措置と検索機能を確保してください。
- Amazonで購入した際の領収書も電子保存が必要ですか?
- はい、ECサイトからダウンロードした領収書やメールの注文確認書も電子取引データです。PDFダウンロードまたはスクリーンショットで保存してください。ビジネス用の購入は経費計上の証拠として適切な保存が必要です。
- 事務処理規程は必ず作成する必要がありますか?
- クラウド会計ソフトの証憑管理機能を利用している場合は不要なケースが多いです(ソフト自体が改ざん防止要件を満たすため)。それ以外の方法で保存する場合は、事務処理規程の備え付けが最も手軽な改ざん防止措置となります。
- 電子帳簿保存法とインボイス制度の関係は?
- 両制度は密接に関連しています。電子的に受領したインボイス(適格請求書)は電子帳簿保存法に基づいて電子データのまま保存する必要があります。クラウド会計ソフトを導入すれば、両方の法律に効率的に対応できるため、まだ導入していない方は検討をおすすめします。
- 青色申告75万円控除のための電帳法設定は2026年中にしなければなりませんか?
- 2027年分申告(2028年3月期限)に間に合わせるためには2026年12月31日までの設定完了が推奨です。ただし届出書は適用年分の申告期限前であれば有効です。早めに対応しておくことをおすすめします。
- インボイスのPDF保存と電子帳簿保存法は別の対応が必要ですか?
- インボイス(電子取引)はそのままPDFで電子保存することが電子帳簿保存法の要件です。freeeやマネーフォワードにアップロードして仕訳と紐づければ、インボイス保存と電子帳簿保存法の両要件を同時に満たせます。



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