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生命保険に加入していると、年末調整や確定申告で「生命保険料控除」を使って所得税・住民税を軽減できます。しかし「新制度と旧制度で何が違うの?」「会社員は年末調整、個人事業主は確定申告でいいの?」「控除証明書の“証明額”と“申告額”って何が違う?」など、迷いやすいポイントが多い制度でもあります。ポイントは、契約時期(2012年1月1日)で新制度・旧制度が分かれ、区分ごとの計算式に当てはめて控除額を算出したうえで、会社員は年末調整、個人事業主・年末調整で申告し忘れた方は確定申告(還付申告)で申告するという点です。本記事では、生命保険料控除の仕組み・3区分・新旧制度の違い・計算方法に加え、年末調整の保険料控除申告書の書き方や控除証明書の見方まで、会社員・個人事業主どちらにも対応できる形で2026年最新の情報をもとに解説します。
📌 この記事でわかること
対象読者:生命保険に加入している会社員・個人事業主/年末調整・確定申告どちらで申告すべきか知りたい方/読了の目安:約9分
- 生命保険料控除の3区分(一般・介護医療・個人年金)と、新制度・旧制度で異なる控除上限
- 所得税・住民税それぞれの控除額計算式と、実際の計算例
- 年末調整での「給与所得者の保険料控除申告書」の書き方と、控除証明書の「証明額」「申告額」の見分け方
- 個人事業主・年末調整で申告し忘れた方が使う確定申告(還付申告)の手順
ぜいむたん


生命保険料控除とは?対象となる保険契約
生命保険料控除とは、1年間に支払った生命保険料等の一定額を所得から差し引くことができる所得控除の一つです。所得控除を受けることで課税所得が減少し、結果として所得税・住民税の負担が軽減されます(出典:国税庁 No.1140 生命保険料控除)。
控除を受けるには、年末調整(会社員・公務員の場合)または確定申告(個人事業主・フリーランスの場合)での申告が必要です。生命保険会社から10月〜11月頃に届く「生命保険料控除証明書」が必要書類となるため、大切に保管しておきましょう。
控除の対象となる保険契約
- 保険金等の受取人が、契約者本人またはその配偶者、その他の親族であること
- 国内に本店を有する生命保険会社等と締結した保険契約であること(外国生命保険会社等と国内で締結した契約も対象)
- 財形貯蓄保険、保険期間5年未満の貯蓄保険等は対象外
生命保険料控除の3つの区分






生命保険料控除の3つの区分
死亡保険・養老保険・学資保険・終身保険・定期保険・収入保障保険など、生存または死亡に基因して保険金が支払われる契約が対象。
2012年1月1日以降の契約のうち、入院・通院等の給付金を受け取れる医療保険・がん保険・介護保険等が対象。新制度からのみ存在する区分。
個人年金保険料税制適格特約付きの年金契約が対象。払込期間10年以上・年金受取人が契約者または配偶者かつ被保険者と同一等の要件あり。
出典:国税庁 No.1140 生命保険料控除をもとに作成
個人年金保険料控除の対象となるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 年金受取人が契約者またはその配偶者であること
- 年金受取人が被保険者と同一であること
- 保険料の払込期間が10年以上であること
- 確定年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上であること






生命保険料控除には「新制度」と「旧制度」の2つの制度があり、2012年(平成24年)1月1日を境に制度が改正されたため、契約時期によって適用される制度が異なります(出典:国税庁 No.1140 生命保険料控除)。
| 項目 | 旧制度(2011年12月31日以前の契約) | 新制度(2012年1月1日以降の契約) |
|---|---|---|
| 区分 | 一般生命保険料・個人年金保険料の2区分 | 一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3区分 |
| 各区分の所得税控除上限 | 50,000円 | 40,000円 |
| 各区分の住民税控除上限 | 35,000円 | 28,000円 |
| 合計の所得税控除上限 | 100,000円 | 120,000円 |
| 合計の住民税控除上限 | 70,000円 | 70,000円 |
新旧両方の契約がある場合の選び方:同じ区分(例:一般生命保険料)で新旧両方の契約があるときは、(1) 旧制度のみで計算、(2) 新制度のみで計算、(3) 新旧合算で計算、のうち最も有利な方法を選べます。支払保険料の金額によって最適な選択が変わるため、3パターンを比較しましょう。
控除額の計算方法【所得税・住民税】






控除額は、年間の支払保険料の合計額に応じて以下の計算式で求めます。まずは新制度の計算式です。
| 年間支払保険料等 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 20,000円以下(住民税:12,000円以下) | 支払保険料等の全額 | 支払保険料等の全額 |
| 20,001〜40,000円(住民税:12,001〜32,000円) | 支払保険料等×1/2+10,000円 | 支払保険料等×1/2+6,000円 |
| 40,001〜80,000円(住民税:32,001〜56,000円) | 支払保険料等×1/4+20,000円 | 支払保険料等×1/4+14,000円 |
| 80,001円以上(住民税:56,001円以上) | 一律40,000円 | 一律28,000円 |
| 年間支払保険料等 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 25,000円以下(住民税:15,000円以下) | 支払保険料等の全額 | 支払保険料等の全額 |
| 25,001〜50,000円(住民税:15,001〜40,000円) | 支払保険料等×1/2+12,500円 | 支払保険料等×1/2+7,500円 |
| 50,001〜100,000円(住民税:40,001〜70,000円) | 支払保険料等×1/4+25,000円 | 支払保険料等×1/4+17,500円 |
| 100,001円以上(住民税:70,001円以上) | 一律50,000円 | 一律35,000円 |
控除額の計算例






たとえば、新制度で以下のような保険料を支払っている場合を考えてみましょう。
- 一般生命保険料(終身保険):年間96,000円
- 介護医療保険料(医療保険):年間48,000円
- 個人年金保険料:年間120,000円
所得税の控除額は以下のとおりです。
- 一般:80,001円以上なので → 40,000円
- 介護医療:48,000円×1/4+20,000円=32,000円
- 個人年金:80,001円以上なので → 40,000円
- 合計:40,000+32,000+40,000=112,000円
合計上限120,000円以内のため、112,000円がそのまま所得税の生命保険料控除額となります。所得税率が20%の方であれば、控除額×税率=約22,400円の節税効果(例)となります。
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生命保険料控除は区分ごとの計算が煩雑になりがち。マネーフォワード クラウド確定申告なら、控除証明書の内容を入力するだけで新旧制度を自動判定し、控除額を計算してくれます。
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会社員・公務員の方は、毎年10月〜11月に行われる年末調整で「給与所得者の保険料控除申告書」に記入して生命保険料控除を申告します。
生命保険料控除の申告ルートは3つ
会社員・公務員が対象。10月〜11月に「給与所得者の保険料控除申告書」を勤務先に提出します。
個人事業主・フリーランス・副業がある方が対象。2月16日〜3月15日に確定申告書を提出します。
年末調整で申告し忘れた会社員が対象。翌年1月1日から5年間いつでも提出可能です。
出典:国税庁 No.1140/No.2030をもとに作成
10月〜11月頃に加入している生命保険会社から「生命保険料控除証明書」が届きます。複数の保険に加入している場合はすべて保管しておきます。
控除証明書を見ながら、保険会社名・保険の種類・契約者名・受取人名を記入します。「新・旧の区分」を証明書で確認し、正確にチェックしましょう。
「あなたが本年中に支払った保険料等の金額」欄には、証明書に記載された「申告額」(年末までの支払見込額)を記入します。「証明額」との違いは後述します。
前述の計算式に当てはめて各区分の控除額を算出し、区分ごとの合計額、さらに新旧制度をあわせた全体の合計額を記入します。
記入した申告書と控除証明書を勤務先の担当部署に提出します。マイナポータル連携に対応した企業では、電子的控除証明書での提出も可能です。
年末調整で申告し忘れた場合は、翌年の確定申告(還付申告)で控除を受けることができます。還付申告は確定申告期間(2月16日〜3月15日)に関係なく、申告する年の翌年1月1日から5年間いつでも提出可能です(出典:国税庁 No.2030 還付申告)。


控除証明書の見方と確認ポイント






控除証明書で確認すべき3つのポイント
「一般」「介護医療」「個人年金」のどの区分に該当するかを確認します。
「新生命保険料」「旧生命保険料」等の表記で契約時期の区分を確認します。
「証明額」は証明書発行時点の支払実績、「申告額」は年末までの支払見込額。申告書には「申告額」を記入します。
出典:各保険会社の生命保険料控除証明書の記載様式・国税庁 No.1140をもとに作成
控除証明書を紛失した場合は、保険会社に連絡すれば再発行が可能です。多くの保険会社はWebサイトのマイページやコールセンターから手続きできます。年末調整・確定申告の直前は混雑するため、早めの手続きをおすすめします。また、2020年以降はマイナポータル連携を通じて電子的控除証明書を取得できる保険会社も増えています。
確定申告での生命保険料控除の申告手順






個人事業主・フリーランスの方や、年末調整で申告できなかった会社員の方は、確定申告で生命保険料控除を申告します。必要書類は、生命保険料控除証明書、確定申告書(第一表・第二表)、マイナンバーカードまたは通知カード、本人確認書類です。
保険会社名、保険の種類、新制度・旧制度の区分、年間支払保険料額(申告額)を確認します。
前述の計算式に当てはめて、各区分の控除額を算出します。
第一表の「生命保険料控除」欄に控除額を記入し、第二表の「生命保険料控除」欄に保険会社名・保険の種類・支払保険料額等の明細を記入します。
確定申告書に控除証明書を添付して提出します。e-Taxの場合は添付を省略できますが、5年間の保管義務があります。
freee・マネーフォワードでの入力方法






クラウド会計ソフトを使えば、生命保険料控除の計算と申告書への反映が簡単に行えます。
- freee会計:「確定申告」メニューの「所得控除」セクションで生命保険料控除を選択し、控除証明書の内容(新旧区分・保険の種類・支払保険料額)を入力すると控除額が自動計算されます。控除証明書の画像をアップロードして読み取らせる機能もあります。
- マネーフォワード クラウド確定申告:「決算・申告」メニューの「所得から差し引かれる金額」セクションで、保険の区分(一般・介護医療・個人年金)を選ぶだけで適切な計算式が自動適用されます。






| 課税所得金額の目安 | 所得税率 | 所得税の節税額(例:控除額112,000円) |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 約5,600円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 約11,200円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 約22,400円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 約25,760円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 約36,960円 |
| 項目 | 年末調整(会社員・公務員) | 確定申告(個人事業主・還付申告) |
|---|---|---|
| 時期 | 10月〜12月 | 2月16日〜3月15日(還付申告は翌年1月1日から5年間) |
| 提出書類 | 給与所得者の保険料控除申告書 | 確定申告書(第一表・第二表) |
| 控除証明書 | 勤務先に提出 | 税務署に提出(e-Taxは添付省略可・5年間保管) |
| 申告し忘れた場合 | 翌年の確定申告(還付申告)で申告可 | — |
生命保険料控除で注意すべきポイント・よくある間違い






1. 「証明額」と「申告額」を取り違える
控除証明書に記載された「証明額」(発行時点の支払実績)を記入してしまうケースが多く見られます。年末調整・確定申告いずれも12月末までの支払見込額である「申告額」を記入しましょう。
2. 新制度・旧制度の区分を間違える
新制度と旧制度では計算式・控除上限が異なります。控除証明書に記載された区分を正確に転記してください。間違えると控除額の計算が狂います。
3. 配偶者名義の保険料の扱いを誤る
保険料は「実際に支払っている人」が控除を受けられます。たとえば妻名義の保険でも、夫が保険料を支払っていれば夫の控除対象です。ただし、受取人が契約者本人・配偶者・その他親族であることが条件です。
4. 控除証明書を紛失して控除を諦める
控除証明書を紛失しても、保険会社に連絡すれば再発行が可能です。マイナポータル連携に対応している保険会社であれば、電子データとして再取得することもできます。
5. 契約の見直し・上限超過分の計算ミス
旧制度の契約を見直し・転換すると、新制度の適用に切り替わります。旧制度の方が1区分あたりの控除上限が高い(所得税50,000円 vs 40,000円)ため、控除額が減少する可能性があります。また、各区分の上限額を超えた支払保険料分は控除額の計算に反映されません。
よくある質問(FAQ)
- 生命保険料控除は確定申告と年末調整のどちらで申告すべきですか?
- 会社員・公務員の方は年末調整で申告するのが最も簡単です。年末調整で申告し忘れた場合や、個人事業主・フリーランスの方は確定申告(還付申告)で申告してください。年末調整で申告済みの控除を、確定申告で再度申告する必要はありません。
- 控除証明書の「証明額」と「申告額」はどちらを記入すればいいですか?
- 申告書には「申告額」(12月末までの支払見込額)を記入します。「証明額」は証明書発行時点までの支払実績であり、申告額とは異なるため取り違えに注意してください。
- 新制度と旧制度の両方の保険がある場合、どう計算しますか?
- 同じ区分(例:一般生命保険料)で新旧両方の契約がある場合、(1) 旧制度のみで計算(上限50,000円)、(2) 新制度のみで計算(上限40,000円)、(3) 新旧合算で計算(上限40,000円)のうち、最も有利なものを選べます。
- 生命保険料控除証明書が届かない場合はどうすればいいですか?
- 通常10月〜11月に届きますが、届かない場合は契約している生命保険会社に直接お問い合わせください。Webサイトのマイページやコールセンターから再発行を依頼できるほか、マイナポータル連携に対応していれば電子的控除証明書の取得も可能です。
- 途中で解約した保険の保険料は控除対象になりますか?
- はい、年の途中で解約した場合でも、解約までに支払った保険料は控除の対象となります。解約返戻金は控除額の計算には影響しませんが、一時所得として課税される場合があります。
- 年末調整で申告し忘れた場合、いつまで還付申告できますか?
- 還付申告は、申告する年の翌年1月1日から5年間、確定申告期間(2月16日〜3月15日)に関係なくいつでも提出できます。
まとめ|生命保険料控除は「区分の把握」と「申告額の正確な転記」がカギ
生命保険料控除は、契約時期による新旧制度の違いと3つの区分を正しく把握し、控除証明書の「申告額」を正確に転記することが節税のポイントです。最後に要点を整理します。
「一般」「介護医療」「個人年金」の区分、「新」「旧」の区分を確認します。
「証明額」ではなく「申告額」を使い、新旧それぞれの計算式に当てはめます。
年末調整で申告し忘れた場合も、翌年から5年間の還付申告で取り戻せます。



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