※本記事にはアフィリエイトリンク(A8.net経由)が含まれます。
この記事の読了時間の目安:約7分(自動計算ツールつき)
「住宅ローン控除とふるさと納税は併用できます」で説明が終わっている記事は多いのですが、実務で損得が分かれるのはその先です。よくある誤解から先に潰しておきます。ふるさと納税の特例控除の20%枠は、住宅ローン控除では狭まりません。20%枠の判定に使う所得割額は調整控除を引いたあとの金額で、住宅ローン控除を引く前だからです。
実際に損失が出るのは逆方向です。ふるさと納税を確定申告で処理すると、所得税の寄附金控除で課税総所得金額等が減り、①住宅ローン控除が所得税で使い切れず住民税へ押し出され、②その住民税側の控除限度額(課税総所得金額等×5%)まで一緒に下がります。この二つが重なった分だけ住宅ローン控除が切り捨てられる。これが本当の控除ロスであり、ワンストップ特例なら起きません。総務省・国税庁の一次資料をもとに仕組みを数字で分解し、ワンストップと確定申告でいくら差が出るかを自動判定するシミュレーターを用意しました。
📌 この記事でわかること
- ふるさと納税の20%枠は住宅ローン控除では狭まらない(よくある誤解の否定)
- 確定申告を選ぶと住宅ローン控除が切り捨てられる仕組み(課税総所得金額等の圧縮→住民税限度額の縮小)
- 住民税から控除できる住宅ローン控除の上限(課税総所得金額等の5%・最高97,500円が原則。令和8年入居も据え置き)
- ワンストップと確定申告の切り捨て額を並べて比較する自動計算シミュレーター
- 住宅ローン控除1年目にワンストップ特例が無効になる事故パターンの回避策
- 個人事業主が2年目以降もワンストップ特例を使えない理由
ぜいむたん


住宅ローン控除とふるさと納税を併用すると何が起きるか|「控除ロス」の正体
控除ロスの正体は「所得税の課税総所得金額等が減ること」です。ふるさと納税を確定申告で処理すると、所得税では所得控除(寄附金控除)として働くため課税総所得金額等が圧縮されます。すると所得税額が下がって住宅ローン控除を所得税で吸収しきれなくなり、しかも住民税へ回せる限度額(課税総所得金額等×5%)も同時に下がります。押し出された額が下がった限度額を超えると、その超過分が切り捨てられます。


それぞれの制度は本来「別の税金」から控除される
住宅ローン控除は所得税から税額控除され、引ききれない分が住民税の所得割から控除されます。一方ふるさと納税は、所得税では所得控除、住民税では税額控除という別々の効き方をします。効き方が違うため、両者は同じ枠を奪い合っているわけではありません。つながっているのは「所得税の課税総所得金額等」という共通の土台のほうです。
住宅ローン控除そのものの制度概要・控除率・確定申告の必要書類については【2026年版】住宅ローン控除の仕組みと確定申告の方法|控除額・条件・必要書類で詳しく解説しています。本記事では制度の基礎は繰り返さず、ふるさと納税と併用したときに何が起きるかに絞って解説します。
なぜ切り捨てが起きるのか|住宅ローン控除の住民税控除限度額
住宅ローン控除が住民税から控除できる金額の上限は、原則「所得税の課税総所得金額等の5%・最高97,500円」です。注目すべきは、この上限が課税総所得金額等に連動して動く点です。ふるさと納税を確定申告で処理して課税総所得金額等が下がると、上限も比例して下がります。押し出される額が増えるのに受け皿が縮むので、切り捨てはここで生まれます。








97,500円区分と136,500円区分の切り分け
この上限は居住開始時期によって区分が分かれており、総務省「所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方へ」に制度の枠組みが示されています。
| 居住開始時期 | 控除限度額 | 備考 |
|---|---|---|
| 平成21年〜令和12年12月31日(原則) | 課税総所得金額等×5%(97,500円を限度) | 総務省の原文どおり、この期間に居住した方の原則区分 |
| 平成26年〜令和3年12月31日で「特定取得」等に当たる場合 | 課税総所得金額等×7%(136,500円を限度) | 消費税率8%・10%で取得した住宅(特定取得・特別特定取得)に限った例外区分 |
| 令和8年1月〜令和12年12月(現行・延長後) ※独立した区分ではなく、1行目の原則区分に含まれます |
課税総所得金額等×5%(97,500円を限度) | 令和8年度税制改正の大綱の概要(財務省)で適用期限が5年延長。住民税の限度額は5%・97,500円のまま据え置き |
つまり、これから住宅ローンを組んで入居する方の大半は97,500円が上限です。一方でふるさと納税の特例控除の20%枠は、土岐市「寄附金控除の上限額の計算」が「所得割額は調整控除額を差し引いた金額。調整控除以外の税額控除がある場合は当該控除を差し引く前の金額」と明記しているとおり、住宅ローン控除を引く前の所得割額で判定します。住宅ローン控除がどれだけ住民税を消しても、20%枠の分母は動きません。ふるさと納税そのものの上限額の計算方法は【2026年版】ふるさと納税の上限額計算と活用術で解説しています。
【自動計算】控除ロス判定シミュレーター|ワンストップと確定申告でいくら違うか
課税総所得金額等・住宅ローンの年末残高・ふるさと納税の寄附額を入れると、ワンストップ特例と確定申告それぞれで住宅ローン控除がいくら切り捨てられるかを計算し、その差額を「控除ロス」として表示します。住宅ローン控除の申告年目も選べるので、1年目のワンストップ特例無効もここで確認できます。






※広告(アフィリエイトリンクを含みます)
住宅ローン控除1年目の確定申告、ふるさと納税の記載漏れにご注意を
ワンストップ特例の申請をしていても、住宅ローン控除の確定申告をすれば無効になります。マネーフォワード クラウド確定申告なら、住宅ローン控除と寄附金控除を同じ画面で入力でき、記載漏れを抑えられます。
マネーフォワード クラウド確定申告を見る →シミュレーターの使い方と結果の読み方
源泉徴収票や確定申告書の「課税総所得金額」欄、住宅ローンの年末残高証明書の金額を使います。
年間の寄附合計額と、ワンストップ特例/確定申告のどちらを予定しているかを選びます。
ワンストップ列と確定申告列の「切り捨て額」を見比べ、差額=控除ロスと、1年目×ワンストップの警告表示を確認します。
初期値(課税総所得金額等500万円・年末残高3,500万円・寄附額15万円)で試すと、控除可能額245,000円を所得税額572,500円が全額吸収するため、ワンストップ・確定申告のどちらでも切り捨ては0円、控除ロスも0円です。所得税額が大きい人ほど、この問題は起きにくくなります。ただし高所得でも、借入残高が大きく課税総所得金額等が一時的に下がった年には起こりえます。
差が出るのは、所得税額が小さいのに残高が大きい人です。課税総所得金額等を200万円に下げるだけで結果が反転します。ワンストップなら所得税額102,500円が控除可能額245,000円のうち一部を吸収し、押し出される142,500円に対して限度額97,500円で切り捨ては45,000円。確定申告にすると課税総所得金額等が1,852,000円まで下がり、所得税額92,600円・押し出し152,400円に対して限度額も92,600円へ縮むため、切り捨ては59,800円。差額14,800円が確定申告を選んだことによる控除ロスです。年末残高4,000万円・寄附20万円・課税総所得金額等250万円ならロスは19,800円まで広がります。
ワンストップ特例と確定申告、どちらが控除ロスを避けやすいか
どちらも選べるなら、金額の面ではワンストップ特例が有利です。ワンストップ特例では所得税の寄附金控除が発生せず、課税総所得金額等が減りません。したがって住宅ローン控除が所得税で吸収される額も、住民税の控除限度額(課税総所得金額等×5%)も、どちらも目減りしません。上の試算で確定申告側だけ切り捨てが増えたのは、この2つが同時に起きるからです。手続きミスのリスクだけの違いではありません。






確定申告が必要な年は、ワンストップ特例を選ぶ余地がない
ワンストップ特例制度は、そもそも「確定申告や住民税申告が不要な給与所得者等」にしか使えません。国税庁 No.1155のとおり、確定申告をする人は最初からワンストップ特例の対象外です。住宅ローン控除で確定申告が必要な年は、この時点で選択肢が確定申告一択になります。手続きの詳細はふるさと納税の確定申告のやり方【ワンストップ特例との違いも解説】2026年版で解説しています。
最大の事故パターン|住宅ローン控除1年目にワンストップ特例が無効になる
住宅ローン控除の適用を初めて受ける年は、給与所得者であっても確定申告が必須です。この年にワンストップ特例を申請していても、住宅ローン控除の確定申告書を提出した時点で無効になります。






なぜこの事故が起きやすいのか
ワンストップ特例は「申請すれば自動的に控除される」という安心感が強い制度です。そのため、ワンストップ特例の申請書はすでに出したから大丈夫だろうと考えてしまうのが典型的な失敗パターンです。ワンストップ特例の申請書を提出したという事実は、確定申告の要否には一切影響しません。
事故を防ぐための確認手順
確認すべき順序は次のとおりです。
初めて住宅ローン控除の適用を受ける年は、確定申告が必須であることを前提に動きます。
確定申告書の「寄附金控除」欄に、ワンストップ特例を申請した分も含めて記載します。
ワンストップ特例用に使ったものも含め、寄附先すべての証明書が必要です。紛失している場合は再発行を早めに依頼します。
個人事業主は要注意|2年目以降もワンストップ特例が使えない
個人事業主は毎年確定申告をするため、住宅ローン控除の2年目以降であっても、そもそもワンストップ特例を使う選択肢がありません。会社員は2年目以降、年末調整で住宅ローン控除が完結しワンストップ特例を選び直せますが、個人事業主にはその切り替えがない点が構造的に違います。






個人事業主が控除ロスを避けるためにできること
個人事業主はワンストップ特例で回避する手段がないため、寄附額そのものを調整するのが実務的な対策になります。寄附額が大きいほど課税総所得金額等の圧縮幅が広がり、住宅ローン控除の切り捨てが増えるからです。所得が少ない年ほど影響が大きいので、青色申告特別控除や専従者給与を差し引いたあとの課税総所得金額等でシミュレーターを回し、切り捨てが出ない寄附額の水準を確かめてから寄附するのが安全です。
控除ロスを避けるための実務チェックポイント
控除ロスを完全にゼロにするのは難しくても、事前把握で「知らないうちに損をしていた」状態は避けられます。
| 状況 | 控除ロスのリスク | 考え方 |
|---|---|---|
| 住宅ローン残高が大きく所得税額が小さい | 高い | 住民税への押し出し額が限度額を超えやすく、確定申告で課税総所得金額等が減ると切り捨てが拡大する。 |
| 住宅ローン控除1年目 | 大(確定申告が必須のため、切り捨てが起きる側の計算になる) | ワンストップ特例は使えない前提で、確定申告書への記載を徹底する。 |
| 個人事業主 | 継続的 | 毎年確定申告のため、切り捨てが出ない寄附額の水準を毎年見直す。 |
| 退職金・株式譲渡益・不動産売却があった年 | 個別に確認が必要 | 臨時所得で住民税所得割が変動するため、住宅ローン控除との関係も含め個別試算が安全です。 |
監査法人・税理士法人での実務経験から言うと、住宅取得直後の年はふるさと納税の上限額を「去年と同じ感覚」で決めてしまう方が少なくありません。
※広告(アフィリエイトリンクを含みます)
毎年確定申告する個人事業主こそ、課税総所得金額等を早めに固めたい
寄附額を決めるには、その年の課税総所得金額等の見通しが要ります。マネーフォワード クラウド会計なら日々の記帳から所得の着地見込みを把握でき、年末の寄附額を決める前に試算できます。
マネーフォワード クラウド会計を見る →よくある質問(FAQ)
- 住宅ローン控除とふるさと納税は本当に併用できますか?
- はい、併用できます。よくある誤解と異なり、ふるさと納税の特例控除の20%枠は住宅ローン控除では狭まりません(判定に使う所得割額は住宅ローン控除を引く前の金額です)。注意すべきは逆方向で、ふるさと納税を確定申告で処理すると所得税の課税総所得金額等が減り、住宅ローン控除が住民税へ押し出される一方でその限度額(課税総所得金額等×5%)も下がるため、超過分が切り捨てられることがあります。
- 住民税から控除できる住宅ローン控除の上限はいくらですか?
- 原則として所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円を限度)です。総務省の資料では平成21年から令和12年12月31日までに居住した方がこの原則区分とされ、令和8年度税制改正で適用期限が延長された後も限度額は据え置かれています。平成26年から令和3年12月31日に居住し、その住宅の取得等が特定取得等に当たる方は、7%(136,500円を限度)の区分が適用される場合があります。
- ワンストップ特例を申請していれば、確定申告をしても控除は自動的に受けられますか?
- いいえ。確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は自動的に無効になります。ワンストップ特例を申請した分も含めて、寄附金控除を確定申告書に記載し、寄附金受領証明書を添付しないと控除を受けられません。
- 個人事業主は住宅ローン控除とふるさと納税を併用するとき何に気をつけるべきですか?
- 個人事業主は毎年確定申告をするため、住宅ローン控除の年目にかかわらずワンストップ特例を使えません。確定申告では寄附額が大きいほど課税総所得金額等が圧縮され、住宅ローン控除の住民税限度額も下がります。切り捨てが出ない寄附額の水準を毎年試算してから寄附するのが安全です。
- 控除ロスが出た場合、あとから取り戻す方法はありますか?
- 住民税の控除限度額を超えて切り捨てられた部分そのものは、後から取り戻すことは難しいと考えられます。ただし、寄附金控除の記載漏れなど申告内容の誤りが原因であれば、原則として法定申告期限から5年以内の更正の請求で是正できる余地があります。まずは申告内容に誤りがないかを確認し、判断に迷う場合は税理士等の専門家にご相談ください。
まとめ|控除ロスを避けるための4ステップ
初年度なら確定申告が必須で、ワンストップ特例は選べません。この前提を最初に確定させます。
現在の入居であれば原則97,500円(課税総所得金額等の5%)です。ご自身の居住開始時期に応じた区分を確認してください。
課税総所得金額等・住宅ローン残高・寄附額を入力し、控除しきれない金額があるかを確認します。
ワンストップ特例を申請していても、確定申告をする年は寄附金控除の記載と証明書の添付を忘れずに行います。



あわせて読みたい
イザークコンサルティング
記事執筆代行・Web/LP制作
公認会計士試験合格者が、専門性とSEOを両立した記事制作と、WordPress×SWELLのWeb/LP制作までワンストップで対応します。
▶ 記事執筆代行を見る
▶ Web・LP制作を見る


コメント