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年末調整が終わってひと息つく間もなく、1月31日には法定調書合計表の提出期限がやってきます。難しいのは合計表そのものではなく、その手前にある「誰の分の支払調書を出すのか」の判定です。ここを外すと合計表の人員・枚数・金額がすべてずれます。
この記事では、支払先の区分と年間支払額を選ぶだけで提出要否がわかる判定ツールを記事内に用意しました(枚数の自動集計までできるExcel版も無料で配布しています)。さらに、令和9年1月1日以後の提出分から始まるe-Tax等による提出義務の「30枚以上」への引下げまで、国税庁の一次情報をもとに整理します。
📌 この記事でわかること
- 主な法定調書6種類と、それぞれの提出範囲(500万円・5万円・15万円・100万円などの金額基準)
- 支払先を選ぶだけの提出要否 判定ツール(記事内で動く/Excel版も無料配布)——出すべき調書の種類と、種類別の提出枚数まで自動集計
- 給与所得の源泉徴収票を税務署に出す人・出さない人の線引き(役員150万円超/その他500万円超)
- 源泉徴収していない相手でも支払調書が必要になるケース
- 法定調書合計表の記載手順と、年末調整の結果との突合ポイント
- 令和9年1月1日以後の提出分からe-Tax等の義務基準が100枚以上→30枚以上へ引き下がる改正と、その「基準年」の数え方
ぜいむたん


法定調書とは?提出義務者と1月31日の提出期限
法定調書とは、所得税法などの規定により税務署への提出が義務づけられている資料をいい、支払の確定した日の属する年の翌年1月31日までに提出します。提出先は、支払事務を取り扱う事務所・事業所等の所在地を所轄する税務署です(国税庁タックスアンサー No.7400「法定調書の提出義務者」)。
実務で扱う機会が多いのは、次の6種類です。
| 法定調書の種類 | 税務署への提出範囲(同一人に対するその年中の支払金額) | 根拠 |
|---|---|---|
| 給与所得の源泉徴収票 | 年末調整済みで役員150万円超/弁護士・税理士等250万円超/その他500万円超 ほか | No.7411 |
| 退職所得の源泉徴収票 | 受給者が法人の役員である場合(相談役・顧問等を含む) | No.7421 |
| 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 | 原則5万円超(外交員・ホステス・広告宣伝の賞金・診療報酬は50万円超、馬主は1回75万円超) | No.7431 |
| 不動産の使用料等の支払調書 | 15万円超(法人への支払は権利金・更新料等が対象。家賃のみは対象外) | No.7441 |
| 不動産等の譲受けの対価の支払調書 | 100万円超 | No.7442 |
| 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 | 15万円超 | No.7443 |
不動産関係の3種類は提出義務者が限られる
不動産関係の3種類(使用料・譲受けの対価・あっせん手数料)は、提出義務者が法人と不動産業を営む個人に限られます。ただし不動産業の個人でも、主として建物の賃貸借の代理・仲介を目的とする事業を営んでいる人は提出義務がありません(No.7441・No.7442)。






【判定チェックシート】提出する調書と枚数をその場で数える
法定調書の実務は「支払先を1件ずつ判定し、要提出のものを数える」作業に尽きます。まずは下の判定ツールで、支払先ごとの提出要否を確認してください。区分を選んで金額を入れるだけで、出すべき調書の種類まで表示されます。支払先が多い場合は、その下のExcelシートで一覧管理と枚数の自動集計ができます。
提出要否 判定ツール
支払先を選んで金額を入れると、出すべき調書がわかる
国税庁タックスアンサー No.7411・7421・7431・7441・7442・7443 の提出範囲に基づく判定です。税務署への提出範囲の判定であり、本人への交付・市区町村への給与支払報告書の提出は別に必要です。
数えた枚数はe-Tax等の提出義務判定にもそのまま使える
Excelシートが自動集計する種類別の枚数は、そのまま合計表の「提出枚数」欄に使えるだけでなく、後述するe-Tax等による提出義務の判定にも直結します。会計事務所では、この一覧を毎年同じ形式で残しておくと翌年の判定が一気に楽になります。
POINT 1
合計表は全員分、調書は一部だけ
合計表には支払った全員分の人員・支払金額を書きます。税務署に出す源泉徴収票・支払調書だけが金額基準で絞られます。
POINT 2
本人交付と税務署提出は別
源泉徴収票は金額にかかわらず本人へ交付します。500万円以下だから作らない、ではありません。
POINT 3
給与支払報告書は全員分を市区町村へ
税務署への提出範囲とは別に、市区町村へは原則として全従業員分を1月31日までに提出します。






合計表の「源泉徴収票を提出するもの」の条件|役員150万円超・その他500万円超
給与所得の源泉徴収票を税務署に提出するかどうかは、年末調整をしたかどうかと支払金額で決まります。国税庁タックスアンサー No.7411で示されている範囲は次のとおりです。
| 区分 | 対象者 | 支払金額の基準 |
|---|---|---|
| 年末調整をしたもの | 法人の役員 | 150万円超 |
| 弁護士・司法書士・税理士等 | 250万円超 | |
| 上記以外の給与所得者 | 500万円超 | |
| 年末調整をしなかったもの | 退職者・災害被害者など | 250万円超(役員は50万円超) |
| 主たる給与が2,000万円超で年末調整をしなかった人 | 全員 | |
| 扶養控除等申告書の提出がない人(乙欄・丙欄適用) | 50万円超 |
役員は150万円超——小規模法人ほど漏れやすい
役員の基準が150万円と低く設定されているのが実務上のポイントです。小規模法人で役員報酬を月15万円に設定していると年180万円となり、この基準を超えます。「うちは社長ひとりだから提出不要」と思い込んでいる法人ほど漏れやすいので、まず役員から確認するのが確実です。
退職所得の源泉徴収票は「法人の役員」の分だけ提出
なお、退職所得の源泉徴収票については、税務署への提出が必要なのは受給者が法人の役員である場合です(No.7421)。一般従業員の退職金については本人交付は必要ですが、税務署への提出は求められません。
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年末調整から法定調書まで、同じデータでつなぐ
法定調書の判定に必要なのは、支払先ごとの年間支払額という「集計済みのデータ」です。マネーフォワード クラウド会計なら取引先別の集計をそのまま出力でき、年末調整の結果と突き合わせる作業を紙の台帳から解放できます。
マネーフォワード クラウド会計を見る →支払調書は5万円以下なら提出不要?報酬・料金の提出範囲
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、同一人に対するその年中の支払金額の合計が原則5万円を超える場合に提出します。弁護士・税理士・原稿料・デザイン料などが代表例です(No.7431)。
| 支払の種類 | 提出範囲 |
|---|---|
| 弁護士・税理士・作家・デザイナー等への報酬(原則) | 年間5万円超 |
| プロ野球選手などの報酬・契約金 | 年間5万円超 |
| 外交員・集金人・ホステス等の報酬 | 年間50万円超 |
| 広告宣伝のための賞金 | 年間50万円超 |
| 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 | 年間50万円超 |
| 馬主に支払う競馬の賞金 | 1回の支払賞金額が75万円超の者について、その年中の全支払金額 |
判定金額に消費税を含めるか——区分されていれば税抜で可
判定金額には原則として消費税額を含めますが、請求書等で消費税額が明確に区分されている場合は、その額を含めずに判定しても差し支えないとされています。5万円ちょうどの支払は「超」に当たらないため対象外、というきわどい判定も実務では出てきます。






不動産の使用料等の支払調書|法人への家賃は原則対象外
不動産の使用料等の支払調書は、同一人に対するその年中の支払金額の合計が15万円を超える場合に提出します。提出義務者は法人と不動産業を営む個人です(No.7441)。
法人オーナーへの家賃だけなら提出不要
見落としやすいのが、支払先が法人の場合は権利金・更新料等のみが対象で、家賃・賃借料だけの支払なら提出不要という点です。つまり、オフィスを法人オーナーから借りているだけなら調書はいらず、個人オーナーから借りていれば年15万円超で必要になります。
個人オーナーへ家賃
年15万円超なら提出必要。社宅・駐車場・看板の設置料も使用料に含まれます。
法人オーナーへ家賃
家賃のみなら提出不要。権利金・更新料等を払った年は15万円超で必要になります。
不動産の購入・仲介
譲受けの対価は100万円超、あっせん手数料は15万円超で提出対象です(No.7442・7443)。
法定調書合計表の書き方|様式のダウンロード先と年末調整との突合手順
合計表は「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の1枚に、6種類の調書の集計を区分ごとに書き込む様式です。記載の順番を決めておくと、毎年迷わずに済みます。
「人員」には給与を支払った全員、「支払金額」「源泉徴収税額」には年間の総額を記載します。そのうち税務署へ源泉徴収票を提出する人数・金額を内書きの欄に記載します。
給与欄の支払金額・源泉徴収税額は、年末調整の集計表および源泉所得税の納付額の年間合計と一致するはずです。ずれた場合は納期の特例や年末調整の再計算の反映漏れを疑います。
Excelシートが集計した種類別の枚数をそのまま提出枚数に転記します。人員・支払金額は提出対象外の分も含めて集計する欄がある点に注意します。
e-Tax・光ディスク等・書面のいずれか。次章の枚数基準に該当する場合は書面を選べません。
合計表の様式そのものは国税庁の法定調書(源泉徴収票・支払調書)のページから入手できます。手引きには記載例が載っているので、初めて作成する年は手引きの記載例と並べながら埋めるのが確実です。






法定調書の電子申告義務化|令和9年1月提出分から「30枚以上」へ引下げ
法定調書の種類ごとに、基準年(前々年)に提出すべきであった枚数が100枚以上である場合、その法定調書はe-Tax・光ディスク等・国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等で提出しなければなりません。この基準が、令和9年1月1日以後に提出する分から30枚以上に引き下げられます(国税庁タックスアンサー No.7455・所法228の4ほか)。
| 提出する年 | 枚数基準 | 数える対象(基準年=前々年) |
|---|---|---|
| 令和8年1月〜令和8年12月に提出 | 100枚以上 | 令和6年に提出すべきであった枚数 |
| 令和9年1月1日以後に提出 | 30枚以上 | 令和7年に提出すべきであった枚数 |
30枚は「法定調書の種類ごと」に数える
ポイントは「法定調書の種類ごと」に数えることです。全体の合計が30枚でも、給与所得の源泉徴収票が25枚・報酬の支払調書が5枚なら、どちらも30枚未満なので義務の対象にはなりません。逆に、従業員30人規模の会社は給与所得の源泉徴収票だけで基準に届く可能性が高く、書面提出を続けられなくなります。
該当する場合は、e-Taxの利用開始届出やマイナンバー(個人番号)の収集・保管体制の準備が必要になります。年明けに慌てないよう、前年のうちに提出枚数を数えておくのが実務的な備えです。






よくある質問(FAQ)
- 提出範囲に入らない従業員の源泉徴収票は作らなくてよいですか?
-
いいえ。税務署への提出範囲と、本人への交付は別の話です。源泉徴収票は支払金額にかかわらず本人へ交付する必要があります。また、市区町村への給与支払報告書は原則として全員分を提出します。税務署に出す枚数だけを作成して終わりにしないよう注意してください。
- 支払調書は支払先に送る義務がありますか?
-
報酬等の支払調書には、給与所得の源泉徴収票のような本人交付義務の規定はありません。実務上は取引先の求めに応じて送付することが多いものの、法律上の義務として発行を求められる書類ではないという整理になります。
- 支払調書は5万円以下なら提出不要ですか?5万円ちょうどはどうなりますか?
-
報酬・料金等の支払調書は「同一人に対するその年中の支払金額の合計が5万円を超えるもの」が提出範囲です。したがって5万円以下は提出不要で、5万円ちょうどは「超」に当たらないため対象外になります。ただし外交員・ホステス等の報酬、広告宣伝のための賞金、診療報酬は50万円超が基準となるなど、支払の種類ごとに基準額が異なる点に注意してください。
- 法定調書合計表の様式はどこでダウンロードできますか?
-
国税庁サイトの「法定調書(源泉徴収票・支払調書)」のページから、合計表の様式と作成の手引き(記載例つき)を入手できます。e-Taxで作成・提出することもでき、提出枚数が基準を超える場合はe-Tax等での提出が義務になります。なお、本記事で配布しているExcelシートは合計表そのものの様式ではなく、提出する調書の要否と枚数を判定・集計するための補助シートです。
- e-Tax等の義務判定は、全部の調書を合計して数えるのですか?
-
いいえ。法定調書の種類ごとに数えます。給与所得の源泉徴収票、報酬の支払調書、不動産の使用料等の支払調書はそれぞれ別に判定します。令和9年1月1日以後の提出分からは、種類ごとに基準年(前々年)の提出枚数が30枚以上であればe-Tax等による提出が必要です。
- 法定調書の提出が遅れた場合はどうなりますか?
-
法定調書は所得税法等で提出が義務づけられた資料であり、正当な理由なく提出しない場合や偽りの記載をした場合には罰則の規定があります。期限を過ぎたことに気づいた時点で、できるだけ早く提出するのが基本的な対応です。個別の事情がある場合は所轄税務署や税理士に相談してください。
- 支払金額は税込・税抜のどちらで判定しますか?
-
原則として消費税および地方消費税の額を含めて判定しますが、請求書等でこれらの額が明確に区分されている場合は、含めないで判定しても差し支えないとされています(報酬・不動産関係の各支払調書)。社内でどちらの基準を採るかを決め、毎年同じ扱いにしておくと集計が安定します。
まとめ|判定シートで数えてから、合計表を書く
給与・報酬・家賃・不動産の購入や仲介に分けて、年間支払額を集計します。
役員150万円超・その他500万円超・報酬5万円超・家賃15万円超が主な分岐点です。
給与欄の支払金額と源泉徴収税額が年間の納付額と整合するか確認します。
令和9年1月1日以後の提出分は、種類ごとに30枚以上でe-Tax等が義務になります。



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