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個人事業主として事業が成長してくると、「そろそろ法人化(法人成り)すべきか」を考えるタイミングが訪れます。法人成りとは、個人事業を廃業して新たに株式会社・合同会社などの法人を設立し、事業を法人として運営し直すことです。節税効果や社会的信用力の向上といったメリットがある一方、社会保険料の負担増や事務コストの増加というデメリットもあり、判断を誤ると「法人化したのに手取りが減った」という事態にもなりかねません。
本記事では、2026年(令和8年)4月に開始した防衛特別法人税や、令和7・8年度税制改正による所得税の基礎控除・給与所得控除の見直しを反映した最新の税率・控除額をもとに、法人成りのメリット・デメリット、最適なタイミングの判断基準、株式会社と合同会社の比較、設立手続きの全ステップ、届出書類、そして「手取りだけを見ると法人化のメリットは限定的」と言われる二重課税の仕組みまで、公認会計士試験合格者の視点で完全ガイドします。
📌 この記事でわかること
対象読者:法人成りを検討している個人事業主・フリーランス/読了の目安:約16分
- 2026年4月開始の防衛特別法人税・現行の所得税率表を反映した、個人と法人の税負担の正確な比較
- 「手取りを増やすだけなら法人化のメリットは限定的」と言われる二重課税の仕組みと、本当に法人化が有利になる3つのケース
- 課税所得800万円超・消費税の課税事業者転換・取引先要求という3つの法人成りタイミングの目安
- 株式会社と合同会社の費用・信頼性・維持コストの比較と、設立5ステップ・届出書類一覧
- 個人事業の廃業手続きと、法人成り後に必要な社会保険・税務署への届出
ぜいむたん


法人成り(法人化)とは?個人事業主との違い






法人成りとは、個人事業主として営んでいた事業を廃業し、株式会社や合同会社などの法人格に切り替えて事業を継続することです。「法人化」とも呼ばれます。個人事業主と法人では、税金の計算方法・社会保険の加入義務・決算のタイミング・事業承継の方法まで多くの点で異なるため、切り替えのタイミングと方法を正しく理解しておく必要があります。
私自身、Big4監査法人・税理士法人での実務では、個人事業主のお客様から「法人化すれば節税になりますよね」という相談を数多く受けてきました。しかし実際に試算してみると、役員報酬を全額もらう前提の単純な法人化では、社会保険料の増加分が節税効果を打ち消してしまうケースも珍しくありません。まずは「なぜ法人化で節税になる場合とならない場合があるのか」という税金の構造から見ていきましょう。
個人事業主と法人:税金の仕組みの違いと「二重課税」の落とし穴






個人事業主の場合、事業で得た利益(事業所得)に直接、所得税・住民税・(該当業種は)個人事業税が課税されます。一方、法人の場合はまず会社の利益に法人税等が課税され、そこから代表者が役員報酬として受け取った金額に、あらためて個人の所得税・住民税が課税されます。会社に利益を残さず全額を役員報酬として受け取る場合、この二段階の課税があるため、「法人税率が低いから単純に得」とは言い切れません。
この仕組みを踏まえたうえで、法人成りの効果が特に大きくなるのは、①個人の所得税率が法人の実効税率を上回る高所得帯、②役員報酬を抑えて利益を会社に内部留保する場合、③家族を役員にして所得を分散する場合、の3パターンです。まずはメリット・デメリットを具体的に見ていきます。
法人成りの7つのメリット






メリット1:所得税と法人税の税率差による節税
個人事業主の所得税は5〜45%の累進課税(住民税約10%を合わせると最大約55%)です。一方、資本金1億円以下の中小法人は、課税所得のうち年800万円以下の部分に軽減税率15%が適用されます(本則は19%、令和9年3月31日までに開始する事業年度が対象)。年800万円を超える部分は本則税率23.2%です(出典:国税庁タックスアンサー No.5759「中小法人の税率の特例」)。個人の課税所得がおおむね700〜800万円を超えるあたりから、法人税率との差が節税メリットとして表れやすくなります。
メリット2:役員報酬による所得分散と給与所得控除
法人を設立すると、自分自身に「役員報酬」として給与を支払う形になります。役員報酬には給与所得控除(収入850万円超で上限195万円、令和8年分の最低保障額は74万円)が適用されるため、同じ手取り額でも個人事業の事業所得だけで受け取るより税負担が軽くなるケースがあります。配偶者や成人した子どもを役員・従業員にして報酬を分散すれば、世帯全体での税負担をさらに抑えられる可能性があります。
メリット3:内部留保による資金蓄積
個人事業主は利益が出るとその年の所得としてすべて課税されますが、法人は必要な分だけ役員報酬として受け取り、残りを会社に内部留保できます。高所得帯では個人の所得税率より法人の実効税率のほうが低いため、事業拡大や設備投資に向けた資金を計画的に貯めやすくなります。
メリット4:社会的信用力の向上
法人は登記情報が公開されており、取引先の開拓・金融機関からの融資審査・人材採用などで個人事業主より有利に働くケースが多いです。上場企業や大手企業との取引では、法人でなければ契約自体を結べない場合もあります。
メリット5:決算月を自由に設定できる
個人事業主の確定申告は1月〜12月で固定ですが、法人は決算月を自由に設定できます。繁忙期を避けた決算月にすれば、決算作業と本業の負荷が重ならずに済みます。
メリット6:消費税の免税期間を再度得られる可能性
基準期間がない新設法人は、設立1期目・2期目は原則として消費税の納税義務が免除されます(出典:国税庁タックスアンサー No.6501「納税義務の免除」)。ただし事業年度開始時点の資本金が1,000万円以上の場合は免除されません。また、インボイス制度のもとで適格請求書発行事業者に登録すると、この免税期間を選択できなくなるため、取引先との関係を踏まえた判断が必要です。個人事業のときにすでに課税事業者・インボイス発行事業者になっている場合は、この免税メリットは実質的に使えない点にも注意してください。
メリット7:赤字の繰越期間・経費計上できる範囲の拡大
個人事業主(青色申告)の赤字は3年間繰り越せますが、法人(青色申告)は最長10年間繰り越せます。また法人では、生命保険料の一部損金算入、出張日当の支給、社宅の経費化、退職金の損金算入など、個人事業主では認められない経費計上が可能になります。
法人成りを検討すべき3つのシグナル
課税所得が700〜800万円を超えた
所得税・住民税の負担率が、中小法人の軽減税率15%を上回り始める水準。
消費税の課税事業者になる直前
個人の課税売上高が1,000万円超の年の翌々年に課税事業者化する直前に法人化すれば、資本金1,000万円未満を条件に再度2年の免税期間を得られる可能性がある。
取引先・雇用・融資の都合
法人でなければ取引できない大口取引先がある、従業員を雇用する、融資を受けたいなど税金以外の事情。
法人成りの5つのデメリット






デメリット1:設立費用がかかる
株式会社は定款認証手数料(資本金額に応じて1.5万〜5万円、日本公証人連合会の手数料令に基づく)+登録免許税(資本金額×0.7%または15万円のいずれか高い方)+実費で約20〜25万円が目安です。合同会社は定款認証が不要で、登録免許税6万円(資本金額×0.7%または6万円のいずれか高い方)+実費で約6〜10万円です。電子定款を利用すれば印紙税4万円は不要になります(出典:日本公証人連合会)。
デメリット2:社会保険の強制加入義務
法人は代表者1人だけの会社であっても、健康保険・厚生年金保険への加入義務があります。国民健康保険・国民年金と比較して、目先の保険料負担が増えるケースが多いです。ただし、厚生年金は将来受け取る年金額が国民年金より多くなり、傷病手当金・出産手当金など個人事業主にはない保障も加わるため、単純な負担増とは言い切れない面もあります。
デメリット3:赤字でも法人住民税均等割が発生
法人は赤字であっても、法人住民税の均等割の納付義務があります。資本金1,000万円以下・従業者数50人以下の標準的な小規模法人であれば、都道府県民税と市区町村民税を合わせて年額7万円程度が最低ラインの目安です(東京23区内のみに事務所がある場合は都民税として一本化されます)。個人事業主なら赤字なら所得税・住民税ゼロですが、法人にはこの固定費が発生します。
デメリット4:防衛特別法人税・地方法人税など申告事務の増加
法人税に加えて、地方法人税(基準法人税額×10.3%)、法人住民税、法人事業税・特別法人事業税の申告が必要になり、個人の確定申告より事務負担が大きく増えます。さらに令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度からは「防衛特別法人税」が新設され、法人税を課されるすべての法人が対象に加わりました(税額がゼロでも申告が必要)。詳しくは後述しますが、多くの小規模な法人成りでは実際の税負担はほぼ生じません。税理士への顧問料(月額2〜5万円程度)の負担も考慮が必要です。
デメリット5:廃業コストが高い
法人の解散・清算には解散登記、清算結了登記、税務申告、官報公告などの手続きと費用が必要です。廃業届1枚(+関連届出)で完了する個人事業主と比べて、事業をやめる際のハードルが高くなります。
個人と法人の税負担を現行税率で比較する






個人事業主の所得税は、課税所得の金額に応じて次の7段階の累進税率で計算されます(出典:国税庁タックスアンサー No.2260「所得税の税率」)。ここに住民税(所得割・標準税率10%)が別途加算されます。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円未満 | 5% | 0円 |
| 195万円以上330万円未満 | 10% | 9.75万円 |
| 330万円以上695万円未満 | 20% | 42.75万円 |
| 695万円以上900万円未満 | 23% | 63.6万円 |
| 900万円以上1,800万円未満 | 33% | 153.6万円 |
| 1,800万円以上4,000万円未満 | 40% | 279.6万円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 479.6万円 |
一方、法人にかかる税金は法人税だけではありません。中小法人(資本金1億円以下)の場合、次の税目が組み合わさります。
| 税目 | 税率の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 法人税(軽減税率) | 15% | 年800万円以下の所得部分。令和9年3月31日までに開始する事業年度が対象 |
| 法人税(本則税率) | 23.2% | 年800万円超の所得部分 |
| 地方法人税 | 10.3% | 基準法人税額(法人税額)に対する税率 |
| 防衛特別法人税(新設) | 4% | (基準法人税額-500万円)×4%。基準法人税額が500万円以下なら課税なし |
| 法人事業税・特別法人事業税 | 所得に応じ段階的 | 自治体・所得区分により税率が異なる |
| 法人住民税(均等割) | 年7万円程度〜 | 資本金1,000万円以下・従業者50人以下の場合の目安。赤字でも発生 |
この表からわかるとおり、法人税等の実効税率は所得800万円以下の部分で概ね21〜25%程度、800万円超の部分で概ね33〜36%程度が一般的な目安です(自治体の超過課税の有無や所得区分により変動するため、正確な数値は税理士に確認してください)。個人の所得税・住民税の合計負担率(表1)と比較すると、課税所得がおおむね700〜800万円を超えるあたりで法人の実効税率のほうが低くなり始めます。
新設の「防衛特別法人税」は法人成りしたばかりの会社に影響するか
防衛特別法人税は、防衛力強化のための財源確保を目的として令和7年度税制改正で創設された制度で、令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から、法人税を課されるすべての法人が納税義務者になります(出典:国税庁e-Tax「防衛特別法人税の創設に関するご案内・留意事項について」)。税額は(基準法人税額-500万円)×4%で計算され、基準法人税額が年500万円以下であれば税額は発生しません。基準法人税額500万円は、軽減税率15%が適用される中小法人であれば課税所得ベースでおおよそ3,000万円超に相当する水準のため、法人成りしたばかりの小規模な会社では通常、実際の納税額は生じないと見込まれます。ただし税額がゼロであっても防衛特別法人税確定申告書の提出自体は必要となる点は、税理士に依頼する場合も含めて認識しておきましょう。
簡易シミュレーション:課税所得別の負担イメージ






以下は、個人事業主の所得税率表(国税庁公表)と、法人の軽減税率・本則税率(国税庁公表)をもとにした簡易的な実効負担率の目安です。個人側は「所得税+住民税10%」を課税所得に対する実効税率として機械的に算出したものです。法人側は法人税・地方法人税・標準的な事業税を合算した実効税率レンジを示しています。実際には青色申告特別控除・社会保険料控除・役員報酬の設定方法・自治体ごとの事業税率などで結果が大きく変わるため、あくまで大づかみの傾向をつかむための試算として捉えてください。
| 課税所得 | 個人(所得税実効率+住民税10%) | 法人実効税率の目安 | 傾向 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 約21% | 約21〜25% | ほぼ互角、個人がやや有利な場合も |
| 800万円 | 約25% | 約23〜27% | 法人がやや有利になり始める |
| 1,200万円 | 約30% | 約28〜33% | 法人が有利 |
| 2,000万円 | 約36% | 約33〜36% | 法人が明確に有利 |
ここで重要なのは、この表は「会社に利益を残した場合」の法人税負担を比較したものであり、会社の利益を役員報酬として全額受け取る場合は、さらに個人の所得税・住民税が上乗せされるという点です(前述の二重課税の仕組み)。単純に手取りを最大化したいだけであれば、役員報酬をすべて受け取る前提の法人化では、社会保険料の増加も相まって、期待したほどの節税効果が出ないケースが多くあります。法人成りの本当の効果は、①内部留保による資金蓄積、②家族への所得分散、③退職金・生命保険料などの追加の経費計上手段、を組み合わせて初めて発揮されると考えておくとよいでしょう。
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法人成りの最適なタイミング|3つの判断基準






基準①:課税所得が700〜800万円を超えたとき
前述のとおり、個人の税負担と法人の実効税率が逆転し始めるのは、一般的に課税所得700〜800万円前後です。この水準を超えたら、法人化による節税を具体的に試算する価値があります。ただし社会保険料の増加分を必ず織り込んで比較する必要があります。
基準②:消費税の課税事業者になる前年
個人事業の課税売上高が1,000万円を超えると、原則としてその2年後から消費税の課税事業者になります。その直前に法人を設立すれば、資本金1,000万円未満などの条件を満たすことで、法人としてあらためて最大2年間の免税期間を得られる可能性があります(前述のとおりインボイス発行事業者に登録している場合はこの限りではありません)。
基準③:事業環境の変化
- 取引先から法人化を求められた場合
- 従業員の雇用を予定している場合
- 金融機関からの融資を受けたい場合
- 事業を長期的に成長させ、内部留保や資産運用に取り組みたい場合
法人成りに適さないケース
- 課税所得がおおむね500万円以下で、当面利益が不安定な場合
- 事業をいつ廃業するかわからない、または短期で終える予定がある場合
- 取引先が個人消費者中心で、法人格による信用メリットが小さい場合
- 利益をすべて生活費に充てており、内部留保の必要性がない場合
- 事務負担・税理士費用の増加を避けたい場合
株式会社 vs 合同会社:どちらを選ぶ?






| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 設立費用の目安 | 約20〜25万円 | 約6〜10万円 |
| 定款認証 | 必要(手数料1.5万〜5万円) | 不要 |
| 登録免許税 | 資本金×0.7%または15万円の高い方 | 資本金×0.7%または6万円の高い方 |
| 知名度・対外的信用 | 高い | 近年は認知度が上昇傾向 |
| 資金調達 | 株式発行による調達が可能 | 持分譲渡には社員(出資者)の同意が必要 |
| 決算公告義務 | あり | なし |
| 役員(取締役)の任期 | 原則最長10年(非公開会社の場合)・再任手続きが必要 | 任期の制限なし |
| 向いている場面 | 将来的な上場・大手取引先との契約を見込む場合 | 設立・維持コストを抑えたい場合、副業・小規模事業 |
法人設立の手続き|全ステップ






法人形態(株式会社か合同会社か)、商号(法務局で同一住所に同一商号がないか確認)、本店所在地(自宅・バーチャルオフィス・レンタルオフィスなど)、事業目的(将来行う可能性のある事業も含めて記載)、資本金(信用面を考慮して100万〜300万円が一般的)、決算月を決めます。決算月は設立月の前月に設定すると、最初の事業年度を最長(最大12か月弱)にでき、消費税の免税期間も長く確保しやすくなります。
定款は会社の基本ルールを定めた書類です。株式会社は公証役場での認証が必要(電子定款であれば印紙税4万円は不要)。合同会社は認証不要です。マネーフォワード クラウド会社設立などのサービスを使えば、書類作成をオンラインで進められます。
発起人の個人口座に資本金を振り込み、通帳のコピー(払込証明書の添付資料)を取得します。
設立登記申請書、定款、資本金の払込証明書、役員の就任承諾書などを提出します。登記完了まで約1〜2週間が目安で、オンライン申請も可能です。登記が完了した日が会社の設立日になります。
税務署・都道府県・市区町村・年金事務所などへ各種届出を行います(詳細は次章)。
法人成り後に必要な届出(4分野)
税務署
法人設立届出書(設立から2か月以内)、青色申告承認申請書(3か月以内が目安)、給与支払事務所等の開設届出書、(役員報酬を定期同額給与にする)定期同額給与の届出関連書類。
都道府県・市区町村
法人設立届出書を提出します(提出期限は自治体により異なります)。
年金事務所
健康保険・厚生年金保険の新規適用届(設立から5日以内が目安)。役員1人の会社でも提出が必要です。
労働基準監督署・ハローワーク
従業員を雇用する場合に、労災保険・雇用保険の関連届出を行います。
役員報酬を経費(損金)として認めてもらうためには、定期同額給与という要件を満たす必要がある点にも注意しましょう。国税庁の定めでは、支給時期が1か月以下の一定期間ごとで各支給時期の金額が同額であること、改定は原則として事業年度開始から3か月以内に行うことなどが条件とされています(出典:国税庁タックスアンサー No.5211「役員に対する給与」)。この要件を外れると、役員報酬の一部または全部が法人の損金に算入されず、法人税・個人の所得税の両方で課税されてしまう「二重の不利益」が生じるため、期中でむやみに金額を変更しないことが重要です。
個人事業の廃業手続き






法人成りと同時に、個人事業の廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を税務署に提出します。あわせて、青色申告をしていた場合は青色申告の取りやめ届出書、消費税の課税事業者だった場合は事業廃止届出書なども提出が必要です。個人事業の最後の確定申告は、廃業日までの所得について、原則として翌年3月15日までに行います。個人から法人へ引き継ぐ棚卸資産・固定資産などは、時価による譲渡(売却)または現物出資として処理し、個人側で譲渡所得等の申告が必要になる場合があります。
法人化が向いている人・個人事業主のままでいい人






- 課税所得が700〜800万円を超えており、長期的な資産形成を考えている
- 配偶者や子どもなど、家族に所得分散を図りたい
- 利益をすぐに使わず、内部留保として蓄積し将来の投資に備えたい
- 大口取引先の要求や、融資審査のために社会的信用度を高めたい
- 従業員を雇用し、事業を組織として拡大していきたい
課税所得が500万円未満で、青色申告特別控除(最大65万円)を活用できる個人事業主であれば、事務負担の少なさも含めて個人事業主のままのほうがトータルで効率的なケースが多いというのが実務での実感です。一方、課税所得が継続的に700〜800万円を超え、かつ内部留保や所得分散といった目的がはっきりしている場合は、法人化の検討価値が高まります。
よくある質問(FAQ)
- 法人成りのベストなタイミングはいつですか?
- 税務面では課税所得700〜800万円超が一つの目安です。ただし社会保険料の増加、事務コスト、消費税の課税事業者化のタイミング、取引先との関係も総合的に判断する必要があります。金額の大きな判断になるため、税理士に個別のシミュレーションを依頼することをおすすめします。
- 合同会社と株式会社、どちらを選ぶべきですか?
- 設立費用を抑えたい・1人〜少人数で運営する場合は合同会社が選ばれる傾向があります。上場を目指す、投資家からの出資を受けたい、対外的な信用力を重視する場合は株式会社が適しています。合同会社から株式会社への組織変更も可能です。
- 2026年4月に始まった防衛特別法人税は、法人成りしたばかりの会社にも関係しますか?
- 基準法人税額(おおむね法人税額)が年500万円以下であれば税額は発生しません。軽減税率15%が適用される中小法人の場合、課税所得ベースでおおよそ3,000万円超に相当する水準のため、多くの小規模な法人成りでは実質的な税負担は生じないと見込まれます。ただし税額がゼロでも申告書の提出は必要です。
- 個人事業の資産は法人に引き継げますか?
- はい、個人から法人への譲渡(売却)または現物出資で引き継げます。譲渡は時価で行い、個人側で譲渡所得等の申告が必要になる場合があります。少額資産は売却の形が一般的です。
- 法人化するとどんな税金が増えますか?
- 法人税・地方法人税・法人事業税・法人住民税(均等割含む)に加え、2026年4月以後開始事業年度からは防衛特別法人税の申告義務も加わります。また代表者1人でも社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が強制され、会社負担分の保険料が新たに発生します。
- 法人化すると消費税の免税期間はどうなりますか?
- 事業年度開始時点の資本金が1,000万円未満であれば、新設法人は原則として設立1期目・2期目の消費税納税義務が免除されます。ただしインボイス制度の適格請求書発行事業者に登録している場合はこの免税を選択できません。個人事業のときにすでに課税事業者だった場合との関係も含め、事前に税理士へ確認しておくと安心です。
まとめ:法人成りの判断ステップ
直近の課税所得が700〜800万円を超えているか、そして単なる節税ではなく「内部留保」「所得分散」「信用力向上」のどれを重視したいのかを整理します。
信用力重視なら株式会社(約20〜25万円)、コスト重視なら合同会社(約6〜10万円)。資本金額・決算月・本店所在地もあわせて決めます。
社会保険料の増加分・防衛特別法人税を含む法人税等の実効負担・役員報酬の設定を踏まえた具体的な試算を依頼し、意思決定します。
法人成りは「所得税率より法人税率が低いから」という単純な理由だけで判断すると、社会保険料の増加や二重課税の仕組みによって期待した節税効果が得られないことがあります。課税所得の水準・消費税のタイミング・内部留保や所得分散の必要性を総合的に見極め、必ず税理士のシミュレーションを踏まえたうえで意思決定することをおすすめします。
今日の授業は終わり!また来てや!!
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