はじめに:建物の取得費算定の重要性
- 見積書に詳細な内訳がない場合の按分方法がわからない
- リフォーム費用をどこまで取得費に含められるか知りたい
- 按分計算を間違えた場合のリスクが不安
- 共通費の按分方法が複雑でわからない
- 税務調査で指摘されないための資料の保存方法を知りたい
新築の建物を取得した場合であっても、すべてが「建物」として計上できるわけではありません。一部は「建物付属設備」や「構築物」となります。また、大規模なリフォームを行った際には、トイレ・電気設備・ガス設備など複数の設備の修繕を同時に行うことが多く、工事の総額をこれらの各種工事に按分する必要があります。
今回は、建物を譲渡して確定申告をすることを前提として、建物新築時やリフォーム時に発生する工事原価の按分方法について詳しく解説します!
イザーク
ぜいむたん
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📌 この記事でわかること
- 土地と建物はどう按分するのか、国税庁通達(措置法通達35の2-9)に基づく3つの方法と優先順位
- 固定資産税評価額の比・不動産鑑定評価・契約書記載額(消費税逆算を含む)を切り替えて同じ物件を試算できる無料の3方式比較ツール
- 方式ごとに税負担がいくら変わるか:年間の減価償却費・保有期間の節税額・売却時の譲渡所得税まで3方式横並びで試算できる
- 税務調査で聞かれる3点と、按分の根拠として残しておく資料
- 建物取得費の按分計算が必要な理由とそのメリット
- 新築時の建物・建物付属設備・構築物への按分方法
- リフォーム費用の資産計上と費用処理の判断基準(内装工事費用の按分は別記事で詳解)
- 共通費を適切に按分するための計算手順
- 按分計算のミスを防ぐための実務上のポイント
土地建物の按分計算:3つの方法と優先順位
土地と建物を一括で取得(または譲渡)したとき、それぞれの取得価額をどう区分するかについて、国税庁は①契約書に区分記載された金額 ②取得先の帳簿等で確認できる金額 ③①②によれないときは取得時の価額比によるあん分という3段階の考え方を示しています。実務ではこの順序で検討するのが一般的です。価額比によるあん分の代表的な方法が、固定資産税評価額の比によるあん分・不動産鑑定士の鑑定評価による方法・契約書に記載された消費税額から建物価格を逆算する方法の3つです。
※後述のとおり、この3段階の考え方は措置法35条の2《特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除》の適用場面を定めた通達に由来しますが、譲渡所得・消費税を含む土地建物の一括取得価額の区分全般で実務上広く参照されている考え方です。
ぜいむたん


| 優先順位 | 方法 | 使える場面 | 示している通達 |
|---|---|---|---|
| ①(最優先) | 契約書に区分記載された金額 | 売買契約書に土地・建物の内訳価額が書かれており、その金額が時価としておおむね適正なとき | 措置法通達35の2-9(1) |
| ② | 取得先の帳簿等で確認できる金額 | 契約書に区分はないが、建設業者等の帳簿に区分価額の記載があり適正なとき | 措置法通達35の2-9(2) |
| ③(①②が使えないとき) | 取得時の価額比によるあん分 (固定資産税評価額比・鑑定評価額比など) | 契約書にも取得先の帳簿にも区分がないとき | 措置法通達35の2-9(3) |
※措置法通達35の2-9は、措置法35条の2《特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除》(適用対象は平成21年1月1日〜平成22年12月31日取得の土地等に限定)の適用場面を定めた通達として新設されたものです。この通達の(注)には「本通達は措置法通達36の2-9と同趣旨である」とあり、単発の特例ではなく土地建物の一括取得価額を区分する際の共通の考え方として示されたものだとわかります。本記事では、この考え方を土地建物の按分実務における一般的な検討順序として紹介しています。
消費税の扱いも按分と密接に関係し、この優先順位の考え方を支えるもう一つの柱になっています。国税庁の質疑応答事例「建物と土地との一括譲渡の場合の課税標準」によれば、土地の譲渡は消費税が非課税(消費税法別表第二)である一方、建物の譲渡には消費税が課税されるため、それぞれの対価は合理的に区分しなければならず(消費税法基本通達10-1-5)、その区分方法として上記の法人税・所得税の特例計算における区分の取扱いによっているときはその区分によるとされています。契約書に消費税額が明示されている場合は、その消費税額から建物価格を逆算する方法も、この「合理的に区分する」の一適用として実務で使われています。計算式は次のとおりです。
計算式:消費税額から建物価格を逆算する
建物価格(税抜)= 消費税額 ÷ 消費税率
建物価格(税込)= 建物価格(税抜)+ 消費税額
土地価格 = 総額(税込)- 建物価格(税込)
※ 消費税率は契約日が2019年10月1日以降なら10%、それより前(かつ2014年4月1日以降)なら8%が原則(軽減税率8%は食品等が対象で不動産取引には適用されません)。税率を取り違えると建物価格が大きくずれるため、契約書の記載日と適用税率を必ず確認してください。










無料ツール
土地建物 按分計算ツール(3方式比較)
固定資産税評価額は市区町村発行の固定資産税課税明細書・評価証明書で確認できます。3年に1度の評価替えのため、取引時点とのズレに注意してください。
3方式の比較(現在の入力値で試算)
方式ごとの税負担の差を試算する(賃貸など事業用に使う建物の場合)
建物を大きく按分すると毎年の減価償却費は増えますが、売却時は未償却残高が減るぶん取得費が小さくなり譲渡所得が増えます。この綱引きがいくらになるかを下の条件で試算します。
※ この試算は年単位の概算です。取得した年の減価償却費は事業に使い始めた月からの月割計算になるため、初年度の実際の償却費はここで表示される金額より小さくなります。あわせて、このツールが計算していないもの:建物附属設備・構築物への再按分、資本的支出や中古資産の耐用年数の見積り、土地の取得費に加算される付随費用、消費税の課税・非課税売上割合、居住用財産の3,000万円特別控除などの特例、復興特別所得税を含む端数処理。実際の申告では税理士等にご確認ください。自宅など事業に使っていない建物は毎年の減価償却費を経費にできず、売却時の取得費も国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」の旧定額法(0.9×耐用年数1.5倍の償却率×経過年数)で計算するため、この試算とは異なります。
初期値(総額6,000万円・固定資産税評価額 土地3,000万円/建物2,000万円)で①固定資産税評価額比を試算すると、建物価格は2,400万円、土地価格は3,600万円になります。同じ物件でも②鑑定評価額(土地3,200万円・建物2,800万円)を使うと建物価格は2,800万円、③を「消費税額のみ記載」に切り替えて消費税額200万円(税率10%)を入れると建物価格は税込2,200万円と、方式によって数百万円単位の差が出ることをツールで確認できます。
差が出るのは建物価格だけではありません。ツール下部の税負担の試算を初期条件(木造住宅・保有10年・限界税率30%・売却予定額6,000万円・譲渡費用200万円・長期譲渡)で見ると、①評価額比(建物2,400万円)は年間の減価償却費110.4万円・10年間の節税額331.2万円に対し売却時の譲渡所得税183.65万円で、差引△147.55万円。②鑑定評価(建物2,800万円)は年間128.8万円・節税386.4万円に対し譲渡所得税221.03万円で、差引△165.37万円になります。建物を大きく按分したほうが有利に見えても、その差は10年でおよそ17.8万円にとどまります。しかも所有5年以下(短期譲渡39.63%)に切り替えると②は差引+44.77万円と符号が逆転します。「建物を大きくすれば得」と単純に言えないのはこのためで、方式は有利不利ではなく後述の優先順位で選ぶのが原則です。
※ 試算に使った定額法の償却率は減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第八(22年=0.046/20年=0.050/27年=0.038/34年=0.030/47年=0.022)、耐用年数は国税庁主な減価償却資産の耐用年数表(木造・合成樹脂造の店舗用・住宅用22年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の住宅用47年など)によります。自宅など事業に使っていない建物の売却では、この計算ではなく国税庁No.3261 建物の取得費の計算の「建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数」(耐用年数を1.5倍した年数に応じた償却率・取得価額の95%が限度)で償却費相当額を求めます。






区分価額があり、時価としておおむね適正なら、その金額をそのまま使います(優先順位①)。ツールの「③契約書・消費税逆算」タブで「建物価格が直接記載されている」を選んで入力しましょう。
建物価格が直接書かれていなくても、消費税額が記載されていれば「消費税額÷税率」で建物価格(税抜)を逆算できます。契約日から税率(8%/10%)を必ず確認してください。
契約書にも取得先の帳簿にも区分がない場合は、固定資産税評価額の比によるあん分が実務上最も一般的です。高額物件や評価額のズレが気になる場合は、不動産鑑定士による鑑定評価を検討しましょう。
どの方式を使ったか、根拠となった評価証明書・鑑定評価書・契約書のコピーを申告書とあわせて保管しましょう。税務調査で按分の合理性を説明する際の証拠になります。






基本情報:按分計算の基礎知識
建物取得費の按分は、税務上の資産区分を決める作業です。適切に計算することで税金を適正化できますが、誤った按分計算は後の税務調査で指摘の対象となります。
所得税法施行令第6条(減価償却資産の範囲)は、第1号で「建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいう。)」と、建物と附属設備をまとめて掲げています。両者が別々の耐用年数で償却されるのは、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一で区分されているためです。ここを取り違えると、按分した建物価額をさらに建物本体と附属設備へ分ける場面で耐用年数を誤ります。




用語解説:按分(あんぶん)
按分とは、全体の費用や金額を一定の基準(面積比、金額比など)に従って配分すること。税務上は、一括で支払った費用を適切な資産区分や費用区分に割り当てるために用いられる重要な手法です。
按分計算が必要となる場面
| 場面 | 按分が必要な理由 | 主な区分 |
|---|---|---|
| 建物新築時 | 減価償却資産の区分・耐用年数が異なるため | 建物、建物付属設備、構築物 |
| リフォーム時 | 資産計上と費用処理を区分するため | 資産計上対象、費用処理対象 |
| 共有財産の購入時 | 持分に応じた取得費を計算するため | 各共有者の持分割合 |
| 事業用・居住用併用物件 | 事業用部分と居住用部分を区分するため | 事業用割合、居住用割合 |
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按分計算の結果を、そのまま確定申告書に反映したい方へ
按分計算で出した建物価格・減価償却費は、確定申告書の作成でそのまま入力に使います。「MFクラウド確定申告」なら、按分後の数字を入力するだけで青色申告決算書・確定申告書まで自動作成。銀行口座・クレジットカードとの連携で日々の記帳も効率化できます。
MFクラウド確定申告を見る →建物新築時の工事原価の按分方法
建物を新築した場合は、区分ごとに耐用年数が違うため按分が欠かせません。適切な按分を行うことで、正確な減価償却費の計算や適正な譲渡所得の計算につながります。
按分の基本的な考え方
- 建物本体に係る費用:建物自体の構造部分(基礎、躯体、屋根など)
- 建物付属設備に係る費用:空調設備、電気設備、給排水設備など
- 構築物に係る費用:駐車場、塀、外構工事など




按分計算の手順
- 見積書・契約書の確認:各工事項目の金額を把握
- 工事費用の分類:
- 建物本体に係る工事費用
- 建物付属設備に係る工事費用
- 構築物に係る工事費用
- 共通費(設計料、諸経費など)
- 共通費の按分:直接費(建物、建物付属設備、構築物)の金額比率に応じて共通費を按分
- 按分結果の集計:各区分ごとの金額を集計
按分計算の具体例を見てみましょう。




【具体例】総工事費3,000万円の住宅新築工事の場合
| 工事項目 | 金額 | 区分 |
|---|---|---|
| 基礎工事 | 400万円 | 建物 |
| 躯体工事 | 800万円 | 建物 |
| 屋根・外壁工事 | 500万円 | 建物 |
| 内装工事 | 400万円 | 建物 |
| 電気設備工事 | 200万円 | 建物付属設備 |
| 給排水設備工事 | 250万円 | 建物付属設備 |
| 空調設備工事 | 150万円 | 建物付属設備 |
| 外構工事 | 100万円 | 構築物 |
| 諸経費 | 200万円 | 共通費 |
| 合計 | 3,000万円 |
按分計算のステップ
- 直接費の集計
– 建物:2,100万円(基礎+躯体+屋根外壁+内装)
– 建物付属設備:600万円(電気+給排水+空調)
– 構築物:100万円(外構)
– 直接費合計:2,800万円 - 共通費の按分
共通費の按分率:
– 建物:2,100万円÷2,800万円=75%
– 建物付属設備:600万円÷2,800万円=21.4%
– 構築物:100万円÷2,800万円=3.6%
共通費(諸経費)の按分額:
– 建物:200万円×75%=150万円
– 建物付属設備:200万円×21.4%=42.8万円
– 構築物:200万円×3.6%=7.2万円 - 按分後の最終金額
– 建物:2,100万円+150万円=2,250万円
– 建物付属設備:600万円+42.8万円=642.8万円
– 構築物:100万円+7.2万円=107.2万円
– 合計:3,000万円




按分計算における注意点
- 工事が複雑になるほど按分計算も複雑になる
- 事務所によって按分方法が異なる場合がある
- 土地に偏った按分をすると減価償却費が小さくなり、所得が大きくなるリスクあり
- 後のリフォーム費用との整合性も重要
- 客観的な基準で按分することが税務調査対策として重要
リフォーム費用の按分方法
リフォーム費用の按分は、適正な譲渡所得の計算に大きく影響します。どのように按分するかによって、取得費に含められる金額が変わってくるためです。




リフォーム費用の基本的な考え方
- 資産として計上する場合
– 建物や設備の価値を高めるもの
– 耐久性を向上させるもの
– 機能を追加・拡張するもの - 費用として処理する場合
– 原状回復的な修繕
– 小規模な補修
– 定期的なメンテナンス
譲渡所得の計算においては、資産計上できるリフォーム費用は、取得費に加算できるため、所得が小さくなり納税者に有利となります。
用語解説:資産計上と費用処理
「資産計上」とは、支出した金額を会社の資産として貸借対照表に計上すること。一方、「費用処理」とは支出した金額をその年度の経費として処理することです。資産計上した場合は減価償却を通じて複数年にわたって費用化しますが、費用処理した場合はその年度で全額経費になります。
リフォーム費用の按分計算手順
- 工事を3つに分類する
– 資産計上対象:給排水設備工事、電気設備工事など
– 共通費:解体工事、廃材処理費用など
– 対象外(費用処理):小規模修繕、クリーニングなど - 共通費を按分する
共通費の按分方法
1. 資産計上対象と対象外の金額比率を計算
2. その比率に応じて共通費を按分 - 最終的な資産計上額を計算
対象外に按分された共通費を含む金額は無視し、資産計上対象に集計された金額(本体+按分された共通費)を最終的な資産計上額とします。




リフォーム費用按分の具体例を見てみましょう。




【具体例】総額500万円のリフォーム工事の場合
| 工事項目 | 金額 | 区分 |
|---|---|---|
| キッチン設備工事 | 150万円 | 資産計上対象 |
| 浴室設備工事 | 120万円 | 資産計上対象 |
| 電気設備工事 | 80万円 | 資産計上対象 |
| 壁紙張替え | 50万円 | 対象外(費用) |
| 床補修 | 30万円 | 対象外(費用) |
| 解体・廃材処理 | 40万円 | 共通費 |
| 諸経費 | 30万円 | 共通費 |
| 合計 | 500万円 |
リフォーム費用の按分計算例
- 各区分の集計
– 資産計上対象:350万円(キッチン+浴室+電気)
– 対象外(費用):80万円(壁紙+床)
– 共通費:70万円(解体+諸経費)
– 直接費合計:430万円(資産+対象外) - 共通費の按分
共通費の按分率:
– 資産計上対象:350万円÷430万円=81.4%
– 対象外(費用):80万円÷430万円=18.6%
共通費の按分額:
– 資産計上対象:70万円×81.4%=57万円
– 対象外(費用):70万円×18.6%=13万円 - 最終的な資産計上額と費用処理額
– 資産計上額:350万円+57万円=407万円
– 費用処理額:80万円+13万円=93万円
– 合計:500万円


按分計算における実務上のポイント
按分計算を正しく行うためには、実務上のポイントを押さえておくことが重要です。特に資料の保存方法や実際の按分方法について、具体的な経験に基づくアドバイスを紹介します。












税務調査で聞かれること:按分の根拠をどう残すか
按分そのものより、あとから説明できるかどうかで結果が分かれます。税理士法人での実務では、土地建物の按分について調査官から確認されるのはだいたい次の3点でした。どれも「そのとき何を見て決めたか」を残していれば答えられるもので、逆に資料が無いと、金額が妥当でも説明に時間がかかります。
聞かれる3点と、残しておく資料
契約書に区分価額があるのに評価額比で計算していると、まずここを聞かれます。契約書の該当ページの写しと、区分が無いこと(または金額が時価と離れていること)を示すメモを一緒に綴じておきます。
固定資産税評価額は3年に1度の評価替えがあります。取引年と評価年度がずれていると必ず確認されるので、課税明細書・評価証明書は取引年度のものを保管し、年度が違う場合は理由を書き添えます。
「建物1,800万円」という結論だけでは、同じ数字にたどり着けません。総額・土地建物それぞれの評価額・割り算の式・端数処理まで書いた1枚を残します。上のツールの数字をそのまま書き写す形で構いません。
結果が有利になる方式を先に決めてから、それに合う資料を後づけで探すのは避けてください。3方式を試算して一番建物価格が大きいものを採用した、という経緯がメモに残っていると、合理性を疑われるリスクがあります。試算はあくまで影響の大きさを把握するために使い、採用する方式は契約書・帳簿・評価額という資料の有無で決めるのが安全です。
按分計算のための資料保存のポイント
- 建築・リフォーム時の見積書は詳細な内訳付きのものを保管
- 工事写真やビフォーアフター写真も保存(特に大規模リフォーム時)
- 支払いの領収書や振込記録も証拠として保管
- 契約書には工事内容の詳細が記載されているか確認
- 按分計算の根拠資料として少なくとも7年間は保管




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よくある質問
建物取得費の按分について、実務でよく質問される内容をQ&A形式で解説します。




- 按分計算の資料がない場合はどうすればいいですか?
-
建物を購入してから長い年月が経っていて当時の見積書や契約書が見つからない場合は、一般的な比率を使用して按分することもあります。ただし比率に法令上の基準があるわけではないので、同種の工事の内訳がわかる資料や類似物件の実績など、説明できる根拠を用意したうえで税理士に相談してください。
- 譲渡所得の計算で、すべてのリフォーム費用を資産計上していいですか?
-
譲渡所得の計算では、資産価値を高めるリフォームは取得費に含められますが、単なる修繕費は原則として取得費に含められません。譲渡直前に行った工事であっても、原状回復にとどまるものは取得費に算入できません。資本的支出に当たるか修繕費に当たるかで判断します。
- 按分計算を間違えていた場合のリスクは?
-
土地に偏った按分をすると、建物の減価償却費が少なく計算され、その分だけ所得税が多くなります。逆に、根拠なく建物へ偏らせた按分も、税務調査で合理性を問われるリスクがあります。また税務調査で指摘された場合、修正申告が必要となり、本来納めるべきだった税金に加えて延滞税や過少申告加算税が課される可能性があります。合理的な基準で按分し、その根拠を残しておいてください。
- 中古物件購入時の按分はどうすればいいですか?
-
中古物件購入時の費用も按分が必要な場合があります。例えば、土地と建物を一緒に購入した場合は、登記費用や仲介手数料も土地と建物の価格比率で按分するのが一般的です。税務署にも説明しやすい合理的な方法で按分することが大事です。
- 建物の割合を大きく按分したほうが節税になりますか?
-
賃貸などに使う建物であれば毎年の減価償却費は増えますが、そのぶん売却時の未償却残高が減り、取得費が小さくなって譲渡所得が増えます。記事内のツールの初期条件(木造・保有10年・限界税率30%・売却予定額6,000万円・長期譲渡)では、建物2,400万円と2,800万円の差引の税負担は147.55万円と165.37万円で、10年間で約17.8万円しか変わりません。所有5年以下の短期譲渡(39.63%)では逆に不利になります。有利不利を目的に方式を選ぶと合理性を問われるリスクがあるため、契約書・帳簿・評価額という資料の有無で選んでください。
- 契約書に消費税額の記載がない個人間売買ではどう按分しますか?
-
売主が事業者でない個人(または免税事業者)の場合、建物の譲渡は消費税の課税対象にならないため、契約書に消費税額が書かれません。この場合は消費税からの逆算が使えないので、固定資産税評価額の比によるあん分か、不動産鑑定士による鑑定評価を使うことになります。実務では前者が一般的で、取引年度の固定資産税課税明細書または評価証明書を根拠資料として保管しておきます。評価替えの年をまたぐ場合は、どの年度の評価額を使ったかも記録に残してください。なお、売主が課税事業者である個人事業者で、賃貸用など事業に使っていた建物を譲渡する場合は消費税の課税対象になるため、契約書の消費税額から逆算できます(国税庁タックスアンサーNo.6109 事業者が事業として行うものとは)。
まとめ:適切な按分計算のために
建物取得費の按分計算は複雑ですが、適切に行うことで節税効果が期待できます。以下のポイントを押さえておきましょう:
見積書や契約書を確認し、各工事項目を適切に分類しましょう。分類が曖昧な場合は専門家に相談することをおすすめします。
共通費は、直接費の金額比率に応じて適切に按分します。金額按分が基本ですが、状況に応じて合理的な方法を選択しましょう。
リフォーム費用は、資産価値を高めるものは資産計上し、単なる修繕は費用処理するのが原則です。譲渡所得計算では資産計上を優先しましょう。
見積書や契約書などの根拠資料は少なくとも7年間保管しましょう。デジタル化して管理するのも効果的です。









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