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法人住民税の均等割は、赤字でも必ず納める税金です。資本金1,000万円以下・従業者数50人以下の会社なら年7万円。休眠していても、売上がゼロでも、事務所を置いている限り課税されます。
ところが金額の決まり方は意外と知られていません。「資本金1,000万円を超えたら上がる」とだけ覚えていると、実際の判定基準が資本金ではなく「資本金等の額」であること、従業者数50人という第二の軸があること、事務所が2つの市に分かれていればそれぞれの市に均等割がかかることを取りこぼします。
この記事では、標準税率の早見表と自動計算ツールで「自社はいくらか」をその場で出せるようにしたうえで、資本金等の額と従業者数の数え方、設立初年度の月割計算、東京23区の特例までを実務の順序で整理しました。
ぜいむたん


📌 この記事でわかること
対象:法人の経理・財務担当者と、これから会社を設立する方/前提知識は不要/読了の目安 本文 約19分(冒頭サマリー 1分)
- 道府県民税分・市町村民税分に分けた均等割の標準税率早見表(最低7万円〜最高380万円)
- 資本金等の額・従業者数・事業年度の月数を入れると年税額が出る自動計算ツール
- 判定基準が「資本金」ではなく「資本金等の額」である理由と、平成27年度改正による加減算・資本金+資本準備金との比較
- 従業者数50人はいつ時点で・誰を数えるのか、アルバイトや出向者の扱い
- 設立初年度・解散年度など事業年度が12か月未満のときの月割計算(算式と端数処理)
- 事務所が複数の市区町村にある場合の課税と、東京23区の一括申告の特例
- 無償減資による欠損塡補で均等割の区分が下がるケースと、その限界
法人住民税の均等割は赤字でも課税される。最低でも年7万円
法人住民税は「法人税割」と「均等割」の2つで構成されます。法人税割は法人税額を基礎に計算するため、赤字で法人税がゼロなら法人税割もゼロです。一方の均等割は、所得の有無とまったく関係なく、事務所等を有していること自体に対して課税されます。これが「赤字でも税金を払う」と言われる正体です。
1拠点あたりの年額を決めるのは、①資本金等の額と②その自治体内の従業者数の2つです。会社全体の負担額は、これに拠点数と事業年度の月数が掛かって決まります。売上高や利益、業種、従業員の給与水準はいっさい関係しません。だからこそ、事前に金額を確定させておけるという性質があります。設立前に資本金をいくらにするかを決める段階で、この表を見ておく価値があるということです。
道府県民税分と市町村民税分の2本立てで納める
法人住民税は都道府県に納めるもの(道府県民税・都民税)と、市区町村に納めるもの(市町村民税・特別区民税)に分かれます。均等割もそれぞれに存在するため、「県の均等割」+「市の均等割」の合計が年間の負担額になります。よく言われる「最低7万円」は、道府県民税分の2万円と市町村民税分の5万円を足した金額です。
なお、均等割の額は自治体が条例で決めます。地方税法が定める標準税率をそのまま使う自治体が多い一方で、標準税率の1.2倍を上限(制限税率)として超過課税を行う自治体もあります。たとえば兵庫県西宮市の法人市民税は、均等割を全区分で標準税率の1.2倍としています(資本金等の額1,000万円以下・従業者数50人以下でも60,000円)。同市が「一定基準以下の中小法人には超過課税を行わず標準税率」としているのは法人税割についての措置で、均等割には及びません。最終的な金額は必ず所在地の自治体サイトで確認してください。






【早見表】均等割の標準税率を資本金等の額と従業者数で引く
まず道府県民税の均等割です。こちらは従業者数に関係なく、資本金等の額だけで決まります。
| 資本金等の額 | 道府県民税 均等割(年額・標準税率) |
|---|---|
| 1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円超 1億円以下 | 50,000円 |
| 1億円超 10億円以下 | 130,000円 |
| 10億円超 50億円以下 | 540,000円 |
| 50億円超 | 800,000円 |
次に市町村民税の均等割です。こちらは資本金等の額と従業者数の組み合わせで決まります。従業者数50人「超」か「以下」かが分かれ目です。標準税率の根拠は総務省「法人住民税」で確認できます。
| 資本金等の額 | 従業者数 50人超 | 従業者数 50人以下 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 120,000円 | 50,000円 |
| 1,000万円超 1億円以下 | 150,000円 | 130,000円 |
| 1億円超 10億円以下 | 400,000円 | 160,000円 |
| 10億円超 50億円以下 | 1,750,000円 | 410,000円 |
| 50億円超 | 3,000,000円 | 410,000円 |
合計額の早見表(事務所が1か所だけの場合)
上の2表を足したものが、事務所が1か所だけの会社の年間負担額です。実務で使うのは基本的にこの表になります。
| 資本金等の額 | 50人超(合計) | 50人以下(合計) |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 140,000円 | 70,000円 |
| 1,000万円超 1億円以下 | 200,000円 | 180,000円 |
| 1億円超 10億円以下 | 530,000円 | 290,000円 |
| 10億円超 50億円以下 | 2,290,000円 | 950,000円 |
| 50億円超 | 3,800,000円 | 1,210,000円 |
東京23区に事務所がある場合も、この合計額と同じ金額になります。23区では特別区民税相当分を都民税に含めて課税する仕組みのため、東京都主税局へ一括して申告・納付します(詳しくは後述)。






【自動計算】あなたの会社の均等割はいくらになるか
資本金等の額・従業者数・事業年度の月数を入れると、標準税率ベースの年税額を計算します。設立初年度など事業年度が12か月に満たない場合の月割にも対応しています。






判定の軸①「資本金等の額」は登記簿の資本金と一致しないことがある
均等割の区分を決めるのは「資本金」ではなく「資本金等の額」です。これは法人税法上の概念で、ざっくり言えば株主が払い込んだ元手の累計を指します。資本金に加えて資本準備金・その他資本剰余金なども含むため、たとえば資本金900万円・資本準備金300万円の会社は、後述する②の判定額が1,200万円となるため必ず「1,000万円超」の区分になります。
「資本金を1,000万円未満に抑えたから均等割は7万円のはず」と思っていたのに18万円の通知が来た、という相談は珍しくありません。原因のほとんどがこれです。設立時に「資本金500万円+資本準備金500万円」で払い込んでいれば、資本金等の額は1,000万円。ここはまだ「1,000万円以下」ですが、あと1円でも資本準備金が多ければ区分が変わります。
平成27年度改正による無償増資の加算と無償減資の減算
平成27年度税制改正により、均等割の判定に使う金額は次の①と②のいずれか大きい額とされました。
①の加算は、平成22年4月1日以後に利益準備金やその他利益剰余金を資本に組み入れた場合(無償増資)に、その額を上乗せするというものです。逆に減算は、資本金や資本準備金を取り崩して欠損の塡補に充てた場合に、その塡補額を差し引けるというもので、塡補の事実を証する書類を申告時に添付することが要件とされています。控除できる欠損塡補には対象期間の定めもあるため、実行前に所在地の自治体の解説で範囲を確認してください。ただし②の歯止めがあるため、資本金と資本準備金の合計を下回るところまでは下がりません。詳しくは栃木県が公表している解説資料が図解つきでまとまっています。
法人税申告書の別表五(一)に記載された資本金等の額の期末残高が出発点です。登記簿上の資本金とは一致しないことがあります。
平成22年4月1日以後の利益剰余金の資本組入額を加え、欠損の塡補に充てた額を差し引いて①の金額を出します。
純資産の部から資本金と資本準備金を拾って合計します。これが②の金額です。
大きいほうの金額を早見表に当てはめて区分を確定します。減資を検討する場合は、この時点で②が歯止めになっていないかを必ず確認します。
税理士法人にいた頃、累積赤字を抱えた会社が欠損塡補を伴う減資を行い、翌期から均等割の区分が下がったケースを担当したことがあります。金額のインパクトは大きい一方で、減資は株主総会決議と債権者保護手続が必要で、登記費用も発生します。税額だけを見て走ると手続コストで逆ザヤになることもあるため、実行前に必ず総額で比較してください。






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均等割は「毎期必ず出ていく固定費」。資金繰り表に載せていますか
均等割は赤字でも発生するため、キャッシュフロー上は家賃と同じ固定費です。マネーフォワード クラウド会計なら、日々の仕訳から試算表・資金繰りの見通しまでをつなげて把握でき、納税予定額を織り込んだ資金計画が立てやすくなります。
マネーフォワード クラウド会計を見る →判定の軸②「従業者数」は50人をいつ時点で誰を数えるか
市町村民税の均等割は、その市区町村内にある事務所等の従業者数の合計で区分が変わります。全社の人数ではなく自治体単位で見る、というのがポイントです。本社(A市)に60人、支店(B市)に10人なら、A市では「50人超」、B市では「50人以下」で判定します。
一方で、同じ市内に2つの事務所があるときは合計します。同一市内に30人ずつの拠点が2か所あるなら合計60人となり、「50人超」の区分です。均等割はその市に対して1件課税されるため、事務所ごとに分けて判定するのではありません。
数える時点は「算定期間の末日現在」
従業者数は、原則として算定期間(通常は事業年度)の末日現在の人数で判定します。期の途中で一時的に50人を超えていても、期末時点で50人以下であれば「50人以下」の区分です。逆に、期末直前の採用で51人になれば「50人超」となります。
数える対象は、その事務所等で勤務している人です。正社員だけでなく、パート・アルバイト・役員も含みます。他社へ出向させている従業員は出向先で数えるのが原則です。そして間違えやすいのが派遣社員で、給与を払っている派遣元ではなく、実際に勤務している派遣先で数えます(京都市の解説ほか)。事業所税の従業者割は派遣元で算入するため、両方を申告している会社はとくに注意してください。
| 区分 | 従業者数に含めるか |
|---|---|
| 正社員・契約社員 | 含める |
| パート・アルバイト | 含める(勤務時間が短い場合は総勤務時間数÷170・1人未満切上げで換算) |
| 役員(常勤) | 含める |
| 他社へ出向中の従業員 | 原則として出向先で数える |
| 派遣社員 | 原則として派遣先で数える(事業所税の従業者割とは逆) |
アルバイトなど勤務時間が短い人については、実人数ではなく勤務時間で換算する方法が示されています。たとえば前掲の京都市は、算定期間の末日以前1か月間のアルバイト等の総勤務時間数を170で割り、1人未満の端数を切り上げた数を人数とできると案内しています(170は1人当たりの月間勤務時間数の目安)。切り捨てと取り違えると50人前後の判定を誤ります。除数や端数処理の運用は自治体によって差があるため、50人前後で推移している会社は期末を迎える前に所在地の市区町村へ確認しておくと安全です。






事業年度が12か月に満たないときは月割計算になる
設立初年度や解散の年度など、事務所等を有していた期間が1年に満たない場合、均等割は月割で計算します。東京都主税局が示している算式は次のとおりです。
たとえば5月20日に設立し、決算期末が12月31日の会社なら、事務所等を有していた期間は7か月と12日。1か月未満は切り捨てるので7か月で計算します。資本金等の額1,000万円以下・従業者数50人以下のケースで見てみましょう。
東京23区内の場合:特別区民税相当分を含めて都民税として一括で課税されるため、70,000円 × 7 ÷ 12 = 40,833円 → 100円未満切捨てで40,800円。
23区以外の場合:道府県民税と市町村民税は別の税目なので、それぞれ月割して端数処理します。道府県民税 20,000円 × 7 ÷ 12 = 11,666円 → 11,600円、市町村民税 50,000円 × 7 ÷ 12 = 29,166円 → 29,100円で、合計40,700円。同じ7か月でも、切り捨てを1回で行うか2回に分けるかで100円の差が出ます。
実務でよく見る誤りが、設立日ではなく「事業開始日」から数えてしまうケースです。均等割は事務所等を有していた期間で計算するため、開業準備中で売上がなくても、事務所を構えて登記した時点から月数に入ります。






事務所が複数の市区町村にあるとき・東京23区にあるとき
均等割は事務所等が所在する自治体ごとに課税されます。支店や営業所を別の市に出せば、その市にも市町村民税の均等割がかかります。都道府県が異なれば道府県民税の均等割も増えます。
支店を1つ出すと年いくら増えるか
資本金等の額1,000万円以下・各事務所の従業者数50人以下の会社が、隣県に支店を1つ出した場合を考えます。本店所在地で7万円(県2万+市5万)、支店所在地でも7万円(県2万+市5万)となり、合計14万円です。同じ県内の別の市に出した場合は、道府県民税は重複しないため2万+5万+5万で12万円になります。
登記していないレンタルオフィスや、従業員の自宅を実質的な営業拠点にしている場合でも、人的・物的設備があって継続して事業が行われていれば「事務所等」に該当し得ます。テレワークの普及で論点になりやすい部分なので、拠点を増やすときは法人税だけでなく地方税の均等割も試算しておくと安全です。
東京23区は都税事務所へ一括で申告・納付する
東京23区内に事務所がある場合は、特別区民税相当分を都民税に含めて課税する仕組みになっており、区役所ではなく都税事務所へ一括して申告・納付します。金額そのものは前掲の合計額の表と同じで、資本金等の額1,000万円以下・従業者数50人以下なら年7万円です。
ここで見落とされやすいのが、23区内の2つ以上の区に事務所がある場合です。均等割は区ごとに課税されるため、従たる区の数だけ特別区民税相当分(資本金等の額1,000万円以下・従業者数50人以下なら5万円)が上乗せされます。港区と渋谷区に事務所を置く会社なら、7万円ではなく12万円です。申告と納付はまとめて都税事務所に対して行うため、1件分だけ納めていれば足りると誤解しやすい部分です。
また23区と多摩地域の市にそれぞれ事務所がある場合は、23区分は都税事務所、市の分はその市へ、というように申告先が分かれます。手続の細部は東京都主税局の解説(前掲)で確認してください。






均等割を下げられるケースと、下げられないケース
均等割は所得と無関係なので、負担を減らす余地は「区分を下げる」ことに限られます。現実的な選択肢は次の3つです。
選択肢1
設立時に資本金等の額を1,000万円以下に設計する
資本準備金も合算される点に注意。なお均等割の基準は「資本金等の額が1,000万円以下」だが、消費税は「資本金が1,000万円以上」で設立初年度から課税事業者。基準となる金額も不等号も別物なので、両方を避けたいなら999万円などにしておく。
選択肢2
欠損塡補を伴う無償減資を行う
累積赤字がある会社向け。株主総会決議・債権者保護手続・登記費用が必要。
選択肢3
実体のない事務所を整理する
使っていない支店・営業所を廃止すれば、その自治体の均等割はなくなる。
逆に、できないこともはっきりしています。休眠中でも事務所等を有していれば原則として課税されますし、赤字を理由に免除されることもありません。決算日をずらして事業年度を短くしても、翌期に月数が戻るだけで通算の負担は変わりません。






よくある質問(FAQ)
- 設立したばかりで売上がゼロです。それでも均等割は納めるのですか?
-
納める必要があります。均等割は所得ではなく事務所等を有していることに対して課税されるため、売上ゼロでも赤字でも発生します。ただし設立初年度は事業年度が12か月未満になることが多く、その場合は「年額×事務所等を有していた月数÷12」で月割計算します。1か月未満の端数は切り捨て、算出額の100円未満も切り捨てです。なお23区以外では道府県民税分と市町村民税分をそれぞれ月割して端数処理するため、合算してから切り捨てる23区とは100円単位で結果が変わることがあります。
- 休眠会社にすれば均等割はかからなくなりますか?
-
自動的にゼロになるわけではありません。事務所等を有している限り原則として課税されます。実務上は、事業を停止して事務所も有しない状態になったことを自治体へ届け出ることで免除される取扱いをしている自治体もありますが、判断は自治体ごとに異なります。休眠を検討する場合は、登記所在地の都道府県税事務所と市区町村へ事前に確認してください。
- 資本金は900万円ですが、資本準備金が300万円あります。区分はどちらですか?
-
「1,000万円超1億円以下」の区分になります。均等割の判定は資本金ではなく資本金等の額で行い、平成27年度改正により「資本金+資本準備金」との比較でいずれか大きいほうを使うためです。この例では資本金900万円+資本準備金300万円=1,200万円が判定額となります。
- 従業者数は全社の人数ですか、それとも事務所ごとですか?
-
市区町村ごとの合計で判定します。本社(A市)に60人、支店(B市)に10人であれば、A市では「50人超」、B市では「50人以下」の区分です。全社合計70人だから全拠点が50人超になる、というものではありません。ただし同一市内に複数の事務所がある場合は合算するため、同じ市に30人ずつの拠点が2か所あれば合計60人で「50人超」となります。
- 均等割の仕訳はどう切りますか。損金になりますか?
-
法人住民税は法人税と同様に損金不算入で、「法人税、住民税及び事業税」として処理します。中間納付や確定納付の際は「未払法人税等」を取り崩す処理が一般的です。損金にならないため、法人税の申告書別表四で加算調整が必要になります。
まとめ:均等割は4ステップで確認できる
別表五(一)の資本金等の額に無償増資・無償減資の調整をした金額と、貸借対照表の「資本金+資本準備金」を比べ、大きいほうを採用します。
パート・アルバイト・役員を含め、その自治体内にある事務所等の従業者数を合計して50人超かどうかを判定します。出向者は出向先、派遣社員も派遣先で数えるのが原則です(給与を払う派遣元ではない点に注意)。
事業年度が12か月未満なら「年額×月数÷12」で月割します。1か月未満は切り捨て、算出額の100円未満も切り捨てです。23区以外は道府県民税分と市町村民税分をそれぞれ端数処理します。
標準税率の1.2倍まで超過課税ができるため、最終的な金額は自治体サイトで確認します。複数拠点がある場合、市町村民税分は市区町村ごとに加算し、道府県民税分は同一都道府県内では1件のみとして合算します。
均等割は、事前に金額が確定できる数少ない税金です。資本金等の額と従業者数、そして拠点数の3つさえ押さえておけば、来期の負担額は今日この場で計算できます。増資・減資や支店開設を検討している会社は、意思決定の前にこのページの計算ツールで差額を出しておいてください。



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