「消費税の中間申告のお知らせ」が税務署から届いたものの、自分はいくら納めればいいのか、年に何回払うのかがすぐに分からない——中間申告でつまずくのは、たいていこの2点です。
中間納付税額は、前期(直前の課税期間)の確定消費税額さえ分かれば機械的に決まります。この記事では、その金額を入れるだけで回数・各回の納付額(国税+地方消費税)がその場でわかる計算ツールを用意しました。記事内でそのまま動きます(登録不要)。手元に残したい方向けにExcel版も配布しています。
📌 この記事でわかること
- 中間申告が必要になる基準は「前期の確定消費税額(国税分)が48万円超」——地方消費税を含めずに判定する理由
- 48万円超/400万円超/4,800万円超で変わる年1回・年3回・年11回の回数と、各回の納付額(6/12・3/12・1/12)
- 前期の確定消費税額を入れるだけの計算ツール(記事内でそのまま動く/Excel版も配布)——回数・国税・地方消費税・年間総額まで自動表示。100円未満切捨ての端数処理も正しい順序で計算します
- 個人事業者と法人(3月決算・12月決算)の申告・納付期限カレンダー
- 売上が落ちた年に納めすぎを防ぐ「仮決算による中間申告」の使いどころと注意点
- 前期48万円以下でも自分から中間納付できる「任意の中間申告制度」の届出
- 中間申告分の納付書は送られてくるのか——届く前提にしないほうがよい3つの理由と、窓口に行かない納付方法の選び方
- 中間納付したときの仕訳と、確定申告での精算・還付の処理
ぜいむたん


消費税の中間納付はいくらから?対象は「前期の確定消費税額48万円超」
消費税の中間申告とは、前期の消費税額をもとに、期の途中で消費税を前払いする手続きです。対象になるのは、直前の課税期間の確定消費税額が48万円を超える事業者で、これは国税庁タックスアンサー No.6609「中間申告の方法」で示されている基準です(消法42ほか)。
判定に使う「確定消費税額」は申告書のどこを見る?
ここで最初につまずきやすいのが、48万円は「国税分」だけで判定するという点です。確定申告書の「差引税額」や納付書の合計額には地方消費税が含まれていますが、その合計額で判定してはいけません。
前期が1年に満たないときは12か月に換算して判定する
税理士法人での実務でも、この判定を合計額でしてしまい「対象だと思っていたのに通知が来ない」「対象外のつもりが期限後納付になった」という相談は毎年のように出てきます。前期が1年に満たない場合(設立初年度など)は、確定消費税額を月数按分して12か月分に換算してから判定する点にも注意が必要です。






中間申告の回数と計算方法の早見表|48万円・400万円・4,800万円が分岐点
中間申告の回数は、前期の確定消費税額(国税分)に応じて年1回・年3回・年11回の3段階に分かれます。各回の国税の納付額は、前期の確定消費税額に「6/12」「3/12」「1/12」を掛けて計算します(No.6609)。
| 前期の確定消費税額(国税分) | 中間申告の回数 | 1回あたりの国税 | 1回あたりの地方消費税 |
|---|---|---|---|
| 48万円以下 | 原則なし(任意の中間申告は可) | — | — |
| 48万円超〜400万円以下 | 年1回 | 前期確定税額 × 6/12 | 中間国税額 × 22/78 |
| 400万円超〜4,800万円以下 | 年3回 | 前期確定税額 × 3/12 | 中間国税額 × 22/78 |
| 4,800万円超 | 年11回 | 前期確定税額 × 1/12 | 中間国税額 × 22/78 |
地方消費税の中間納付額は国税額の22/78で求める
地方消費税(譲渡割)の中間納付額は、中間納付する国税額に22/78を掛けて求めます。標準税率10%の内訳が国税7.8%・地方2.2%であるためで、2.2 ÷ 7.8 = 22/78 という関係です。納付書には国税と地方消費税を分けて記載し、合計額を納めます。






【自動計算シート】前期の確定消費税額を入れるだけで納付額がわかる
ここからが本題です。下の入力欄に前期の確定消費税額(国税分)を入れると、回数・1回あたりの国税・地方消費税・合計・年間の中間納付総額がその場で表示されます。入力した内容がどこかに送信されることはありません。
中間納付額シミュレーター
前期の確定消費税額を入れて、その場で計算する
確定申告書の「差引税額」=国税分の年税額を入力してください(地方消費税は含めません)。
| 中間申告の回数 | |
| 1回あたりの国税(端数処理前) | |
| 1回あたりの国税(100円未満切捨て後) | |
| 1回あたりの地方消費税(端数処理前) | |
| 1回あたりの地方消費税(100円未満切捨て後) | |
| 1回あたりの納付合計 | |
| 年間の中間納付総額 |
国税庁タックスアンサー No.6609「中間申告の方法」の計算方法に基づく概算です。国税を100円未満切捨て→その金額に22/78を掛けて再び100円未満切捨て、の順で計算しています。仮決算による中間申告を行う場合の金額は別途実額計算になります。
端数処理は「国税を切り捨ててから地方消費税」の順で
中間納付税額は100円未満の端数を切り捨てます。上の計算ツールで「端数処理前」と「切捨て後」を分けて表示しているのはこのためです。ここで実務上のつまずきになるのが、切り捨てる順序です。
| 手順 | 計算 | 前期の国税1,200万円・年3回の例 |
|---|---|---|
| ① 国税を計算して切り捨てる | 前期確定税額 × 3/12 → 100円未満切捨て | 3,000,000円 |
| ② ①の金額から地方消費税を計算して切り捨てる | 切捨て後の国税 × 22/78 → 100円未満切捨て | 846,153.8円 → 846,100円 |
| ③ 合計する | ① + ② | 3,846,100円 |
会計事務所の実務でも、電卓で出した金額をそのまま納付書に書いてしまい、後日の照合で差異が出るケースがあります。丸めるのは「国税」と「地方消費税」の2回、それぞれ100円未満まで——この順序さえ守れば、税務署から届く「消費税及地方消費税の中間申告のお知らせ」の金額と一致するはずです。一致しない場合は、判定に使った前期の確定消費税額が修正申告等で動いていないかを確認してください。
CASE 1
前期の国税 60万円
年1回/国税 300,000円+地方 84,600円
=1回 384,600円
CASE 2
前期の国税 1,200万円
年3回/国税 3,000,000円+地方 846,100円
=1回 3,846,100円(年3回)
CASE 3
前期の国税 40万円
48万円以下のため義務なし
届出をすれば任意の中間申告が可能






※広告(アフィリエイトリンクを含みます)
中間納付額の予測まで、日々の記帳から自動で
中間納付の判定に使う「前期の確定消費税額」は、日々の記帳と税区分が正確でなければ出てきません。マネーフォワード クラウド会計なら、銀行・カードの明細を自動で取り込み、消費税の税区分を仕訳ごとに管理できるため、期中でも消費税額の見込みを把握しやすくなります。
マネーフォワード クラウド会計を見る →中間申告・納付の期限はいつ?個人事業者と法人のカレンダー
中間申告の期限は「各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2か月以内」です。申告期限と納付期限は同じ日で、この日までに申告書の提出と納付の両方を済ませます(No.6609)。
| 区分 | 中間申告の対象期間 | 申告・納付期限 |
|---|---|---|
| 個人事業者(年1回) | 1月1日〜6月30日 | 8月31日 |
| 個人事業者(年3回) | 1〜3月/4〜6月/7〜9月 | 5月31日/8月31日/11月30日 |
| 3月決算法人(年1回) | 4月1日〜9月30日 | 11月30日 |
| 3月決算法人(年3回) | 4〜6月/7〜9月/10〜12月 | 8月31日/11月30日/翌2月28日 |
| 12月決算法人(年1回) | 1月1日〜6月30日 | 8月31日 |
年11回のときは最初の数か月分の期限がずれる
年11回の場合は取扱いが少し特殊で、個人事業者は1月分〜3月分をまとめて5月末日、4月分〜11月分はそれぞれ対象期間の末日の翌日から2か月以内が期限になります。法人の年11回も、最初の1か月分は期首から2か月を経過した日から2か月以内という形で後ろにずれます。
前期の国税分の年税額が確定した時点で、翌期の回数と各回の納付額は決まります。計算シートに入力して金額を出しておきます。
個人事業者の年1回なら8月31日、3月決算法人の年1回なら11月30日。出金予定として先に押さえます。
e-Tax・金融機関・ダイレクト納付などで納付します。納付が遅れると延滞税の対象になります。






中間申告の納付書はいつ届く?届かないときの対応と電子納税のすすめ
消費税の中間申告については、対象者に「中間申告書兼納付書」が税務署から送付されます。法人税の予定申告分の納付書が令和6年5月以降、e-Taxで申告書を提出している法人やダイレクト納付等を利用している法人への事前送付を取りやめたのに対し、消費税の中間申告分は当分の間、引き続き送付する取扱いとされています(国税庁「納付書の事前送付に関するお知らせ」)。
届く前提で待つのは危険——納税義務は通知と関係なく発生する
ただし、この送付を当てにしてはいけません。理由は3つあります。
理由 1
e-Taxによる申告が義務化されている法人は、送付の対象から除かれています。
理由 2
移転後の住所変更届の提出漏れ、郵便の遅延・紛失で手元に届かないことがあります。
理由 3
そもそも納税義務は法律で発生します。書類が届かなくても、期限に遅れれば延滞税の対象です。
取扱いは今後変更される可能性もあります。前期の確定申告が終わった時点で中間納付額と期限を自分で確定させ、カレンダーに入れておく——これがいちばん確実な備えです。この記事の計算ツールは、まさにそのために使ってください。






銀行窓口に紙を持参する納付は、そろそろ卒業してよい
納付書が手元にあっても、金融機関や税務署の窓口に持参する必要はありません。移動時間と窓口の待ち時間がかかるうえ、平日日中しか動けません。同じ納税でも、電子的な方法なら数分で完了します。
| 納付方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| ダイレクト納付(e-Tax) | 事前に届出た預貯金口座から即時または期日指定で引落し。手数料なし | 毎期の中間納付がある事業者。期日指定でうっかり忘れを防げる |
| インターネットバンキング(Pay-easy) | ネットバンキングやATMから納付。手数料なし | すでにネットバンキングを使っている法人・個人事業者 |
| クレジットカード納付 | 24時間可能だが決済手数料は自己負担 | 資金繰りを少し先送りしたいとき |
| スマホアプリ納付・コンビニ納付(QRコード) | 少額向け(上限あり) | 金額が小さい個人事業者 |
| 振替納税(個人事業者) | 口座振替。事前の届出が必要 | 個人事業者で毎回の手続きを省きたい場合 |
| 金融機関・税務署の窓口 | 移動と待ち時間が必要。平日日中のみ | 電子的手段が使えない場合の最終手段 |
会計事務所の実務でも、中間納付が年3回・年11回とある事業者ほど電子納税の効果は大きくなります。特にダイレクト納付は期日を指定して予約できるため、期限当日に手が空いていなくても納付が完了します。年11回の対象になっている法人が窓口へ通うのは、それだけで年11日分の移動時間を捨てているのと同じです。






売上が落ちた年は「仮決算による中間申告」で納めすぎを防げる
仮決算による中間申告とは、中間申告の対象期間を1つの課税期間とみなして実際に計算し、その税額で申告・納付する方法です。前期実績(6/12など)で計算した金額が、今期の実態に比べて重すぎるときの選択肢になります。
向いているケース
前期より売上が大きく落ちた/設備投資で仕入税額控除が大きい/主要取引先を失った
コスト
対象期間分の課税売上・課税仕入を確定申告と同じ精度で集計する手間がかかる
注意点
仮決算の計算結果がマイナスでも、中間申告での還付は受けられない(税額はゼロ止まり)
仮決算は期限内提出が条件——あとから切り替えはできない
仮決算を選ぶ場合は、期限までに仮決算による中間申告書を提出する必要があります。期限を過ぎると前期実績による中間申告書の提出があったものとみなされるため、「あとから仮決算に切り替える」ことはできません。使うと決めたら、対象期間の集計スケジュールを逆算して組んでおくのが実務上のコツです。






前期48万円以下でも使える「任意の中間申告制度」という選択肢
前期の確定消費税額が48万円以下で中間申告の義務がない事業者でも、届出をすれば自主的に年1回の中間申告・納付ができます。これが国税庁タックスアンサー No.6611「任意の中間申告制度」で案内されている制度です。
使うには「任意に中間申告書(年1回)を提出する旨を記載した届出書」を提出します。届出書を提出した日以後、最初に末日が到来する6月中間申告対象期間から適用されます。納付額は前期の確定消費税額の6/12(+地方消費税22/78)で、義務がある場合と同じ計算です。
やめたい場合は取りやめの届出書を出しますが、中間申告書を期限までに提出しなかったときは、その6月中間申告対象期間の末日に「適用をやめようとする旨の届出書の提出があったものとみなされる」点も押さえておきたいところです。うっかり出し忘れても延滞のペナルティが積み上がる仕組みではありません。






中間納付したときの仕訳と、確定申告での精算・還付
中間納付した消費税は前払いなので、確定申告で年税額から差し引いて精算します。仕訳は税抜経理か税込経理かで変わります。
| 経理方式 | 中間納付時の仕訳 | 決算時の扱い |
|---|---|---|
| 税抜経理 | (借)仮払消費税等 384,600 /(貸)普通預金 384,600 ※「仮払金」「未収消費税等」で処理する場合もあり | 仮受消費税等と仮払消費税等を相殺し、差額を未払消費税等(または未収消費税等)へ振替 |
| 税込経理 | (借)租税公課 384,600 /(貸)普通預金 384,600 | 年税額との差額を未払消費税等として計上(損金算入時期に注意) |
納めすぎた分は確定申告で還付される
年税額より中間納付額のほうが多かった場合、差額は確定申告で還付されます。売上が急減した年や大きな設備投資をした年に起こりやすいパターンです。還付があると税務署から問い合わせを受けることもあるため、根拠となる請求書・契約書はすぐ出せるようにしておくと安心です。






よくある質問(FAQ)
- 中間申告書を提出しなかった場合はどうなりますか?
-
前期実績による中間申告書の提出があったものとみなされます。したがって申告書の提出漏れ自体が直ちに加算税につながるわけではありませんが、納付が期限に遅れれば延滞税の対象になります。なお、仮決算による中間申告を選びたい場合は期限内の提出が必要で、提出しないと前期実績によることになります。
- 中間申告の判定に使う48万円は、税込みの金額ですか?
-
税込・税抜の区別ではなく、地方消費税を含まない「国税分の確定消費税額」で判定します。前期の確定申告書の差引税額(年税額)を確認してください。地方消費税を含めた納付合計額で判定すると、対象の有無を誤ることがあります。
- 中間申告の納付書はいつ届きますか?届かない場合は?
-
消費税の中間申告分については、対象者に「中間申告書兼納付書」が送付される取扱いが続いています(e-Taxによる申告が義務化されている法人は除かれます)。一般に対象期間の終了後、期限の1〜2か月ほど前に届くことが多いものの、住所変更届の提出漏れや郵便事情で届かないこともあります。納税義務は書類の到着とは関係なく発生するため、届かない場合でも自分で金額を計算し、e-Taxのダイレクト納付やインターネットバンキングで期限までに納付するのが確実です。
- 中間納付額が納付書に印字された金額と数百円ずれます。
-
100円未満の端数処理が原因であることが多いです。中間納付税額は100円未満を切り捨てて計算します。本記事の計算ツールでは、国税を切り捨ててからその金額に22/78を掛け、再度切り捨てる順序で処理しています。それでも差が残る場合は、判定に使った前期の確定消費税額が修正申告や更正で変わっていないかを確認してください。
- 課税事業者になった1年目でも中間申告は必要ですか?
-
中間申告は「直前の課税期間の確定消費税額」を基準に判定するため、課税事業者になった最初の課税期間は基準となる前期の確定消費税額がなく、原則として中間申告の対象になりません。2年目以降、前期の確定消費税額が48万円を超えたときから対象になります。
- 中間納付した消費税は経費になりますか?
-
税込経理を採用している場合は租税公課として損金(必要経費)になります。税抜経理の場合は仮払消費税等などの資産科目で処理し、決算で仮受消費税等と精算するため、それ自体は損益に影響しません。採用している経理方式に合わせた処理が必要です。
まとめ|中間申告は「前期の国税額」から逆算して資金繰りに組み込む
地方消費税を含めない金額で48万円超かどうかを判定します。
48万円超=年1回、400万円超=年3回、4,800万円超=年11回。国税は6/12・3/12・1/12、地方消費税は国税額の22/78です。
対象期間の末日の翌日から2か月以内。個人事業者の年1回なら8月31日です。
期限内提出が条件で、あとからの切り替えはできません。
納めすぎた分は確定申告で還付されます。



あわせて読みたい
イザークコンサルティング
記事執筆代行・Web/LP制作
公認会計士試験合格者が、専門性とSEOを両立した記事制作と、WordPress×SWELLのWeb/LP制作までワンストップで対応します。
▶ 記事執筆代行を見る
▶ Web・LP制作を見る


コメント