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📌 この記事でわかること
- 従業員・役員・取引先・抽選の当選者・未配布分ごとの、科目と源泉徴収と消費税の区分表(早見表)
- 商品券が創業記念品の非課税にならない理由を、国税庁の質疑応答事例の原文で確認
- 役員に配った分が損金に入らない理由と、取引先に配った分に飲食費の1万円基準が使えない理由
- ギフトカードの購入が非課税仕入れになり、仕入税額控除できない根拠(消費税法別表第二)
- 2,000円券80枚を配る設例での、購入時・配布時・期末の仕訳
- 誰にいくら配ったかを残す配布台帳の項目と、配布前から決算までの手順チェックリスト
対象読者:周年記念やイベントでギフトカードを配った会社の経理・総務担当者/読了の目安:約15分
周年記念の式典や抽選キャンペーンでギフトカードを配ると、決算で「これは何費か」「源泉徴収は要るのか」「消費税は控除できるのか」が一度に出てきます。結論から言うと、従業員に配った分は給与として課税され、取引先に配った分は交際費になり、券そのものの購入は消費税の仕入税額控除ができません。この記事は、商品券・ギフトカードを相手別に区分する部分に絞りました。交際費の損金不算入額の計算は交際費の損金不算入額の計算と別表十五の書き方で、飲食費の1万円基準は交際費と会議費の違い・仕訳例1人1万円基準の書類要件で解説済みなので、ここでは繰り返しません。
この記事の基準日
2026年11月時点の法令と、国税庁の質疑応答事例・タックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令等に基づくもの)で確認しています。設例の金額は説明用の架空の数字です。個別の取扱いは、事実関係で変わることがあります。
周年記念で配る商品券・ギフトカードの税務は相手別の区分表で決まる
同じ2,000円のギフトカードでも、渡す相手で科目と源泉徴収が変わります。消費税は相手に関係なく、券の購入が非課税のため、仕入税額控除はできません。
この記事で使う設例(架空)
創業20周年を記念して、2,000円分のギフトカードを80枚用意した会社を例にします。配った先は、従業員36名、役員1名、取引先24社、SNSの抽選キャンペーンの当選者4名で、残り15枚は期末まで金庫にあります。券のほかに、デザイン代と発行手数料として税抜24,000円の請求がありました。
相手別の区分表(科目・源泉徴収・消費税)
| 渡す相手 | 税務上の位置づけ | 会社側の科目 | 源泉徴収 | 法人税の損金 | 消費税(券面分) |
|---|---|---|---|---|---|
| 従業員 | 給与(現物給与)。創業記念品の非課税は使えない | 給料手当(制作費分は福利厚生費) | 必要。同じ時期に支払う現金の給与等から差し引く | 給与として損金に入る | 非課税仕入れ。控除なし |
| 役員 | 臨時の役員給与 | 役員報酬(臨時)(制作費分は福利厚生費) | 必要。従業員分と同様に計算する | 損金に入らない(法人税法34条1項) | 非課税仕入れ。控除なし |
| 取引先(得意先・仕入先) | 贈答。周年記念の記念品代は交際費 | 交際費 | 通常は不要 | 交際費の損金不算入ルールの対象 | 非課税仕入れ。控除なし |
| 外注先・顧問・関係会社 | 事業関係者への贈答。対価や謝礼の性格が強ければ報酬 | 交際費(報酬なら支払手数料等) | 報酬に当たる場合は要確認 | 同上 | 非課税仕入れ。控除なし |
| 抽選の当選者(不特定多数) | 宣伝的効果を意図する景品 | 広告宣伝費 | 賞金が1回50万円を超える場合のみ、その超える部分が対象。設例は対象外 | 広告宣伝費として損金に入る | 非課税仕入れ。控除なし |
| 期末まで未配布 | 未使用の券は資産 | 貯蔵品 | 不要 | 配るまで費用にならない | 購入時も払出時も控除なし |
券とは別に請求されたデザイン代・台紙代・発行手数料は、課税仕入れとして10%の仕入税額控除の対象になります(請求書の区分が前提)。
配った相手で、科目と源泉徴収が分かれる
以降、各行の根拠を順に確認します。区分表の見方で迷ったら、従業員と役員の行だけは給与課税と損金不算入が別々の論点になる点を押さえてください。
従業員に配る商品券は給与課税|創業記念品の非課税が使えない理由
従業員に配る商品券は、金額にかかわらず給与等として課税されます。創業記念品の非課税の取扱いは、商品券には使えません。
創業記念品が非課税になる3つの要件
国税庁のタックスアンサーNo.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたときは、次の要件をすべて満たす記念品なら給与として課税しなくてよいとしています。
- 支給する記念品が、社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること
- 記念品の処分見込価額による評価額が10,000円(消費税および地方消費税の額を除く)以下であること
- 創業記念のように一定期間ごとに行う行事で支給するものは、おおむね5年以上の間隔で支給するものであること
根拠は所得税基本通達36-22です。ただし同じページに、次の一文があります。
記念品の支給や旅行・観劇への招待費用の負担に代えて現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給与として課税されます。
出典:国税庁 タックスアンサー No.2591
国税庁の質疑応答事例は、創業50周年の商品券を給与課税とした
国税庁の質疑応答事例創業50周年を記念して従業員に支給した商品券は、全従業員に一律1万円分の商品券を支給した会社の照会に、「給与等として課税の対象になります」と回答しています。理由は次のとおりです。
照会のように、会社の創業記念として商品券の支給が行われる場合、その支給を受けた各従業員は当該商品券と引き換えに、商品を自由に選択して入手することが可能となりますので、商品券の支給については金銭による支給と異ならないといえます。
出典:国税庁 質疑応答事例「創業50周年を記念して従業員に支給した商品券」
理由は「換金できるから」ではなく、「商品を自由に選べて、金銭による支給と異ならないから」です。カタログギフトのように本人が自由に選べる形も、同じ考え方でその価額が給与として課税されます。
1万円以下でも、前回の記念支給から5年以上空いていても課税される
1万円以下の少額なら大丈夫だろうと考えやすい場面です。しかし、金額と間隔の要件が満たされていても、商品券は「記念品」ではなく金銭と同じに扱われるため、前提の段階で外れます。設例の2,000円券も、前回の記念支給から5年以上空いていても、従業員36名分の72,000円は給与です。
創業記念品が非課税になるかの判定
非課税にしたいなら、商品券ではなく、会社が選んだ現物の記念品を渡します。その場合も、処分見込価額が税抜1万円以下で、社会通念上ふさわしいものであることが前提です。
ギフトカードの源泉徴収|従業員分は源泉徴収が必要、役員分は損金不算入
一回きりの周年記念で配る商品券は、給与として源泉徴収が必要です。現物の支給なので、同じ時期に支払う現金の給与等から所得税を差し引きます。役員分も源泉徴収は同じですが、法人税では損金に入りません。根拠は所得税法36条と183条です。
従業員分は給与として源泉徴収する
所得税法36条2項は、金銭以外の経済的利益の価額を、その利益を享受する時における価額で見ると定めています。配った日に、券面額の経済的利益を受けたことになります。給与等の支払をする者は、その支払の際に所得税を徴収し、翌月10日までに納付します(同法183条1項)。
臨時に支給するものなので、源泉徴収の計算では賞与として扱う考え方があります(所得税基本通達183-1の2)。どの税額表で計算するかは、給与計算の担当者や税理士に確認してください。商品券は現物なので、徴収する所得税は、同じ時期に支払う現金の給与等から差し引きます。12月までに処理すれば、年末調整で精算できます。納期の特例を受けている会社の納付時期は源泉所得税の納期の特例とはを確認してください。社会保険料の対象になるかは、支給の頻度や性質で扱いが分かれるため、社労士か年金事務所に確認します。
決算の確認では、給与課税の対象者を決めるために、出席簿や配布リストの雇用区分を見ます。従業員として数えられていた方が、実際は外注先だったことがありました。外注先を従業員に含めると、給与課税と源泉徴収を誤って行うことになります。従業員か外注先かは、配る前に名簿で決めておくと安全です。
役員分は臨時の給与で、法人税の損金に入らない
法人税法34条1項は、役員に支給する給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれにも当たらないものを損金に入れないと定めています(No.5211 役員給与の損金不算入)。周年記念の席で役員に1枚渡すような臨時の支給は、いずれにも当たらないため、金額が小さくても損金不算入です。
所得税では従業員と同じく給与等として源泉徴収の対象になります。損金に入らないのは法人税だけの話なので、会社の税金は、この分の利益に課税されます。役員報酬全般の考え方は役員報酬の損金算入条件と実務を参照してください。
取引先に配るギフトカードは交際費|飲食費の1万円基準は使えない
取引先への贈答は交際費です。1万円基準は飲食費だけが対象なので、ギフトカードには使えず、1円から交際費に入ります。
周年記念の記念品代は、通達でも交際費等に含まれる
交際費等は、得意先や仕入先など事業に関係のある者への接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用です(租税特別措置法61条の4)。国税庁の措置法通達61の4(1)-15は、原則として交際費等に含まれる費用の例として、次を挙げています。
会社の何周年記念又は社屋新築記念における宴会費、交通費及び記念品代
出典:国税庁 措置法通達61の4(1)-15(1)
損金に入る範囲は法人の区分で変わる
飲食費の1万円基準(令和6年4月1日以後の支出分)は、飲食等のために要する費用を、参加者数で割った金額で判定します。ギフトカードは飲食費ではないので判定の対象外です(No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算)。損金に入る範囲は、期末の資本金の額で次のように変わります。
| 法人の区分 | 損金不算入額の考え方 | ギフトカードの扱い |
|---|---|---|
| 資本金1億円以下の法人など | 次のどちらか有利な方。①接待飲食費の50%を超える部分、②年800万円(定額控除限度額)を超える部分 | 定額控除の範囲内なら損金に入る |
| 資本金1億円超100億円以下の法人 | 接待飲食費の50%を超える部分 | 飲食費ではないので、全額が損金に入らない |
| 資本金100億円超の法人 | 交際費等の全額 | 全額が損金に入らない |
国税庁タックスアンサー No.5265(令和8年4月1日現在)に基づく整理です。通算法人などの例外は省略しています。
設例の取引先24社分は、券面48,000円と制作費の按分7,200円を合わせた55,200円で、中小法人なら年800万円の枠に収まります。ただし、他の交際費と合算で判定するため、1年分を通して確認します。
外注先・顧問・出演者に渡すときは、交際費か報酬かを分ける
外注先や顧問、関係会社の方も、事業に関係のある者への贈答なら交際費です。一方で、講演や出演など、役務の対価として渡すなら報酬や支払手数料の性格が強くなり、報酬に当たる場合は源泉徴収の要否を確認する必要があります。手土産程度の謝礼なのか、役務の対価なのかは、事前の約束や金額の水準で分かれるため、迷う場合は税理士に確認します。
配った相手と金額を、日々の仕訳に残すなら
贈答の相手や金額は、仕訳の取引先やメモに入れておくと、決算で配布台帳と突き合わせるのが楽になります。「マネーフォワード クラウド会計」は、日々の仕訳と決算の作業をまとめて進められる会計ソフトです。
マネーフォワード クラウド会計を見る →抽選・懸賞で配る商品券は広告宣伝費、期末の未配布分は貯蔵品
不特定多数への宣伝的効果を意図した景品は広告宣伝費です。期末までに配っていない券は、費用にせず貯蔵品として残します。
SNSの抽選キャンペーンの景品は広告宣伝費になり得る
措置法通達61の4(1)-9は、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するものは広告宣伝費の性質を有するとして、交際費等に含めないとしています。例示は、製造業者や卸売業者が抽選で一般消費者に金品を交付する費用などです。自社の業種や渡し方がこの例示に当たるかは、募集の告知内容と当選者の決め方で判断します。
後から説明できるよう、募集告知の画面、応募条件、当選者の抽選記録、発送や連絡の記録を残します。景品表示法の景品類の上限も、別に確認が必要です。特定の人への協力のお礼として渡す分は、抽選とは別に交際費か報酬で区分します。
当選者への源泉徴収は、広告宣伝のための賞金に限って問題になります。所得税法204条1項8号と205条2号は、広告宣伝のための賞金を源泉徴収の対象とし、金銭以外で支払う場合はその価額で計算するとしています。所得税法施行令322条は、同一人に1回に支払われる金額から50万円を控除した残額に10%の税率を乗じるとしています(復興特別所得税を含めると10.21%です)。そのため、設例の2,000円のように1回の賞金が50万円以内なら、源泉徴収は生じません。
期末に残った券は貯蔵品で資産計上する
金庫にある未使用の券は、購入時に費用にせず貯蔵品として資産に計上します。配った時点で給与、交際費、広告宣伝費に振り替えます。収入印紙や切手の期末振替と同じ考え方で、貯蔵品の仕訳でも整理しています。決算日には、金庫の券を実際に数えて、有高表の残枚数と一致するか確認します。
商品券の消費税は非課税仕入れ|仕入税額控除できない理由
ギフトカードの購入は消費税が非課税で、課税仕入れにならないため、仕入税額控除はできません。控除できるのは、券とは別に請求された制作費や手数料などの課税仕入れの部分です。
物品切手等の譲渡は非課税(別表第二第4号ハ)
消費税法の別表第二第4号ハは、次のものの譲渡を非課税としています。
物品切手(商品券その他名称のいかんを問わず、物品の給付請求権を表彰する証書をいい、郵便切手類に該当するものを除く。)その他これに類するものとして政令で定めるもの
出典:消費税法 別表第二 第4号ハ
国税庁のNo.6229 商品券やプリペイドカードなども、商品券、ギフト券、旅行券、プリペイドカードの譲渡は物品切手等の譲渡として非課税としています。購入した段階では課税仕入れに該当せず、後日、その券で実際に商品を購入したり役務の提供を受けたりした時に課税仕入れになります。質疑応答事例「物品切手等の購入費用」でも同じ整理です。
帳簿のみで控除できる例外は、人に贈る券には使えない
例外として、券面に適格簡易請求書の記載事項があり、引換給付の際に適格請求書発行事業者が回収する券は、購入時に課税仕入れとして計上し、帳簿の保存だけで控除できます。購入時に課税仕入れとする経理は、継続して行っていることが条件です(消費税法基本通達11-3-7、国税庁の通達本文)。ただし、この取扱いの対象は、その券で自ら引換給付を受ける買手です。従業員や取引先に配る券は、会社が自分で引換えを受けないので、この例外には当たらず、会社側の仕入税額控除はありません。
制作費・台紙代・発行手数料は課税仕入れ
オリジナルのデザインや台紙、発行手数料、納品費用は、券とは別の役務の提供なので、課税仕入れとして仕入税額控除の対象になります。設例では税抜24,000円、消費税2,400円です。請求書に券面額と制作費が区分して書かれているかを確認し、区分がない場合は、請求元に内訳を出してもらいます。ギフトカード本体まで課税仕入れに入れると、仮払消費税が過大になります。非課税と不課税の違いは、消費税の非課税・不課税・免税の違いとはで整理しています。
周年記念でギフトカードを配ったときの仕訳例|2,000円券80枚の場合
設例の80枚(券面160,000円)を、購入から期末まで仕訳にすると次のとおりです。税抜経理で、代金は後日払いとします。制作費24,000円は、簡便的に枚数で按分し、1枚あたり300円を券面の付随費用として貯蔵品に含めます。
購入時:券と制作費は貯蔵品、消費税は仮払消費税
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 貯蔵品(ギフトカード80枚=券面160,000+制作費24,000) | 184,000 | 未払金 | 186,400 |
| 仮払消費税(制作費の10%) | 2,400 |
借方の合計も186,400円で一致します。ギフトカード本体の購入には消費税がかからないため、仮払消費税は制作費の分だけです。払出単価は、184,000円÷80枚=2,300円(券面2,000円+制作費300円)です。給与課税の対象になるのは券面額2,000円で、制作費は含めません。
購入代金のうち、消費税を控除できる部分
配布時:相手別に貯蔵品から振り替える
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給料手当(従業員36名×券面2,000円) | 72,000 | 貯蔵品(37枚×2,300円) | 85,100 |
| 福利厚生費(従業員・役員37名×制作費300円) | 11,100 | ||
| 役員報酬(臨時・役員1名×券面2,000円) | 2,000 | ||
| 交際費(取引先24社×2,300円) | 55,200 | 貯蔵品(24枚×2,300円) | 55,200 |
| 広告宣伝費(当選者4名×2,300円) | 9,200 | 貯蔵品(4枚×2,300円) | 9,200 |
借方は72,000+11,100+2,000+55,200+9,200=149,500円、貸方は85,100+55,200+9,200=149,500円で一致します。従業員・役員分に対応する制作費は、給与ではなく社内向けの費用として福利厚生費に入れる整理です。金額が小さければ、制作費全体を交際費に一括する簡便的な扱いもあり得ますが、いずれも継続して同じ方法で処理します。給料手当と役員報酬の源泉徴収分は、預り金に計上して翌月10日までに納付します。
貯蔵品184,000円の行き先
期末:未配布15枚は貯蔵品のまま残す
残りの15枚は、貯蔵品34,500円(15枚×2,300円)として貸借対照表に残ります。80枚のうち、従業員36、役員1、取引先24、当選者4、残15の合計が80枚です。払出額149,500円と残高34,500円の合計が、購入額184,000円に一致することを確かめます。
商品券の配布記録は誰にいくら渡したかで残す|台帳と手順チェックリスト
配布記録は、配った日付、相手、枚数、事由を1行ずつ残します。給与課税、交際費、使途秘匿金のすべての判断が、この台帳から決まります。
配布台帳に残す項目
| 項目 | 書き方の例 | 何のために使うか |
|---|---|---|
| 配布日 | 配布した日 | 給与課税の月(源泉徴収の時期)を決める |
| 区分 | 従業員/役員/取引先/外注先/当選者 | 科目と源泉徴収の要否を決める |
| 氏名または名称 | 従業員A、取引先B社(実際は実名) | 相手方の氏名等の記載。給与の対象者名簿にもなる |
| 住所または所在地 | 取引先の所在地、個人は住所 | 相手方の氏名等に含まれる項目。使途秘匿金の判定に使う |
| 枚数・券面額・券番号 | 2,000円×1枚、券番号 | 有高表と貯蔵品残高の突合 |
| 事由・関係 | 創業20周年の記念、得意先 | 交際費か広告宣伝費かの判断資料 |
| 受領確認・承認者 | 受領日、承認者名 | 紛失や個人の判断での配布の防止 |
配布リストと有高表の枚数を突き合わせると、部署別の配布リストが、配った枚数の一部しか説明していないことがあります。実際の確認で、経営層が取引先へ配った分の配布先リストが見つからない例がありました。配布先が分からない分は、取引先への贈答と言い切れず、役員個人への給与と見られる余地が残ります。
相手方の氏名等を残さないと、使途秘匿金のリスクがある
租税特別措置法62条は、法人がした金銭の支出(贈与などのためにする金銭以外の資産の引渡しを含む)のうち、相当の理由がなく、相手方の氏名等(氏名または名称、住所または所在地、その事由)を帳簿書類に記載していないものを使途秘匿金とし、その支出額に40%を乗じた金額を法人税に加算すると定めています。配布台帳で相手を記録していれば、通常は問題になりにくい規定です。
配布で起きやすい、よくある失敗・ミス3選
- 従業員と外注先の取り違え:外注先を給与課税の対象に含めたり、従業員を交際費にしたりする
- 配布先の記録漏れ:経営層や部署が個別に配った分の相手が分からず、役員個人への給与と見られる余地が残る
- 券の購入時の処理:ギフトカード本体を課税仕入れに入れる、または未配布分まで購入時に費用にする
配布前から決算までの手順チェックリスト
配る前に、相手の区分と台帳の様式を決める
従業員、役員、取引先、外注先、当選者に分け、外注先を従業員に含めないよう雇用区分を名簿で確認します。
配る日に、台帳へ相手と枚数を記入する
経営層や部署が配る分も、配布先を別表にして台帳へ集約します。受領の確認も取ります。
配った時期に、従業員分と役員分を給与として源泉徴収する
給与計算の担当者へ、氏名、券面額、配布日を渡し、計算した所得税を、同じ時期の現金の給与等から差し引きます。
決算日に、金庫の枚数を数えて台帳と有高表を突合する
残りは貯蔵品、配った分は科目別に振り替え、差があれば原因を調べます。
よくある質問(FAQ)
- 2,000円分の商品券でも、従業員に配ったら給与課税になりますか?
-
なります。国税庁の質疑応答事例は、創業50周年で全従業員に一律1万円分の商品券を支給した場合を「給与等として課税の対象になります」と回答しています。創業記念品の非課税の取扱い(所得税基本通達36-22)は、記念品そのものに限られるためです。金額が1万円以下でも、商品券は対象外です。
- 役員だけにギフトカードを配った場合は、どう処理しますか?
-
役員への臨時の給与として扱います。定期同額給与にも事前確定届出給与にも当たらないため、法人税法34条1項により損金に入りません。所得税では給与等として源泉徴収の対象になります。使用人兼務役員で、使用人としての職務に対するものと整理できる場合は別なので、個別に確認してください。
- 取引先に配ったギフトカードにも、飲食費の1万円基準は使えますか?
-
使えません。1人1万円以下の飲食費を交際費から除く取扱いは、飲食等のために要する費用が対象です。ギフトカードは飲食費ではないので、金額にかかわらず交際費に入ります。中小法人なら年800万円の定額控除の範囲で損金に入ります。
- ギフトカードを買ったときの消費税は、仕入税額控除できますか?
-
券そのものの購入分はできません。物品切手等の譲渡は非課税なので、購入した段階では課税仕入れになりません。控除の対象になるのは、デザイン代、台紙代、発行手数料など、券とは別の役務に対する課税仕入れの部分です。
- 配布先のリストがない場合、どんなリスクがありますか?
-
給与として課税すべき分や、役員個人への給与と見られる分が区分できなくなります。相手方の氏名または名称、住所または所在地、事由を帳簿書類に記載していない支出は、相当の理由がなければ使途秘匿金として、支出額の40%が法人税に加算される規定もあります。配った日付、相手(住所・所在地を含む)、枚数、事由を残しておくのが基本です。
- 決算日に配り終えていない券は、費用にできますか?
-
できません。未使用の券は貯蔵品(資産)として残し、配った時点で給与、交際費、広告宣伝費などへ振り替えます。金庫にある枚数を実際に数えて、有高表と一致しているか確認します。
まとめ|ギフトカードを配ったときの処理の順番
渡す相手を、従業員・役員・取引先・当選者・未配布に分ける
科目も源泉徴収も、この区分で決まります。従業員は給与課税(源泉徴収が必要)、役員は臨時の給与で損金不算入、取引先は交際費です。
消費税は、券は非課税仕入れ、制作費は課税仕入れに分ける
ギフトカード本体は、どの科目に落としても仕入税額控除はできません。
配布台帳を残し、決算で貯蔵品と突合する
誰にいくら渡したかが分かれば、給与課税も使途秘匿金の心配も整理できます。
ここまでの区分に迷う配り方があった場合は、税理士に確認してから決算を組むと、後からの修正が少なくなります。
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