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「ソフトウェアを70万円で導入したけど、これって節税に使えるの?」——中小企業投資促進税制を使えば、取得価額70万円以上のソフトウェアで法人税額から直接7%を差し引く「税額控除」を受けられる可能性があります。特別償却との違いが分かりにくく、申告書の書き方で手が止まる方も多い制度です。
本記事では、国税庁タックスアンサー No.5433を一次ソースに、対象になるソフトウェアの基準・税額控除7%の計算方法・申告書「別表六(十四)」の書き方までを、独自試算とあわせて解説します。
ぜいむたん


結論:70万円以上のソフトウェアで誰がいくら得するか
資本金3,000万円以下の法人・個人事業主が70万円以上のソフトウェアを取得し指定事業に使うと、中小企業投資促進税制(措法42の6)により法人税額(または所得税額)から取得価額の7%を直接差し引く税額控除を受けられます。例えば取得価額70万円なら控除額は49,000円です。ただし調整前法人税額の20%が上限で、これを超えた分は1年間繰り越せます。
詳細な要件は国税庁 No.5433「中小企業投資促進税制」で確認できます。以下、対象法人の条件から順に見ていきましょう。






中小企業投資促進税制とは?対象法人の条件
中小企業投資促進税制は、青色申告をしている中小企業者等が機械装置・ソフトウェア等の対象設備を取得して指定事業に使った場合に、特別償却30%か税額控除7%のいずれかを選べる制度です(措置法42条の6)。制度の狙いは、資金力に限りがある中小企業の設備投資を後押しし、生産性向上を促すことにあります。
- 青色申告をしている法人・個人事業主であること
- 資本金1億円以下の中小企業者等(大規模法人に発行済株式の1/2以上を所有されていない等の要件あり)
- 対象設備を取得し、事業年度末までに指定事業の用に供していること
- 個人事業主も対象(青色申告が条件)
指定事業は製造業・建設業・情報通信業・卸売業・小売業・道路貨物運送業・サービス業など広範囲に及びますが、娯楽業(映画業を除く)や性風俗関連特殊営業は対象外です。自社の業種が指定事業に該当するかは、事業年度単位で判定するため、複数事業を営む場合は個別確認が必要です。
なお対象になるのはソフトウェアだけではありません。機械装置(1台160万円以上)、測定工具・検査工具(1台120万円以上)、車両総重量3.5トン以上の貨物運送用普通自動車、内航船舶なども対象設備です。今回はソフトウェアに絞って解説します。






対象になるソフトウェアの基準(70万円以上)
ソフトウェアが本税制の対象になるのは「一のソフトウェアの取得価額が70万円以上」または「その事業年度に事業供用したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上」の場合です。1本単体で70万円に届かなくても、その年に導入した複数のソフトウェアの合計が70万円以上になれば対象になります(国税庁 No.5433でも「一のソフトウエアの取得価額が70万円以上のもの(その事業年度において事業の用に供したソフトウエアの取得価額の合計額が70万円以上のものを含みます。)」と明記されています)。


買い切りソフトとSaaS(サブスク)で扱いが違う
クラウド会計・生産管理システムなどを「買い切り」で自社導入する場合は対象になり得ますが、月額課金のSaaSを利用しているだけでは資産の取得を伴わないため、通常は対象外と判断されます。導入形態(買い切りかサブスクか)を契約書・請求書で確認しておきましょう。






特別償却30%と税額控除7%、どちらが得か
資本金3,000万円以下の法人・個人事業主は特別償却30%と税額控除7%のいずれかを選べますが、税負担を直接減らせるのは税額控除7%です。特別償却は「減価償却費を前倒しで多く計上できる」制度で、耐用年数を通じたトータルの償却額(=税負担軽減額)は変わりません。一方、税額控除は法人税額そのものから差し引かれるため、純粋な税負担の軽減になります。
資本金3,000万円以下で税額控除を選べる会社は、基本的に税額控除7%の方が税負担を軽くする効果は分かりやすい選択肢です。ただし、赤字続きで税額控除の上限(調整前法人税額の20%)を使い切れない場合や、初年度に多く償却して資金繰りを改善したい場合は特別償却が有利なこともあります。自社の利益計画・繰越欠損金の状況を踏まえて、税理士と相談のうえ選択することをおすすめします。






税額控除の計算方法(7%と20%上限・繰越)
税額控除額は「基準取得価額×7%」で計算し、「その事業年度の調整前法人税額×20%」を上限として、いずれか少ない方の金額が実際の控除額になります。上限を超えた分は1年間だけ繰り越せます。
【試算例(仮定の数値)】資本金1,000万円の中小企業が、ソフトウェアを取得価額70万円で導入し、その事業年度の調整前法人税額が120万円だったケースで計算してみましょう。
- 控除限度額:70万円 × 7% = 49,000円
- 控除上限額:120万円 × 20% = 24万円
- 24万円 ≧ 49,000円のため、全額(49,000円)がそのまま税額控除できる
- 結果:この事業年度の法人税額が49,000円軽減される
参考までに、同じ70万円のソフトウェアを特別償却30%で処理した場合は、初年度に21万円(70万円×30%)を上乗せして償却できますが、これはあくまで「償却のタイミングを早める」効果であり、耐用年数トータルの税負担軽減額は変わりません。今回の試算では、税額控除7%(49,000円)の方が法人税額を直接減らす効果として分かりやすい結果になっています。






申告書(別表六(十四))の書き方
税額控除7%を適用するには、確定申告書に「別表六(十四) 中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」を添付する必要があります。特別償却を選ぶ場合は別表十六と適用額明細書での対応になります。記入の流れは、①取得価額 → ②控除限度額(×7%)→ ③控除上限額(×20%)→ ④実際の控除額(少ない方)の順です。


別表六(十四)の記入は4ステップ
上の記入例と対応させながら、実際の記載欄の流れを確認しましょう。
- ①取得価額(欄7・欄10):取得したソフトウェアの取得価額を記入。当期に事業供用したものが対象
- ②控除額(欄11):①×7%を計算し記入(基準取得価額×7%)
- ③控除上限額(欄13):その事業年度の調整前法人税額×20%を記入
- ④税額控除額(欄16):②と③のいずれか少ない金額を記入し、これが当期の税額控除額になる
前期に控除しきれず繰り越した金額がある場合は、別表六(十四)の該当欄に前期繰越額を追記する形で当期分と合算します。記載欄の様式・欄番号は年度によって多少変わることがあるため、提出時は最新の様式・記載要領を国税庁サイトで確認してください。記入内容に不安がある場合は、税理士へ確認したうえで提出することをおすすめします。






注意点(適用期限・対象外・指定事業)
中小企業投資促進税制の適用期限は令和9年(2027年)3月31日までの取得分です。期限間際に取得しても「事業年度末までに事業供用していること」が要件のため、購入だけして稼働させていない場合は対象外になります。
- 複写して販売するための原本・開発研究用ソフトウェア・一部のサーバー用OSは対象外
- 娯楽業(映画業を除く)・性風俗関連特殊営業は指定事業から除外
- 資本金3,000万円超1億円以下の法人は特別償却30%のみ(税額控除7%は選べない)
- 青色申告をしていない事業者は制度そのものが利用できない
- 取得しただけでなく、事業年度末までに事業の用に供している必要がある
適用可否や税額控除・特別償却のどちらを選ぶべきかの判断は、資本金・利益状況・繰越欠損金の有無など個別の事情によって変わります。本記事の内容は一般的な制度説明であり、個別の適用可否・有利選択については税理士にご確認ください。






よくある質問(FAQ)
- 中小企業投資促進税制のソフトウェアは、クラウド利用のSaaSも対象になりますか?
-
対象となるのは自社が資産として「取得」するソフトウェアです。月額利用料を支払うクラウドサービス(SaaS)の利用は、資産の取得を伴わないため、通常は本税制の対象外と考えられます。買い切り型で導入するソフトウェアかどうかを契約内容で確認してください。個別の取扱いは税理士にご相談ください。
- 資本金3,000万円超の中小企業でも税額控除7%は使えますか?
-
使えません。資本金3,000万円超1億円以下の法人は特別償却30%のみ選択でき、税額控除7%を選べるのは資本金3,000万円以下の法人と個人事業主に限られます(国税庁 No.5433)。資本金の額は登記上の金額で判定するため、増資を検討している場合はタイミングにも注意が必要です。
- 税額控除額が調整前法人税額の20%を超えた場合はどうなりますか?
-
控除しきれなかった金額は1年間に限り繰り越すことができます。翌事業年度の調整前法人税額×20%の枠内で、繰越額と当期の控除額を合わせて控除します。ただし繰越できるのは1年のみのため、翌期も枠を使い切れる利益水準かどうかを確認しておくことが重要です。
- 中小企業投資促進税制の適用期限はいつまでですか?
-
令和9年(2027年)3月31日までに対象資産を取得することが必要です(令和7年度税制改正で延長済み)。取得しただけでは足りず、事業年度末までに事業の用に供していることが要件になるため、期限間際の導入はスケジュールに余裕を持って進めることをおすすめします。
まとめ:ソフトウェア取得から申告までの5ステップ
1本単体、または同じ事業年度に導入した複数ソフトウェアの合計で70万円以上かを確認します。複写販売用の原本・開発研究用ソフトは対象外です。
資本金3,000万円以下なら特別償却30%・税額控除7%の両方を選択できます。3,000万円超1億円以下は特別償却30%のみです。業種が指定事業に該当するかも確認しましょう。
調整前法人税額の見込みをもとに、税額控除の上限(×20%)を超えないかを確認したうえで、どちらの措置が自社に合うか試算します。
取得日・事業供用日が分かる契約書・請求書・稼働記録を保管します。期限(令和9年3月31日)までの取得かつ事業供用済みであることが要件です。
取得価額→控除額(×7%)→控除上限(×20%)→実際の控除額(少ない方)の順に記入し、確定申告書に添付します。記入内容に不安がある場合は税理士に確認してもらいましょう。



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