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9月は、算定基礎届による定時決定の新しい標準報酬月額が適用され始める月です。ところが定時決定を終えた直後から、昇給・降給や手当の新設で「これは月額変更届が要るのでは」というケースが次々に出てきます。随時改定は3つの要件を全部満たしたときだけ提出するもので、1つでも欠ければ出しません。
この記事では、日本年金機構が示す3要件をそのまま判定できるツールを用意しました。固定的賃金の変動の向きと等級の動く向きが逆のときは対象外という、実務で最も間違えやすい分岐も組み込んでいます。
ぜいむたん


📌 この記事でわかること
- 随時改定の3要件(固定的賃金の変動・2等級以上の差・支払基礎日数17日以上)の正確な内容
- 3か月の報酬額と支払基礎日数を入れるだけで該当・非該当を判定するツール
- 昇給したのに等級が下がった場合など、2等級差でも対象外になるケース
- 改定月は「変動月から4か月目」という数え方と、定時決定との優先関係
- 2027年9月から厚生年金の標準報酬月額の上限が引き上げられること
随時改定の3要件|1つでも欠ければ提出しない
随時改定は、日本年金機構が示す次の3つをすべて満たしたときに月額変更届を提出します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①固定的賃金の変動 | 昇給または降給等により固定的賃金に変動があったこと |
| ②2等級以上の差 | 変動月以後引き続く3か月の報酬の平均額から算出した標準報酬月額と、従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたこと |
| ③支払基礎日数 | 変動月以後引き続く3か月の報酬の支払基礎日数が、いずれも17日以上であること |
固定的賃金とは何を指すか
固定的賃金は、基本給・役職手当・住宅手当・通勤手当のように支給額または支給率が決まっている賃金です。残業手当や歩合給のように月ごとに変わるものは非固定的賃金にあたります。ポイントは、きっかけになるのは固定的賃金の変動だけで、2等級差の判定に使う平均額には残業手当などの非固定的賃金も含める、という二段構えになっていることです。






支払基礎日数は3か月すべてで17日以上
3か月のうち1か月でも17日未満の月があれば、その時点で随時改定には該当しません。定時決定(算定基礎届)では17日未満の月を除いて平均する扱いがありますが、随時改定は3か月すべてで17日以上が必要という違いがあります。ここを定時決定と同じ感覚で処理すると誤った届出になります。
【自動判定】随時改定に該当するかどうかのツール
従前の標準報酬月額と、変動月からの3か月分の報酬額・支払基礎日数を入れると、3要件をまとめて判定します。等級は厚生年金保険の標準報酬月額(1等級88,000円〜32等級650,000円)で判定しています。
初期値(従前240,000円・9月から昇給・3か月の報酬300,000円/298,000円/305,000円・支払基礎日数31日/30日/31日)で試すと、平均額301,000円・標準報酬月額300,000円・第19等級となり、従前の第16等級から+3等級で該当。同年12月分から改定という結果になります。






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社会保険料の変更を給与と会計で二重管理しない
随時改定は改定月から保険料が変わるため、給与側の変更と会計側の法定福利費がずれやすい論点です。マネーフォワード クラウド会計なら給与データと仕訳が連動し、月次で差異を追いやすくなります。
マネーフォワード クラウド会計を見る →2等級差でも対象外になるケース
ツールに「変動の向き」を入力させているのには理由があります。固定的賃金が増えたのに標準報酬月額が2等級以上下がった場合や、逆に固定的賃金が減ったのに2等級以上上がった場合は、随時改定の対象になりません。典型的なのは、基本給を上げた月に残業がゼロになり、3か月平均としては大きく下がったケースです。
上限・下限にわたる等級変更は1等級差でも対象
年金機構は、標準報酬月額の上限または下限にわたる等級変更の場合は1等級差でも随時改定の対象になるとしています。厚生年金保険の標準報酬月額は現在1等級88,000円から32等級650,000円までで、報酬がこの外側に出る人は等級の刻み方が実質的に変わるためです。役員報酬が高額な会社では、この例外の該当者が毎年出ます。






年間平均で申し立てる方法もある
業務の性質上、特定の時期に報酬が集中して3か月平均が実態と大きく離れる場合は、年間報酬の平均で算定することを申し立てる方法があります。指定の様式による申立書の提出が必要です。繁忙期に昇給が重なる業種では、実態に合わない高い等級で1年間固定されるのを避けられます。
定時決定との関係|9月以降のチェック手順
9月は定時決定による新しい標準報酬月額が適用され始める月です。定時決定と随時改定が重なる場面では、順序を決めて処理します。
昇給・降給、役職手当や住宅手当の新設・廃止、通勤手当の変更、時給や日給の単価改定、給与体系の変更が対象です。残業手当の増減だけの人はここで落とします。
変動後の報酬を初めて受けた月を1か月目として数えます。支給日ベースで数えるため、締め日と支給日がずれる会社は特に注意します。
3か月とも17日以上か、平均額から求めた等級が2等級以上動いたか、向きは合っているかをチェックリストで確認します。
改定は変動月から4か月目です。届出が遅れると保険料の差額をまとめて精算することになり、本人負担分の控除がやりにくくなります。
会計事務所での実務では、9月から11月の間に「4月昇給で7月改定」「7月昇給で10月改定」の2波が来ます。定時決定で入力した新しい標準報酬月額を上書きする形になるため、給与ソフトの反映月を取り違えると、本人負担分の控除額が1か月分ずれたまま気づかないことがあります。
提出は電子申請・郵送・窓口のいずれか
月額変更届は、e-Gov電子申請、電子媒体、郵送、事務センターや年金事務所の窓口で提出します。資本金1億円超の法人など特定の法人は電子申請が義務化されているため、紙で提出しても受理されません。複数人分をまとめて出す会社ほど、電子申請にしておくと改定月の管理が楽になります。






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個人事業主の社会保険料は確定申告で控除する
法人と違い、個人事業主本人の国民健康保険料・国民年金保険料は社会保険料控除として確定申告で差し引きます。マネーフォワード クラウド確定申告なら控除証明書の入力から申告書作成まで一本で進められます。
マネーフォワード クラウド確定申告を見る →よくある質問(FAQ)
- 通勤手当の変更でも随時改定の対象になりますか。
- 通勤手当は支給額が決まっている固定的賃金にあたるため、変更は要件①のきっかけになります。ただし3か月平均で2等級以上の差が生じ、かつ3か月とも支払基礎日数17日以上でなければ該当しません。
- 賞与は3か月の報酬額に含めますか。
- 年3回以下の賞与は標準賞与額として別に扱われ、随時改定の報酬額には含めません。年4回以上支給される賞与は報酬に含めて取り扱われます。
- 昇給が遡って支給された場合、どの月から数えますか。
- 変動後の報酬を初めて受けた月から数えます。遡及差額が支給された月ではなく、変更後の単価による給与を実際に受けた月が1か月目です。差額分の取扱いは日本年金機構や事務センターへ確認してください。
- 2等級以上動いたのに、ツールが「該当しません」と出ます。
- 固定的賃金の変動の向きと等級の変動の向きが逆になっている可能性があります。昇給したのに等級が下がった場合などは随時改定の対象外です。
まとめ
固定的賃金の変動・2等級以上の差・3か月とも支払基礎日数17日以上。1つでも欠ければ提出しません。
変動の向きと等級の動きが逆なら対象外。上限・下限にわたる場合は1等級差でも対象です。
変動後の報酬を初めて受けた月から4か月目の標準報酬月額から改定されます。給与ソフトの反映月を取り違えないようにします。



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