メールで届いた請求書PDFやWebでダウンロードした領収書は、電子取引データとしてデータのまま保存しなければなりません。このとき多くの会社がつまずくのが「検索機能の確保」です。専用システムを入れないと対応できないと思われがちですが、国税庁は索引簿(エクセル等の一覧表)でも要件を満たすと明示しています。
この記事では、索引簿が本当に必要かを判定するツールと、入力するだけで索引簿の行と統一ファイル名を作れるツールを記事内に用意しました。さらに、そのまま業務で使えるExcel索引簿テンプレートと、Word版の事務処理規程ひな形も無料配布します。
📌 この記事でわかること
- 検索要件で必要なのは「取引年月日・取引金額・取引先」の3項目だけだということ
- 2年前の売上高が5,000万円以下なら検索機能の確保そのものが不要になる条件(記事内の判定ツールで確認できます)
- 取引情報を入力するだけで索引簿の行と統一ファイル名を作れる索引簿ジェネレーター(CSVで書き出せます)
- 関数入りExcel索引簿テンプレートとWord版 事務処理規程ひな形の無料ダウンロード
- 索引簿を作らず「ファイル名だけ」で検索要件を満たす方法と、その落とし穴
- 猶予措置(相当の理由)に頼る場合でも、書面だけの保存は認められないこと
ぜいむたん


電子取引データの検索要件とは?必要なのは3項目だけ
電子取引データの検索要件とは、保存したデータを「取引年月日その他の日付」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できる状態にしておくことです。加えて、日付・金額の範囲指定検索と、2項目以上を組み合わせた検索ができることも原則として求められます。
ただし、税務職員からのダウンロードの求めに応じられるようにしている場合は、範囲指定と組み合わせ検索は不要になります。つまり、実務で確保すべきは「3項目で引ける状態」だけ、というのが出発点です。
検索要件を満たす3つの方法(比較表)
| 方法 | やること | 向いている規模 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|
| 索引簿(一覧表) | ファイル名に通し番号を付け、エクセル等で日付・金額・取引先の一覧を作る | 月10〜200件程度 | 入力を溜めると追いつかなくなる |
| ファイル名で対応 | 「日付_取引先_金額」の順にファイル名を統一して保存する | 月数件〜数十件 | 表記ゆれ(株式会社/(株))で検索が漏れる |
| システム・会計ソフト | JIIMA認証の書類保存機能に取り込む | 月200件以上・多拠点 | 月額費用と取込ルールの整備 |
索引簿という方法は、国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】の問19で「受領した請求書等データのファイル名に連番を付して、内容については索引簿で管理する」方法として示されています。問50でも、表計算ソフトで日付・金額・取引先を入力した一覧表を作り、範囲指定と組み合わせ検索ができる状態であれば要件を満たすと明記されています。






【判定ツール】そもそも検索要件の確保は必要?売上5,000万円以下なら不要
結論から言うと、基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の売上高が5,000万円以下の事業者は、検索機能の確保そのものが不要です。条件は、保存しているデータについて税務職員からのダウンロードの求めに応じられるようにしておくことだけです。
また、売上高が5,000万円を超えていても、電子データを出力した書面を「取引年月日その他の日付」と「取引先」ごとに整理して提示・提出できるようにしている場合は、同じく検索機能の確保が不要になります。下のツールで自社がどちらに当てはまるか確認してください。






【索引簿ジェネレーター】入力するだけで索引簿とファイル名を作る
索引簿は、ファイル名に付けた連番と、日付・取引先・金額の一覧を突き合わせる仕組みです。下のツールに取引情報を入力すると、索引簿の行と、そのまま使える統一ファイル名を同時に作ります。行はブラウザ内だけで処理され、CSVとして書き出せます(サーバーには何も送信されません)。






ツールの使い方(3ステップ)
メール添付・ECサイト・クラウド請求書など、入手経路がバラバラでも保存フォルダは1つにまとめます。フォルダを分けるなら取引先ごとにします。
「索引簿に追加」を押すと連番が振られ、推奨ファイル名が出ます。その名前でPDFをリネームして保存します。
月末にCSVをダウンロードし、下記のExcelテンプレートに貼り付ければ、その月の索引簿が完成します。
Excel索引簿テンプレートとWord事務処理規程を無料配布
記事内のツールは、その場で形を確認するためのものです。毎月の運用と、税務調査で提示する体裁を整えるなら、下の2ファイルをそのまま使ってください。会員登録もメールアドレスの入力も不要です。






電子取引データ保存で満たすべき要件の全体像
真実性の確保
タイムスタンプ、訂正削除履歴が残るシステム、または事務処理規程の備え付けのいずれかで対応します。中小企業は規程を選ぶのが現実的です。
可視性の確保
パソコン・ディスプレイ・プリンタ等を備え付け、整然とした形式で速やかに出力できる状態にします。性能や台数の要件はありません。
検索機能の確保
日付・金額・取引先の3項目。索引簿かファイル名で対応でき、売上5,000万円以下などの場合は免除されます。
索引簿を作らず「ファイル名だけ」で検索要件を満たす方法
件数が月に数件なら、索引簿を作らずファイル名だけで対応する方法もあります。国税庁の一問一答(問50)では、税務職員のダウンロードの求めに応じられるようにしたうえで、ファイル名に「取引年月日その他の日付」「取引金額」「取引先」を統一した順序で入力しておけば、検索の条件として設定できるため要件を満たすとされています。
さらに、取引先ごとにフォルダを分けている場合は、そのフォルダ内のファイル名に日付と金額だけを入れておく方法でも要件を満たします。フォルダ名が「取引先」の役割を果たすためです。
| 運用パターン | ファイル名の例 | 判定 |
|---|---|---|
| 1フォルダにまとめる | 20260805_株式会社ABC商事_132000.pdf | 3項目が揃っており要件を満たす |
| 取引先ごとにフォルダを分ける | (ABC商事フォルダ内)20260805_132000.pdf | フォルダ名が取引先を示すため要件を満たす |
| 順序がバラバラ | ABC商事_請求書_8月分.pdf | 金額がなく順序も不統一。要件を満たさない |






猶予措置(相当の理由)に頼る場合の注意点
宥恕措置と猶予措置は何が違うのか
要件どおりの保存が間に合わない場合には、令和5年度税制改正で設けられた猶予措置があります。税務署長が相当の理由があると認め、かつ税務調査等の際に電子データと出力書面の提示等ができる場合には、保存時に満たすべき要件にかかわらずデータを保存できる、というものです。
ここで誤解が多いのが、令和5年12月31日までの「宥恕措置」との違いです。宥恕措置では出力書面だけを保存する対応が認められていましたが、令和6年1月以後の猶予措置では出力書面だけの保存は認められません。電子データそのものも保存し、提示できるようにしておく必要があります。






そもそも何が「電子取引」にあたるのか
電子取引とスキャナ保存の違い
電子取引にあたるかどうかは、取引情報を電磁的方式で授受したかで決まります。紙で受け取ったものをスキャンする「スキャナ保存」とは別の制度で、電子取引データの保存はすべての事業者に義務がある点が違います。
| 電子取引にあたる(データ保存が必要) | 電子取引にあたらない |
|---|---|
| メールに添付された請求書・領収書PDF | 郵送で届いた紙の請求書(スキャナ保存の任意対象) |
| ECサイトやカード会社のサイトでダウンロードした領収書・明細 | 店頭で受け取ったレシート(スキャナ保存の任意対象) |
| 電子契約サービスで締結した契約書 | 口頭のやりとりや社内メモ |
| クラウド請求書サービスやチャットで受け取った請求データ | 見積りの参考資料など取引情報にあたらないもの |
制度全体の整理は【2026年版】電子帳簿保存法の対応ガイド|個人事業主・中小企業が今すぐやるべきことを完全解説で解説しています。紙の領収書とあわせた保管ルールを作りたい場合は【2026年版】領収書の正しい保管方法と経費管理ガイド|電子保存・保存期間・紛失時の対応もあわせてご覧ください。






よくある質問(FAQ)
- 索引簿はエクセルでなくてもいいですか?
- スプレッドシートやAccess、会計ソフトの一覧機能でも構いません。取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態であれば、ソフトの種類は問われません。国税庁の一問一答でも「エクセル等の表計算ソフト」と例示されています。
- 索引簿は毎月作らないといけませんか?
- 作成頻度の定めはありません。ただし、税務調査の場で検索できる状態にしておく必要があるため、実務では月次で更新するのが安全です。件数が少なければ四半期ごとにまとめて入力する運用でも差し支えありません。
- 売上が5,000万円以下でも事務処理規程は必要ですか?
- 必要です。免除されるのは検索機能の確保だけで、改ざん防止措置(タイムスタンプ・訂正削除履歴が残るシステム・事務処理規程のいずれか)は規模にかかわらず求められます。記事内のWordひな形をご利用ください。
- 過去に印刷して捨ててしまったデータはどうすればいいですか?
- まずはメールサーバーやクラウドサービス、取引先のマイページに元データが残っていないか確認してください。復元できたものは索引簿に取り込み、今後の運用を要件に沿った形に切り替えることが優先です。個別の取扱いは税理士にご確認ください。
まとめ:索引簿は「3項目・統一ルール・規程」で完成する
基準期間の売上高が5,000万円以下なら検索機能の確保は不要です。それでも索引簿があると調査対応が早く終わります。
「日付_取引先_金額」の順序を固定します。表記ゆれを防ぐため、取引先名の書き方も決めておきます。
検索要件は索引簿、改ざん防止は事務処理規程で対応します。この2つが揃えば、システムを入れなくても要件を満たせます。



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