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任意継続と国民健康保険どっちが安い?退職後2年の自動計算ツール

※本記事にはアフィリエイトリンク(A8.net経由)が含まれます。

会社を辞めた翌日から、健康保険は自分で選ぶことになります。選択肢は主に3つ。前の会社の健康保険をそのまま2年間続ける「任意継続」、市区町村の「国民健康保険」、そして家族の「被扶養者」に入る道です。

ネット上の比較記事はたいてい「1年目の保険料はどちらが安いか」で話を終えます。ところがこの制度、1年目と2年目でまったく景色が変わります。任意継続の保険料は退職時の標準報酬月額で2年間固定される一方、国民健康保険は前年の所得で毎年計算し直されるからです。独立して収入が落ちた人ほど、2年目に順位が入れ替わります。

しかも令和4年1月の改正で、任意継続を途中でやめて国保に移ることが本人の申出だけでできるようになりました。つまり「1年目は任意継続、2年目から国保」という第4のルートが現実的な選択肢になっています。この記事では、その4ルートを退職後2年分の総額で比べる計算ツールを用意しました。なお、国民健康保険と国民年金の手続き全般は【2026年版】個人事業主の社会保険ガイド|国民健康保険・国民年金の手続きと負担軽減策で解説しているため、本記事は2年総額の比較と乗り換えの判断に絞ります。

記載は2026年9月時点の情報です。保険料率は令和8年度(2026年度)の公表値を使っています。

📌 この記事でわかること

  • 任意継続・国保・1年目だけ任意継続・家族の被扶養者の4ルートを2年総額で比べる自動計算ツール(東京23区・横浜・名古屋・大阪・福岡の令和8年度料率をプリセット、他の自治体は手入力)
  • 協会けんぽの任意継続は標準報酬月額32万円が上限(令和8年度)。ここに当たるかどうかで結論が変わる
  • 令和4年1月から可能になった「任意脱退」で2年目に国保へ乗り換える判断のしかたと、申出の時期
  • 倒産・解雇で辞めた人だけが使える国保の軽減(前年給与所得を100分の30とみなす)の当てはめ方
  • 令和8年4月から加わった子ども・子育て支援金が、任意継続と国保の双方でどう効くか
  • 退職日の翌日から20日という期限を落とすと、任意継続は選べなくなること
目次

結論:任意継続と国民健康保険、どっちが安いかは「2年総額」で分かれる

任意継続と国民健康保険のどちらが安いかは、退職時の給与水準・前年の所得・扶養している家族の人数・住んでいる自治体の4つで決まります。それでも傾向ははっきりしていて、次の3パターンに整理できます。

1

扶養家族が多い人

任意継続は被扶養者が何人いても保険料が増えません。国保は加入者1人ごとに均等割がかかります。家族3〜4人なら任意継続が有利になりやすい領域です。

2

独立して収入が落ちる人

国保は前年所得で決まるため、1年目は高く2年目に大きく下がります。任意継続は2年間ずっと同じ額。2年目で逆転する典型パターンです。

3

倒産・解雇で辞めた人

国保の軽減措置で前年の給与所得が100分の30として扱われます。1年目から国保が圧勝することが多く、任意継続を選ぶ理由が薄くなります。

税理士法人での実務では、法人成りや独立の相談を受けたときに真っ先に確認するのがこの4要素です。とくに「扶養家族が多く、かつ独立後の収入が読めない」ケースは、1年目と2年目で正解が違うため、単年比較のまま任意継続を2年やり切って損をしている人を何度も見てきました。

迷ったら「1年目だけ任意継続」が保険になる

退職直後は独立後の売上が読めません。そこで有効なのが、まず任意継続に入っておき、翌年の所得が確定してから国保に移る形です。任意継続の申請期限は退職日の翌日から20日しかない一方、国保への切り替えは任意継続をやめた後でもできます。期限が短いほうを先に押さえておくという順序です。

任意継続の保険料はどう決まるのか(上限32万円と20日の期限)

任意継続の保険料は「標準報酬月額 × 保険料率」で計算します。在職中は会社と折半していた分が全額自己負担になるため、体感としては給与天引きされていた健康保険料のおよそ2倍になります。

加入できる条件と、落とすと取り返せない20日の期限

全国健康保険協会(協会けんぽ)は、任意継続の要件を「退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あること」「退職日の翌日から20日以内に手続すること」と示しています。過ぎてしまうと任意継続という選択肢そのものが消えます。郵送のときの締切の考え方(消印か到着か)や期限日が休日にあたる場合の扱いは保険者に確認が必要ですが、いずれにせよ余裕はありません。退職日が決まった時点で、健康保険証を返す段取りと同時にカレンダーへ入れておくべき日付です。

任意継続の保険料は日割りになりません。1日でも月をまたぐと、その月は1か月分がまるごとかかります。申出のタイミングは、保険者の窓口で確認してください。

標準報酬月額の上限は令和8年度で32万円

ここが任意継続の肝です。協会けんぽは同じページで「退職時の標準報酬月額が32万円を超えていた場合は、標準報酬月額は32万円で計算します」としています。月給40万円でも60万円でも、任意継続の保険料は32万円ベースで頭打ちになるということです。高収入だった人ほど任意継続の割安感が強くなるのはこの上限のためです。

注意したいのは、この32万円が協会けんぽの数値だという点です。企業の健康保険組合はそれぞれ独自の上限を設けており、組合によっては上限が無い、あるいは30万円台後半ということもあります。健保組合に加入していた方は、退職前に組合へ任意継続の保険料額を直接確認してください。以下のツールも、組合独自の上限がある場合は入力値を差し替えて使う想定です。

令和8年度は料率が下がり、子ども・子育て支援金が別建てで加わった

協会けんぽの令和8年度の都道府県別保険料率では、東京都が9.91%から9.85%、大阪府が10.24%から10.13%へと引き下げられました。介護保険第2号被保険者(40歳以上65歳未満)の介護保険料率は全国一律1.62%です。

一方で令和8年4月から、子ども・子育て支援金率0.23%が健康保険料とは別建てで加わります。任意継続は労使折半がないため、この0.23%も全額を自分で負担することになります。金額としては標準報酬月額32万円なら月736円ですが、料率が下がった分をやや打ち消す動きです。

都道府県 令和7年度 令和8年度 標準報酬32万円の月額(介護なし・支援金込み)
東京都9.91%9.85%32,256円
神奈川県9.92%9.92%32,480円
愛知県10.03%9.93%32,512円
大阪府10.24%10.13%33,152円
福岡県10.31%10.11%33,088円
北海道10.31%10.28%33,632円

出典:全国健康保険協会『令和8年度の協会けんぽの保険料率』(公式ページ)。右端の金額は健康保険料率に子ども・子育て支援金率0.23%を加えて筆者が計算したものです。

国民健康保険の保険料はどう決まるのか(所得割・均等割・賦課限度額)

国民健康保険には「扶養」という考え方がありません。世帯の加入者一人ひとりに保険料がかかり、その合計を世帯主が納めます。計算の骨格は次の4層です。

4つの区分に、それぞれ所得割と均等割がある

区分1

医療分

全員が負担します。特別区は所得割7.51%+均等割47,600円、限度額67万円。

区分2

後期高齢者支援金分

これも全員が負担。特別区は所得割2.80%+均等割17,600円、限度額26万円。

区分3

介護分

40歳以上65歳未満の人だけ。特別区は所得割2.43%+均等割17,800円、限度額17万円。

区分4

子ども・子育て支援金分

令和8年度から新設。特別区は所得割0.27%、限度額3万円。18歳未満は均等割が全額減額されます。

出典:新宿区『国民健康保険料の計算方法』(令和8年度)/名古屋市『子ども・子育て支援金』(公式ページ)

所得割の対象になるのは、給与や事業の収入そのものではなく「総所得金額等から基礎控除43万円を引いた金額」です。新宿区は「令和7年中の総所得金額等から基礎控除額43万円(合計所得金額が2,400万円以下の場合)を差し引いた金額」と説明しています。所得税の各種所得控除(社会保険料控除・生命保険料控除・扶養控除など)は差し引けません。ここを「所得税の課税所得」と取り違えると、国保の見積もりが実際より大幅に安く出ます。

同じ所得でも自治体で年10万円以上ずれる

国保料率は市区町村ごとに条例で決まります。令和8年度の主要都市を並べると、料率と均等割の構成がかなり違うことが分かります。福岡市と大阪市は平等割(世帯単位の定額)があるのも特徴です。

自治体(令和8年度) 医療分 所得割 医療分 均等割 支援金分 所得割 介護分 所得割 平等割
東京23区(統一)7.51%47,600円2.80%2.43%なし
横浜市8.33%40,870円2.62%2.84%なし
名古屋市8.83%50,591円2.58%2.34%なし
大阪市9.50%34,990円3.06%2.60%あり
福岡市5.58%19,807円3.14%2.61%あり

出典:新宿区/横浜市/名古屋市/大阪市/福岡市(いずれも令和8年度の公式ページ)

倒産・解雇なら「100分の30」の軽減が使える

会社都合で辞めた人には強力な軽減があります。新宿区は「失業された方(本人)の前年の給与所得を100分の30として、国民健康保険料の算定及び高額療養費等の所得区分判定を行います」と説明しています。対象は離職日時点で65歳未満、かつハローワークで雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者と認められた人。期間は離職日の翌日が属する月から、その月が属する年度の翌年度末までです。

ここで注意したいのは、自己都合退職では使えないことと、軽減されるのは給与所得だけだという2点です。独立して事業所得が立てば、その分は軽減の対象外で満額の所得割がかかります。該当するかどうかは離職票の離職理由コードで判断されるので、退職前に会社へ確認しておくと動きが早くなります。

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独立1年目は、社会保険料の記録がそのまま確定申告の控除になります

国民健康保険料も任意継続の保険料も、支払った全額が社会保険料控除の対象になります。マネーフォワード クラウド確定申告なら口座やクレジットカードの引き落としを自動で取り込めるので、退職後の払込記録を1年分さかのぼって拾い直す手間が減ります。

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【自動計算ツール】退職後2年の保険料を4ルートで比較する

ここからが本題です。退職時の標準報酬月額、前年の所得、2年目の見込み所得、扶養している家族の人数、そして自治体の国保料率を入れると、次の4ルートの2年分の総額を出します。自治体はプリセットを選ぶと令和8年度の料率が入り、それ以外の市区町村は数値を直接書き換えて使ってください。

退職後2年 総額シミュレーター

任意継続・国保・乗り換え・扶養の4ルートを比べる

① あなたの状況

② 国民健康保険の料率(令和8年度)

区分 所得割(%) 均等割(円) 平等割(円) 限度額(円)
医療分
後期高齢者支援金分
介護分(40〜64歳)
子ども・子育て支援金分

本ツールで計算していないもの:国保の均等割の法定軽減(7割・5割・2割)、未就学児の均等割2分の1軽減、年度途中加入の月割り、退職から年度末までの端数月、後期高齢者医療への移行、健保組合独自の付加給付や上限、住民税・国民年金保険料。非自発的失業の軽減は本人の給与所得だけに適用しているため、世帯の他の方の給与所得は軽減されません。いずれも金額に影響するため、最終判断はお住まいの市区町村と加入していた健康保険の窓口でご確認ください。国保は年度(4月〜翌年3月)単位で前年所得により賦課されるため、本ツールの「1年目・2年目」は退職後1年目・2年目の12か月分という簡易的な置き方をしています。

初期値(東京23区・標準報酬月額41万円・前年所得520万円・2年目の所得200万円・世帯3人/うち18歳以上2人・40歳未満・自己都合退職)で計算すると、任意継続2年が774,144円、国保2年が1,069,464円、1年目だけ任意継続して2年目から国保が752,524円になります。任意継続と国保を単純に比べると任意継続の圧勝に見えますが、2年目だけを切り出すと任意継続387,072円に対して国保365,452円で、国保のほうが安くなっています。2年やり切るより1年で国保へ移ったほうが2万円ほど得という結論で、単年の比較では出てこない答えです。扶養家族が減ったり2年目の所得がもっと落ちたりすれば、この差はさらに広がります。

令和4年改正で使えるようになった「1年目だけ任意継続」という選択

かつての任意継続は、保険料を滞納するか就職して他の健康保険に入るかしないと抜けられませんでした。実務では「わざと1回納付を落として資格を失う」という荒っぽい方法が語られていたほどです。

資格喪失事由に「本人の申出」が加わった

令和4年1月1日施行の健康保険法改正で、任意継続被保険者の資格喪失事由に本人の申出が加わりました。協会けんぽも資格喪失事由のひとつとして「任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出たとき」を挙げています。申出が受理された日が属する月の翌月1日に資格を失う扱いとされているため、やめたい月の前月中に「任意継続被保険者資格喪失申出書」を出すのが基本形になります。

ただし手続きの細部と受理日の考え方は保険者ごとに運用が分かれます。健保組合の場合はとくに、申出書の様式も締切も組合独自です。乗り換えを決めたら、必ず加入している保険者に「いつ出せば何月1日に喪失になるか」を先に確認してください。

乗り換えの手順

STEP
翌年の所得の見込みを固める(10月〜12月ごろ)

独立後の売上と経費がある程度見えたら、上のツールへ実績寄りの数字を入れ直します。国保は前年の所得で決まるため、この見込みが乗り換え判断の土台になります。

STEP
市区町村の窓口で国保の見積もりを取る

所得の見込み額を伝えれば、多くの自治体で概算を出してもらえます。軽減の判定や世帯の状況が絡むため、ツールの数値と窓口の見積もりの両方を突き合わせるのが確実です。

STEP
資格喪失申出書を前月中に提出する

受理された日の属する月の翌月1日が喪失日です。月をまたぐと1か月分よけいに任意継続の保険料がかかるので、提出時期は保険者に確認してから決めます。

STEP
資格喪失証明書を持って14日以内に国保へ加入する

国保の届出は資格を失った日から14日以内が原則です。空白期間を作らないよう、喪失日が決まった時点で市区町村の窓口の予約まで押さえておきます。

家族の被扶養者に入れるなら、それが最も安い

見落とされがちですが、配偶者や親が会社員なら、その健康保険の被扶養者になる道があります。被扶養者に保険料の負担はありません。上のツールでルートDが常にゼロになるのはこのためです。

収入要件は130万円が基準だが、年齢で線が変わる

協会けんぽは被扶養者の収入要件を「年間収入が基準額(130万円。ただし、認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)の場合は150万円未満)」と示しています。同居している場合は、これに加えて被保険者の年間収入の2分の1未満であることが求められます。

ここでいう年間収入は、過去の実績ではなくこれから先1年間の見込みで判断されます。退職して無収入になったなら、前年に高い給与があっても被扶養者になれる余地があります。ただし失業給付を受けている間は、日額によっては収入とみなされて認定されないことがあります。判断は保険者ごとに運用が異なるため、配偶者の勤務先の健康保険に直接確認するのが確実です。

独立して事業を始めるつもりなら、被扶養者は「事業が軌道に乗るまでの短期の受け皿」として考えるのが現実的です。売上が立って収入見込みが基準を超えた時点で外れる必要があり、外れる手続きが遅れるとさかのぼって医療費の返還を求められることがあります。

独立・法人成りする人が見落としやすい3つの落とし穴

会計事務所で独立直後の方の相談を受けていると、保険料そのものより「制度をまたぐときの段差」で損をしているケースのほうが多い印象があります。とくに次の3つです。

法人を設立すると、任意継続も国保も終わる

法人を設立して自分に役員報酬を出すと、社長1人でも健康保険と厚生年金の適用事業所になります。任意継続を続けている途中でも、他の健康保険の被保険者資格を取得した時点で任意継続の資格は失われます。「2年分の総額」の計算は、法人成りの予定がない場合の話だと押さえておいてください。法人化のタイミングそのものは【2026年版】個人事業主の法人成りガイド|メリット・デメリット・タイミング・手続きを完全解説で整理しています。

前納すると割引になるが、途中でやめる自由と引き換えになる

任意継続には保険料を6か月分・12か月分まとめて納める前納制度があり、割引が適用されます。一方で、乗り換えを検討している人が1年分を前納してしまうと、途中でやめる選択が実質的に取りづらくなります。割引額と、国保に移った場合の差額を並べて比べてから決めるべきところです。前納した後に資格を喪失した場合の還付の扱いも、保険者に確認しておくと安心です。

支払った保険料は、どちらでも全額が社会保険料控除になる

任意継続の保険料も国民健康保険料も、その年に実際に支払った金額の全額が社会保険料控除の対象です。生計を一にする家族の分を自分が払った場合も、自分の控除に含められます。前納した保険料をどの年の控除にするかなど細かい論点はありますが、払った記録を1年分そろえておくことが確定申告での取りこぼしを防ぎます。独立1年目の届出まわりは【2026年版】副業から独立・開業する際の税金と届出ガイド|会社員からフリーランスへにまとめています。

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よくある質問(FAQ)

任意継続の20日の期限を過ぎてしまいました。まだ間に合いますか?

協会けんぽは「退職日の翌日から20日以内に手続すること」を要件として示しています。天災など正当な理由があると認められる場合の例外はありますが、一般に期限を過ぎると任意継続は選べません。郵送の締切の数え方や期限日が休日にあたるときの扱いは保険者の運用によるため、間に合うかどうか微妙なときは電話で確認してください。この場合は国民健康保険への加入か、家族の被扶養者になる道を検討することになります。国保の届出は資格喪失日から14日以内が原則ですが、遅れても加入自体はでき、保険料は資格喪失日までさかのぼって計算されます。

任意継続の2年が終わったら、その後はどうなりますか?

任意継続の期間は最長2年で、満了すると自動的に資格を失います。その後は国民健康保険に加入するか、家族の被扶養者になるか、再就職して勤務先の健康保険に入るかのいずれかです。満了は自動なので手続きの案内が届きますが、国保への切り替えは自分で市区町村へ届け出る必要があります。なお2年目の保険料が国保より高いと分かっている場合は、満了を待たずに任意脱退して国保へ移るほうが安く済むことがあります。本記事のツールで総額を確認してみてください。

任意継続の保険料は、2年目に安くなることはありますか?

退職後に所得が下がっても、それを理由に任意継続の保険料が下がることはありません。保険料の基礎になる標準報酬月額は退職時の額(協会けんぽは上限32万円)で固定されるためです。変動するとすれば、都道府県別の保険料率が年度改定で変わったとき、40歳になって介護保険料率が加わったとき、65歳になって外れたときなどです。所得の減少を保険料に反映させたいなら、国民健康保険へ移ることを検討する形になります。

自己都合で退職した場合でも、国保の軽減は受けられますか?

非自発的失業者に対する軽減(前年の給与所得を100分の30とみなす措置)の対象は、ハローワークで雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者と認められた方に限られます。一般的な自己都合退職はこれに当たらないことが多い一方、有期契約が更新されなかった場合など、事情によっては特定理由離職者と判定されることがあります。判定はハローワークが行うため、離職票の離職理由を確認したうえで窓口に相談してください。なお軽減の対象は給与所得のみで、独立後の事業所得には及びません。

健康保険組合に入っていた場合も、上限は32万円ですか?

32万円は協会けんぽ(全国健康保険協会)の令和8年度の数値です。企業の健康保険組合は規約でそれぞれ上限を定めており、協会けんぽより高い場合も、上限を設けていない場合もあります。上限が無ければ退職時の標準報酬月額がそのまま使われるため、高収入だった方は任意継続の保険料がかなり高額になることがあります。本記事のツールは上限額を入力できるようにしているので、組合から示された金額に置き換えて計算してください。

まとめ:退職日が決まったら、この順番で手を動かす

STEP
まず家族の被扶養者に入れるかを確認する

保険料の負担がないため、要件を満たすならこれが最安です。配偶者や親の勤務先の健康保険に、収入見込みと失業給付の予定を伝えて可否を聞きます。

STEP
任意継続の保険料額を保険者に確認する

協会けんぽなら標準報酬月額の上限は令和8年度で32万円。健保組合なら独自の上限があるため、金額を直接聞き出します。

STEP
市区町村で国保の概算を取り、2年総額で比べる

倒産・解雇に該当するなら100分の30の軽減を必ず申し出ます。本記事のツールで、任意継続2年・国保2年・1年目だけ任意継続の3案を並べます。

STEP
迷うなら20日以内に任意継続を申請しておく

期限が短いほうを先に押さえます。令和4年改正で任意脱退ができるようになったため、後から国保へ移る余地が残ります。

STEP
翌年の所得が見えた時点で、乗り換えを再判定する

収入が落ちているなら国保が逆転している可能性が高い場面です。前納の予定がある人は、割引額と差額を比べてから納付方法を決めます。

任意継続と国民健康保険のどちらが安いかという問いは、1年目だけを見ると半分しか答えが出ません。任意継続は退職時の給与で価格が固定される商品、国保は所得に連動する商品。この性質の違いを2年の物差しで測ったときに、はじめて自分にとっての正解が見えます。

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この記事を書いた人

イザーク|公認会計士試験合格者

Big4監査法人・税理士法人での実務経験と財務省での勤務経験を持ち、退職・独立・法人成りの前後で社会保険と税務の手続きが重なる場面の相談に携わる。国税庁・財務省などの一次ソースに基づいて解説します。本記事の2年総額の試算は執筆者が自ら計算した独自データです。詳しい経歴はプロフィール・公認会計士試験受験記をご覧ください。

本記事は執筆時点の情報提供を目的としたものです。保険料率や賦課限度額は年度・自治体・保険者により異なり、個別の取扱いは税理士・社会保険労務士等の専門家、または加入している保険者・市区町村にご確認ください。
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