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ETCのインボイスは何を保存する?利用証明書の要否判定ツール

※本記事にはアフィリエイトリンク(A8.net経由)が含まれます。

社用車で高速道路を使うたびに、ETC利用照会サービスにログインして利用証明書をダウンロードする。毎月その作業に追われている経理担当の方は少なくありません。ですが、多くの中小企業では、そもそも利用証明書を1枚も保存しなくてよい可能性があります。順番を間違えて全件ダウンロードしているケースが実務では非常に多いのです。

この記事では、国税庁のインボイスQ&A(問103・問111・問112)にあたって、ETCの高速道路料金について何を保存すれば仕入税額控除が受けられるのかを、判定の順番どおりに整理します。自社のケースで何が必要かをその場で確認できる判定ツールも用意しました。

📌 この記事でわかること

  • 自社が何を保存すべきかを、5つの質問に答えるだけで判定できる自動判定ツール(国税庁Q&A 問103・問111の分岐をそのまま実装)
  • 少額特例(1万円未満)を先に判定すると、利用証明書もクレジットカード明細も保存不要になるケースがあること
  • 1万円未満の判定は「月まとめ請求書の合計額」ではなく1回の通行ごとに行うこと(国税庁の図で確認)
  • 原則どおり保存する場合の、ETC利用照会サービスからのダウンロード手順と、料金所の利用証明書が使えない理由
  • 15か月以内に同じ高速道路会社を繰り返し使っているなら、ダウンロード自体が不要になる緩和措置
  • ETCクレジットカード・ETCコーポレートカード・ETCパーソナルカードで扱いが分かれること
  • 通行料金に混ざる「消費税の対象にならない金額」の注意点
目次
ぜいむたん
うちの会社、営業車が5台あって高速をよく使うんです。インボイス制度が始まってから、毎月ETCのサイトで全部の利用証明書をダウンロードしてるんですけど…これ、本当に全部要るんでしょうか?
イザーク
その作業、たぶん要らんで。判定には順番があってな、先に少額特例を見るんや。1万円未満の通行やったら帳簿だけでええ場合がある。そこを飛ばしていきなり「原則は利用証明書」から入るから、全件ダウンロードする羽目になるんよ。

結論:判定には順番がある。いきなり利用証明書を集めない

ぜいむたん
順番が大事というのは、どういうことでしょう?条件を全部満たさないといけないわけではないんですか?
イザーク
全部満たす必要はないんや。上から見ていって、当てはまったところで終わり。少額特例で止まったら、そこから下は読まんでええという構造やねん。

ETCで支払った高速道路料金について仕入税額控除を受けるために何を保存するかは、次の順番で決まります。上から順に見て、当てはまった時点で保存すべきものが決まる構造です。

STEP 1

少額特例が使えるか

課税売上高の要件を満たし、1回の通行が1万円未満なら帳簿のみの保存。利用証明書もクレカ明細も要りません。

STEP 2

カードの種類を確認する

Q&A 問103が対象にしているのはETCクレジットカードです。コーポレートカード・パーソナルカードは別扱いになります。

STEP 3

全件の保存が困難か

多頻度で困難なら、クレカ明細+会社ごとに1件の利用証明書。さらに15か月の緩和が効けばダウンロード自体が不要です。

税理士法人で中小企業の申告に関わっていたころ、この順番を逆にたどってしまい、経理担当者が毎月何十件も利用証明書をダウンロードしていた会社を何度も見ました。手間をかけたぶん正確になるわけではなく、単に不要な作業をしているという状態です。まずは下のツールで、自社が何を保存すべきかを確かめてください。

何を保存すればいい?ETCインボイス判定ツール

ぜいむたん
条件が多くて、自分のケースがどれに当てはまるのか読んでいてもわからなくなります…。
イザーク
せやから判定ツールにしたんや。5つ答えたら、保存すべきものと、その根拠がどのQ&Aのどこかまで出るようにしてある。印刷して社内ルールにしてもええで。

EZARK 自動判定ツール

ETCの高速道路料金、何を保存すればいい?

5つの質問に答えると、保存すべき書類と根拠(国税庁Q&Aの該当箇所)を表示します。

Q1. 基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5千万円以下ですか?

基準期間=個人はその年の前々年、法人は前々事業年度。特定期間=個人は前年1〜6月、法人は前事業年度開始後6か月。特定期間は、納税義務の判定のときと違って課税売上高に代えて給与支払額の合計額によることはできません(問111 ※3)。

Q2. 1回の通行料金(税込み)は1万円未満ですか?

月まとめの請求額ではなく、1回の通行ごとに見ます。

Q3. 使っているETCカードの種類は?




Q4. すべての通行について利用証明書を保存できますか?

Q5. 同じ高速道路会社の道路を、15か月以内に繰り返し利用していますか?

ETC利用照会サービスでダウンロードできる期間が15か月のため、この期間内に繰り返し使っているかで扱いが変わります。

※ 国税庁インボイスQ&A 問103・問111・問112の記載に基づく一般的な整理です。個別の判断は顧問税理士にご確認ください。少額特例は令和11年9月30日までの課税仕入れが対象です。

この判定ツールは、国税庁のインボイスQ&A 問103・問111・問112に書かれている分岐をそのまま実装しています。以下では、それぞれの根拠を原文にあたって確認していきます。

まず少額特例。1万円未満なら帳簿だけでいい

ぜいむたん
少額特例って、いろんなところで名前は聞くんですが、うちみたいな会社でも使えるものなんですか?
イザーク
使える会社のほうが多いくらいやで。基準期間の課税売上高1億円以下、または特定期間5千万円以下が条件やから、中小企業はだいたい入る。高速代で1万円超える通行なんてめったにないから、実質ほとんどの通行が帳簿だけでOKになるんや。

国税庁のインボイスQ&A 問111は、少額特例の対象者と内容をこう書いています。基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5千万円以下である事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることができる、というものです。

ここで押さえておきたい点が3つあります。

  • 帳簿に「少額特例の適用がある旨」を書く必要はありません(問111 ※4)。3万円未満の公共交通機関特例などは帳簿への追記が必要ですが、少額特例は不要です
  • 相手方が適格請求書発行事業者でなくても対象です(問111 注2)。1万円未満であれば、経過措置の80%・50%といった計算をせずに全額控除できます
  • 新設法人で基準期間がない課税期間は、特定期間の課税売上高が5千万円超でも適用を受けられます(問111 注1)

特定期間の課税売上高については、納税義務の判定のときと違って給与支払額の合計額に置き換えることはできません(問111 ※3)。納税義務の判定と同じ感覚で「給与で見ればいい」と処理すると誤ります。

1万円未満は「1回の通行ごと」で見る。月まとめの請求額ではない

ETCで実務上いちばん誤解されるのがここです。クレジットカードの利用明細には1か月分がまとまって載るため、「月合計は3万円だから1万円以上」と判定してしまうケースがあります。しかし問112は、1万円未満かどうかは一回の取引の課税仕入れに係る金額(税込み)で判定するとし、注で「月まとめ請求書のように複数の取引をまとめた単位により判定することとはならない」と明示しています。

国税庁が公表している判定単位の資料には4つのパターンが図示されていて、そのうちの1つが、X月2日に8,000円、X月15日に8,000円の取引を別々に行い、月末に16,000円の月まとめ請求書が発行されるケースです。これについて月まとめ請求書ではなく、それぞれの取引単位で判定すると示されています。ただしこの例はクリーニングのように都度請求・精算されるもので、ETCのように月まとめで請求される取引とは支払いの流れが違います。ETCに当てはめる根拠は、問112の本文にある「基本的には、取引ごとに納品書や請求書といった書類等の交付又は提供を受けることが一般的であるため、そのような書類等の単位で判定することが考えられます」という部分です。ETCは通行ごとに利用証明書(適格簡易請求書の記載事項に係るもの)が発行されるため、その単位、すなわち通行1回ごとに1万円未満かを見ることになります。

逆に、月額10万円の清掃業務(稼働12日)のように月単位で契約している役務提供は1か月分をまとめて1取引として判定します。高速道路の定額商品(企業向けの定額プランなど)を契約している場合は、この考え方に近くなる可能性があるため、契約の単位を確認してください。

高速道路は「公共交通機関特例」の対象ではありません

3万円未満の公共交通機関による旅客の運送は、帳簿のみの保存で控除が認められます。ただし国税庁問110は、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引を①〜⑩で列挙しており、その①は「適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送」です。自社の車で高速道路を走ることは旅客の運送を受ける取引ではないため、①には当たりません。したがって「3万円未満だから帳簿だけでいい」という整理はできません。使えるのはあくまで1万円未満の少額特例のほうです。なお⑩の「従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等」は別の話で、従業員に旅費として支給する形をとっている場合には射程に入る余地があります(後述のFAQを参照)。

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クレジット審査なしで、社用車の給油を法人名義のカードにまとめる

設立間もない法人や、代表者個人のカードで社用車の経費を立て替えている会社では、法人カードの審査が通らず経費と私費が混ざったままになりがちです。「ETC協同組合」の法人ガソリンカードは、組合に加入して出資金1万円(退会時に返金)を預けることでクレジット審査なしで発行を受けられ、カード発行手数料・年会費・事務手数料はいずれも無料です(クレジット審査はありませんが、カードのお届けには組合規定の審査があります)。給油分の明細が法人あてに届くため、誰がいつ給油したかを経理側で追えるようになります。

同じ組合が発行する法人ETCカードは別商品で、費用体系が異なります(2026年9月時点)。出資金1万円のほかに、カード発行手数料880円(税込)/1枚、年間手数料880円/1枚(年1回)がかかり、さらに請求書作成や信販会社への立替保証に伴って毎月の走行料金に対して8%の事務手数料が徴収されます。高速道路の利用が多い会社ほどこの8%は効いてくるので、既存のETCカードと比べたうえで判断してください。

法人ガソリンカードを見る →

原則:ETC利用照会サービスから利用証明書をダウンロードする

ぜいむたん
少額特例が使えない場合は、やっぱり全部ダウンロードなんですね…。クレジットカードの利用明細じゃダメなんでしょうか?
イザーク
クレカ明細が単独であかん理由は、はっきり書いてあるで。明細を作ってるのはカード会社であって、高速道路を走らせてくれた事業者やないからや。誰が交付した書類か、という話やねん。

国税庁のインボイスQ&A 問103は、クレジットカード利用明細書について、カード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成・交付する書類ではなく、課税資産の譲渡等の内容や適用税率など適格請求書の記載事項も満たさないため、一般的に適格請求書には該当しないとしています。

そのうえで原則の取扱いを、次のように示しています。ETCクレジットカードで精算した場合に仕入税額控除を受けるには、原則として、高速道路会社が運営するETC利用照会サービスから通行料金の確定後に利用証明書をダウンロードして保存する必要がある、というものです。

料金所でもらう利用証明書・履歴プリンターの印字は使えない

問103が求めているのは、高速道路会社が運営するホームページ(ETC利用照会サービス)から通行料金の確定後にダウンロードした電磁的記録です。料金所で受け取る利用証明書や、サービスエリアのETC利用履歴発行プリンターの印字は、料金が確定する前に出力されるものなので、これだけを保存しても要件を満たしません。

会計事務所で証憑をチェックしていると、ドライバーが料金所でもらった紙を几帳面にファイルしている会社に出会います。現場の手間としては一番かかっているのに、要件としては足りていないという、いちばんもったいないパターンです。集める対象を切り替えるだけで負担が減ります。

ダウンロードした利用証明書は電子データのまま保存する

利用証明書は電磁的記録として提供を受けるものなので、問103の注2が示すとおり、仕入税額控除を受けるには電子帳簿保存法に準じた方法で保存する必要があります(消令50①、消規15の5)。紙に印刷して保存すればよい、という整理にはなりません。検索要件をどう満たすかは、当サイトの電子取引データの検索要件は索引簿でOK|Excelテンプレートと自動作成ツールで、実際に使えるテンプレートつきで解説しています。

多頻度なら、クレカ明細+「任意の一取引」の利用証明書でいい

ぜいむたん
全部ダウンロードは現実的じゃないです。営業車5台で月に何十回も走るので…。
イザーク
そのための緩和がちゃんと用意されてる。全部の保存が困難なときは、クレカ明細+高速道路会社ごとに任意の1件の利用証明書でええ。しかもその1件は毎月取り直さんでええんや。

問103は、高速道路の利用が多頻度にわたるなどの事情により全ての利用証明書の保存が困難なときは、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書と、利用した高速道路会社等の任意の一取引に係る利用証明書を併せて保存することで仕入税額控除を行って差し支えない、としています。複数の高速道路会社を使っている場合は、会社ごとに任意の一取引です。

ただしクレジットカード利用明細書には条件が付いています。個々の高速道路の利用に係る内容が判明するものに限るとされ、取引年月日や取引の内容、課税資産の譲渡等に係る対価の額が分かる利用明細データ等も含む、と補足されています。合計額しか載らない明細では足りません。カードを選ぶ段階で、明細の粒度を確認しておく価値があります。

その1件は毎月取り直さなくていい

問103の注1は、利用証明書についてクレジットカード利用明細書の受領ごとに(毎月)取得・保存する必要はなく、高速道路会社等が適格請求書発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、利用した高速道路会社等ごとに一回のみ取得・保存することで差し支えないとしています。

また、A高速道路会社からB高速道路会社を経由してC高速道路会社の料金所で降りた場合に、C社がまとめて利用証明書を発行しているときは、C社の利用証明書を保存することになる、という例も示されています。経由した会社の分をそれぞれ集める必要はありません。

15か月以内に繰り返し使っているなら、ダウンロードすら要らない

ぜいむたん
えっ、1件も取らなくていいことがあるんですか?
イザーク
電帳法の考え方から来る話でな。いつでもダウンロードできる状態なら、保存があるものとして扱ってええんや。ETC利用照会サービスは15か月分見られるから、その間ずっと同じ会社の道路を使ってたら、常にダウンロードできる状態ということになる。

問103の注2は、電子帳簿保存法においては、適格請求書等の電磁的記録をダウンロードすることができる場合に、その電磁的記録の確認が随時可能な状態であるときは、必ずしもダウンロードせずともその保存があるものとして仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えない、としています。

そのうえで、ETC利用照会サービスにおいてダウンロードできる期間(15か月間)に繰り返し同じ高速道路会社等の道路を利用しているような場合は、いつでも利用証明書をダウンロードできる状態にあるため、結果として利用証明書のダウンロードは不要となり、クレジットカード利用明細書の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることが可能と結論づけています。

注意点も同じ注に書かれています。ダウンロードできる期間を超えて利用間隔に開きがある高速道路会社等の道路については、利用証明書のダウンロードが必要です。毎年1回だけ使う地方道路公社の路線がある、といったケースでは、その会社の分だけは取っておく必要があります。

カードの種類で扱いが変わる。コーポレート・パーソナルは対象外

ぜいむたん
ETCカードって、どれも同じだと思っていました…。
イザーク
ここ、Q&Aのかっこ書きにこっそり書いてあるから見落としやすいんや。問103が言うてる「ETCクレジットカード」は高速道路会社が発行するコーポレートカードとパーソナルカードを除くと定義されてる。除かれてる以上、そのまま当てはめたらあかんねん。

問103は「ETCクレジットカード」を、クレジットカード会社がETCシステムの利用のために交付するカードをいい、高速道路会社が発行するETCコーポレートカード及びETCパーソナルカードを除きます、と定義しています。ここまで見てきた原則と緩和は、あくまでこの定義に当てはまるカードの話です。

ETCクレジットカード

クレジットカード会社が交付

問103の対象。原則は利用証明書、多頻度なら明細+1件、15か月の緩和が効けば明細のみ。

ETCコーポレートカード

高速道路会社が発行

問103の定義から除かれています。発行元から交付される書類で処理するため、発行元の案内を確認してください。

ETCパーソナルカード

高速道路会社が発行

こちらも問103の定義から除かれています。扱いは発行元の案内によります。

協同組合が発行する法人ETCカードはどちらに当たる?

協同組合などが発行する法人向けのETCカードもあります。これらは、組合が利用をとりまとめて組合から請求書が発行される形が一般的です。たとえばETC協同組合は、自社サイトのお知らせで「2023年10月よりインボイス対応の請求書を発行しております」と公表しています。この場合、読者が受け取るのは組合が交付する請求書であり、ETC利用照会サービスから利用証明書を集める話とは別の流れになります。

ただし請求や明細の交付の仕組みは発行元ごとに異なります。確認すべきことは2つで、①自社が受け取る書類を交付しているのは誰か(組合か、高速道路会社か)②その書類が適格請求書等の記載事項を満たしているかです。この2点がわかれば、上のどの扱いになるかが決まります。「法人向けだから全部コーポレートカードと同じ」と決めつけると、保存すべき書類を取り違えるおそれがあります。

通行料金に混ざる「消費税の対象外」に注意

ぜいむたん
高速代って、全部が課税仕入れじゃないんですか?
イザーク
ほとんどは課税や。ただ一部に例外があって、そこだけ控除の対象外になる。軽油代に軽油引取税が混ざってるのと同じ構造やと思たらわかりやすいで。

問103の注3は、空港と内陸部を結ぶ連絡橋の通行料金(空港連絡橋利用税)など、消費税の課税対象とならない金額がある場合、その金額は仕入税額控除の対象外であるとしています。関西国際空港の連絡橋のように、通行料金と一緒に徴収される税金が混ざるケースです。

これは、軽油代のなかに不課税の軽油引取税が含まれているのと同じ形です。総額をそのまま課税仕入れとして処理すると仮払消費税を過大に計上してしまいます。同じ論点は軽油税は不課税|非課税との違いと勘定科目・仕訳・判定フローで判定フローつきで整理しているので、社用車まわりの経理をまとめて見直すならあわせて確認してください。

STEP
課税売上高の要件を確認する

基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5千万円以下かを申告書等で確認します。ここが満たせるなら、以降の作業は大きく減ります。

STEP
1回あたりの通行料金を確認する

クレジットカード明細の月合計ではなく、通行1回ごとの金額で1万円未満かを見ます。長距離路線で1万円を超える通行がないかをチェックします。

STEP
対象外の通行だけ、保存方法を決める

1万円以上の通行や、少額特例の要件を満たさない場合について、カードの種類と利用頻度に応じて利用証明書の取得方針を決めます。社内ルールとして文書化しておくと引き継ぎが楽になります。

よくある質問(FAQ)

少額特例が使えるなら、クレジットカードの利用明細は捨ててよいのですか?

仕入税額控除の要件としては、少額特例の対象となる課税仕入れについて請求書等の保存は求められません。ただし明細は、帳簿に記載する取引年月日・取引の内容・支払対価の額の裏付けになる資料です。法人税・所得税の側では費用の証拠として保存しておくのが安全ですし、誰がいつどの区間を走ったかを確認する社内管理の資料としても使います。仕入税額控除の要件と、帳簿書類としての保存は分けて考えてください。

1万円未満かどうかは、税込みと税抜きのどちらで判定しますか?

税込みです。国税庁のインボイスQ&A 問111・問112はいずれも「課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合」と記載しています。税抜き9,800円で税込み10,780円になる取引は、少額特例の対象外です。高速道路料金は表示額が税込みなので、通行料金そのもので判定することになります。

従業員が自分のETCカードで立て替えた場合はどうなりますか?

立替払いの場合、原則として実際に課税仕入れを行った事業者(会社)が保存すべき書類を備える必要があります。従業員名義のカードの利用明細は従業員あてに発行されるため、会社としては立替金精算書などとあわせて、誰のどの取引かを対応づけられる形にしておくのが実務的です。なお国税庁のインボイスQ&A 問110は、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引の一つとして「従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)」を掲げています。出張に伴う移動費を旅費として支給する形をとっているなら、この特例の射程に入る余地があります(詳しくは出張旅費等特例(帳簿のみ保存)で解説しています)。また少額特例の対象となる1万円未満の通行であれば帳簿のみの保存で足りるため、この論点自体が生じないケースも多くなります。どの整理によるかで帳簿の記載事項が変わるため、判断に迷う場合は顧問税理士にご確認ください。

令和11年9月30日で少額特例が終わったら、何をすればよいですか?

この記事で解説した原則と緩和に戻ります。多頻度で利用しているなら、クレジットカード利用明細書に個々の通行内容(取引年月日・内容・対価の額)が記載されているかを事前に確認しておくことが重要です。この要件を満たす明細が出るカードであれば、15か月以内に繰り返し同じ高速道路会社を利用しているという条件のもとで、明細の保存だけで対応できる可能性があります。明細の粒度は発行元によって異なるため、期限が来る前に確認しておくと移行が楽になります。

ETC利用照会サービスの15か月を過ぎたら、もう取得できませんか?

国税庁のインボイスQ&A 問103の注2は、ETC利用照会サービスにおいてダウンロードできる期間を「15か月間」と記載しています。この期間を超えて利用間隔に開きがある高速道路会社等の道路については、利用証明書のダウンロードが必要になるとされています。つまり間隔が空く路線こそ、走った直後に取得しておく必要があります。実際に表示できる期間はサービス側の仕様によるため、利用の都度ご確認ください。

まとめ:順番を変えるだけで、毎月の作業は減らせる

ETCのインボイス対応は、「原則は利用証明書」から入ると作業量が最大になります。実際には少額特例から順に見ていけば、多くの中小企業では大半の通行が帳簿のみの保存で済みます。

STEP
少額特例の要件を確認する

基準期間の課税売上高1億円以下、または特定期間5千万円以下。満たすなら、1回1万円未満の通行は帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けられます(令和11年9月30日まで)。

STEP
カードの種類を確かめる

問103の対象はETCクレジットカードです。高速道路会社が発行するETCコーポレートカード・ETCパーソナルカードは定義から除かれているため、発行元の案内で確認します。

STEP
残った分の保存方法を決める

全件保存が可能なら利用証明書を通行ごとに。困難なら明細+会社ごとに1件。15か月以内に繰り返し利用しているなら、ダウンロードせず明細の保存のみで対応できます。

STEP
電子データの保存方法を整える

利用証明書をダウンロードした場合は、電子帳簿保存法に準じた方法で保存します。検索要件は索引簿で満たす方法が使えます。

ぜいむたん
全部ダウンロードしてた作業、ほとんど要らなかったってことですね…。来月からやめます!
イザーク
要件を確認したうえでやめるんやったら正解や。ただし課税売上高が伸びて要件を外れたら戻るし、令和11年9月で特例自体が終わる。今の処理がどの根拠で成り立ってるかをメモに残しとくのが大事やで。今日の授業は終わり!また来てや!!

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この記事を書いた人

イザーク|公認会計士試験合格者

Big4監査法人・税理士法人での実務経験と財務省での勤務経験を持ち、社用車の経費や証憑の保存方法を含む中小企業の消費税実務に携わる。国税庁・財務省などの一次ソースに基づいて解説します。詳しい経歴はプロフィール公認会計士試験受験記をご覧ください。

本記事は執筆時点(2026年9月)の法令・国税庁公表資料に基づく情報提供を目的としたものです。個別の税務判断は税理士等の専門家にご確認ください。
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