「予定納税の通知が届いたけど、今年は売上が激減した…こんなに払えない」。そう感じている個人事業主・フリーランスの方に向けて、所得税の予定納税を合法的に減らす「減額申請」を徹底解説します。
申請期限は2026年7月15日(水)。この期限を1日でも過ぎると、今年は減額できません。今日(6月30日)からあと15日しかありません。
ぜいむたん


予定納税とは|対象者と2026年の納付スケジュール
予定納税とは、前年の所得税が一定額(予定納税基準額)を超えた個人が、今年の所得税を前もって分割で納付する制度です(所得税法第104条)。給与から源泉徴収される会社員と違い、個人事業主・フリーランスは自分で確定申告をするため、国としては「税収の前払い」を求める仕組みです。
予定納税の対象者:基準額15万円以上
予定納税の対象になるのは、予定納税基準額が15万円以上の人です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予定納税基準額 | 前年の申告納税額(山林・退職・土地譲渡の税額を除く) |
| 対象者 | 予定納税基準額が15万円以上の人 |
| 第1期納付額 | 予定納税基準額の 1/3 |
| 第2期納付額 | 予定納税基準額の 1/3 |
| 確定申告での精算 | 第1期+第2期の合計を控除→残額を翌年3月に納付・還付 |
2026年の予定納税スケジュール
- 6月15日〜7月15日(水):第1期・第2期の減額申請期間(★ここが申請期限)
- 7月31日(金):第1期 納付期限
- 10月15日〜11月15日(日):第2期のみの減額申請期間
- 11月30日(月):第2期 納付期限






予定納税基準額の計算方法|前年の申告納税額から求める手順
予定納税の通知書(「令和8年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」)が6月中旬に郵送されています。記載されている金額は前年(令和7年)の確定申告データをもとに税務署が自動計算したものです。
計算式
予定納税基準額の計算(所得税法第104条)
予定納税基準額 = 令和7年分の申告納税額
(山林所得・退職所得・土地等譲渡所得に係る税額を除く)
第1期・第2期それぞれの納付額
各期の納付額 = 予定納税基準額 × 1/3
計算例:前年の申告納税額が45万円のケース
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 令和7年分 申告納税額 | 450,000円 |
| 第1期 予定納税額(7月31日) | 150,000円 |
| 第2期 予定納税額(11月30日) | 150,000円 |
| 令和8年分 確定申告で精算(翌年3月) | 合計300,000円を控除→差額を納付or還付 |






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今年の所得が減ったら減額申請できる|認められる5つのケース
予定納税の減額申請(所得税法第111条)は、今年(令和8年分)の見込み所得税額が予定納税基準額を下回る場合に申請できます。「前払いしすぎる」状況を防ぐ制度です。
減額が認められる主なケース
📉
①売上・事業収入が大幅減少
受注が減った・主要顧客を失った・業種転換など。前年比で収入が大きく落ちる場合は最も典型的なケース。
🏥
②医療費控除の増加
今年は大病・手術・長期入院などで医療費が多く、控除額が増えて税額が下がる見込みの場合。
🔴
③廃業・休業
事業を閉じた・長期休業した場合。今後の収入が見込めない場合は、ゼロに近い見込み税額で申請可能。
💸
④損失が発生した
事業上の赤字・災害損失・盗難など。損益通算で最終的な税額が下がる見込みがある場合。
👶
⑤扶養・控除の変化
扶養家族が増えた・配偶者の収入が減って配偶者控除が使えるようになったなど、控除額が増える見込みの場合。
❌
認められないケース
「なんとなく減らしたい」「資金繰りが苦しい」だけでは不可。見込み計算で税額が下がることの根拠が必要。






予定納税の減額申請 手順|申請書の書き方とe-Tax送信まで
減額申請の方法は①税務署への書類持参・郵送、②e-Taxでのオンライン申請の2つです。e-Taxが圧倒的に速く、24時間受付でe-Tax申請なら期限ギリギリでも間に合います。
今年(令和8年分)の見込み所得を計算する
1月〜7月(申請時点)までの売上・経費の実績をもとに、8月〜12月分を見込みで加算して年間の事業所得を算出します。そこから各種控除を引いて「見込み課税所得」を計算し、所得税率を掛けて「見込み税額」を出します。この見込み税額が予定納税基準額より少ない場合のみ申請できます。
申請書(予定納税額の減額申請書)を準備する
国税庁のWebサイトから「予定納税額の減額申請書」をダウンロードして記入するか、e-Taxソフト(WEB版)から入力します。記入欄は主に「本年分の見込み所得金額」「各種控除の見込み額」「見込み税額」です。計算の根拠がわかる帳簿・レシート類は手元に保管しておきましょう(提出不要ですが税務署から確認される場合があります)。
e-Taxで申請書を送信する(期限:7月15日)
e-Taxソフト(WEB版)にアクセスし「申告・申請・納税」→「申告・申請等を作成する」→「申請・届出」から「予定納税額の減額申請書」を選択します。マイナンバーカード(またはID・パスワード方式)で認証して送信します。送信完了後、受信通知(メッセージボックス)で受付を確認してください。
税務署からの通知を確認する
申請後、税務署から「認容・棄却」の通知が届きます(e-Taxならメッセージボックスに通知)。認容された場合は減額後の金額を、7月31日までに納付します。棄却された場合は元の予定納税額を7月31日までに納付してください。通知が7月31日前に届かない場合は、税務署に電話で確認するか、元の金額を納付しておくのが安全です。






予定納税の減額申請でよくある失敗・ミス5選と対処法
「やったつもりなのに減額できなかった」「余計に手間がかかった」という声をもとに、特に多い失敗パターンをまとめました。
❌ ミス1:申請期限を「7月31日」と勘違いして出し遅れる
最も多い失敗。7月31日は「納付期限」であり、申請期限は7月15日です。7月16日以降に申請しても受け付けてもらえません。今すぐ申請書を準備しましょう。
❌ ミス2:通知書が届いていない=対象外、と思い込む
引越しや転居で通知書が届かなかったケースも多いです。前年の申告納税額が15万円以上なら対象の可能性があります。e-Taxのメッセージボックスか管轄税務署に確認してください。
❌ ミス3:見込み計算が大雑把すぎて棄却される
「なんとなく半分くらい」と根拠のない数字を記入すると、税務署から問い合わせがあったり棄却されることがあります。売上台帳・経費帳をもとに合理的な見込み計算書を作成してください。
❌ ミス4:「第1期だけ減額・第2期は元の額」が可能と思い込む
7月15日の申請は「第1期と第2期の両方」を一括して申請します。第1期だけを個別に減額することはできません。第2期だけを別で減額したい場合は10月15日〜11月15日に再申請が必要です。
❌ ミス5:振替納税設定のまま減額申請をして口座引き落としが元の額になる
振替納税(口座自動引き落とし)を利用している場合、減額が承認されると引き落とし金額が自動更新されます。ただし通知確認が遅れると口座残高不足になる可能性があるので、申請後は必ず認容通知を確認し、口座残高を管理してください。



予定納税の支払いが厳しい場合|猶予・分割・振替納税の選択肢
減額申請をしてもなお納税が難しい場合、次の3つの手段を検討してください。
🏦
振替納税
口座から自動引き落とし。第1期の振替日は8月中旬(約2週間の猶予)。手数料なし。事前に税務署へ届出が必要。
⏳
納税猶予・換価の猶予
災害・病気・廃業等やむを得ない事情がある場合、税務署に申請して最大1年間の猶予が認められる場合がある(延滞税の軽減あり)。
💳
クレジットカード納付
「国税クレジットお支払サイト」から翌月払い・分割払いが可能。ポイント還元も受けられるが手数料(0.83%〜)がかかる点に注意。
振替納税を利用する(口座引き落とし)
「振替納税利用の届出書」を税務署に提出すると、7月31日の代わりに8月中旬ごろ(例年8月20日前後)に口座から自動引き落としされます。約2週間の猶予が生まれ、手数料もかかりません。インターネットバンキングが使える方はe-Taxから届出も可能です。
クレジットカードで納付する(手数料あり)
国税庁の「国税クレジットお支払サイト」から、Visa・Mastercard・JCB等のクレジットカードで納付できます。手数料は納付額の0.83%(1万円あたり約83円)。ポイント還元と手数料を比較して判断してください。分割払いも可能です(分割手数料はカード会社の規定に従います)。
納税猶予・換価の猶予を申請する(緊急手段)
災害・病気・廃業など真にやむを得ない事情がある場合、税務署に「納税の猶予申請書」を提出することで最大1年間の猶予が認められる場合があります。猶予期間中の延滞税は軽減(年1.4%程度)されます。減額申請とは別の制度なので、両方申請することも可能です。






よくある質問(FAQ)
- 予定納税の通知書が届かなかった場合、自分で確認する方法は?
- e-Taxのメッセージボックス(送信済みの確定申告書データが連動)で予定納税基準額を確認できます。また、確定申告書の「申告納税額」欄の金額が15万円以上なら対象の可能性が高いため、管轄の税務署に電話(0570-00-5901 国税局電話相談センター)で確認することもできます。引越し直後は住所変更の届出を忘れずに行いましょう。
- 減額申請が棄却された場合、上訴や再申請はできますか?
- 税務署が減額申請を棄却した場合、不服申立て(異議申立て・審査請求)が可能です(国税通則法第75条)。ただし、実務上は見込み計算の根拠を補足して再度交渉するか、7月31日に元の額を納付して確定申告時に精算する方が現実的なケースが多いです。棄却通知が届いたら内容をよく確認し、必要に応じて税理士に相談することをおすすめします。
- 予定納税基準額がちょうど15万円の場合は、1円でも下回れば減額申請できますか?
- はい、見込み税額が予定納税基準額(15万円)を1円でも下回れば減額申請の対象になります(所得税法第111条)。ただし減額後の第1期・第2期の納付額は「見込み税額の3分の1」で計算されるため、減額幅が小さい場合は申請の手間と天秤にかけて判断してください。
- 配偶者の収入が増えて配偶者控除が使えなくなった場合、減額申請は使えますか?
- その場合は逆です。配偶者控除が減ると課税所得が増えて税額が「増える」方向になります。減額申請は「今年の見込み税額が基準額より低くなる場合」のみ申請できるため、税額が増える見込みなら申請は不要です(元の予定納税額に加えて、確定申告時に追加で納税することになります)。
まとめ|7月15日の申請期限を絶対に見逃さない
所得税の予定納税・減額申請のポイントを整理します。
対象確認|前年の申告納税額が15万円以上かチェック
令和7年分の確定申告書(第一表)の「申告納税額」欄を確認します。マネーフォワードや青色申告ソフトの申告履歴からも確認できます。15万円以上なら予定納税の対象です。
見込み計算|今年の所得・控除を試算して見込み税額を算出
1月〜7月の売上・経費の実績をもとに、8月〜12月の見込みを加算して年間税額を計算します。見込み税額が予定納税基準額より少ければ減額申請できます。
申請|e-Taxから「予定納税額の減額申請書」を7月15日までに送信
e-Taxソフト(WEB版)から申請書を作成し送信します。マイナンバーカードまたはID・パスワード方式で認証が必要です。送信後はメッセージボックスで受付を確認してください。
納付|認容通知を確認して7月31日までに減額後の金額を納付
税務署からの認容通知を確認し、減額後の金額を7月31日までに納付します(振替納税の場合は8月中旬)。通知が遅い場合は税務署に電話確認するか、元の金額を先に納付しておくと安全です。
予定納税は「前払い」の制度なので、確定申告での精算を通じて最終的には正しい税額に落ち着きます。しかし、資金繰りが厳しい個人事業主・フリーランスにとって「今すぐ払わなくていいお金は払わない」ことは重要な経営判断です。7月15日の申請期限を逃さず、減額申請を活用してください。



📢 確定申告も予定納税も帳簿管理をMFで一元化
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著者:イザーク
公認会計士試験合格者。Big4監査法人・税理士法人での実務経験を経て、個人事業主・フリーランス向けに税務・会計情報を発信中。freee・マネーフォワード等のクラウド会計ソフト導入支援も行っています。
監修:イザークコンサルティング株式会社(公認会計士試験合格者在籍)
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の税務判断を推奨するものではありません。予定納税の減額申請の可否・計算方法については、必ず税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。記事の内容は2026年6月時点の法令・制度に基づいています。


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