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📌 この記事でわかること
- 外国人の年末調整が必要かどうかは、国籍や在留資格ではなく居住者か非居住者かで決まること(所得税法2条・190条)
- 居住者・非永住者・非居住者の違いと、住所の推定と「1年」のルールを使った判定のしかた(判定ツール付き)
- 年の途中で入国した人、出国する人の年末調整と、令和8年12月からの改正が出国者に与える影響
- 母国の家族を扶養に入れる条件(16歳以上30歳未満・70歳以上は送金額の基準なし、30歳以上70歳未満は3つの要件のどれか)
- 親族関係書類・送金関係書類のチェックリストと、外貨の円換算、38万円の判定(書類判定ツールと送金明細書Excel付き)
- 外国人の住民税は1月1日の住所で決まること、出国する従業員に案内すること
対象読者:外国人従業員を雇う会社の給与・経理担当の方、従業員を雇う個人事業主/読了の目安:約12分
外国人の従業員がいる会社で年末調整をするとき、最初に確認することは在留資格ではありません。その人が所得税法上の居住者か、非居住者かです。
年末調整の対象になるのは居住者だけです。日本に生活の本拠を置いて働く外国人は居住者として日本人と同じ年末調整をしますが、入国して間もない人や短期の滞在の人は非居住者になることがあります。非居住者には年末調整をせず、給与から一律20.42%を源泉徴収します。
手間がかかるのは、母国にいる家族を扶養に入れる場合です。令和5年分から、30歳以上70歳未満の国外にいる親族は、留学・障害者・年38万円以上の送金のどれかに当たる人だけが扶養控除の対象になりました。しかも、親族関係書類と送金関係書類がそろわなければ控除できません。
この記事では、国税庁と法令の原文をもとに、居住者の判定、年の途中の入国・出国、国外居住親族の書類を整理します。判定ツール2つと送金明細書のExcelも用意しました。
外国人の年末調整は居住者か非居住者かで決まる
外国人の年末調整が必要かどうかは、国籍や在留資格の名前では決まらず、所得税法上の居住者に当たるかどうかで決まります。年末調整は、扶養控除等申告書を提出した居住者に対して行う手続きで(所得税法190条)、非居住者は対象に入りません。
居住者・非永住者・非居住者の違い
所得税法は、個人を3つに分けています。居住者は「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人」、非居住者は居住者以外の個人です。居住者のうち、日本国籍がなく、過去10年以内に国内に住所または居所があった期間の合計が5年以下の人を非永住者といいます(所得税法2条1項3号〜5号)。
3つの区分と年末調整
日本国内に住所があるか、引き続き1年以上居所がある人。国内外のすべての所得が課税対象です。年末調整の対象です。
居住者のうち、日本国籍がなく、過去10年以内に国内で住所・居所があった期間の合計が5年以下の人。国外源泉所得は国内で払われたものと国内に送金されたものだけが課税対象です。居住者なので年末調整の対象です。
居住者以外の個人。課税されるのは国内源泉所得だけです。年末調整の対象外で、国内で行った勤務の給与は源泉徴収で処理します。
各区分の課税所得の範囲は、国税庁タックスアンサーNo.2010「納税義務者となる個人」に表があります。国内勤務の給与だけを払っている限り、非永住者でも年末調整の計算は他の居住者と変わりません。
非居住者の給与は年末調整をせず20.42%を源泉徴収する
非居住者に国内で払う給与は、年末調整による精算がありません。給与その他人的役務の提供に対する報酬の源泉徴収税率は、復興特別所得税を含めて20.42%(国税庁No.2884)です。令和9年分以後は、この内訳が所得税、防衛特別所得税、復興特別所得税になります。適用する税率は国税庁の最新の案内で確認してください。扶養控除などの所得控除を反映した月額表で計算する居住者の源泉徴収とは、別の仕組みになります。
租税条約で課税関係が変わる場合があります。条約の適用がありそうなときは、条約の内容と届出の要否を、所轄税務署か税理士に確認してください。
外国人の居住者判定のしかた(住所の推定と1年のルール)
居住者かどうかは、日本に住所(生活の本拠)があるか、引き続き1年以上居所があるかで判定します。入国した時点では、「1年以上居住することを通常必要とする職業があるか」で住所を推定するのが基本です。在留資格や在留期間の長さだけで機械的に決まるものではありません。
住所の推定規定(所得税法施行令14条・15条)
「住所」は生活の本拠をいい、客観的な事実で判定します(国税庁No.2875)。入国したばかりの人は、判断材料が少ないため、施行令が推定の規定を置いています。国内に居住することとなった個人が、次のどちらかに当たるときは、国内に住所を有する者と推定されます(所得税法施行令14条1項)。
| 区分 | 推定される条件 | 外国人従業員への当てはめ |
|---|---|---|
| 1号 | 国内で、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること | 雇用契約の期間、更新の予定、職務の内容から、1年以上の居住を通常必要とする働き方といえるか |
| 2号 | 日本国籍を有し、かつ国内で生計を一にする配偶者その他の親族を有することなどから、1年以上居住すると推測できる事実があること | 日本国籍が前提の規定のため、外国籍の従業員には通常当てはまりません |
国外に居住することとなった人にも、逆の推定規定があります(施行令15条)。国外で継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合や、外国籍で、国内に生計を一にする親族がなく、再び国内に戻って主として居住するとは推測できない場合などです。海外転勤で出国する従業員の判定は、こちらを見ます。
なお、推定される人と生計を一にする配偶者や扶養親族が国内に居住する場合は、その家族も国内に住所を有すると推定されます(施行令14条2項)。
入国から1年を超えて居住すると居住者になる
1年以上の居住を通常必要とする職業がなくても、引き続き1年以上居所を有すれば居住者になります。国税庁の別紙「住所の推定」には、技能実習1号のみを予定した実習生の事例があります。入国後の講習も含めて職業と考え、入国の日の翌日から1年を経過する日を超えて国内に居住する場合に、住所の推定の要件を満たすとしています。その日までに出国する実習生は、国内に住所を有する事実が認められない限り、一般的には非居住者になるという回答です(国税庁No.2875 別紙)。
この回答は講習を含む技能実習1号という特定の事例に対するもので、生活の本拠が実際に日本にあると認められれば、住所があるものとして居住者になります。入国時に1年未満で帰国する前提だった人も、滞在が延びたら判定をやり直してください。
在留資格・在留カードは判断材料のひとつ
在留資格は日本に滞在する法的な根拠で、所得税法の居住者の定義とは別のものです。ただ、判定の事実関係を確かめる材料にはなります。確認する項目は、雇用契約の期間と更新の予定、在留期間、住居の賃貸借契約、家族の同居の有無です。入国日は、1年のカウントの起点になります。
居住者区分の判定ツール(居住者・非永住者・非居住者)
住まいの状況と入国の見込みを選ぶと、居住者・非永住者・非居住者のどれになりやすいか、年末調整が必要かを表示します。判断材料が足りない項目は、わからないを選んでください。結果は目安です。
居住者区分の判定
外国人従業員1人ごとに入力してください。
※ 租税条約の適用や、住居・家族の状況による個別の事情は反映していません。※ 判定結果は税務上の結論ではなく、確認の順番を示す目安です。
判定ツールの結果が「判定できません」や「非居住者(一般的な取扱い)」になった人は、雇用契約書と入国日をそろえたうえで、所轄税務署か顧問税理士に確認することをおすすめします。非居住者として源泉徴収していた人が、あとから居住者と判断されると、年末調整のやり直しや確定申告が必要になることがあるためです。
年の途中で入国・出国する外国人の年末調整
年の途中で入社して年末まで働く人は、通常どおり12月に年末調整をします。一方、年の途中で出国して非居住者になる人は、海外転勤などの場合に、出国の時点で年の中途の年末調整をします。
年の途中で入国して就職した人
年の中途で就職した人も、年末まで勤務していれば年末調整の対象です。就職前にその年中に他の会社へ扶養控除等申告書を出して給与を受けていた場合は、その会社の源泉徴収票で給与と税額を確認し、合算して年末調整をします。確認できないときは、年末調整はできず、本人が確定申告で精算します(国税庁No.2674)。
基礎控除や扶養控除は、就職した月に応じた月割りにはならず、全額が認められます。入国前に海外の勤務先から受けた給与など、日本の源泉徴収票がない所得の扱いは、本人の申告に関わるため、個別に確認してください。
年の途中で出国して非居住者になる人
年の中途で年末調整をする対象には、「海外支店等に転勤したことなどの理由により非居住者となった人」が入っています(国税庁No.2665)。このとき作る源泉徴収票の「住所又は居所」欄には出国時の国内の住所または居所を、「摘要」欄には出国の月日を書きます(国税庁質疑応答事例)。
外国人従業員が母国に帰るために退職する場合は、国税庁No.2665が挙げる年の中途の年末調整の対象(12月に支給されるべき給与の支払を受けた後の退職、年間の給与が136万円以下のパートの退職など)に当たらなければ、原則として年末調整の対象になりません。海外転勤に準じて扱えるかは断定できないため、判断に迷うときは所轄税務署に確認してください。この場合は本人が確定申告をします。出国後に申告するときは、納税管理人の届出が要ります。
国外居住親族の扶養控除を受けている人は、年の中途の年末調整でも送金関係書類が必要です(国税庁Q&A Q45)。出国が決まったら、その年の送金の書類を早めに集めてもらってください。
令和8年は最後の給与が11月30日以前だと改正後の控除が使えない
令和8年度改正の基礎控除の引上げなどは、令和8年12月1日に施行されます。年末調整は最後の給与を払う際に行うため、最後の給与が令和8年11月30日以前の人の年末調整では、改正後の基礎控除などは使えません。海外転勤で年の途中に出国する人や、退職して年末調整を受けていない人が、これに当たります。
こうした人は、確定申告をすると改正後の控除を受けられます。ただし、源泉徴収された税額がゼロの場合は、申告しても還付される税金はありません(国税庁・令和8年度税制改正Q&A Q1-3・Q7-1)。令和8年分の改正の全体像は、【令和8年分】年末調整の書き方と記入例で解説しています。
外国人従業員の国外にいる家族の扶養控除(国外居住親族)
国外にいる家族を扶養に入れるには、扶養控除等申告書を出すときと年末調整のときに、親族関係書類と送金関係書類が必要です。留学の人や年38万円以上の送金を受ける人には、それぞれ別の書類も加わります。
扶養控除の対象になる国外居住親族の範囲
扶養控除の対象になる非居住者の親族(国外居住親族)は、扶養親族のうち次のどれかに当たる人です(国税庁No.1180)。年齢は12月31日現在で判定します。
国外居住親族の年齢別の扶養控除の可否
送金額の基準なしで対象です。親族関係書類(提出時)と送金関係書類(年末調整時)が要ります。
留学で国内に住所・居所がなくなった人、障害者、その年に生活費・教育費で38万円以上の支払を受けている人のどれかだけが対象です。上記以外は扶養控除の対象外です。
送金額の基準なしで対象です。親族関係書類と送金関係書類が要ります。
16歳未満の親族は、扶養控除の対象にはなりません。ただし障害者控除を受ける場合は、親族関係書類と送金関係書類が必要です(国税庁Q&A Q15)。
令和8年分は、扶養親族になる所得要件が合計所得金額62万円以下に変わります(令和8年12月1日施行)。控除額や改正の詳細は、令和8年分の年末調整の書き方をご覧ください。
「留学」の区分は日本に住んでいた親族が前提
30歳以上70歳未満の「留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人」は、日本に住んでいた親族が外国へ留学した場合を想定した区分です。国税庁のQ&Aは、留学ビザ等書類で国籍が日本であること、在留資格が留学に相当することの2点を確認するよう求めています。
なお、留学が1年以上国外に居住することを通常必要とするものでなければ、国外居住親族には当たりません(Q&A Q16)。国籍が日本以外の親族は、その書類だけでは留学による国内の住所・居所の喪失を示せません。留学の直前に日本に住所または居所があったことを、公的機関が発行した書類で確認できる場合に限り、例外として扱えます(国税庁Q&A Q31)。このため、外国籍の従業員の母国の家族は、実際には障害者に当たるか、年38万円以上の送金を受けているかのどちらかで判断する場面が中心になります。
障害者は、日本の法令で交付される障害者手帳などに当たる人をいいます。外国政府が発行した障害者手帳は、日本の身体障害者手帳に当たらないため、該当しません(国税庁Q&A Q6)。
配偶者控除・特定親族特別控除・障害者控除の場合
国外にいる配偶者には、扶養控除のような年齢や送金額の基準はありません。配偶者控除・配偶者特別控除、特定親族特別控除、障害者控除を受けるときも、親族関係書類と送金関係書類が必要です。
| 受けたい控除 | 扶養控除等申告書の提出時 | 年末調整時 |
|---|---|---|
| 配偶者控除・配偶者特別控除 | 親族関係書類(源泉控除対象配偶者に当たる場合) | 親族関係書類と送金関係書類(配偶者控除等申告書の提出時) |
| 特定親族特別控除 | 親族関係書類(源泉控除対象親族に当たる場合) | 親族関係書類と送金関係書類(特定親族特別控除申告書の提出時) |
| 障害者控除 | 親族関係書類 | 送金関係書類 |
扶養控除等申告書の提出時に親族関係書類を出していれば、配偶者控除等申告書や特定親族特別控除申告書の提出時に、親族関係書類をもう一度出す必要はありません(出典:国税庁リーフレット「非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ」)。なお、非居住者の親族について年末調整で特定親族特別控除を受けられるのは、源泉控除対象親族(19歳以上23歳未満で合計所得金額が62万円超100万円以下)のうち、合計所得金額の見積額が85万円以下の人に限られます(国税庁Q&A)。
国外居住親族の書類チェックリスト(親族関係書類・送金関係書類)
国外居住親族の扶養控除で必要な書類は、親族関係書類、送金関係書類、留学ビザ等書類、38万円送金書類の4種類です。親族の年齢や区分によって、どれが必要かが変わります。
4種類の書類のちがい
非居住者の親族があなたの親族であることを証する書類。全員に必要です。
その年に、親族それぞれの生活費・教育費のための支払をしたことを示す書類。年末調整時に必要です。
外国の査証に類する書類または在留カードに相当する書類の写し。30歳以上70歳未満で留学の人だけです。
送金関係書類のうち、その年の支払の合計が38万円以上と分かるもの。30歳以上70歳未満で38万円要件の人だけです。
| 親族の区分 | 扶養控除等申告書の提出時 | 年末調整時 |
|---|---|---|
| 16歳以上30歳未満、70歳以上 | 親族関係書類 | 送金関係書類 |
| 30歳以上70歳未満(留学) | 親族関係書類と留学ビザ等書類 | 送金関係書類 |
| 30歳以上70歳未満(障害者) | 親族関係書類 | 送金関係書類 |
| 30歳以上70歳未満(年38万円以上の送金) | 親族関係書類 | 38万円送金書類 |
| 上記以外の30歳以上70歳未満 | 扶養控除の対象外 | 扶養控除の対象外 |
親族関係書類は何を出せばよいか
親族関係書類は、次の①か②のどちらかです。日本語の訳文も必要で、旅券の写しを除き原本の提出または提示が求められます。
- ① 戸籍の附票の写しなど、日本国または地方公共団体が発行した書類と、親族の旅券(パスポート)の写し
- ② 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類(親族の氏名、生年月日、住所または居所の記載があるもの)。戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書などが当たります
戸籍の附票は日本国民の書類です。外国籍の従業員の家族については、通常は②の外国の公的書類を使うことになります。1つの書類に氏名、生年月日、住所または居所のすべてが載っていない場合や、親族であることを証明できない場合は、複数の書類を組み合わせます(国税庁Q&A Q22・Q26)。
旅券の写しは、氏名や生年月日が載っている身分事項のページです。親族関係書類は、基本的に申告書を提出する都度、提出または提示が必要です。親族関係や住所に変更がないときは、前年に提示した書類を再度提示することも認められますが、会社側で前年から変更がないことを本人に確認します(Q&A Q21・Q23)。
送金関係書類として認められるもの、認められないもの
送金関係書類は、あなたがその年に、親族それぞれの生活費または教育費に充てるための支払をしたことを明らかにする書類です。次のものが当たります。
- 外国送金依頼書の控え(その年に送金した分のもの)
- 親族が使用する家族カードの利用明細書(カードの利用日の年分の書類になります)
- 電子決済手段の国外移転を依頼した場合の依頼書の控え(電子決済手段等取引業者のもの)
逆に、送金関係書類にならないものが国税庁のQ&Aにまとめられています。
- 知り合いに頼んで現金で渡した分。現金で渡した旨の申立書も、送金関係書類には当たりません(Q&A Q39)
- 代表者にまとめて送金した分。送金関係書類は親族1人ごとに必要で、代表者以外の親族の書類にはなりません(Q&A Q34)
- 海外の共同名義口座への送金で、個々の親族に送られたことが明らかでない場合(Q&A Q35)
年3回以上の送金は明細書で省略できる
同じ親族に対して、その年に3回以上の送金をした場合は、全部の書類の代わりに明細書と、その親族への最初と最後の送金の書類を出せば足ります(所得税基本通達120-9)。明細書には、居住者の氏名と住所、親族の氏名、支払日、支払方法、支払額を書きます。提出を省略した書類は、居住者が保管します(国税庁「国外居住親族に対する送金関係書類の明細書」)。
38万円送金書類の場合は、最初と最後の送金の合計が38万円未満のとき、その不足分以上になる分の書類も出す必要があります。国税庁の例では、最初と最後の合計が30万円なら、8万円以上の書類を加えます。後述のExcelの右端の列で、この不足額を計算できます。
国外居住親族の書類判定ツール
控除の種類と親族の年齢などを入れると、扶養控除の対象になるか、扶養控除等申告書の提出時と年末調整時にどの書類が必要かを表示します。
国外居住親族の書類判定
親族1人ごとに入力してください。年齢は12月31日現在です。
※ 親族が親族の範囲(6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族)と、生計を一にする要件、所得要件を満たしていることが前提です。※ 手数料は、書類に手数料額が記載されている場合に限って、送金額に含められます。
書類が出そろわなかったとき
扶養控除等申告書に書かれた国外居住親族について、親族関係書類や留学ビザ等書類があとから提示された場合は、提示のあとに最初に払う給与から扶養控除等を適用します(Q&A Q29)。
年末調整の時点で送金関係書類(38万円送金書類を含む)が出ないときは、その親族は控除対象に含めずに年末調整の計算をします。年末調整のあと、源泉徴収票を作るまでの間に書類が出てきたときは、扶養控除を適用して再計算してもかまいません。源泉徴収票を作成したあとに出てきたときは、年末調整のやり直しは不要で、本人が確定申告をする案内になります(Q&A Q44)。
年末調整では、扶養控除等申告書の「生計を一にする事実」欄に、その年に親族へ送金した総額を書いてもらう必要があります。当初の申告書に異動がなくても、この欄の記載のために、返却して追記してもらうか、別に提出してもらいます(Q&A Q13)。
国外送金の円換算と38万円の判定(送金明細書Excel付き)
38万円の判定は、送金した日に、その日の電信売買相場の仲値(TTM)で円に換算した額を合計して行います。送金手数料は、書類に手数料額が記載されている場合に限り、含めて判定してかまいません(国税庁Q&A Q7)。
いつの支払として数え、いくらで換算するか
| 場面 | 国税庁Q&Aの取扱い |
|---|---|
| 支払の日 | 金融機関で送金を行った日。12月に送金し、親族の口座への入金が翌年になっても、送金した年の支払になります |
| 円を外貨に替えて送金 | 原則は、送金した金融機関のその日のTTM。円預金口座から外貨に替えて直ちに送金するときは、現に引き落とされた円の額でも差し支えありません |
| 手持ちの外貨で送金 | 送金した金融機関のその日のTTMで円に換算します |
| 年間の合計を一括で換算 | その年の最後の支払の日のTTM、またはその支払に実際に適用された為替レートで、合計額を一括して換算することも認められます |
| 送金手数料 | 書類に手数料額が記載されている場合に限り、合計に含めて差し支えありません。国税庁の例では、37万円の送金に手数料1万円がかかれば38万円とみなせます |
| 家族カードの利用 | カードの利用日が支払の日です。利用代金の引落しが翌年でも、利用した年の支払になります |
| 年末調整での「最後の支払」 | 年末調整では、「生計を一にする事実」欄を記載した扶養控除等申告書を出す直前の支払をいいます |
TTMは、原則として送金に使った金融機関のものです。主に取引している金融機関のものなど、合理的なものを継続して使っているなら、それを使って差し支えありません(Q&A Q7の注)。
送金明細書Excelで合計と不足額を確認する
送金のたびに、日付・外貨額・レートを入れていくと、親族ごとの合計、38万円に届いたか、3回以上なら明細書方式が使えるか、最初と最後の書類で足りるかを自動で出すExcelを用意しました。
| シート | 入れるもの | 出てくるもの |
|---|---|---|
| 送金明細 | 送金日、支払方法、通貨、外貨額、送金日のTTM(円預金から引き落とされた円額)、手数料 | 1回ごとの円換算額、入力漏れの確認 |
| 集計 | 親族の氏名と生年月日(最大5人) | 12月31日現在の年齢と扶養控除上の区分、送金回数、合計、38万円判定、最初と最後の送金、追加で必要な書類の額 |
| 提出用明細 | (送金明細から自動転記) | 明細書に書く事項の一覧(親族ごとに絞り込んで印刷) |
円未満は四捨五入で計算しています。38万円の境界付近では1円の差で結論が変わることがあるため、実際の書類の額で確認してください。MINIFS・MAXIFS関数を使うため、Excel 2019以降またはMicrosoft 365で動きます。
外国人従業員の住民税は1月1日の住所で決まる
住民税は、1月1日時点で日本に住所があり、一定額以上の給料などをもらっている人に課される税金で、外国人でも同じです。1月2日以降に出国した場合でも、その年の住民税は課されます。年末調整は所得税の手続きで、住民税の納付先や金額は市区町村が決めます(総務省「外国人の方の個人住民税について」)。
出国・退職する外国人従業員に案内すること
総務省の案内では、外国人を雇う事業者は、日本人と同じように住民税の特別徴収を行う必要があります。従業員が退職または出国するときは、次の2点を案内します。
- 残りの住民税の一括徴収。本人から申出があれば、退職時の給与や退職金から残りを一括して徴収できます。1月から5月に退職する場合は、申出の有無にかかわらず一括徴収が必要です
- 納税管理人の選任。出国までに住民税を納められないときは、日本に居住する人の中から納税管理人を決め、市区町村に届け出てもらいます
住民税の仕組みは、【2026年版】住民税の仕組みと計算方法で解説しています。
外国人従業員の年末調整の確認手順(チェックリスト)
給与計算の担当者は、外国人従業員1人ごとに、次の順で確認すると手戻りが少なくなります。国税庁の資料の構成に沿った順番です。
入国日、雇用契約の期間、更新の予定、住居、家族の同居を確認します。判定ツールで目安を出し、迷うときは税務署か税理士に確認します。非居住者なら年末調整はせず、源泉徴収の処理に切り替えます。
国内に居住する家族は通常の手続きです。国外にいる家族を載せる場合は、「非居住者である親族」の欄と親族の区分を確認します。
外国語の書類は日本語訳があるか、原本を提示してもらえるか、氏名・生年月日・住所または居所がそろっているかを確認します。
親族ごとに、その年の送金の書類を取り寄せてもらいます。現金手渡しや代表者への一括送金がないかも確認します。3回以上の送金なら、明細書を作ってもらいます。
30歳以上70歳未満で38万円要件の人は、実際の送金が38万円以上かを確かめます。書類で示せない親族は、控除に含めません。
海外転勤などで出国する人は、出国時に年末調整をします。令和8年は、最後の給与が11月30日以前だと改正後の控除が使えないため、本人に確定申告の案内をします。
よくある質問(FAQ)
- 外国人でも年末調整は必要ですか。
- 居住者であれば、日本人と同じく年末調整が必要です。年末調整の対象は、扶養控除等申告書を提出した居住者で、年間の給与が2,000万円以下の人だからです(所得税法190条、国税庁No.2665)。国籍や在留資格は関係ありません。反対に、非居住者は年末調整の対象外で、国内で払う給与は一律20.42%を源泉徴収します。居住者か非居住者かは、住所の有無や1年以上の居所の有無で判定するので、入国日と雇用契約の内容を確認してください。
- 年末調整のあとに、送金関係書類が出てきました。やり直しは必要ですか。
- 源泉徴収票を作る前なら、その親族を扶養控除に含めて年末調整を再計算してかまいません。源泉徴収票を作成したあとに書類が出てきたときは、年末調整のやり直しは不要で、従業員本人が確定申告で控除を受けます(国税庁Q&A Q44)。書類が遅れそうな従業員には、早めに案内しておくと、年末調整のやり直しを避けられます。
外国人の年末調整まとめ:最初に居住者かどうか、次に国外親族の書類
最初に決めるのは、居住者か非居住者かです。年末調整の対象は居住者だけで、在留資格ではなく住所の有無と1年以上の居所で判定します。次に、母国の家族を扶養に入れるなら、年齢と区分で控除の可否を見て、扶養控除等申告書の提出時と年末調整時の2回、書類を確認します。送金は記録の残る方法にして、円換算は送金日のTTMでそろえてください。令和8年は、最後の給与が11月30日以前の人に改正後の控除が使えない点も忘れずに案内します。
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